HEAT20とは、住宅の断熱に関する新しい設計基準のことです。快適でより良い住まいを普及させるために、新たな基準を設けました。
本記事では、HEAT20に関する基礎知識について解説します。HEAT20に対応した住宅を持つメリットや業者を選ぶ際のポイントも紹介しているので、併せて参考にしてみてください。
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HEAT20とは?基準や効果について解説
HEAT20とは、「一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」のことです。この組織は住宅に関する専門家たちで構成されており、どうすればより住みやすく快適な住宅を建てられるのかを研究しています。
また、HEAT20は断熱の新しい基準のことでもあります。日本を8つの地域に区分し、それぞれの気候に適した断熱性能を示しているのです。
HEAT20の目指すところ
HEAT20の目指すところは、健康で快適な住まいを普及させることです。長期的な視点に立つことで、地球温暖化やエネルギー問題への対策として断熱性能に着目しました。なお、健康で快適な住まいを実現するためには、以下の要素のバランスを整えることを重視しています。
- 建築的要素:断熱・遮熱・通風・日光活用など建築全体の機能のこと
- 設備的要素:設備による低燃費性能などのこと
- 創エネ的要素:太陽光発電をはじめ、エネルギーをつくる機能のこと
HEAT20が推奨される理由
HEAT20が推奨される理由は主に、「脱炭素化」と「日本の水準の低さ」の2つです。
2020年10月、日本政府は「2050年カーボンニュートラル宣言」を発表しました。そのため、社会全体で脱炭素に向けて動いており、なかでも二酸化炭素排出量の多い住宅においても省エネ化が急務となったのです。
住宅の省エネ化には、断熱性能の強化が必須とされているため、HEAT20が推奨され始めました。
また、日本の住宅は諸外国と比較すると非常にレベルが低いことから、省エネ化は必須です。そこで、断熱に関する新しい基準を制定することで、脱炭素化を進めようとしています。
HEAT20のグレードG1・G2・G3とは?
HEAT20は、G1・G2・G3の3つのグレードに分けられます。G1<G2<G3の順で、高い断熱性能を持っており、Ua値を用いて表されるのが特徴です。Ua値とは、断熱性能を表す指標のことで、以下の計算式を用いて計算できます。
Ua値(外皮平均熱貫流率)=熱損失量(w/k)÷外皮面積(㎡) |
Ua値は、外部に逃げていく熱エネルギーを数値化したものです。つまり、Ua値が小さいほど断熱性能が高いと判断できます。ここでは、G1・G2・G3の3つの基準について見ていきましょう。
G1基準
HEAT20におけるG1の基準は、室内温度がおおむね10℃を下回らないことです(北海道の大部分では、おおむね13℃)。国が定める基準よりも、約20~30%のエネルギー削減効果が期待できます。
地域1 | 地域2 | 地域3 | 地域4 | 地域5 | 地域6 | 地域7 | 地域8 | |
北海道 | 北海道 | 東北/青森・秋田・岩手 | 東北/北関東 | 関東・東海・近畿・中国・四国・九州 | 関東・東海・近畿・中国・四国・九州 | 南九州 | 沖縄 | |
Ua値 | 0.34 | 0.34 | 0.38 | 0.46 | 0.48 | 0.56 | 0.56 | ー |
G2基準
HEAT20におけるG2の基準は、室内温度がおおむね13℃を下回らないことです(北海道の大部分では、おおむね15℃)。国が定める基準よりも、約30〜50%のエネルギー削減効果が期待できます。
地域1 | 地域2 | 地域3 | 地域4 | 地域5 | 地域6 | 地域7 | 地域8 | |
北海道 | 北海道 | 東北/青森・秋田・岩手 | 東北/北関東 | 関東・東海・近畿・中国・四国・九州 | 関東・東海・近畿・中国・四国・九州 | 南九州 | 沖縄 | |
Ua値 | 0.28 | 0.28 | 0.28 | 0.34 | 0.34 | 0.46 | 0.46 | ー |
G3基準
HEAT20におけるG3の基準は、室内温度がおおむね15℃を下回らないことです。国が定める基準よりも、約50%以上のエネルギー削減効果が期待できます。
地域1 | 地域2 | 地域3 | 地域4 | 地域5 | 地域6 | 地域7 | 地域8 | |
北海道 | 北海道 | 東北/青森・秋田・岩手 | 東北/北関東 | 関東・東海・近畿・中国・四国・九州 | 関東・東海・近畿・中国・四国・九州 | 南九州 | 沖縄 | |
Ua値 | 0.20 | 0.20 | 0.20 | 0.23 | 0.23 | 0.26 | 0.26 | ー |
HEAT20の家のメリット
