家の解体工事を行う際、費用を抑える方法として補助金制度の利用があげられます。「空き家になっている」「老朽化が進んでいる」などの要件に該当すれば、自治体の補助金を申請できる場合があるため、条件や注意点を事前に確認しておくことが重要です。
本記事では、家の解体費用を助成する補助金制度の詳細について解説します。解体工事に補助金を活用したいと検討している方は、ぜひご覧ください。
家の解体にかかる費用相場
家の解体費用は、坪数や住宅の構造によって異なります。工事にかかる料金の目安は、以下のとおりです。
20坪 | 30坪 | 40坪 | |
木造 | 約60〜100万円 | 約90〜150万円 | 約60〜100万円 |
鉄骨造 | 約100〜140万円 | 約150〜210万円 | 約200〜280万円 |
鉄筋コンクリート造 | 約120〜160万円 | 約180〜240万円 | 約240〜320万円 |
立地条件や周辺の環境など個々の条件によっても、料金は変動します。地域や依頼する解体業者によっても費用が異なるため注意が必要です。
また、家の中に家具が残っていたり、庭に樹木があったりすると費用は高くなる傾向にあります。予算を少しでも抑えたいときは、家の中の家具をできるだけ自分で撤去し、庭の木も処分しておくとよいでしょう。
家の解体費用にもらえる補助金って?
家の解体に対し、補助金を支給する制度を設けている地方自治体もあります。自治体が補助金を支給する目的は、自治体ごとにさまざまです。
主に、以下のような目的があげられます。
- 街の景観を保つ
- 放火や犯罪の温床になる問題の対策をする<
- 放置され老朽化した建物が倒壊する危険を減らす
- 建築物が密集している地域で火災・地震の被害を抑える
補助金の金額は解体費用の1/5から1/2程度で、上限が設けられています。補助金は申請してから審査が行われますが、調査の結果によっては補助金を受け取れない可能性もある点は把握しておきましょう。
補助金制度を設けていない自治体もあるため、まずは建物のある地域の自治体に補助制度があるかどうかの確認が必要です。
また、自治体の補助金は年度末で終了し、同じ内容で継続するか、要件や支給金額が変わるかは自治体によって異なります。活用したいときは、最新の情報を自治体のWebサイトなどで必ず確認するようにしてください。
補助金の種類
解体費用で利用できる補助金制度はさまざまな種類があり、自治体によって異なります。
自治体が行っている主な解体費用の補助は、以下のとおりです。
- 老朽危険家屋解体工事補助金
- 危険廃屋解体撤去補助金
- 老朽家屋等解体工事助成
- 空き家解体補助金
- 解体撤去費助成
このうち、代表的な補助金を4つご紹介します。
老朽危険家屋解体工事補助金
老朽危険家屋解体工事補助金とは、長期にわたり放置され、老朽化等で倒壊の恐れがある家屋の解体を対象とする補助金です。補助金を受けるには事前に家屋の調査依頼を行い、要件を満たしていると判断された場合に申請が可能となります。
補助金の支給額は自治体によりますが、解体工事費用の1/5〜1/2程度が一般的です。
〈老朽危険家屋解体工事補助金を支給する自治体の一例〉
- 大阪府東大阪市:最大で50~100万円
- 兵庫県神戸市:解体工事に要した費用の3分の1以内かつ上限60万円(1件あたり)
危険廃屋解体撤去補助金
危険廃屋解体撤去補助金とは、危険があると判断された家屋を対象にした補助金制度です。地震発生時の倒壊などによる被害を防止するため、耐震基準を満たさない木造住宅を解体する費用の一部が支給されます。
まず木造住宅の耐震診断を受け、耐震性が低いと判断された場合に申請が可能です。自治体によっては解体する前年度までに耐震診断を受けるという要件があるため、早めに診断を受けるようにしましょう。
〈危険廃屋解体撤去補助金を支給する自治体の一例〉
- 愛知県名古屋市:危険度に応じて解体工事費の3分の1(最大40万円)もしくは3分の2(最大80万円)
- 鹿児島県南さつま市:解体工事費の3分の1(上限30万円)
空き家解体補助金
空き家解体補助金とは、危険な空き家を解体して敷地の有効活用を進めるため、工事費用を支給する補助金制度です。自治体により、長期間使用されていない空き家と認定された家屋を対象に支給されます。
解体する空き家の所有者であるなど、いくつかの要件を満たした場合に申請が可能です。
〈空き家解体補助金を支給する自治体の一例〉
- 埼玉県秩父市:解体工事費の3分の1、市内業者の場合上限30万円・市外業者の場合上限20万円
- 岩手県北上市:解体工事費の3分の2の額(上限70万円)
建て替え費補助金
建て替え費補助金とは、建物を解体し、一定の基準を満たす新しい住宅を建築する場合の補助金制度です。耐震診断で「倒壊する可能性が高い」と判断された建物・空き家が対象で、解体費用と建て替え費用の一部が支給されます。
自治体によって要件が異なるため、事前に確認したうえで申請しなければなりません。
〈建て替え費補助金を支給する自治体の一例〉
- 大阪府大阪市:地区により設計・解体等に要する費用の1/2以内もしくは2/3以内
- 福岡県福岡市:1戸につき20万円(一定の要件を満たす場合は30万円)
補助金がもらえる条件
補助金を受け取る条件は自治体・補助金制度ごとにさまざまですが、解体する住宅の状態や補助を受ける申請者の条件には共通した内容があります。
