外壁塗装の工事期間は戸建て住宅やマンションなど、どの建物を施工するかによって変動します。また、各工程の作業日数は決まっているのでしょうか。この記事では、外壁塗装の工事期間や工程別の作業日数、工期短縮に向けたポイントなどをご紹介します。
ご自宅の外壁塗装を検討している方、工事の依頼先を探している方は、最後までご覧ください。
外壁塗装の工事期間
外壁塗装の工事期間は、住宅や建物の大きさによって変わります。以下4つの工事期間をみてみましょう。
- 戸建て住宅
- アパート
- マンション
- ビル
塗装面積や劣化具合、立地条件によっては工事期間が伸びる可能性もあります。
戸建て住宅【7日~10日】
30坪の2階建て戸建て住宅にお住まいの場合、工事期間の目安は7日〜10日です。外壁塗装と屋根塗装を同時に実施した場合は、10日〜14日程度かかります。1度に支払う工事費用は高くなりますが、外壁塗装は屋根塗装と同じタイミングで実施するのがおすすめです。
セット工事を利用した場合、工事のたびに足場の設置や解体をおこなう必要はありません。塗料や職人の確保も1度で済み、工事費用と工事期間を共に短縮できます。
また、30坪以上の住宅にお住まいの場合、最低でも2週間以上の工事期間を確保しなければなりません。仮に50坪の2階建て戸建て住宅にお住まいの場合、工事期間は2週間〜3週間となります。
アパート【2~3週間】
アパートは建物の大きさや塗装面積によって、工事期間が変動します。1棟6戸程度のアパートの場合、工事期間は2〜3週間が目安です。
マンション【1~6か月】
マンションは建物の大きさや塗装面積、劣化状況に応じて工事期間が変動します。50戸未満の小規模マンションの場合、工期は1〜3ヵ月ほどです。建物の劣化が進んで、ひび割れ補修やケレン作業などが必要な場合、3か月以上かかる可能性が高まります。
また、50戸〜150戸の中規模マンションは、3〜6か月以上の工期が必要です。通常よりも足場設置に多くの時間が必要なだけでなく、仮設トイレや事務所も設置しなければなりません。そして、タワーマンションの場合、工事完了までに6か月〜1年以上かかります。
ビル【2~3か月】
ビルはマンションと同じく塗装面積が広いため、工事期間は2〜3か月程必要になります。ビルの外壁塗装にはシリコンやフッ素など、耐久性に優れた塗料を使用するのがおすすめです。
値段重視で防水性や耐久性の低い塗料を選んだ場合、何度も塗装業者に工事を依頼しなければなりません。ビルの外壁塗装は1回の工事で300万〜1,000万ほどかかるため、工事の回数が多くなるほど、維持費が増えます。
外壁塗装の流れと工程ごとの作業期間
30坪の2階建て戸建て住宅の工事の流れと各工程の作業日数に関してまとめました。
- 足場と保護シートの設置
- 高圧洗浄
- 養生と下地処理
- 下塗り
- 中塗り
- 上塗り
- 付帯部塗装
- 点検と見直し
- 足場解体
住宅の立地条件や劣化具合に応じて、各工程の作業日数は変動します。あくまで目安としてご認識ください。
足場と保護シートの設置【半日~1日】
職人の安全性確保のため、外壁塗装に足場の設置は欠かせません。2階建ての戸建て住宅の場合、足場設置にかかる日数は半日〜1日です。ただし、3階建て住宅や隣家との間隔が狭い住宅など、立地条件によっては足場設置に1日以上かかる場合があります。
また、保護シート(飛散防止シート)の設置は、塗料やホコリ、ゴミの飛散を防ぐのが目的です。
高圧洗浄【2日~3日】
高圧洗浄は古い塗膜やサビ、コケなどをきれいに落とす作業です。古い塗膜や汚れが残った状態で新たな塗料を塗り直しても、塗料が完全に密着しません。塗料本来の耐久性や防汚性が十分に発揮されず、通常より早く塗装剥離を招く可能性が高まります。
塗膜の耐久性や仕上がりの品質を高めるためにも、高圧洗浄は丁寧に進めなければなりません。高圧洗浄の作業日数は大体2~3日です。汚れの洗浄自体は1日で終わりますが、洗浄が終わったあとに乾燥時間が24時間必要です。
また、天候や下地の状態によっては、乾燥時間が48時間必要になる場合もあります。
養生と下地処理【2日~3日】
塗料が室内に入らないよう、玄関や窓を中心に養生テープを貼ります。養生テープを貼ったあとは、窓を自由に開けられません。
