自宅のベランダやバルコニーなどに付着した鳩のフンを見つけたら、すぐに掃除することが重要です。鳩のフンには細菌やウイルスなどの病原菌が多く含まれており、放置すると健康被害を招くおそれがあります。
では、自分で鳩のフンを掃除する場合、どのような点に注意したらいいのでしょうか。
この記事では、鳩のフンを自分で掃除する際の手順や注意点などを解説します。
鳩のフン掃除に必要な道具
まずは、鳩のフン掃除に使用する道具から確認していきましょう。
- 使い捨てマスク
- 使い捨てゴム手袋
- 新聞紙または古い雑巾
- ビニール袋
- 水やぬるま湯が入ったバケツ
- 消毒用エタノール
- 次亜塩素酸ナトリウム配合の消毒液
- たわしやデッキブラシ
- 保護用メガネ
新聞紙や雑巾がない場合、キッチンペーパーでも代用可能です。
次亜塩素酸ナトリウムは、ハイターやカビ取り剤など身近な家庭用品にも配合されています。消毒液のつくり方や使用する際の注意点は、のちほど詳しく説明します。
実際に掃除をおこなうときは、長袖と長ズボンの着用がおすすめです。病原菌や次亜塩素酸ナトリウム溶液が、皮膚に触れるのを防ぐことができます。
鳩のフンを掃除する際の手順
鳩のフンを掃除する際は、以下の流れに沿って作業を進めてください。
1. 水またはぬるま湯を準備
2. フンに新聞紙をかぶせる
3. エタノールスプレーで消毒する
4. 掃除で使った道具を捨てる
順番に詳しく説明していきます。
1. 水またはぬるま湯を準備
鳩のフンをふやかす目的で、水またはぬるま湯を使用します。鳩のフンは乾燥しやすく、固まった状態だときれいにフンを拭き取ることができません。水よりもぬるま湯を使うほうが、フンの掃除がスムーズにおこなえます。
2. フンに新聞紙をかぶせる
フンがやわらかくなったら、新聞紙や古い布を使ってフンを拭き取り、ビニール袋へ入れます。フンを拭き取ったあとは、汚れていた箇所を雑巾で拭き上げます。
汚れが広範囲に広がっていたり、フンがこびりついていたりする場合は、デッキブラシやたわしを使うとより掃除がスムーズです。デッキブラシを使う際は消毒が必須ですが、たわしであればそのままビニール袋へ入れてそのまま処分することも可能です。
3. エタノールスプレーで消毒する
鳩のフンをきれいに拭き取ったあとは、エタノールスプレーで消毒します。フンに含まれているウイルスなどの病原菌を除菌する効果が期待できます。
汚れがこびりついている場合は、次亜塩素酸ナトリウムを使うのがおすすめです。
次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ性で、酸性の鳩のフンを落とす際に有効とされています。ただし、人体に触れると皮膚炎や失明を招く危険性があるため取り扱いには注意が必要です。
使用する場合は、以下の点に必ず気をつけましょう。
- 水で0.05パーセントの濃度に薄める
- 必ず手袋を着用する
- 他の薬品と混ぜない
- 液体はタオルやペーパータオルを使って拭く
- 目や指に付着した場合は水で洗い流す
- 使用後は石鹸で手を洗う
次亜塩素酸ナトリウムは、キッチンハイターなどの塩素系漂白剤に配合されています。
次亜塩素酸ナトリウム液は、塩素系漂白剤を濃度0.05%に水で薄めてつくることができます。商品によって濃度が異なるため、必ずラベルに記載された希釈目安を確認しましょう。
参考:厚生労働省「0.05% 以上の次亜塩素酸ナトリウム液の作り方」
4. 掃除で使った道具を捨てる
ゴム手袋やマスク、たわしなど掃除に使用した道具は、まとめてビニール袋へ入れて処分しましょう。フンに付着した菌は飛散する可能性があるため、道具の使い回しは厳禁です。
また、掃除の際に着用した衣類は、洗濯機に入れる前に予洗いをすることで、病原菌が他の洋服に付着するのを防げます。長靴などを履いた場合も、忘れずに消毒と水洗いを徹底しましょう。
鳩のフンを掃除する際の注意点
ここでは、鳩のフンを掃除するときに気をつけるべきポイントをまとめています。
必ずゴム手袋やマスクを着用する
鳩のフンを掃除するときは、必ずゴム手袋やマスクを着用してください。
