耐震性や耐火性にも優れた窯業系(ようぎょうけい)サイディングは、新築住宅でも多く採用されている外壁材です。
しかし、どのようなメリットやデメリットがあるのかわからない方もいるでしょう。今回は、窯業系サイディングの概要やメリット・デメリット、メンテナンス方法を解説します。
窯業系サイディングの概要
窯業系(ようぎょうけい)サイディングとは、セメントと木材繊維などの資材を薄い板状に加工した外壁材のことです。製造過程で高熱処理されるため、窯業系と呼ばれています。窯業系サイディングは日本産業規格に規定されており、優れた耐火性と強くてしなやかな耐震性を併せ持つのが特徴です。
窯業系サイディングは、新築住宅の外壁として75%以上で使われており、現在では倉庫などの中層非住宅でも使用されています。レンガ調やタイル、木目調などデザインの種類が豊富で、自分に適した窯業系サイディングを選べるのも魅力です。また、安価であるため費用を抑えて購入できます。
窯業系サイディングのメリット
窯業系サイディングが選ばれるのは、多くのメリットがあるからです。ここからは、窯業系サイディングのメリットを確認しましょう。
初期費用を安く抑えられる
窯業系サイディングには、初期費用を安く抑えられるメリットがあります。ほかのサイディング材に比べても初期費用が安いのは、ボートが工場で大量生産が可能なうえに、施工も外壁に貼るだけで人件費を抑えられるためです。30坪の住宅であれば、160万〜250万円程度でリフォームできます。
デザインのバリエーションが豊富
窯業系サイディングは成形性が高いため、デザインのバリエーションが豊富です。レンガ調やタイル、木目調など、好みに合わせて選べます。外壁のデザインにこだわりたいなら、窯業系サイディングを選ぶのがおすすめです。
施工期間が短い
一般的に、窯業系サイディングは外壁の大きさに合わせてボードをカットして貼り付けます。既存外壁から窯業系サイディングにリフォームする場合、張り替えなら10〜18日程度で施工が完了します。カバー工法であれば、7〜14日程度で施工完了です。
耐火性に優れている
窯業系サイディングは耐火性に優れており、不燃材料として国から認定を受ける外壁材もあります。たとえ隣の住宅が火事になっても、もらい火を受けにくいので安心です。火事に備えたいなら、窯業系サイディングの外壁材が適しています。
窯業系サイディングのデメリット
多くのメリットがある窯業系サイディングですが、いくつかデメリットがあるのも事実です。それぞれのデメリットを確認していきましょう。
外壁・室内温度が上昇しやすい
窯業系サイディングには蓄熱性があり、外壁や室内温度が上昇しやすいといわれています。夏になると一気に気温が上昇するので、室内のエアコンが効きづらくなることも多いです。外壁や室内温度の上昇を防ぐには、断熱性のある塗料を使いましょう。
こまめにメンテナンスや塗装が必要
窯業系サイディングは、こまめな塗装メンテナンスが必要な外壁材です。一般的には10年に一度塗装が必要だといわれており、80万〜120万円程度の塗装費用がかかります。メンテナンスせずに放置すると、ひび割れや剥がれで劣化しやすくなるのです。
防水性がなく吸水性が高い
窯業系サイディングはセメント材であるため、外壁自体に防水機能はありません。窯業系サイディングは防水性が低いため、塗装で防水性能を上げる必要があります。防水効果のある塗装が剥がれると外壁が雨水の影響を受けて劣化するので、こまめなメンテナンスも欠かせません。
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窯業系サイディングの塗装・メンテナンス方法
窯業系サイディングの塗装やメンテナンスには、さまざまな方法があります。それぞれの特徴を確認していきましょう。
外壁塗装
窯業系サイディングは、10年程度で塗料の色褪せや汚れ、ひび割れなどの劣化症状が目立ち始めます。塗膜が傷んでいる場合は、外壁塗装で防水性能を回復させることが必要です。ひび割れは再塗装で対応できる場合もありますが、劣化症状がひどい場合は貼り直しが必要になることもあります。