一方、下地処理はきれいな塗装面を形成するため、外壁材の軽微な劣化を補修する作業です。ひび割れの補修やサビの下地処理、シーリング材の打ち換えなどをおこないます。下地処理は塗装の仕上がりに大きな影響を及ぼすため、作業日数が2〜3日必要です。
下地処理が不十分だと塗料が完全に密着せず、塗料が剥がれやすくなります。
ひび割れの補修
経年劣化や地震、乾燥などが原因でひび割れが発生します。特にモルタルやコンクリートは乾燥によって収縮しやすく、ひび割れが起こりやすい外壁材です。ひび割れを放置すると、雨漏りやカビの発生を招くため、注意しましょう。
ひび割れの補修はシーリング材を補填し、下塗り塗料を塗り直す方法が一般的です。シーリング材は防水性や気密性に優れ、ひび割れを埋める役割が期待できます。
サビの下地処理
高圧洗浄で対応しきれなかったサビ汚れや古い塗膜をきれいに落とす作業です。サビの下地処理はケレン作業とも呼ばれています。ケレン作業はサンドペーパーを使って塗装面を研磨し、不純物を取り除く地道な作業です。
手間はかかりますが、塗料の密着度を高めるために欠かせません。
シーリング材の打ち換え
シーリング材は、サイディング材やALCなどの接合部に使われる充填剤です。紫外線や風雨の影響で外壁材が膨張と収縮を繰り返すと、接合部にひび割れやズレが生じやすくなります。接合部にシーリング材を補填して隙間を防ぎ、雨水の侵入を防ぐのが目的です。
また、シーリング材も外壁塗装と同様、紫外線や風雨によって劣化します。工事費用の高騰を防ぐため、外壁塗装と同じタイミングで工事するようにしましょう。
下塗り【1日】
外壁塗装は下塗りと中塗り、上塗りの3回に分けて塗装をおこないます。塗料を塗ってから数時間以上の乾燥時間を確保する必要があるため、1日ずつ作業するのが一般的です。下塗りの役割は以下の4つです。
- 外壁と上塗り塗料の密着度を向上
- 上塗り塗料の過度な吸い込みを防止
- 上塗り塗料の機能性向上
- 仕上がりの品質向上
シーラーやフィラーなどの専用塗料を使い、上塗り塗料の密着度や機能性を高めます。
中塗り【1日】
中塗りでは上塗りと同じ塗料を使い、1日かけて作業を進めていきます。中塗りの目的は2つあり、1つめの目的は塗膜を厚くすることです。塗膜の厚さは塗料メーカーごとに指定されています。塗膜の厚さが基準に満たないと、耐久性や防汚性が十分発揮されません。
2つめの目的は仕上がりの品質を高めるためです。塗膜を厚くするために塗料を塗りすぎると、仕上がりにムラが生じ、乾燥時間も長くなります。中塗りと上塗りの2回に分けて同じ塗料を塗るのは、塗料本来の機能性発揮と乾燥時間の長期化を防ぐためです。
上塗り【1日】
上塗りは中塗りと同じ塗料を使い、住宅の外観を美しく仕上げていきます。中塗りを挟むことで、塗料本来の機能性発揮が望めるでしょう。また、中塗りで生じた気泡や色ムラの発生を上塗りで修復する目的もあります。
付帯部塗装【1日~2日】
付帯部塗装では、雨樋や幕板、軒天などの補修工事や塗装の塗り直しをおこないます。雨樋は屋根に溜まった雨水を地面に流すのが役割です。一方、幕板は雨水の侵入防止、軒天はカビやコケの発生防止を目的に工事を実施します。
付帯部塗装の作業日数は1日〜2日です。住宅の美観性を保つため、外壁塗装または屋根塗装とセットで実施します。仮に外壁塗装や屋根塗装と工事時期を別にした場合、付帯部の色あせや汚れが目立つでしょう。
点検と手直し【1日】
塗装業者と一緒に塗装の仕上がり具合を確認します。塗り残しや色ムラなど、気になる箇所があった場合は質問し、必要に応じて手直しを依頼しましょう。点検が終わったあとに手直しを依頼した場合、追加費用が発生する可能性が高まります。
足場解体【1日】
塗装の仕上がりに問題がなければ、足場の解体と作業道具の回収、清掃をおこない、工事が終了となります。多くの場合、足場の解体や清掃にかかる日数は1日です。
外壁塗装の工事期間が伸びる要因
以下3つに該当した場合、通常よりも工事が長引きます。
- 外壁の劣化が激しい
- 雨や雪の日が続く
- 防水系の下塗り塗料を使っている
外壁材の強度に問題がある場合、塗装工事だけでは対応できません。屋根カバー工法や屋根の張り替えをおこない、外壁材の耐久性や防水性を高める必要があります。また、天候不良が続くと、塗装を進められません。
