日本の伝統芸術である生け花は、大人になってから始める趣味としても人気を集めています。「心が洗われる」「教養のひとつとして学びたい」という方が多いですが、どのように生け花教室を選べば良いかわからない場合もあるでしょう。
そこで本記事では、初心者向けの生け花教室・生け花スクールの選び方と東京都内のおすすめ教室を解説します。流派や稽古料金などについても触れているので、習い事として生け花を始めたい方はぜひ参考にしてください。
初心者向け!生け花(華道)教室・スクールの選び方
初心者が生け花教室を選ぶ際は「スクールのコース」「流派」「免状取得の可否」「稽古の料金」「体験レッスンの有無」といった5つのポイントに着目することが大切です。 それぞれ以下で確認していきましょう。
1. 生け花教室・生け花スクールのコースで選ぶ
まずは「自分がどんなスタイルで生け花を習いたいか」を考え、そのスタイルに合うコースがある生け花教室を選びましょう。具体的には「場所」「規模」「時間帯」「対象」「生け花のスタイル」という観点で教室を見るのがおすすめです。
場所 | ・教室 ・出張レッスン ・通信コース |
規模 | ・個別指導 ・少人数 ・大人数 |
時間帯 | ・平日/休日 ・昼間/夜間 ・フリータイム |
対象 | ・全ての方向け ・男性のみ ・子供のみ |
生け花のスタイル | ・伝統的な生け花 ・現代風の自由な生け花 |
このように、生け花教室によってスタイルが異なります。特に社会人の場合は、場所や時間帯といった「通いやすさ」に着目することが重要です。
また初心者の場合は、基本的な生け花の技術や知識を教えてもらえる教室が向いています。花材の選び方・切り方・水揚げの方法など生け花の基礎を丁寧に指導してもらえる教室なら、初心者でも安心して華道を楽しめるでしょう。
2. 生け花を習いたい華道の流派で選ぶ
本格的に生け花を極めたいという方は、流派にこだわるのがおすすめです。 流派ごとに生け花のスタイルが異なるため、自分好みの流派を選ぶと良いでしょう。 以下では、代表的な生け花の流派を7つ紹介します。
池坊
池坊は、室町時代に誕生した日本最古の流派です。日本における華道・生け花の元祖とも言われる流派で、他の流派と比べても圧倒的な会員数を誇っています。
池坊の生け花は「ありのままの草木に美しさを見出すこと」が特徴です。春になって芽生えた新芽や冬になって枯れてしまった枝など、そのままの自然の美しさを大切にしています。なお、池坊には以下3つの技法があり、それぞれスタイルが異なります。
- 立花:池坊の原点であり、多種多様な草木によってこの世の森羅万象を表現する
- 生花:1〜3種類の花材を使い、懸命に生きる草木を表現する
- 自由花:決まった型はなく、自由に花を生けることで幅広い表現ができる
伝統ある生け花から現代に即した生け花まで、さまざまなスタイルの生け花を学べるのが魅力です。日常生活にも取り入れやすい流派なので、初心者でも親しみやすいでしょう。
小原流
池坊や草月流と並ぶ三大流派のひとつである小原流は、小原雲心という華道家によって明治時代に確立されました。「盛花」と呼ばれる手法が特徴で、 近代いけばなの先駆けとして知られています。
「盛花」とは、浅く口が広がっている器に材料を盛るかのようにして花を展開させていくスタイルのことです。ひらかれた形が特徴的で、生け花に欠かせない水盤と剣山を取り入れたのも小原流が最初だと言われています。
芸術性が高いので、大胆な生け花にチャレンジしたい方におすすめの流派です。
草月流
草月流は、初代家元である勅使河原蒼風が形式ばった生け花に疑問を抱いたことで誕生しました。伝統的な生け花の形に捉われず、自由な表現で創作することを大切にしています。
また草月流は「いつでも、どこでも、だれにでも」を理念とし、花材以外のさまざまな素材を使って生けるのが特徴です。枝・葉・果実・根といった植物の部位のほか、石・木・金属など花材以外の素材も取り入れて作品を創作します。
モダンで個性的な作品を生み出せるので、生け花を通じて自己表現がしたいという方におすすめです。自宅はもちろん、舞台美術・ホテルロビー・パーティー会場などあらゆる空間に華を添えてくれるでしょう。
嵯峨御流
嵯峨御流は、自然を慈しむ嵯峨天皇にルーツを持つ流派です。嵯峨天皇ゆかりの大覚寺によって受け継がれてきた流派で、嵯峨御流には家元がありません。
嵯峨御流の生け花は、大きく「伝承花」「心粧華」の2種類に分けられ、以下のような違いがあります。
- 伝承花:嵯峨御流が生まれてから代々伝えられてきた式例を大事にした様式
- 心粧華:生け花を通して心にある趣を表現するという、伝承花を進展させた新感覚の様式
なお伝承花には4種類、心粧華には3種類のスタイルがあり、ひとつの流派でさまざまな表現方法を学べるのが魅力です。
雪舟流