支給の決定を受けるために必要とされる一般的な条件について、詳しくみていきましょう。
空き家であること
補助金を受けるうえでの最低条件は、「申請者が所有する空き家であること」です。空き家を放置すると倒壊の恐れなどさまざまなリスクがあり、空き家をなくすことが自治体の大きな課題となっています。
そのため、長年居住に利用されていない空き家であれば、所有者が申請できる可能性があるでしょう。ただし、空き家といっても、どのような状態の家屋を空き家とみなすかは自治体により異なります。特に、居住が困難で周囲に悪影響を及ぼす危険性のある「特定空き家」に認定された場合は、条件に該当する可能性が高いといえるでしょう。
老朽破損レベルが基準を超えている
建築物の老朽破損のレベルが一定の基準を超える場合には、補助金の対象になります。単に空き家であるだけでは補助金の対象にならないこともありますが、老朽破損のレベルに達している場合は該当する可能性が高まります。
老朽破損レベルの判断基準は、自治体によりさまざまです。耐震性の問題として考える自治体もあり、1981年5月31年以前に旧耐震基準で建てられた建築物は対象になる可能性があります。現在の耐震基準を満たさない場合、地震の際に倒壊の危険が高いと判断できるためです。
ほかにも、1981年以前を目安に、築年数を申請の条件にしている自治体もあります。
税金の滞納がないか
建物だけでなく、申請者に関しても一定の要件があります。まず、税金を滞納している場合は補助金の申請ができません。補助金の財源の多くは国民全体から徴収した税金などで賄われているため、税金の滞納がある場合は申請しても支給対象にならないと考えられます。
納税は国民の義務であり、義務を果たしていることが申請の大前提です。申請しても調査によって税金の滞納があるなど問題が発覚すれば、申請は通らない可能性が高いといえるでしょう。
所得の制限
自治体によっては、補助金の申請に一定の所得制限を設けているケースもあります。解体費用の支出が難しい低所得者を支援することを重視し、前年の所得が十分な場合は支援を必要としないという考え方です。
基準は自治体によってさまざまですが、前年の所得が1,000万円以下を基準としている自治体が一般的。そのため、前年の所得が1,000万円を超える場合は、補助金を申請できない可能性があるでしょう。
補助金を利用するときの注意点
解体費用に補助金制度を利用する際は、いくつか注意したい点があります。それぞれ詳しく解説するので、申請前に必ず確認しておきましょう。
自治体によって補助金の制度や条件が異なる
補助金の種類は数多く、解体費用の補助金制度の内容も自治体によりさまざまです。また、解体費用の補助金制度自体がない自治体もあります。まず、家屋がある地域の自治体に利用したい補助金制度があるかを確認しましょう。
制度があっても支給内容や条件が異なるため、詳しい内容は市役所に問い合わせてください。
補助金には予算があり、制度があっても予算を超えた申請があった場合は募集が早々に締め切られてしまいます。そのため、補助金制度を利用したい場合は早めに確認して申請することが重要です。
解体工事の着工前に申請する
解体費用の補助金申請は、解体工事の前に行うのが原則です。事前に空き家の状態を調査してもらい、家屋が制度の条件に合う状態かどうかを判断してもらわなければなりません。
申請する前に着手してしまうと建物の状態を正確に審査できなくなり、自動的に補助金の給付対象から除外されます。申請しても受付してもらえないため、せっかく補助金が受け取れる条件だった場合にも受け取れないことになります。必ず、解体工事を実施する前に申請するようにしてください。
補助金の審査に時間がかかる
補助金制度の審査には、一定の時間がかかることも把握しておきましょう。自治体では申請書類を確認したあと、職員が実際に現地に出向いて家屋の状況を調査します。その後、内容を精査して申請を認可するという流れです。
一般的に、申請書の提出から認可まで数週間はかかり、申請件数が多い場合は認可までに最大1ヶ月以上かかることもあります。
また、補助金を受け取れるのは、工事完了後であることにも注意してください。補助金を受け取るためには、工事完了後に解体証明書や費用領収書を提出する必要があるためです。そのため、解体費用はいったん自分で全額を負担しなければなりません。
申請手続きは自分で行う
補助金の申請手続きは、できるだけ自分で行うことも大切です。解体工事を依頼する業者が代行してくれることもありますが、その場合は手数料を徴収されます。受け取れる補助金の総額が減ってしまい、申請するメリットが少なくなってしまうでしょう。
補助金の申請手続きは難しいものではなく、市役所に相談すればアドバイスしてくれることもあるため、できるだけ自分で申請するのがおすすめです。ただし、補助金の金額が減ってでも申請の手間を省きたいというのであれば、代行を依頼することに問題ありません。
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今回の記事では、家の解体にかかる費用相場や利用できる補助金制度について解説しました。補助金を利用する場合は、さまざまな条件をクリアする必要があります。審査に時間がかかる場合もあるので、余裕をもって申請するようにしましょう。
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