HEAT20の住まいを建てるメリットは、主に以下の3つです。
- 室内が暖かくて過ごしやすい
- 省エネで節約できる
- 健康に良い暮らしができる
室内が暖かく過ごしやすい
HEAT20に対応した住宅は断熱性能が高いため、室内が暖かく過ごしやすいのが特徴です。夏は外気の熱風が室内に伝わりにくく、冬は暖房の熱が逃げにくくなります。そのため、HEAT20の住まいを建てれば、冷暖房の利用を最小限に抑えることが可能です。
省エネで節約できる
HEAT20に対応した住宅は、省エネで節約できるのもメリットのひとつです。HEAT20は断熱性能が高いことから、冷暖房の使用を最小限にしていても快適に過ごせます。
特に、冷暖房をよく使用する夏と冬は、HEAT20対応と非対応の住宅とではコストの差は大きいでしょう。
健康に良い暮らしができる
HEAT20に対応した住宅は、健康に良い暮らしができます。なぜなら、HEAT20対応の住宅は表面温度を高く保てることからカビや結露の発生を抑制でき、アトピー性皮膚炎や喘息などの改善・防止につながることも期待できるためです。
また、G2以上の住宅では、家の中の温度差で生じるヒートショックのリスクも軽減できるといわれています。
HEAT20を満たす断熱リフォーム
HEAT20に対応した住宅を手に入れたい場合は、断熱リフォームをするのもおすすめです。リノベーションすれば、快適で住みやすい住宅環境を整えられるでしょう。
断熱リフォームの種類
断熱リフォームには、断熱材や断熱パネルを入れたり、内窓を追加したりといった種類があります。それぞれの工期や費用の目安は、以下のとおりです。
工事の種類 | 工期 | 費用 |
外壁や屋根の断熱塗装 | 1~4週間 | 約2~6千円/㎡ |
壁に断熱材を施工 | 2~4週間 | 約4千~3万円/㎡ |
床下の断熱化 | 1~6日 | 約4~8千円/㎡ |
天井の断熱化 | 2~4日 | 約4~8千円/㎡ |
内窓の追加 | 1~2日 | 約8~30万円/箇所 |
工事費用を抑えようと部屋の一部のみを施工しても、断熱効果は期待できません。断熱効果を高めたい部屋を優先的に施工したり、予算を考慮したりするといいでしょう。
業者に依頼するときのポイント
断熱リフォームを業者に依頼するときのポイントは、主に以下の3つです。
- 信頼できるところに依頼する
- 補助金について確認する
- 点検やアフターフォローがしっかりとしている業者を選ぶ
それぞれのポイントについて解説します。
信頼できるところに依頼する
業者に依頼する場合は、信頼できるところを見つけましょう。例えば、自社製品のデメリットについて説明してくれる業者は、知識も豊富で安心して任せられると判断できます。
反対にメリットばかりを提示する業者は、断熱リフォームに関する知識が乏しい可能性があります。そのため、デメリットを把握したうえで製品の案内をしてくれる業者を選ぶと安心です。
ほかにも、断熱にまつわる有資格者が調査してくれる業者も信頼できます。断熱リフォームには特別な資格は必要ないものの、有資格者が在籍していれば安心度も向上するでしょう。
補助金について確認しよう
断熱リフォームを行う場合は、補助金について確認しておきましょう。補助金の条件や必要書類など、自治体によって異なります。
そのため、どのような補助金制度を活用できるのかを調べてくれる業者は、お客様の立場に立てる企業だと判断できるためです。
点検やアフターフォローがしっかりしている業者を選ぼう
断熱リフォームを業者に依頼するときは、点検やアフターフォローがきちんと行っている業者を選びましょう。なかには悪質な業者もいるため、しっかりと見極めることが重要です。点検やアフターフォローがあれば、何らかのトラブルが生じても安心でしょう。
ゼヒトモで断熱リフォームのプロを探す
HEAT20とは、断熱に関する新しい基準のことです。日本を8つの地域に分けて、断熱性能を示しています。HEAT20に対応した住宅にすれば、より快適で住みやすい住宅環境を手に入れられるでしょう。
- HEAT20について相談したい
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監修したプロのコメント
HEAT20の基準を全て満たす家にするには、大掛かりで高額な費用がかかるリフォームになります。現在の日本の住宅では様々な課題があり、それを一気に改善するのはどうしても難しいのかなと思います。
そのため、よくお客様から相談される
・トイレやお風呂場の寒さを和らげたい
・リビングの床を暖かくしたい
・ヒートショックが心配(ご年配の方と同居している)
などを1つずつ改善・リフォームしていってみてはいかがでしょうか。
もちろん予算との兼ね合いもあると思いますので、地元の信頼できる業者に相談するようにしましょう。
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