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  6. 玄関の軒はどのくらいの長さが最適?役割や注意したいポイントを解説
2022/07/08 2024/07/31

軒は小さな部分なので、家を建てたりリフォームしたりする際にも、あまり気に留められることはないかもしれません。しかし、雨の日や日差しが強い日にも快適に暮らすためには、適した長さにすることが大切です。

本記事では玄関の軒の役割や理想の長さ、軒を延長するのにかかる費用の目安などを解説します。注意したいポイントや軒を設置できない場合の対処法にも触れているので、ぜひ過ごしやすい家造りにお役立てください。

この記事を監修したプロ
六條 好聡 さん

株式会社六條工務店

玄関の軒とは?屍との違い

軒と屍

軒(のき)とは、玄関の上部に設置される屋根の一部で、外壁から突き出ている部分のことです。一方庇は、玄関や窓などの上部に取り付けられる小型の屋根で、主に雨風や日差しを防ぐ目的で設置されます。

軒は屋根とつながっていますが、庇は屋根とは独立して設置するのが特徴です。近年では、建築面積の関係で軒を設置する住宅が少なくなっていますが、土地が広い地方では軒のある戸建て住宅が多い傾向にあります。

玄関の屋根・軒の役割

屋根・軒の役割

玄関の軒の役割としては、主に以下4点が挙げられます。

  • 雨や雪が入り込むのを防ぐ
  • 直射日光や日差しを防ぐ
  • 床の汚れを防ぐ
  • 外壁を保護する

それぞれ詳しく解説するので、軒の設置に迷っている方はぜひ参考にしてください。

雨や雪が入り込むのを防ぐ

軒や庇には、玄関扉の前に雨や雪が入り込むのを防ぐ役割があります。軒があることで、降り注ぐ雨や雪が直接玄関に当たらず、玄関の床やドアが濡れるのを防ぎます。

玄関がびしょびしょだと足を滑らせるリスクがあり、小さい子どもやお年寄りがいるご家庭では特に注意が必要です。特に降雪量の多い地域では、扉の前に雪が積もると出入りに苦労するケースもあるでしょう。

そんなときに軒があれば、床が滑りやすくなるのを防止できるほか玄関ドアの劣化防止にも役立ちます。傘をたたんだり鍵を探したりするときに、雨に濡れる心配がないのもうれしいポイントです。

直射日光や日差しを防ぐ

玄関の屋根や軒は、直射日光や強い日差しを遮る役割も果たします。特に南向きの玄関では日差しが窓ガラスや外壁にあたり、室温が上がりやすくなります。軒や庇があると窓から入る直射日光を遮ることができ、室温の上昇を抑えられるのがメリットです。

夏の暑い日に室内で少しでも快適に過ごしたい方は、軒や庇で日差しをカットしましょう。特に出入りでよく使う玄関や勝手口、日差しを取り込みやすい位置にある窓などは、軒や庇で対策しておくのがおすすめです。

近年では時期外れの雨風や雪、気温の急激な変化による異常気象なども多く発生しています。新築やリフォームの際は、住まいでできる気象対策として軒や庇の設置を検討してみてはいかがでしょうか。
(参照元情報:気象庁 日本の異常気象 2024年7月現時点情報。安全に関しては、随時最新情報をお調べください)

床の汚れを防ぐ

玄関の上に軒や庇があると、床の汚れを防ぐことが可能です。特に雨の日や雪の日は、泥や水滴が靴に付着しやすく、玄関の床が汚れやすくなります。場合によっては、黒ずみができたりシミになったりすることもあるでしょう。

そのような場合に軒や庇を設置すれば雨を遮れるため、床をきれいに保ちやすくなります。玄関内部にも雨が直接入り込みにくくなるため、清潔感を維持できるでしょう。同様に玄関扉の汚れも防げるので、玄関まわりの美観を維持しやすくなるのがメリットです。

外壁を保護する

軒や庇があれば、雨を受け止めて外壁やサッシに当たる量を最小限にしたり、紫外線による劣化を軽減したりできます。

長期間にわたって雨や直射日光にさらされると、外壁の塗装が剥がれたり、紫外線で経年劣化したりする可能性があります。雨が伝う部分に黒ずんだ汚れが付く場合もあるでしょう。

軒がしっかり設置されていると、これらの影響を最小限に抑え、外壁の寿命を延ばすことが可能です。外壁の色あせやヒビ割れを防ぎ、美しい外観を保てるので、建物全体の耐久性と美観が向上します。

さらに軒には、雨漏りを防止する役割もあります。軒がない場合、雨が強いときには外壁とガス管のつなぎ目や換気口などから雨水が室内に吹き込み、雨漏りするリスクがあります。台風や豪雨に備えるためにも、軒があると安心です。

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玄関の軒の理想の長さは90センチ!