外壁の劣化が激しい
外壁材の劣化が進んでいる場合、塗装の塗り直しや補修工事だけでは不十分なケースがあります。外壁材の強度や防水性を高めるには、外壁カバー工法か張替えの実施が必要です。外壁カバー工法は既存の外壁材に、新たな外壁材を被せる方法になります。
比較的軽量な金属サイディングや樹脂サイディングを既存の外壁材に被せるケースが多いです。一方、張替えは既存の外壁材を撤去し、新たな外壁材に張り替える工事を指します。
下地や構造材の入れ替えも含めた大規模リフォームとなるため、工事期間を長く確保しなければなりません。外壁材の劣化状況によっては、工事期間が長引く点を頭に入れておきましょう。
雨や雪の日が続く
雨や積雪など、天候不良が続いた場合は、通常よりも工事が長引きます。雨や雪によって塗料が流れるため、作業が進められません。また、寒冷地によっては積雪や凍結の影響を避けるため、冬場の塗装工事に対応していない塗装業者もあります。
1日の日照時間が短い
12月〜2月の冬場は、外壁塗装の工事には不向きな季節です。1日の日照時間が短く、他の季節と比べて作業時間が少なくなるため、工事が長引きやすくなります。また、冬場は結露が発生しやすい点もマイナスです。
結露水によって塗料が流れるのを避けるため、早めに作業を切り上げて乾燥時間を長く確保しなければなりません。冬場は外壁塗装の工事期間が長期化しやすいため、依頼するかどうかを慎重に判断しましょう。
防水系の下塗り塗料を使っている
ウレタン防水や防水シーラーなどを使用した場合、他の下塗り塗料よりも乾燥までに時間がかかります。防水系の下塗り塗料に必要な乾燥時間は、約16時間です。一方、シーラーの乾燥時間は2〜3時間、フィラーは4〜6時間が目安になります。
防水系の下塗り塗料を使った場合、通常よりも工事期間が1〜2日伸びる点を理解しておきましょう。
シーラーとフィラー
シーラーとは外壁塗装や屋根塗装の際、下塗りの最初に使用される塗料です。塗装のひび割れ補修や上塗り塗料の過度な吸い込みを防ぐ役割を担います。シーラーを使わずに上塗り塗料を塗った場合、下地に塗料が過度に染み込み、仕上がりの品質が均一に保たれません。
また、カビの発生防止や遮熱機能を持つシーラーもあります。一方、フィラーはモルタルやコンクリート外壁のひび割れ補修に使われる下地塗料です。塗装面の凹凸を整え、耐久性や仕上がりの品質を高めます。
外壁塗装期間中の生活に関して
塗装工事中の生活に関する注意点は以下3つの内容があげられます。
- 洗濯物は外に干せない
- 在宅の必要はない
- 窓を開けるタイミングに制限が生じる
塗料の汚れや臭いの付着を避けるため、工事期間中に洗濯物は外で干せません。また、工事期間中の大半は、窓や玄関を閉めきった状態になります。特に養生や足場の設置、高圧洗浄の際は、資材や塗料の飛散を防ぐため、絶対に窓や玄関を開けられません。
洗濯物は外に干せない
外壁塗装の工事期間中、洗濯物は部屋干しかコインランドリーの使用が必要です。工事の日に洗濯物を外に干した場合、衣服に塗料や汚れ、臭いが付着する可能性が生じます。工事を依頼する前に、どちらの方法で対応するかを考えておきましょう。
在宅の必要はない
外壁塗装工事で立ち会いが求められる場面は、足場設置前の現場確認と工事完了後の検査のみです。2つの工程以外は、自宅にずっと留まる必要はありません。内装リフォームと異なり、外壁塗装はお住まいの外側に関して補修や塗料の塗り直しをおこないます。
工事の進捗に在宅の有無は影響しないため、留守にしていても問題ありません。ただし、長期間自宅を留守にする場合は、メールやビデオ会議などで進捗状況を確認するようにしましょう。
窓を開けるタイミングに制限が生じる
塗装工事期間中は、自由に窓や玄関を開けられなくなります。工事の進捗や室内の破損などを防ぐため、工事期間中は窓や玄関に養生テープが貼られた状態です。目安として工事期間の2/3は、窓や玄関を閉め切った状態が続きます。
室内を換気する場合は、キッチンやお風呂の換気扇を使いましょう。
外壁塗装の工事期間を短縮する4つのポイント
工事期間の短縮に向けて以下4つのポイントを押さえておきましょう。
- 梅雨と冬の工事を避ける
- 扱いやすい上塗り塗料を選ぶ