雪舟流は、増野雪舟によって昭和6年に生み出された流派です。 水墨画で有名な雪舟がつくった雪舟庭が由来になっており、雪舟庭の石の組み方を生け花に応用しようとしたことから雪舟流と名付けられました。
雪舟流は「個性を重んじた生け花」が特徴です。花を生ける人・花・空間全ての個性を融合し、美しさを表現します。雪舟の空間演出を取り入れた生け花は華やかかつ上品で、公共施設やコンサートなどの展示・舞台装飾に使われることも少なくありません。 生け花による空間演出を楽しんでみたい方は、ぜひ雪舟流に挑戦してみてください。
未生流
未生流は、江戸時代の後期に未生斎一甫によって創流された流派です。未生斎一甫は、ありのままの自然に手を加えることで本質的な美を表現するのが生け花の本義であるという「虚実等分」を提唱しました。
未生流の生け花は、研究を重ね、数字的な根拠を基に生み出されたバランスの美しさが特徴です。 黄金比と白銀比という美しいデザインを生み出す比率により、誰が見ても魅力的だと感じる作品をつくれます。
龍生派
龍生派は、池坊から分派した初代家元の𠮷村華芸が「池坊龍生派」を創流したことによって誕生しました。これまでとは違った視点で植物を見つめ、今までになかったような発想を生け花に取り入れるのが特徴です。
植物以外のものと合わせてみたり花や葉をむしったりと手を加えることで、植物の新たな面を見つけることを理念にしています。従来のセオリーに捉われず、生ける人のアイデアが求められるのがポイントです。
なお龍生派には、𠮷村華芸が最初に打ち出した「古典華」と個性を重視する「自由花」という2つのスタイルがあります。
3. 免状を取得できるかで選ぶ
将来的に自分の教室を開きたい方や履歴書に書けるような資格を得たい方は、免状を取得できるかもチェックしましょう。
免状は、生け花の技術や知識が一定の水準に達したことを証明するもので、職位が上がるごとに発行してもらえます。なお免状は、各流派によって免状の種類・昇格のプロセス・昇格条件が異なるので注意が必要です。
たとえば池坊には、最初の「入門」から最高職位である「総華督」まで、全部で18個もの階級があります。免状の取得を目指すなら、流派ごとの違いも事前に頭に入れておきましょう。
同時に、免状取得に必要な料金も事前に尋ねておくのがおすすめです。教室によっては免状取得を目的にした特別コースや免状取得者向けの上級コースを用意していることもあるので、気になる方はチェックしてみてください。
4. 稽古の月謝料金・値段で選ぶ
生け花教室に長く通い続けるのであれば、稽古の月謝料金・値段で選ぶのもひとつの方法です。
生け花教室の多くは「月謝制」を採用しており、7,000円〜15,000円(月3回)が相場とされています。 月謝の中にも材料費(花材代)が含まれる場合と含まれない場合があるため注意が必要です。
また、入会時に入会金を支払わなければいけない教室も多いので、総額と1ヵ月あたりの費用を事前に確認しておくと良いでしょう。毎月決まった回数を通えないという方は、 チケット制や予約制を採用している教室もおすすめです。
5. 生け花の体験レッスンがあるかで選ぶ
初めて生け花を習うなら、体験レッスンを受けられる教室を選ぶのがおすすめです。
体験レッスンでは実際に生け花を体験し、教室の雰囲気や先生の指導方法を知ることができます。自分に合った流派やスタイルも理解できるので、体験レッスンを経て入会すればミスマッチが少ないでしょう。
体験レッスンの料金は、生け花教室によって異なります。無料の教室もあれば有料の教室もあるので、必要な道具などと合わせて確認しておくことが大切です。生け花を長く続けるためにも、自分が通いやすく、心地よいと感じる教室を選んでください。
東京都内でおすすめの生け花(華道)教室7選
ここからは、東京都内でおすすめの生け花教室を7選紹介します。東京にはさまざまな流派の生け花教室があるので、初心者でも始めやすいでしょう。生け花を習ってみようと考えている方は、近くに通える教室がないか、ぜひチェックしてみてください。
華道家 宮本理城 様
古流の生け花を学べる教室で「水墨花点前」と呼ばれる独自のスタイルを取り入れています。
水墨花点前とは、花を生ける過程で茶道のように優美な作法と和歌の朗読を取り入れた花点前のことです。華道と和歌という日本の伝統芸術を融合した花点前は、国際的にも高く評価されています。
世田谷と表参道に教室があり、家元教室と副家元教室のコースから選べるのが特徴です。盛花・投入・生花といった古典の花はもちろん、現在の生活スタイルに馴染む自由花、水墨花、水墨花点前など多彩な技法も学べます。体験レッスンも開講しているので、まずは教室の雰囲気を知りたいという方にもおすすめです。
生け花作家 新井悠月 様
小原流の生け花を学べる教室で、季節の花材を使った作品づくりを行えます。自然光が入る明るい教室となっており、リラックスしながら生け花を楽しめるでしょう。