玄関の軒 最適な長さとは

雨や直射日光を遮り玄関の床や外壁を保護するには、軒の長さは何センチほどあればいいのでしょうか。理想の長

軒の長さを何センチするかについて、明確な決まりはありません。しかし一般的に、軒の長さは90cm程度が主流です。

90cm程度の長さがあれば、玄関や外壁を雨や日差しから守りやすくなります。高度が高い夏の日差しを遮ることができ、高度が低い冬の日照を取り込みやすい絶妙な長さでもあります。まさに、夏は涼しく冬は暖かく過ごすためにはベストでしょう。

ちなみにベランダの軒に関しては、軒をベランダよりも長くするのがベターです。軒が長いとベランダに雨水がたまりにくくなるほか、急な雨のときに洗濯物を濡らさずに済みます。軒の下にテーブルやイスをセッティングし、縁側のようにくつろぐスペースとして使うのもおすすめです。

軒が長すぎる場合のデメリット

軒はベランダより長い方がいいと紹介しましたが、長すぎるのもNGです。軒が長すぎると強風時に風が当たる面積が増えるため、屋根があおられやすくなります。最悪の場合、屋根がはがれて飛ばされてしまうリスクもあるため注意しましょう。

また軒が長いと日差しを遮る面積が多いため、日の光が入りにくくなって室内が暗くなる可能性もあります。さらに、屋根が建物部分に比べて大きすぎる印象になり、全体のバランスが悪く見えてしまうのもデメリットです。軒を長くした分のコストがかかり、建築費用も高くなってしまいます。

軒を長くする際の注意点

注意点

さまざまな役割を担う玄関の軒ですが、長くする際にはいくつか留意すべき点があります。

  • 建ぺい率とのバランスを考慮する
  • 建築コストがかかる
  • 外観のデザインに影響が出る

事前にこれらの注意点を把握し、実際に軒を延長するかどうか検討してください。

建ぺい率とのバランスを考慮する

軒の長さを決める際は、建ぺい率とのバランスを意識することが重要です。建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積の割合を指し、法律で定められた制限があります。建ぺい率の上限をオーバーすると違法建築となってしまうので注意しましょう。

玄関の屋根は、基本的に建物面積には含まれません。しかし軒や庇の長さが外壁の中心線から1メートルを超える場合、先端の位置から1メートルを引いた部分は建築面積に含まれてしまいます。

つまり軒が1メートルを超えると建築面積を圧迫することになり、建物自体の面積を減らさなければならなくなるので注意が必要です。建築面積が狭い場合は、面積を有効活用するためにも軒の長さを1メートル以下に抑えると良いでしょう。

特に都市部の住宅地では建ぺい率が厳しく設定されている場合が多いため、事前に確認したうえで慎重に計画してください。

建築コストがかかる

軒の設置や延長には、もちろん建築コストがかかります。軒が長くなればなるほど全体の建築費用が高くなるため、予算と乖離がないか確認しておきましょう。

特に、高品質な材料を使用したりデザイン性の高い軒を作ったりする場合は、さらにコストがかかることが予想されます。

なお、軒の設置・リフォーム工事には最低でも5日程度の工期が必要です。施工期間が長引くこともあるため、見積もりと同時にリフォーム業者に問い合わせるようにしてください。

外観のデザインに影響が出る

軒の長さやデザインは建物全体の外観に大きな影響を与えます。軒が長すぎると、建物の外観が重く見える可能性があり、全体のバランスが崩れるため注意してください。

特にシンプルでモダンなデザインの建物では、軒が長すぎると凸凹が目立つ外観になってしまいます。軒の機能性で選ぶのも良いですが、デザインを決める際は「住宅の外観と調和がとれるか」を考慮するようにしましょう。

玄関の軒を長くするには、費用はいくらかかる?

軒を長くする費用

玄関の軒や庇が短くて不満に感じている場合は、リフォームで延長することもできます。軒や庇を長くするのにかか玄関の軒が短くて不満に感じている場合は、リフォームで長くすることもできます。軒の延長にかかる費用相場は、総額で約15万円〜30万円が目安です。以下に内訳をまとめたので、確認してみましょう。

(内訳)

軒や庇本体約12~25万円
工事費用約3~8万円

費用は、軒のサイズ・材質・機能・デザインなどによって異なり、リフォーム業者によっては値引きをしてくれることもあります。費用を安く抑えたい場合は、さまざまな業者に見積もりを依頼して料金やサービスなどを比較検討するのがおすすめです。

DIYで軒を取り付けるというアイデアもありますが、万が一落下すると非常に危険なため控えるのが無難です。

玄関に軒や庇を設置するには、台風や雪に対する強度計算などの専門知識が欠かせません。

また外壁に穴を開ける必要もあり、失敗すると傷により外観を損なってしまう恐れもあります。DIYだと金額を抑えられますが、事故や傷を防ぐためにも、軒の取り付けや延長は専門業者に依頼することが大切です。

