戸建ての建物の外壁塗装をメンテナンスする際、塗装前に足場を組むことがほとんどです。しかし、なぜ足場を組むのか、その理由まで把握できていない方も多いのではないでしょうか。
今回は、外壁塗装に足場が必要な理由について、足場の種類も交えながら解説します。また、外壁塗装の足場設置にかかる費用相場や、足場にまつわる注意点も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
外壁塗装に足場が必要な理由とは
そもそもなぜ外壁塗装において足場が必要なのか、明確な理由まで把握できていない方も多いでしょう。外壁塗装の足場は、以下に挙げる3つの理由から必要とされています。
- 現場の安全性確保
- 施工品質を高める
- 近隣への配慮
ここでは、外壁塗装に足場が必要な理由について解説しているので、外壁塗装を依頼するうえでの足場の必要性を把握したい方はぜひ参考にしてください。
現場の安全性確保
足場の設置は、外壁塗装を行ってくれる職人や現場の安全確保のために必要です。職人にとっての足場は、車でいうシートベルトやエアバックと同様です。
また、外壁塗装は高所での作業が多いことから、作業における安全性の確保が求められます。そのため、安全確保のために足場の設置を工程にする業者が大半です。さらに安全性を確保できれば、トラブルもなく当初のスケジュールどおりに作業を進められるでしょう。
施工品質を高める
足場の設置は、外壁塗装の施工品質を高めるために必要です。高所での作業における墜落事故を防いだり、しっかりした足場で作業に集中できたりすることが可能です。
また、安定した足場があれば、外壁の隅々まで綺麗に塗装できます。さらに作業員がスムーズに移動しながら施工できるため、仕上がりも丁寧かつ均一にしてもらえます。
近隣への配慮
足場は、外壁塗装の工事期間中における近隣の配慮のために必要です。足場と一緒に設置する「飛散防止ネット」により、下を通行する人に塗料がかかったり、隣の建物に塗料が飛び散ったりすることを防止できます。
とはいえ、足場を設置する段階では大きな音がなるため、迷惑をかけてしまう可能性があります。近隣住民に工事の期間を踏まえて挨拶したり、設置する時間や設置場所に対する配慮をしたりするなどを心がけましょう。
外壁塗装の足場設置にかかる費用相場
外壁塗装の足場設置にかかる費用相場は、1㎡あたり600〜1,000円ほどとされています。足場の設置にかかる費用は、外壁塗装工事全体の2割ほどになるのが一般的です。例えば、外壁塗装の全体の施工費用が1,000,000円だった場合、足場の設置には200,000円ほどかかります。
足場の設置にかかる費用を理解しておくために、実際に足場の設置にかかる費用を算出する計算式を紹介します。足場の設置を無料にできるか、費用を抑える方法があるのか、という疑問にも答えているので、参考にしてください。
足場費用の算出方法
足場の設置にかかる費用は、以下の計算式で求めることが可能です。
足場の面積x(足場費用 /㎡ + 飛散防止ネット /㎡) |
足場の面積は、外周よりも0.5mプラスした距離で求めるため、建物の外周より一回り大きい面積で足場を設置することになります。計算式は、以下のとおりです。
外周 + 4m(建物の各方面に0.5を加えた値) |
二階建て・高さ6mの建物を例とした場合の足場面積を、坪数別にまとめているので足場の面積を算出するうえでの参考にしてください。
坪数(坪) | 足場の面積(㎡) |
20 | 約250 |
25 | 約260 |
30 | 約283 |
35 | 約307 |
40 | 約330 |
45 | 約355 |
50 | 約380 |
足場の面積を250㎡と想定し、足場の費用と飛散防止ネットの費用を以下とした場合のトータルの足場設置費用を求めてみましょう。
- 足場の費用:1,000円/㎡
- 飛散防止ネットの費用:200円/㎡
250x(1,000円 /㎡ + 200円/㎡)=300,000 |
トータルの足場面積が250㎡のケースでは、足場と飛散防止ネットを設置することで300,000円かかる計算になります。
また、以下の関連記事では、外壁塗装の費用相場や施工事例を紹介しています。実際にかかった費用も掲載していますので、外壁塗装工事全体の費用が気になる方はぜひご確認ください。
関連記事:外壁塗装の費用相場
足場の設置は無料でできる?
