浴槽の剥がれや汚れが目立ち始めたら、浴槽塗装を検討してみるのがおすすめです。
浴槽塗装とは塗装剤を浴槽の表面に塗装することで、浴槽をきれいにする技術を指します。浴槽の交換やリフォームほどの費用や工期がかからず、気軽に施工できるのがメリットです。
本記事では、浴槽塗装のメリット・デメリットをはじめ、費用相場や工期、DIYの可否などを解説します。浴槽塗装における注意点もお伝えするので、快適な浴室を目指したい方はぜひ参考にしてください。
浴槽塗装の特徴
浴槽塗装は、浴槽の交換やリフォームのように大掛かりな工事が必要ないのが最大の特徴です。塗装剤で塗装するだけで、新品さながらの綺麗な仕上がりになります。
「浴槽の性能には問題ない」「浴槽の劣化やひび割れ(クラック)が気になる」という悩みがある場合に有効な手段です。ここからは、浴槽塗装が必要な理由をメリット・デメリットと共に詳しく見ていきましょう。
浴槽塗装のメリット
浴槽塗装のメリットは、単純に浴槽をきれいにできるだけではありません。新品同様の美しさに仕上がる以外にも、下記のメリットがあります。
- 交換リフォームよりも費用が安い
- 工事期間が短い
- 浴槽のサイズ・形状に左右されない
- 廃材が出ない
- 浴槽の耐久性が上がる
塗装を施す素材によって変動はあるものの、塗装リフォームは浴槽の交換よりも費用を抑えられるのがメリットです。
浴槽の交換には、交換用の浴槽・新しいタイル・壁材などが必要ですが、浴槽塗装なら塗料さえ用意すればリフォームできます。塗装の工期は1〜2日と短期間なので、お風呂に毎日入れないという心配もありません。
また浴槽塗装は既存のものに施すため、浴槽のサイズ・形状に左右されず、廃材がほとんど出ないのもメリットです。廃材が出ない浴槽塗装は、廃材処理費用を節約できるだけでなく、環境にも優しいのが魅力と言えます。
さらに浴槽塗装は、カビを抑制したり特殊塗料で防水加工を施したりと、浴槽の耐久性向上にも役立ちます。長持ちするだけでなく清掃もしやすくなるので、清潔かつ衛生的な浴槽を保ちやすくなるでしょう。
浴槽塗装のデメリット
簡単に浴槽の劣化や剥がれを修理できる浴槽塗装ですが、もちろんメリットだけではありません。下記のようなデメリットがあるので、しっかりと比較検討してから依頼するようにしてください。
- 塗装工事をできる業者が少ない
- 下地処理が甘いとと塗装剥がれが起きる
- 浴槽の保温性や耐熱性は向上しない
基本的に浴槽塗装には高い専門技術が必要になり難易度が高いため、依頼できる業者は限られています。対応可能な職人が少ないため、場合によっては高い施工費用がかかることも少なくありません。
また浴槽の下地処理が甘い場合は、塗装後に塗装剥がれが起きてハゲてしまうリスクがあります。一部であれば重ね塗りで修復できますが、広範囲の場合は再び塗装が必要になり、改修費用がかかるため注意が必要です。
専門業者に依頼する際は、施工後のアフターサービスや保証期間・内容を確認しておくと良いでしょう。
なお浴槽塗装では既存の浴槽をそのまま使用するため、保温性や耐熱性といった性能は向上しません。「追加したい機能がある」という場合は、バスタブの丸ごと交換を検討してください。
浴槽塗装を検討すべきサイン
浴槽塗装が必要かどうか迷ったら、下記いずれかのサインを目安にするのがお勧めです。
- 浴槽の剥がれ・傷・ひび割れ・変色が目立つ
- 汚れ・カビが落ちない
- 家族構成が変わる
浴槽塗装は、浴槽表面の劣化が見られる場合にぴったりな施工です。浴槽の清潔さを保ちたいなら、浴槽コーティングも検討してみましょう。
浴槽の剥がれ・傷・ひび割れ・変色が目立つ
経年劣化による剥がれ・傷・ひび割れ・変色が目立つようになったら、浴槽塗装が必要なサインです。浴槽の耐久性によっては小さな傷が次第に大きくなりやすく、床や壁が傷むことも少なくありません。
小さいからと浴槽についたキズを放置してしまうと、水漏れや水の侵入の原因になるため注意が必要です。場合によっては建物自体の構造部分が腐食したり、害虫が発生したりと予期せぬ弊害やトラブルが発生する可能性も。
たとえ小さくても傷が気になったタイミングで、浴槽の塗装を検討しましょう。
汚れ・カビが落ちない
お風呂を掃除しても落ちない汚れが付着している場合も、浴槽塗装を検討してみるのがおすすめです。特に頑固な汚れやサビが数箇所に点在しているのであれば、すぐに塗装を施して綺麗な状態に戻しましょう。
また浴槽に溜まりやすい黒カビは、アレルギーなどの原因になりやすいため注意が必要です。黒カビは、水垢や石鹸カスなどを放置することで発生します。汚れやサビと同様、浴槽の見栄えが悪くなるので可能な限り早めに塗装するのがおすすめです。
