屋根の瓦がずれたまま放置しておくと危険です。瓦のずれを発見した場合は、修理を依頼するなど速やかに対処することをおすすめします。
この記事では修理を検討している方やずれを発見してしまった方に向けて、瓦がずれる原因や修理の種類、直す費用を抑える方法を解説します。
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瓦がずれる原因とは
瓦がずれてしまう原因は主に以下の3つが考えられます。原因には、経年劣化によるもの・環境の変化によるものがあります。
- 瓦が老朽化して、屋根に固定する力が弱くなってしまった
- 瓦の下に敷かれた土が湿気を吸って崩れてしまった
- 台風や強風などによって、強い力がかかってしまった
特に老朽化が進んでいる建物の場合は、定期的に屋根の状況を確認しましょう。また地震や台風などのあとにも、屋根の状況を確認することで早期発見につながり、被害を最小限に抑えることができます。
老朽化
瓦がずれる原因として最も一般的なのが、老朽化です。長年風雨にさらされることで、瓦そのものが劣化し、割れたり、表面が剥がれたりします。
また、瓦を固定する釘や鎹(かすがい)も錆びてしまい、保持力が弱まることで、瓦がずれやすくなります。特に、瓦の下に敷かれている葺き土は、雨水によって流失したり、乾燥してひび割れたりすることで、瓦を支える力が弱まり、ずれの原因となります。
さらに、瓦の下地となる野地板やルーフィングも、経年劣化によって腐朽し、瓦の固定力を低下させることがあります。
土の崩れ
瓦を固定するために使われる葺き土は、時間の経過とともに乾燥したり、雨水で流失したりして、その保持力が弱まります。特に、瓦の下の部分に土が溜まりやすい箇所では、土が崩れて瓦が不安定になり、ずれが発生しやすくなります。
また、地震や台風などの自然災害によって、土が大きく崩れ、瓦が大量にずれることもあります。
自身や強風
地震や台風などの自然災害は、瓦がずれる大きな原因の一つです。地震による揺れや、台風による強風は、瓦に大きな力を加え、固定されている瓦を剥がしたり、ずれたりさせます。
特に、古い家屋や施工が不十分な屋根は地震や強風に対して脆弱であり、被害を受けやすい傾向にあります。
瓦のずれの放置が危険な理由
瓦のずれを発見した場合には、そのまま放置せずに早めに直す必要性があります。
美観を損ねるだけではなく、雨漏りなど、他の部分にも悪影響を及ぼします。また、瓦は1枚1枚が重なり合う構造のため、強風や台風で屋根全体が破損する事態にもなりかねません。
修理代を節約しようとした結果、後々より多くの費用がかかる事態も考えられます。瓦のずれを発見したら、早めに修理業者に依頼をしましょう。
ずれた瓦の修理方法
ずれた瓦を修理する場合には、瓦の状態に応じて適切な方法を選択する必要があります。
正しい選択をするためには、瓦屋根修理の基本情報を押さえておくと良いでしょう。ここでは、主な修理方法をご紹介します。
1.瓦の取り付け直し
瓦が台風や強風などによって外れてしまっただけであれば、瓦を元にあった位置に取り付け直すことで修理できます。ただし、瓦がずれた場所にあったルーフィングと呼ばれる防水材が劣化してしまっていた場合には、雨漏りの原因になることがあるため、注意しなければなりません。
事前にルーフィングの点検をしてから、 瓦の取り付け直しでの修繕作業に取りかかるようにしましょう。
2.新しい瓦に交換
瓦が経年劣化によってひび割れした場合や強風によって欠けた場合には、新しい瓦に交換するのがおすすめです。割れた箇所から雨水が侵入し、雨漏りの原因になる可能があります。
瓦の交換を1枚単位で対応してくれる業者もいるので、傷んだ瓦の枚数だけでの交換が可能です。瓦の取り付け直しと同様に、事前にルーフィングの点検をしてもらいましょう。
3.瓦の部分補修
瓦ずれで瓦の下のルーフィングなども劣化している場合には、下地も含めた部分補修を行う必要があります。補修しなければならない場所の瓦とその下の防水材を同時に撤去し、新しい瓦と防水材に交換します。
瓦ずれしている場所が広範囲にわたっている場合には、葺き直しや葺き替えで対応したほうがいいケースもあります。補修方法の知識があまりない場合は業者に相談して、部分補修で対応可能なのかどうかを判断すると良いでしょう。
4.屋根の葺き直し・葺き替え
瓦ずれが激しい場合や瓦の劣化が進んでいる場合には、瓦屋根全体の葺き直し・葺き替え工事をすることをおすすめします。葺き直しははがした瓦を再利用する方法、葺き替えは新しい瓦に交換する方法です。瓦の状態によって、どちらを選択するかを判断します。
葺き替えを選択した場合には、最新の瓦に変更する、もしくは高機能な別の屋根材に変更することも検討するといいでしょう。
ずれた瓦はDIYで修理できる?