足場の設置は、資材費、人件費、運搬費などが必要なため、無料で依頼するのは不可能といえます。足場は、外壁塗装の工事をスムーズかつ安心安全に進めるために必要不可欠です。施工費用の中に足場の設置費用が含まれることも想定しておきましょう。
万が一外壁塗装の費用内訳に足場の設置が含まれていない場合は、必要な工事を省略していたり、低質な足場を使用していたりするといった悪徳業者の可能性があります。外壁塗装に限らず、不自然な割引などを提案してくる業者も当てはまります。
足場の設置は外壁塗装における必須の工程であるため、安全性を確保するうえでも無料にしようと考えるのは懸命ではありません。足場の設置にかかる費用は、外壁塗装工事を無事に終えるために「必要経費」と捉えておくことが重要です。
外壁塗装に必要な足場の種類
外壁を塗装で補修する際は、どのような足場の種類があるのか把握しておく必要があります。
主な足場の種類と特徴は、以下のとおりです。
- 単管プラケット足場
- 単管足場
- くさび式足場
- 枠組み足場
- 脚立足場
1つずつみていきましょう。
安全性が高い「単管ブラケット足場」
単管足場よりも安全性に優れている単管ブラケット足場があります。単管足場に作業床となる部材をボルトで取り付けるタイプの足場なため、ぐらつきにくいと言われています。
組み立てや解体に時間がかかりますが、安定性に優れているため、作業効率をあげることが可能です。さらに外壁塗装の作業中の墜落事故を防止できると人気を集めています。
狭い箇所にも設置できる「単管足場」
隣地との距離が近い場合や、複雑な形状の建物などの狭い場所でも設置できる単管足場があります。部材の種類が少なく、2本並べた鉄パイプを足場とする仮設足場タイプです。
しかし、足元の安定性がないため落下などの危険が伴います。
設置の工期が短い「くさび式足場」
組み立てや解体などの設置が簡単にできるくさび式足場があります。ビケ足場とも呼ばれる足場です。
ハンマーで固定するので設置時の音が目立ちますが、工期を短縮したりコストを抑えたりすることが効果があります。強度に優れている足場なため、安全性が高いと言われています。
高い足場を組める「枠組み足場」
高層建築や複雑な形状の建物などの建設現場で用いられる枠組み足場があります。ビケ足場と並んで主流とされる足場です。ハンマーを使用しないため、騒音が少なく、近所へ迷惑がかかりにくいと言われています。
また、部材の1つひとつが大きいため、大きな建物の施工に使用される作業が大掛かりになりがちです。さまざまな形状の建枠を組み立てる必要があるため、広い作業スペースが求められます。
組み立てが簡単な「脚立足場」
少ない部材で簡単に組み立てができる脚立足場があります。コンパクトな設計の特徴があるため、低層建築や狭い場所での作業に適した足場です。さらに他の足場に比べて安価で利用できるため、予算を抑えたい時におすすめです。
とはいえ、強度には優れていないため、安全に利用したい方には向いていないといえます。
外壁塗装の足場設置にかかる費用を抑える方法
足場の設置費用は、適切な方法を理解しておくことで費用を抑えることが可能です。どのような方法でコストを削減できるのかみていきましょう。
屋根塗装と外壁塗装を同じタイミングで行う
外壁塗装の施工と合わせて、屋根もあわせて塗装することで費用を抑えられます。
外壁塗装と屋根、複数個所の塗装を別々で契約してしまうと、それぞれの工事が始まる前に足場の設置が必要です。2回分の足場設置費用を抑えるために、外壁と同時に屋根の塗装も依頼しましょう。
足場の高さは必要最低限にする
足場の高さは施工内容に合わせて必要最低限に依頼できると足場設置費用を抑えることができます。高い足場が必要になるほど、高額の設置費用が求められます。
外壁塗装の範囲に応じて、足場の高さを最低限に設置してもらい、費用を節約しましょう。
複数社から見積もりをとる
足場設置費用を含めて、外壁塗装の見積もりを複数社から取りましょう。足場設置にかかる目安の費用は業者によって異なります。
見積もりを取ってもらう際には、足場の高さや広さ、使用する資材などを比較検討した上で決めることで費用を抑えられます。
ロープアクセス工法の利用を検討する