鳩のフンには細菌やウイルスなどの病原菌が多く含んでおり、素手で触ると感染する可能性があります。掃除中に乾燥したフンが舞い上がるおそれもあるため、マスクを着用することで体内に病原菌が侵入するのを防ぐことができます。
ほうきや掃除機を使わない
鳩のフンをほうきや掃除機で処理するのは、絶対に避けてください。
フンをほうきで掃くと、病原菌など人体に有害な細菌が空気中に蔓延してしまいます。掃除機を使った場合もほうきと同様、菌が空中に舞ってしまい、掃除をしてもかえって逆効果です。
鳩のフンを取り除く際は、拭き掃除でおこなうようにしましょう。
風が弱い日に掃除する
鳩のフン掃除は、風が弱い日におこなうのが基本です。
風が強い日に掃除をしてしまうと、病原菌が空中に舞い上がり、洗濯物や家具に付着する可能性があります。健康被害を避けるためにも、風が穏やかな日の掃除を心がけましょう。
体調を考慮する
体調不良により体力が低下しているタイミングで掃除をすると、感染症や食中毒を引き起こす可能性があります。体に疲労を感じるときも、免疫力が落ちて病気の発症リスクが高まっている状態と言えます。
長期的に体調がすぐれない状態が続く場合は、ハウスクリーニングや清掃業者に依頼するのもひとつの手段です。
また、小さい子どもがいる家庭では、掃除をおこなう最中も注意が必要です。お子さんが手で鳩のフンや掃除に使う薬剤に触れたりしないように細心の注意を払いましょう。
鳩のフン被害を防ぐ予防策は?
事前に鳩のフンを予防する対策もあります。
ここでは、具体的な予防策を3つご紹介します。
忌避剤を塗布する
まず1つ目は、鳥や害虫などが嫌いな味や臭いを発する薬剤(忌避剤)を使用して、庭やベランダに近寄らせないようにする方法です。
忌避剤には鳩専用の商品もあり、固体や粉末、ジェル状など種類もさまざまです。
特に、ハードジェルタイプの忌避剤は、鳩にベタベタとした感触がまとわりつき、強烈な不快感を与える効果があります。雨風にも強く、効果が持続しやすいのもポイントです。
また、カビキラーやオキシクリーンなど塩素系漂白剤も、鳩よけ対策になります。鳩が苦手とする臭いのひとつに漂白剤があり、掃除で活用する以外に忌避剤として使用するのもおすすめです。
ただし、金属の部分に漂白剤を撒くと腐食やサビの原因になります。ベランダの手すりや排水口のフタには、エタノールを使うようにしましょう。
剣山を設置する
鳩よけ用の剣山(スパイク)は、複数の針が付いたマットやシート状の商品が多く販売されています。ベランダの手すりやエアコンの室外機に剣山を置くことで、鳩に不快感を与える効果があります。
剣山は、針の長さが15cm程度のものを選ぶのがおすすめです。針が短めの商品だと鳩の体に刺さらず、十分な鳩よけ効果が期待できません。
剣山を選ぶ際は、針が硬くて密度の高い商品や、耐久性に優れた金属製のものを選ぶとより効果的です。
防鳥ネットを設置する
3つの予防策の中でも特に効果的なのが、防鳥ネットを設置する方法です。
ベランダやバルコニーを隙間なく覆うと、鳩を含む鳥の侵入を防げます。防鳥ネットはホームセンターやオンラインサイトでも手軽に購入できます。
ただし、マンションやアパートなど集合住宅にお住まいの場合は、事前に管理会社へ相談しておくことをおすすめします。建物によっては美観の観点から、管理規約にネットの設置を制限しているケースもあるため注意が必要です。
また、ベランダやバルコニーへのネット設置は、非常に危険です。転落や怪我のリスクを回避するためにも、豊富な知識を持つ害虫・害鳥駆除専門の業者に相談することをおすすめします。
鳩のフンを掃除せずに放置した場合のリスク
ここでは、鳩のフンを放置することで生じるリスクを解説していきます。
感染症や食中毒にかかる可能性がある
鳩の体内には病原菌や寄生虫が多数存在しています。
先ほども説明したとおり、鳩のフンはウイルスなどの病原菌を多く含むため、乾燥した状態で放置すると、空気中に蔓延した病原菌が体内に侵入して健康被害をもたらす可能性があります。
鳩のフンが原因で発症する主な病気には、以下のようなものが挙げられます。
- 鳥インフルエンザ
- オウム病
- トキソプラズマ症