瓦ずれが一部分である場合には、DIYで修理することもできます。その際の修理手順、は以下のとおりです。
- 屋根にのぼって瓦の状態を確認する
- 足場を確認する(瓦の谷の部分を縦に歩くのが基本)
- 瓦ハンマーを使って、ずれた瓦の位置を調節する
瓦にひびが入っている場合には、防水テープを貼る、パテやコーキングで補強するという修理方法もありますが、あくまでも一時的な応急処置であることを認識しておいてください。
また、高所での作業には危険が伴います。安全にそして確実に修理したいならば、メンテナンスも対応している業者に依頼するのがおすすめです。
瓦のずれを修理するときの費用相場
瓦ずれの修理を業者に頼む場合の費用は、修繕方法によって異なります。費用の相場は以下の通りです。
修理方法 | 施工単価 | 費用相場 |
瓦の取り付け直し | 5,000~1万円 | 約5,000円 |
瓦の交換 | 7,000~1万5,000円 | 約7,000円 |
瓦の部分補修 | 5,000円~1万円 | 約1万~30万円 |
屋根の葺き直し | 8,000~1万円 | 約48万 (※屋根面積60㎡の場合) |
屋根の葺き替え | 1万6,000円~1万8,000円 | 約96万円 (※屋根面積60㎡の場合) |
瓦の部分補修の場合は、修理する範囲の広さに比例して、費用がかかります。また、屋根の葺き替えで高機能な他の屋根パーツに変更する場合には、さらに費用がかかるので注意が必要です。
修理費用を抑えるためのポイント
瓦屋根の修理には、損傷の程度に応じて一定の費用がかかります。しかし、ちょっとした手間をかけることや工夫することによって、費用を抑えられる場合があります。費用を抑えるための主なポイントは以下の3つです。
- 相見積もりをとる
- 火災保険を利用する
- 自宅近くの業者を選ぶ
相見積もりをとる
瓦屋根の修理の費用はある程度の基準はあるものの、業者によって金額の幅が出てきます。そのため複数の業者から、見積もりをとるようにしましょう。
見積もりは同じ作業内容に揃えること、細かな明細も提示してもらうことがポイントです。複数の見積もりを比較することで相場感を理解でき、適正料金の業者に施行依頼できるようになります。
火災保険を利用する
瓦ずれの原因が台風や強風などの自然災害である場合には、火災保険を適用できる可能性があります。火災保険には、風災補償・落雷補償・水災補償などあり、それぞれの補償内容は被害状況に応じて異なります。
自然災害による被害から3年以内で修理費用が20万円以上である場合は、経年劣化を除き、保険金が支払われる可能性が高いです。
まずは加入している火災保険の補償内容・対象の確認をするようにしましょう。
自宅近くの業者を選ぶ
複数の業者の見積もり内容がおおよそ同じである場合は、自宅から近い業者を選ぶのがおすすめです。業者の移動距離が長くなると、ガソリン代・高速代などを諸経費として請求される可能性があります。その結果、工事単価が上がることにつながってきます。
条件面での違いがさほどないのであれば、家の近くの業者を選ぶことをおすすめします。
「瓦がずれている」と突然訪問してくる業者に注意
「瓦がずれていますよ」と、突然家に訪問してくる業者は、残念ながら悪質な業者である可能性があるため、要注意です。
このような業者は、例え瓦がずれていなくても「ずれている」と嘘を言って不安をあおり、高額な工事契約を迫るという手口を使っていることがあるのです。
業者を名乗るものが突然訪問してきた場合は、お断りをして念のため他の信頼できる業者に点検を依頼しましょう。
優良業者の選び方
瓦屋根の工事をする業者の中には、優良とはいえない業者も存在します。適正金額を大幅に超える料金を請求するケースも、後を絶ちません。悪徳業者を選んでしまわないように、注意する必要があります。
優良業者の選び方の主なポイントは以下の3つです。
- 屋根修理の実績・口コミが豊富
- 見積書・現地調査が丁寧
- 専門の資格を所有
屋根修理の実績・口コミが豊富
業者を選ぶ場合、屋根修理の実績や口コミが豊富なところを選ぶといいでしょう。実績は1つの目安となりますし、口コミは依頼する側の視点で書かれているため、参考になる部分があります。
また、リフォーム全般を手掛けている業者よりも、屋根修理専門の業者に依頼することをおすすめします。専門業者の方が、瓦の劣化の見極めや修理の技術が高く、最適な修理方法の提案・施工を期待できます。
見積書・現地調査が丁寧
見積書と現地調査が丁寧である業者を選ぶことも、重要なポイントです。業者は現場の状況を確認したうえで、見積り作成をします。この確認作業と状況の説明が丁寧ならば、信頼できる業者である可能性が高くなります。
わかりやすい言葉で細部にわたって説明してくれるかどうかも、判断材料の1つです。見積書や現地調査が、丁寧ではなく不明瞭な業者は避けるようにしてください。
専門の資格を所有
業者を選ぶ場合には、専門の資格を所有しているかどうかを確認することも必要です。屋根に関する資格の主なものは以下の3つが挙げられます。
- かわらぶき技能士
- 瓦屋根工事技士
- 雨漏り診断士
これらの資格を所有する業者ならば、技術力・知識・経験があるという裏付けになるので、瓦屋根工事を安心して任せられるでしょう。
ゼヒトモで屋根修理のプロを探す
瓦ずれは経年劣化や台風・強風などの自然災害によって起こってしまいます。瓦ずれを放置しておくと、雨漏りや屋根の損傷の原因になるため、早めに修理する必要があります。
- 瓦ずれの修理したい
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監修したプロのコメント
屋根の修理は範囲が広くなるほど、足場や材料費がかさみます。
雨漏りしている場合は広範囲の修理が必要な場合もありますが、瓦は一枚単位で補修することができます。
部分的に直したり、正面だけ直したり、自分に合った方法を選びましょう。
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