外壁の汚れや苔・カビなどを落とす
表面に細かい凹凸がある窯業系サイディングは、汚れや苔、カビがつきやすい外壁です。外壁の表面に汚れや苔、カビがつくと機能も低下するので、メンテナンスが必要になります。高圧洗浄で窯業系サイディングの汚れや苔、カビを落としきれない場合は、塗り替えが必要になることもあります。
シーリングの打ち替え
外壁のボードとボードのつなぎ目に埋めるシーリング(コーキング)は、劣化するとひび割れたり破断したりします。劣化状態を放置すると、窯業系サイディングのつなぎ目から雨が侵入して雨漏りの原因になるので早めのメンテナンスが必要です。シーリングの劣化症状を改善するには、打ち替え工事をおこなう必要があります。
外壁重ね張り(カバー工法)
窯業系サイディングのひび割れや剥がれが軽症なら、パテの補修や再塗装で対応できます。ただパテの補修や再塗装で対応できないほど症状がひどい場合は、外壁重ね張り(カバー工法)のメンテナンスをおこなうことが必要です。外壁重ね張り(カバー工法)は既存外壁を剥がす必要がないため、工期が短く比較的安価に仕上げられます。
窯業系サイディングのリフォーム費用相場
窯業系サイディングのリフォーム費用は、施工内容や工事の種類によって変わります。
張り替えとは、既存外壁材を剥がして窯業系サイディングを貼り付ける施工方法です。張り替え工事には、解体撤去費用と廃棄費用がかかります。費用相場は、190万円程度です。
内訳 | 費用相場(30坪) |
ボード材工費 | 60万円 |
既存外壁材の解体処分 | 40万円 |
足場・養生 | 20万円 |
コーキング | 20万円 |
内部補修 | 50万円 |
重ね張りとは、既存外壁材の上から窯業系サイディングを貼り付ける施工方法です。重ね張りは、張り替えよりもリフォーム費用を抑えられます。費用相場は、150万円程度です。
内訳 | 費用相場(30坪) |
ボード材工費 | 60万円 |
足場・養生 | 20万円 |
コーキング | 20万円 |
内部補修 | 50万円 |
窯業系以外の3種類のサイディング
サイディング材には、窯業系サイディング以外にもいくつか種類があります。それぞれ単価や機能が異なるので、外壁材を選ぶ際の参考にしましょう。
木質系サイディング
本物の木を外壁に取り付けられるように加工された外壁材が、木質系サイディングです。木材の温かみのあるデザインに仕上げられますが、耐火性や防水性では劣ります。ほかのサイディング材に比べると、外壁材の費用が高くなるのも特徴です。費用は1平方メートルあたり6,000〜8,000円で、7〜10年程度でメンテナンスが必要になります。
金属系サイディング
ガルバリウム鋼板やアルミニウムなどの金属板を加工した外壁材が、木質系サイディングです。耐久性が高く、軽量で耐震性に優れているといった特徴があります。ただ、デザイン性や低価格を求めるのであれば、窯業系サイディングが優れています。費用は1平方メートルあたり4,000〜6,000円で、10〜15年程度でメンテナンスが必要です。
樹脂系サイディング
塩化ビニール樹脂を使用した外壁材が、樹脂系サイディングです。塩化ビニール樹脂は、耐久性や耐用年数に優れている特徴があります。ただ腐食やひび割れが起きやすいので、劣化状態が進むと雨水が侵入して雨漏りが発生することがあるのです。費用は1平方メートルあたり7,000〜9,000円で、10〜20年程度でメンテナンスが必要になります。
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窯業系サイディングは、デザインのバリエーションが豊富なうえに耐火性に優れる外壁材です。初期費用も安く抑えられるため、費用を抑えてリフォームしたい場合に適しています。
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