防カビ塗装を施せば新たなカビの発生も防止できるので、長期間浴室の清潔さを保つのに役立つでしょう。
家族構成が変わる
家族構成が変わるタイミングで、浴槽を塗装で綺麗にするのもひとつの方法です。子どもが生まれて家族が増えたり、親族と同居したりするタイミングで浴槽に塗装を施せば気分も一新できるでしょう。
家族全員の好みにあった浴槽を塗装により実現することで、浴室がお気に入りの空間になること間違いありません。
浴槽コーティングもおすすめ
浴槽をきれいにする手段として、浴槽塗装以外にコーティング(コーキング)を施す方法もおすすめです。浴槽コーティングには大きく、劣化やひび割れを修復する目的のコーティングと浴槽の表面を汚れやカビから守る目的のコーティングがあります。
「浴槽をきれいにする」という意味では同じですが、それぞれ依頼する業者や工事内容が大きく異なるので注意が必要です。コーティングで浴槽を保護しておけば、日々のメンテナンスも楽になるでしょう。
またコーティングには、ブラックやホワイトなど色付き塗料で修復する方法とクリアコーティングで修復する方法があります。
クリアコーティングでは、透明な樹脂塗料やガラスのコーティング剤を使用するのが一般的で、浴槽の表面を滑らかにできるのが特徴です。新品さながらの光沢感を再生することもできるので、希望に応じて最適なほうを選びましょう。
なお浴槽塗装とコーティングは、あくまでも別の作業です。浴槽塗装の見積もりを依頼した場合も別項目で記載されていることが多いため、不安な場合は細かく確認してください。
浴槽塗装にかかる費用相場と工期
比較的安い費用でできる浴槽塗装ですが、浴槽の状態によっては浴槽交換リフォームのほうがお得なケースもあります。
ここからは、浴槽塗装と交換リフォームにおける費用相場と工期を徹底解説。それぞれ塗装箇所別・材質別に説明するので、浴槽のリフォームを塗装か交換どちらにするか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
塗装箇所別の費用相場
浴槽の塗装にかかる費用相場は、約7万円〜15万円です。素材や大きさによっても若干違いがあり、浴槽に多く使用されるFRPや人工大理石の場合は7万円から、ホーローの場合は8万円からが目安とされています。
浴槽塗装では壁や天井などもあわせて行うこともあるので、以下に挙げる箇所別の費用相場も参考にしてください。
【塗装箇所別の費用相場】
塗装箇所 | 費用相場 |
浴室壁 | 約90,000〜130,000円 |
浴室床 | 約50,000〜90,000円 |
浴室天井 | 約40,000〜60,000円 |
浴室全体 | 約200,000〜230,000円 |
浴槽塗装にかかる工期は、およそ1日〜3日ほどと言われています。塗装の範囲や浴槽の状態によって変動する可能性はあるものの、工事が長時間続くことはほとんどないでしょう。ただし、冬など季節によっては塗料の乾燥に時間がかかる場合もあります。
浴槽の材質・素材別の費用相場
浴槽交換リフォームの費用相場は、浴槽本体の材質・素材によって大きく異なります。基本的にFRPや人工大理石の場合は、塗装より交換のほうが安く済むケースが多いです。
【浴槽の材質・素材別の費用相場】
素材 | 費用相場 |
FRP | 約30,000円〜 |
人工大理石 | 約30,000円〜 |
ステンレス | 約60,000円〜 |
ホーロー | 約200,000円〜 |
檜などの木材 | 約400,000円〜 |
またユニットバスを入れ替え・交換する場合は、最低でも50万円の料金がかかる可能性もあります。メーカーや商品の機能によっては150万円という高額価格になる場合もあるので、よく比較して検討するようにしてください。
浴槽交換リフォームにかかる工期は、ユニットバスの場合で4日〜1週間程度が目安。在来工法の浴槽であれば1週間ほどかかってしまうので、不便に感じる方も多いでしょう。
交換のほうが費用を安く抑えられたとしても、なるべく短期間で施工したいという方は浴槽塗装がおすすめです。
浴槽塗装と浴槽の交換リフォームはどちらが良い?
浴槽塗装や交換リフォームにかかる費用は、塗装箇所や素材によって変動するため一概に「どちらが良い」とはいえません。特に浴槽の交換リフォームの場合は、浴室の広さ・状態・タイプによって、壁やタイルの解体といった大掛かりな工事が必要になります。
工程が複雑なほどコストもかさむので、まずは複数の業者に見積もりを問い合わせてから検討してみるのが節約のコツです。
浴槽塗装は自分でDIYできる?