- クリプトコックス症
- ニューカッスル病
- ヒストプラズマ病
- サルモネラ感染症
特に注意が必要なのは、オウム病とトキソプラズマ症です。
オウム病は、鳩が持つウイルス感染が原因で発症し、頭痛や倦怠感、筋肉痛などの症状があらわれます。小さな子どもだけでなく、大人にも感染しやすい病気と言われています。
トキソプラズマ症は寄生虫による感染症の一種で、全人類の1/3に感染が蔓延しているとも言われている病気です。感染すると、発熱や頭痛、吐き気など、インフルエンザと似た症状を引き起こします。
また、妊婦が感染した場合は、流産の原因になることもあります。
悪臭が発生する
鳩のフンは他の鳥よりも量が多く、放置すると悪臭が漂います。特に、湿度が高い梅雨から夏にかけての時期は臭いが強くなる傾向があります。
また、フンの放置が原因で近隣トラブルに発展してしまうケースもあるため注意しましょう。
害虫が増える
鳩のフンをエサとするゴキブリやダニなどの害虫を増殖させる可能性もあります。
ゴキブリが繁殖した場合、食中毒や気管支喘息、感染症などの健康被害に加え、室内に雑菌を持ち込んだり、電化製品や延長ケーブルが故障させたりする原因にもなります。
また、ダニが室内に侵入・増殖すると、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎、気管支喘息などを発症することも考えられるでしょう。
金属やコンクリートが腐食する
鳩のフンは酸性なので、金属や塗装、コンクリートなどの上に長期間、放置した場合は腐食させてしまうリスクがあります。劣化を早める原因になるため、鳩のフンを発見したら放置せず速やかに取り除きましょう。
鳩のフン掃除に関するよくある質問
鳩がフンを落とす理由は?
鳩が自宅のベランダや車にフンを落とすのには、主に2つの理由が考えられます。
1つ目は、マーキングです。鳩を含む鳥は縄張り意識が強く、自分のエリアに浸入してきた外敵を威嚇するためにフンを落とすと言われています。車のサイドミラーに映った自分の姿を敵と錯覚し、フンを落とすケースも珍しくありません。
そして、鳥がバルコニーやベランダを安全な場所と認識していることも理由のひとつと言えます。鳥は帰巣本能が強く、安心して過ごせる場所にフンを落とす傾向があるそうです。
自宅のバルコニーやベランダにフンが多数落ちている場合は、巣作りをする場所の候補になっている可能性が高く、早急に手を打つ必要があるでしょう。
鳩のフン掃除を清掃業者に依頼した場合、費用はいくらかかる?
清掃面積や依頼内容、フンの量などによって、費用は変わります。
例えば、鳩のフン掃除だけを清掃業者に依頼した場合、清掃費用の相場は2〜3万円前後です。
一方、戸建て住宅にお住まいの方が、鳥の巣駆除〜防鳥ネットの設置までを依頼した場合、依頼費用は6〜10万円ほどかかります。
また、大量のフンを清掃する場合、産業廃棄物として処理するため、追加費用を支払わなければなりません。
清掃業者への依頼費用を見極めるためには、複数の清掃業者から見積を取得して比較検討しましょう。豊富な知識を持つ害虫・害鳥駆除の専門業者に相談するのもおすすめです。
ゼヒトモで清掃業者のプロを探す
今回は、鳩のフンを自分で掃除する際の手順や注意点などを解説しました。
鳩のフンは、健康被害を防ぐためにも定期的に掃除をすることが大切です。
中には、掃除の時間を十分に取れない方もいるでしょう。鳩のフンにお困りの方は、清掃業者に依頼するのもひとつの方法です。
専門業者とのマッチングサービスを提供しているゼヒトモでは、自分の希望条件を入力するだけで清掃業者のプロを素早く見つけることができます。複数の業者から見積もりを取って比較検討ができるのも魅力です。
害虫・害鳥駆除専門の業者であれば、鳩のフン掃除をはじめ、鳥の巣駆除や防鳥ネットの設置など自力で対応が難しい依頼も相談可能ですので、一度ゼヒトモの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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