- 自社施工を強みとする塗装業者を選ぶ
- 塗装専門業者や工務店に依頼する
ポイントの内容を一つひとつ確認します。
梅雨と冬の工事を避ける
梅雨と冬場は閑散期に該当するため、他の季節よりも工事費用が安く、予約も比較的取りやすいです。ただし、どちらも工事期間が長期化しやすい傾向にあります。梅雨は前線や台風の影響で雨が続く可能性が高いです。天候不良の場合、塗装作業を進められません。
仮に雨の日に無理して作業を進めた場合は塗料が流れ、仕上がりの品質や耐用年数に悪影響が及びます。一方、冬場は気温が5℃以下となった場合、基本的に塗装工事ができません。塗膜が完全に固まるまでに、ゴミやホコリ、水滴が付着する可能性が高まります。
また、結露が塗料に染み込んだ場合はひび割れやもやが発生し、きれいな仕上がりが望めません。外壁塗装の工事は春か秋に実施するのがおすすめです。どちらの季節も気温や気候が安定しており、天候不良にともなう長期化を避けられます。
1日の日照時間も長く、塗料が乾燥しやすい点もプラスです。反面、塗装業者に依頼が集中するため、予約が取りにくくなります。確実に予約を取るため、数か月前から準備を進めておきましょう。
また、窓が自由に開けられなくても問題がない場合は、夏場に塗装工事を依頼するのも有効です。1日の日照時間が長く、晴れの日も多いため、比較的スムーズに作業を進められます。
扱いやすい上塗り塗料を選ぶ
シリコンやフッ素塗料など、塗装工事での使用頻度が高い上塗り塗料を選びましょう。職人が塗料の扱いに慣れており、素早くきれいな仕上がりが期待できます。一方、光触媒やナノテク塗料などは塗料メーカーも少なく、塗料の確保が困難です。
対応可能な塗装業者も少なく、工事の依頼先が限られます。取扱いメーカーが限られる塗料を使う場合は、工事期間が長引きやすい点を覚悟しなければなりません。
自社施工を強みとする塗装業者を選ぶ
自社施工が強みの塗装業者に依頼するメリットは、コストパフォーマンスに優れている点です。塗装工事の各工程を自社内で完結できるため、外部の業者に作業を任せる必要がありません。
連携ミスや外注先の人手不足、塗料の納入遅れなどが原因での工期遅延を避けられます。また、下請けに作業を振る機会が多いハウスメーカーと異なり、中間マージンや作業料金が工事費に上乗せされません。
自社施工が強みの塗装業者への発注によって、工事期間と工事費用を削減できます。また、屋根塗装も依頼する場合は、サイト上で屋根塗装の対応可否や施工実績も確認しておきましょう。
塗装専門業者や工務店に依頼する
塗装専門業者には、豊富な実務経験を持つ職人が多数在籍しています。これまで培ってきた経験やノウハウを活かし、素早く正確な仕事ぶりを望める点がメリットです。自社施工を強みとする業者も多く、屋根塗装も同時に依頼できるでしょう。
一方、工務店は顧客の要望に応じた対応を望める点がメリットです。地域密着型の経営スタイルを掲げており、予算や希望納期を汲み取った上で提案が得られます。
外壁塗装業者を探すにはゼヒトモがおすすめ!
はじめて外壁塗装工事を依頼する場合、どのように外注先を探したらいいか、わからない方もいるでしょう。検索エンジンを使って1社ずつサイトを確認するには、多くの時間が必要です。
工事の依頼先を効率的に探すためにも、ゼヒトモの利用を検討してみましょう。ゼヒトモは、「発注を探している方」と「新規顧客を探している企業」をつなぐマッチングサイトです。質問に答えるだけで、条件に合致した塗装専門業者を探せます。
最大5社まで見積作成の依頼や電話・チャットでのやりとりを交わせます。サイトの利用に費用はかかりません。外壁塗装の工事業者を探している方は、ゼヒトモの利用をご検討ください。
外壁塗装関連の最新記事
外壁塗装工事には決して安くない費用がかかるため「お金がない!」と困っている方も多いのではないでしょうか。まとまったお金を用意できない場合は、リフォームローンや補助金・助成金の活用を検討するのがおすすめです。 本記事では、 […]
住宅を建てる際、どの外壁材を選ぶといいのか悩むところではないでしょうか。なかなか決められないときは、人気の外壁材から選ぶのがおすすめです。 今回は、人気の外壁材をランキング形式でまとめました。機能性やデザインなどの特徴も […]