屋根リフォームの工法の一つであるカバー工法。費用も比較的手軽なので、検討している方も多いのではないでしょうか。メリットはたくさんありますが、デメリットももちろんあります。それらを理解したうえで、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
今回は、カバー工法の注意点や、知っておきたいトラブルなどをご説明します。費用相場もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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屋根カバー工法とは?
カバー工法とは、古い屋根材の上から新しい屋根材をかぶせる施工方法です。
一般的な施工の流れは、屋根材の下に敷く防水シートの接着力を上げるために古い屋根材の汚れを高圧洗浄で水洗いします。
既存の屋根材の上から防水シートを張り、新しい屋根材をかぶせて棟板金を取り付けたら施工は完了です。 カバー工法を選ぶメリットは、施工費用を抑えられることです。カバー工法は既存屋根材の上から新しい屋根材をかぶせる施工方法なので、古い屋根材を撤去する必要はありません。廃材の撤去費用や処分費用、人件費などリフォーム費用を削減できます。
カバー工法により屋根材が二重構造になるので、厚みが増して音や雨など外からの影響を受けにくくなるのも大きなメリットです。断熱性の高い屋根材を使用すれば、屋根の断熱効果も高められます。機能性の高い屋根材は少し費用がかかりますが、断熱性や防音性、防水性を向上させられることが魅力です。
屋根カバー工法が向いている場合
屋根カバー工法が向いているのは、リフォーム費用を抑えたい場合です。
カバー工法は既存屋根材の撤去作業がないため、リフォーム費用を抑えられます。少しでもコストを抑えて屋根材を修復したいなら、屋根カバー工法を選ぶのがおすすめです。
またカバー工法は既存の屋根材の撤去作業がないので、最短で2〜3日ほどで施工は完了します。既存屋根材をすべて撤去する葺き替え工事の場合は、最短でも7〜10日ほどかかるので、カバー工法は半分以下の日数で工期を完了できるというわけです。
特に工事期間中は、雨による影響や騒音などの近隣への配慮が必要になります。このような状況下で、ストレスを感じる方も少なくありません。依頼するリフォーム業者によって工期は前後しますが、なるべく早くリフォーム工事を終えたいなら屋根カバー工法を選ぶことをおすすめします。
屋根カバー工法のデメリット
屋根カバー工法は、費用を抑えられたり工期を短くできたりなどさまざまなメリットがあります。ただ一方で、考慮しなければいけないデメリットがいくつかあるのも事実です。
屋根カバー工法の主なデメリットには、次のようなものがあります。
- 屋根が重くなる
- 下地も新しくなるわけではない
- 瓦屋根には施工できない
デメリットを理解せずに屋根カバー工法を選んでしまうと、後悔する要因になることもあります。ここで紹介するデメリットを踏まえて、屋根カバー工法を選ぶか検討してみましょう。
屋根が重くなる
屋根カバー工法は、既存の屋根材の上から新しい屋根材を重ねる施工方法なので、断熱性や防音性、防水性を向上できます。 しかし、屋根材が二重構造になると重さが加わる影響で、屋根全体が重くなってしまいます。
屋根全体が重くなると耐震性が下がるため、屋根材の選び方には十分に注意しなければいけません。 耐震性が下がるのは、屋根を支えるために建築時に柱や土台の強度が計算されて建てられているからです。
新しい屋根材で重量が加わると、柱や土台に負荷がかかるので耐震性に影響が出てしまいます。 屋根が重い住宅は地震が起こると揺れが大きくなるため、屋根材を選ぶときは重量に注意しましょう。
下地も新しくなるわけではない
屋根カバー工法は、既存屋根材を残したまま新しい屋根材を重ねるので下地が新しくなるわけではありません。
屋根に施される下地とは、防水シートのことでルーフィングとも呼ばれます。 下地は屋根材から流れ込んだ雨が内部に入り込まないように、屋根材の下に施されるものです。
防水性を高める下地ですが、築年数が長くなると劣化が進んでしまいます。 ただ屋根カバー工法は、既存屋根の下地は撤去せず再利用する方法です。劣化が進んでいる状態で新しい屋根材を重ねた場合、下地機能が維持できない可能性も高くなります。
住宅の耐用年数にも悪影響が出るおそれもあるため、施工前に下地の状態を確認したり、屋根材をすべて撤去して張り替える葺き替え工事を検討したりするのがいいでしょう。
瓦屋根には施工できない
屋根材が瓦の場合、残念ながら屋根カバー工法は施工できません。屋根カバー工法は、既存屋根材の上から新しい屋根材を重ねる施工方法であるため、瓦屋根の場合は行えないのが基本です。
なかには、瓦屋根でもカバー工法を施してくれる業者もありますが、瓦屋根の形状や重量を踏まえても難しいといわれています。屋根材が瓦の場合は、屋根材をすべて撤去して新しい屋根材を張り替える葺き替えを検討するのがおすすめです。
屋根カバー工法の失敗例
屋根カバー工法は費用を抑えて手軽に施工できますが、屋根材の状態や地域の特性によっては失敗する事例もあります。場合によっては再度リフォーム施工しなければいけない状態になることもあるため、余計に費用がかかることもあるでしょう。
屋根カバー工法の効果を得るためにも、どのような事例で失敗するのか事前に確認しておくことが大切です。
劣化が激しい屋根に施工する
野地板(のじいた)の劣化が激しい屋根に、屋根カバー工法を施工して失敗した事例があります。
野地板は、屋根材の下地材で屋根材を支える重要な部分です。既存屋根材の上から新しい屋根材を重ねる屋根カバー工法の場合、野地板を再利用します。 野地板があまりに劣化が進行している場合、屋根カバー工法の施工後に雨漏りが発生することがあります。
場合によっては屋根材の固持力が発揮できず、風で屋根が飛ばされるといった大惨事に発展することも注意しなければいけません。
風が強い地域で施工する
強風地域の場合、屋根材の選び方や張り方を間違えると失敗しやすいといわれています。特に高台にある住宅は強風の影響を受けやすいので、十分に注意して屋根カバー工法をおこなうことが必要です。
また薄い金属板を加工して組み上げる横葺き屋根の場合、強風で屋根が一枚でも剥がれると、屋根全体をすべて張り直さなければいけない状況になることもあります。余計な費用がかかってしまう場合もあるため、強風地域の屋根カバー工法には注意しましょう。
屋根カバー工法の費用相場
屋根カバー工法にかかる費用は、1㎡あたり8千〜1万円程度が相場です。屋根のサイズや形状、劣化状態、地域にもよりますが、合計費用は60〜250万円程度になるでしょう。
ただし、施工費用とは別に作業時の足場代として15万円程度がかかります。 工事内容の費用内訳を確認していきましょう。
内容 | 費用(㎡) |
屋根材施工費用 | 5,000~11,000円 |
下地・野地板施工 | 1,500~2,500円 |
防水シート | 500~1,500円 |
足場費用 | 600~1,500円 |
合計 | 7,000〜16,000円 |
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屋根の修理方法はさまざまですが、施工費用を抑えたい場合はカバー工法が最適です。ただし、屋根が二重構造になるので屋根全体が重くなったり下地を交換できなかったりなどデメリットもあります。
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監修したプロのコメント
アスベストを含有している屋根材の場合、撤去にコストがかかります。その場合はカバー工法で施工することで、コストが安くなるケースも多いです。
屋根を長持ちさせるには、定期的な点検は欠かせません。築15年以降の物件なら、点検してみると良いでしょう。
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