簡単なイメージのある浴槽塗装ですが、基本的に自分でDIYするのはおすすめできません。そもそも浴槽用の塗料はホームセンターにも販売されてないため、自分でチャレンジするのはかなり大変で手間がかかると言えるでしょう。
浴槽塗装は、プロの専門業者でも難易度が高いと言われており、専用塗料や浴槽の素材に関する幅広い知識が必要です。もちろん下地補修・下塗りやスプレーガンの扱いといった塗装技術も必須で、経験豊富なプロの塗装業者でも、塗装後に塗りムラやザラつきが発覚する場合もあります。
浴槽塗装には綿密な現地調査と技術が必要になるので、業者選びは慎重におこない、必ず信頼できる職人に依頼するようにしてください。優良な業者であれば、丁寧かつスピーディーに塗装してくれるので施工不良の心配もありません。
浴槽の塗装に適切な塗料は「アクリルウレタン樹脂塗料」
万が一DIYで浴槽塗装にチャレンジする場合は、アクリルウレタン樹脂塗料という塗料を選ぶのがおすすめです。
アクリルウレタン樹脂塗料とは、ウレタン樹脂塗料の中でも「アクリルポリオール」を主剤とする塗料のことを指します。硬化剤に無黄変性の「ポリイソシアネート」という脂肪族系素材が使用されており、耐候性や塗膜性能、仕上がり外観に優れているのが特徴です。
アクリルウレタン樹脂塗料のメリット・デメリットや代表的な商品を下記の表にまとめたので、自分で浴槽を塗装したい場合はぜひ参考にしてください。
メリット | ・安く購入できる・カラーバリエーションが多い・ツヤをつけるのに適している・浴槽の色合いがはっきりする・希釈などが不要なので扱いやすい |
デメリット | ・紫外線の耐性がない・ひび割れ(クラック)が発生しやすい・剥がれやすい |
代表的な商品 | ・水性コンポアクリル(エスケー化研)・ニッペ水性ケンエースグロス(日本ペイント)・アレスアクアグロス(関西ペイント・PDF) |
アクリルウレタン樹脂塗料は、浴槽に多く使用されるFRPの塗装を前提として使用してください。木材などの素材にはアクリルウレタン樹脂塗料は使用できないので、注意が必要です。
また浴室用塗料には豊富な種類があり、塗料によってさまざまなデザインを実現することができます。浴槽の色を変えるだけでも雰囲気を一新できるので、ぜひお好みの仕上がりに近い塗料を選んでみてはいかがでしょうか。
※自分で浴槽塗装をする場合は、塗装業者が発行している施工要領(株式会社彩色工房)を活用してください。塗装に必要なローラー・ハケ(刷毛)・パテなどの道具類はネットショップで購入できます。
浴槽塗装における注意点
最後に、浴槽塗装における注意点を3つお伝えします。
- ホーロー製の浴槽は追い炊きができなくなる恐れがある
- ユニットバスの場合は種類を確認しておく
- 賃貸の場合は管理会社に連絡する
トラブルを防ぎ安心して浴槽塗装を依頼するためにも、ぜひチェックしてみてください。
ホーロー製の浴槽は追い炊きができなくなる恐れがある
大前提として、浴槽には塗装に適する素材と適さない素材が存在します。一般的にFRP(繊維強化プラスチック)や人工大理石は塗料が乗りやすく、塗装によって傷や剥がれを防止できると言われています。カビの抑制や防水にも効果が期待でき、耐久性を向上させられるのがうれしいポイントです。
反対に、ホーロー浴槽やステンレス浴槽は塗装が困難で、塗料が剥がれ落ちやすいとされています。特にホーロー製の場合は、浴槽塗装によって追い炊き機能が使えなくなるリスクもあるので注意が必要です。ホーロー浴槽に塗装する場合は、業者と相談のうえ進めるようにしましょう。
ユニットバスの場合は種類を確認しておく
ユニットバスで浴槽塗装をする場合は、事前に種類を確認しておくことが大切です。たとえば壁や床とユニットバスが一体化している場合は浴槽だけの交換はできないため、浴槽塗装による恩恵が大きいと判断できます。
バス・トイレ・洗面所がセットになった3点式でも、丸ごとクリーニングしたり交換したりするよりも、塗装のほうが費用をお得におさえられます。
逆に据え置き式のユニットバスの場合は、交換リフォームと比べても費用があまり変わらないので、浴室の劣化状況によっては交換・入れ替え工事のほうがお得な可能性もあるでしょう。
賃貸の場合は管理会社に連絡する
マンションなどの賃貸物件にお住まいの方は、まず管理会社に相談してみてください。浴槽の寿命は一般的に15~20年と言われており、経年劣化が原因でヒビ割れや破損が発生している場合は、賃主負担で浴槽塗装できる場合があります。
経年劣化による破損は原状回復義務に該当しないことがほとんどなので、契約書をチェックしたうえで管理会社や大家さんに相談してみましょう。
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本記事では、浴槽塗装のメリットやデメリット、費用相場などを詳しく紹介しました。大掛かりなリフォームをせずに浴槽をきれいにしたい方は、浴槽塗装を検討するのがおすすめです。専門知識と高い技術が必要になるので、浴槽塗装を依頼する際は実績豊富なプロの業者に問い合わせてみましょう。
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