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玄関に軒を設置できない場合の対処法

ポイント

建ぺい率や外観のデザインとの関係で軒を設置できない場合は、以下の方法を試してみてはいかがでしょうか。

  • 外壁タイルを貼る
  • 庇を活用する

特に庇は軒と同じような役割を担ってくれるため使い勝手が良いでしょう。比較的簡単に設置できるため、軒に比べて施工費用が安いのも魅力です。

それぞれ詳しく解説します。

外壁タイルを貼る

外壁タイル

玄関に軒を設置できない場合は、外壁タイルを貼るのが有効です。外壁タイルを張れば、雨風から建物を守ることができます。耐久性が高いため、外壁の劣化防止にも役立つでしょう。

また、外壁タイルはデザイン性にも優れており、多様な色や模様から選べるのもポイントです。外壁タイルを選ぶ際は、水垢汚れや傷が目立ちにくい暗めの色を選ぶのをおすすめします。

庇を活用する

庇

軒の代用としては、庇を活用するのが最もおすすめです。軒と同様に、雨風や日差しから玄関を守ることができ、室内に雨や雪が侵入するのを防げます。

庇は玄関に直接取り付けられるため、軒のように大規模な工事が必要ありません。施工費用が安く済み、工期も短いケースが多いため、軒に比べてコスパに優れていると言えます。

ただし、庇も建ぺい率の対象となるので、長さは1メートル以内に抑えると良いでしょう。

庇の種類

庇には大きく「陸庇」「腕木庇」の2種類があり、それぞれ特徴やデザインが異なります。どちらの庇を設置するかは、住宅全体のバランスを考慮して決めるのがおすすめです。

  • 陸庇(ろくひさし):屋根のような形状で最も主流な庇。下部分は水平になっており、上部分は水はけを良くするために傾斜が付いている
  • 腕木庇(うできひさし):和風建築や寺社仏閣などで見られる庇。柱から突き出した腕木によって支えられる

一般的な住宅では陸庇が採用されるケースがほとんどです。腕木庇は外観デザインの一部としても機能し、昔ながらの和風住宅によくマッチします。

庇の素材

庇の素材は、それぞれの機能性や希望のデザインに応じて選ぶのがおすすめです。代表的な素材としては「アルミニウム」「木材」「ガルバリウム」「ポリカーボネート」「ガラス」などがあります。

素材特徴・デザイン
アルミニウム・軽量で耐久性が高い
・サビにくい
・庇やサッシなど住宅のさまざまな場所に使用される
木材・自然の温もりを感じられる
・耐久性向上のため、金属を組み合わせているのが一般的
・水に強い素材を使っていれば長期間でも使用できる
ガルバリウム・サビや熱に強い
・メタリックな見た目
・モダンな印象の住宅におすすめ
ポリカーボネート・透明性が高く、軽量で強度も十分
・日差しを遮りながらも明るさを確保できる
・紫外線カット効果も期待できる
ガラス・透明なので外観デザインに影響しない
・耐水性が高い
・取り付け部分には金属が使用されることが多い

最も主流なのはアルミニウムですが、やわらかい印象の木材や機能性が高いポリカーボネートなども人気があります。住宅の雰囲気に合わせて選んでみると良いでしょう。

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業者

玄関の軒が短いと、外に出た際に雨に濡れやすいだけでなく、雨漏りや外壁の劣化などさまざまなデメリットがあります。

軒を適切な長さにすれば雨や日差しを遮れるほか、外壁や玄関の床もきれいに保ちやすく、暮らしがより快適になるでしょう。玄関の軒を長くしたいなら、リフォームのプロに相談して、いろいろな提案を受けてみるのがおすすめです。

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監修したプロからのコメント

庇や軒は、南面が重要です。何故なら、東面、西面に当たる太陽の角度は低く、庇等の遮蔽効果が低くなるからです。また、軒裏に換気口を設けることで、熱せられた暑い空気を外へ逃がすことができるので、断熱効果も期待できます。

軒の長さは一般的には90㎝かもしれませんが、厳密には地域や立地条件によって違います。例えば、北海道と沖縄では日射角度は違いますし、立地条件によっても太陽光の入り方は変わります。軒の出の最適な長さを決めるには、太陽光のシミュレーションをして、計算した上で決めるといいでしょう。また、合わせて風向きも計算できますので、通風計画もするとよりいいと思います。

DIYではビス穴などの処理が不十分で、内部に水分が侵入する恐れもあります。構造部分を触る工事は、専門家に任せるのが良いでしょう。

この記事を監修したプロ
六條 好聡 さん

株式会社六條工務店

木造建築士、ハウスインスペクター(既存住宅状況調査技術者)の資格を持つ。建築士の視点から、費用面、構造面、施工面で、最適な方法をアドバイスするスタイルには定評あり。最新の建築技術なども取り入れており、木造住宅についての知識も豊富なので、お困りごとの相談はお任せ。顧客からの信頼も厚い、ゼヒトモの人気プロ。

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