またこちらの教室では、小原流の師範免状取得をサポートしてもらえるのが魅力です。夜に開講しているレッスンもあるので、社会人でも通いやすいといえます。
佐藤明 池坊いけばな華道教室
個性を活かしながらも、理論に基づいた美しい生け花を学べる教室です。
流派は池坊で、古典的な花型から近現代的な花型まで、さまざまなスタイルを習得できます。
少人数制のため、どなたでもわかりやすく丁寧に指導してもらえるでしょう。また、男性講師の方が指導されるため、女性だけでなく男性でも参加しやすいのがポイントです。
稽古の時間は固定されておらず、開講時間であればいつでも好きな時間に参加することができます。月謝コースとチケットコースがあるので、頻度や予定に合わせて受講できるのも魅力です。「趣味として一度やってみたい」という方は、全8回で生け花の基本を学べる「池坊ビギナーズレッスン」をチェックしてみましょう。
XIKA Omotesando
XIKA Omotesandoは、複数の流派の生け花を学びたい方におすすめの教室です。
「池坊」「草月流」「小原流」をはじめとする8流派の先生が在籍しており、初心者でも楽しみながら生け花を体験できます。経験豊富な先生ばかりで、優しく丁寧に指導してもらえるのが魅力です。
また本教室ではフラワーアレンジメントのレッスンも受けられ、生け花とフラワーアレンジメントの資格習得を目指せます。教室は表参道近くにあるのでアクセスしやすく、おしゃれな空間で花とのふれ合いを楽しめるでしょう。
道具類は無料貸し出ししてくれるので、手ぶらで参加できるのもうれしいポイントです。女性専用の教室ですが、趣味として生け花を始めたい方はぜひチェックしてみてください。
ROSYROSES
ROSYROSESは、生け花・フレッシュフラワー・プリザーブドフラワー・アーティフィシャルフラワーといった花に関連したさまざまなレッスンを受講できる教室です。
指導歴20年以上を誇る篠原先生が丁寧に教えてくれるので、初心者でも自分らしいお花を生けられるようになります。
生け花レッスンでは、伝統的な松月堂古流いけばなの基礎のほか現代的な造形生け花も学ぶことが可能です。日本生花司松月堂古流東京支部長での免状取得サポートがあるので、本格的に生け花を学びたい方にも向いています。
もちろん趣味として生け花を楽しむコースもあるため、暮らしにお花を取り入れたい方にもぴったりでしょう。
fworks
草月流の生け花教室で、花の持つ良さを活かした作品づくりを学べます。草月流生け花の基礎を学びながら自由な表現方法を身につけられるほか、生け花以外の分野のアーティストやクリエイターと出会えるのも魅力です。
なお生け花教室はマンツーマンレッスンとなっており、初心者から経験者までレベルに応じた稽古を受けられます。初心者の場合はハサミの持ち方から学べるので、全くの未経験でも安心して生け花ができるでしょう。
クールドフルールいけばな小原流
伝統的な生け花をはじめ、現代の生活空間にマッチするようなお花も指導してもらえる教室です。小原流のカリキュラムはもちろん、フレーム型の花器を使ったフラワーアレンジメントレッスンも用意されています。
また、こちらの教室では1回ごとの予約制を採用しており、個人の進度に合わせたレッスンを受けられるのがポイントです。体験レッスンも実施しているので、趣味としてお花を始めたいという初心者に向いています。
生け花に必要な基本の道具は?
生け花を始めるには、基本的な道具を揃える必要があります。具体的には以下のような道具を使用するので、名前だけでも覚えておきましょう。
- 花鋏(はなばさみ):花や枝を切るための専用のはさみ。刃が鋭く、切り口がきれいに仕上がるのが特徴
- 剣山(けんざん):花や枝を固定するために使用する道具。針と針の間に花材を挿し、茎や枝の位置・角度をコントロールする
- 花留:花を花器に固定する道具。花器の内部に設置することで、花材のぐらつきを防ぐ
- 花器:生け花を生けるための器。さまざまな形や大きさ、素材のものがある
生け花教室では必要な道具を貸し出してくれるケースが多いですが、長く通い続ける場合は自分の道具を揃えておくのがおすすめです。質の良い道具を使用すれば、生け花をより楽しむことができます。道具販売を行う教室も多いため、自分の道具が欲しくなったときは尋ねてみると良いでしょう。
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教養が身に付くだけでなく心を落ち着かせることもできる生け花は、大人が新たに始める趣味として最適です。 ゼヒトモでは、あなたの希望に合う多くの生け花教室をマッチングして紹介します。
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