作業範囲が狭い場合は、屋上から職人がロープで吊られる形で作業を行うロープアクセス工法を検討しましょう。ロープアクセス工法は、無足場工法とも呼ばれており、壁の隙間部分や狭い作業範囲で足場設置が困難な場合に向いています。
しかし、ロープでの施工技術や専門的な知識を保有した業者でないと対応できません。
また、広範囲の作業や重量のある材料を使用する場合は、高額の費用を求められるケースがあるため、施工業者と相談して利用を検討しましょう。
補助金制度や保険を利用する
足場の設置も含めた外壁塗装の施工そのものを対象とした、各種補助金や保険の利用で費用を抑えられます。外壁塗装に利用可能な補助金・保険の一部を以下にまとめているので、参考にしてください。
- 損保ジャパン:火災保険
- ソニー損保:火災保険
- 東京:住宅改善工事助成事業
- 東京:高反射塗料施工助成金制度
- 神奈川:住宅改修支援事業補助金
- 千葉:住宅リフォーム奨励金
- 北海道:札幌市住宅エコリフォーム補助制度
- 大阪:多世代同居支援住宅リフォーム補助制度
- 沖縄:沖縄市住宅リフォーム支援事業補助金
実際に補助金・保険を利用する際は、居住する自治体での公募があるか、電話連絡などで確認したうえで依頼することがポイントです。
外壁塗装の足場にまつわる注意点
外壁塗装の足場設置においては、以下に挙げるトラブルが発生しやすいことを覚えておきましょう。
- 適切な強度で設置する
- 設置できる対象範囲を確認しておく
- 外壁外の車や物は避けておく
- 隣人への配慮を心がける
上記のトラブルが発生することを想定し、以下のポイントを意識したうえで足場設置も含めた外壁塗装を業者に依頼するのがおすすめです。
適切な強度で設置する
建物の大きさや形状、必要な足場の高さに合わせて適切な強度で設置することが重要です。足場の強度が不十分な場合、下記の危険が伴います。
- 足場が倒壊する
- 塗料や水が飛散り、近隣住宅や車に被害を与える
- 作業員の怪我につながる
足場を設置する際は、足場を組立てる場所の環境や足場の下地である地盤の強度を調査したり、適切な部材を使用したりすることが確認が重要です。安全に外壁塗装してもらうために、施工内容、現場の環境や状況に合わせて強度を選びしましょう。
設置できる対象範囲を確認しておく
足場を設置する前に、設置可能な対象範囲を確認しておくことが重要です。実際に外壁塗装してもらう場所に足場を設置できなかったり、電線やガス管にぶつかってしまったりするリスクが伴います。
近隣やお隣の住民に足場設置の許可を得たり、電線やガス管の位置を確認したりすることが重要です。施工に関するトラブルを防ぐためにも足場の設置可能な場所はしっかりと確認しておきましょう。
外壁外の車や物は避けておく
外壁周囲の車や物を足場設置の前までに避けておくことが重要です。とくに、庭の物置や、車を駐車している場合は、足場を設置する場所から十分に離しておきましょう。
足場の設置中だけでなく、外壁塗装の施工中に道具が落下した際に、故障したり傷や汚れができてしまったりするなどのリスクがあります。
また、塗料や道具を運ぶ際や施工の妨げになる恐れが伴います。外壁外の車や物を守るためにも、足場設置の前までに避けておくことがポイントです。
隣人への配慮を心がける
外壁塗装の足場を設置する際は、隣人へ配慮しましょう。足場の設置や撤去には大きな騒音があるため、遅い時間や休日などは迷惑がかかります。平日の日中に施工してもらったり、工事の日程を隣人に事前に共有しておいたりすると良いでしょう。
また、隣家間の距離が近すぎて、足場がはみ出してしまう場合や、広さ的に自分の敷地内のみで足場を組めないときがあります。足場で隣人の所有地を利用したい場合は、必ず許可を得てから土地を貸してもらいましょう。
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外壁塗装における足場の必要性について紹介しました。足場を設置するうえでは、費用相場も含めた詳細を掲示してくれる業者に依頼するのがおすすめです。
- 足場の設置にかかる費用を事前に把握したい
- 足場の種類や注意点についてもアナウンスしてほしい
- 自宅周辺エリアや地域に特化した施工事例・実績のある業者に依頼したい
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