トタン屋根を塗装する最適なタイミングがわからず困っている方は多いのではないでしょうか。塗装時期を見極めるために、自分で判断できる劣化のサインを知っておきましょう。
また、どのようにトタン屋根が塗装されるのか把握しておくと、業者に依頼する時に知識として有効活用できます。この記事では、トタン屋根の塗装を業者依頼した場合の費用相場についても詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
トタンとは?
トタンとは、鉄の板を薄くし、メッキ処理した薄くて軽い鋼板を指します。錆びにくく安価で扱いやすいので、さまざまな場面で使われている素材です。メンテナンスをしていれば、15年~20年程の耐久性を持つため、決して錆びやすい素材というわけではありません。
トタンは錆びやすいというイメージがあるかもしれませんが、メンテナンスを怠った結果錆びてしまったというだけであって、錆びやすいわけではないのです。
では、具体的にはどのような種類があるのかについても見ていきましょう。
波板トタン屋根
「波板(なみいた)」トタン屋根と呼ばれるトタン屋根があります。ただし、「波板=トタン屋根」ではありません。「波板」はあくまでも「形状」を指す名称で、トタン板そのものを指すわけではないので注意しましょう。
トタンの中には波板の形状をしているものもある、という認識が正しいと言えます。波板の形状をしているのはトタンだけではないので、トタンと波板を混同しないようにしてください。
波板状のトタン屋根は「波板トタン屋根」と呼ばれ、塗装されて色を付けられているものも多くあります。
瓦棒葺きトタン屋根
瓦棒葺きトタン屋根とは、芯木という細い瓦棒の上から金属板を取り付けた屋根で、縦縞の見た目をしています。「瓦」という名前がついていることから、瓦が使われているのかと思われがちです。しかし、使用しているのは木材と金属板であり、日本瓦のような陶器ではありません。
瓦棒葺きトタン屋根には現在、主に「トタン」もしくは「ガルバリウム鋼板」が使われています。
ガルバリウム鋼板とは鋼板をアルミニウムと亜鉛、シリコンでできた合金でメッキ処理したもので、トタンよりも優れた性能を持っているため、現在はトタンよりも主流な素材です。断熱効果を持ち、耐震性に優れていますが、コストが割高になるというデメリットを持っています。
折板トタン屋根
折板(せっぱん)トタン屋根は、金属の板を折り曲げた形状をしている屋根です。継ぎ目が少ないため雨漏りが起こりにくく、比較的工事が安価かつ短期間で済むというメリットがあります。
折板屋根には屋根カバー工法というメンテナンス方法を適用でき、経年劣化が激しくなっても断熱性や遮音性の向上を図れるのが特徴です。
カバー工法は適用できる屋根とそうでない屋根があり、かかるコストや利便性の面からカバー工法を活用できるのは大きな調子だと言えるでしょう。
トタン屋根を塗装するべき劣化サイン
トタン屋根の寿命は、一般的に約15〜20年と言われています。具体的には、下記の劣化症状が見られたら塗装によるメンテナンスを検討しましょう。
- 色褪せ、変色
- チョーキング
- 塗膜の剥がれ、浮き
- コケやカビの発生
- ひび割れ
- サビ
これらの劣化を放置しておくと、屋根の穴あきや腐食、雨漏りなどにつながる恐れがあります。塗装メンテナンスでは対応できず、修理費用も高額となるため、劣化を見つけたらなるべく早めに塗装を検討することが大切です。
トタン屋根の塗装方法
トタン屋根の塗装は、基本的に下記4ステップで行われます。
- 高圧洗浄
- 下地処理(ケレン)
- サビ止め塗料の塗布(下塗り)
- 中塗り・上塗り
トタン屋根を塗装する際は、屋根の洗浄や不具合補修、周辺養生などさまざまな工程が必要です。塗料が乾く時間や天候悪化による遅れなどを考慮すると、作業完了までには約7〜10日程度かかると覚えておきましょう。
STEP1:高圧洗浄
まず高圧洗浄でトタンに付着している汚れを綺麗に落とします。埃やカビ、藻などやチョーキング現象によって付着した白い粉などを水で落とすのが、高圧洗浄の役割です。
特にチョーキング現象による白い粉は色むらや塗膜の剥離など、塗膜不良の原因になります。これを防ぐため入念に除去して、乾燥させてから下地処理に移ります。
STEP2:下地処理(ケレン)
塗装を行う前に、トタン屋根の下地処理(ケレン作業)を行う必要があります。ケレンとは、トタン屋根に付着している汚れやサビを落とす作業のことです。
事前に細かい汚れを除去しておくことで、塗装材の密着度を高められます。トタン屋根は素材が鉄板のため、高圧洗浄に加えて、ワイヤーブラシやサンダーケレンなどの工具を使用するケースがほとんどです。
塗装業者に見積もりを依頼する場合は、ケレン作業の金額がしっかり組み込まれているか確認しておきましょう。
STEP3:サビ止め塗料の塗布(下塗り)
下地処理が終了したら、サビ止め塗料を塗布します。「下塗り」と呼ばれ、サビの進行を遅らせる下塗り材を塗布する工程です。基本的には、下記4種類の塗料を使用する傾向にあります。
- 一般錆止め塗料
- シアナミド鉛錆止め塗料
- 一液エポキシ樹脂錆止め塗料
- 二液エポキシ樹脂錆止め塗料
二液エポキシ樹脂錆止め塗料は、最もサビ止め効果が高いと言われているため、耐久性を重視したい方は業者に相談してみると良いでしょう。
STEP4:中塗り・上塗り
下塗り後は、中塗り、上塗りの順に塗料を塗り重ねていきます。中塗りと上塗りには同じ塗料を使用するのが基本で、重ね塗りすることで、塗料の効果を高められます。
また塗料の種類には、主に「アクリル塗料」「ウレタン塗料」「シリコン塗料」「フッ素塗料」の4種類があり、それぞれ耐久性が異なる点に注意が必要です。
フッ素塗料は耐久性が最も高い分、値段も高額になるため、予算と相談しながら決めるようにしましょう。
トタン屋根塗装におすすめの塗料
トタン屋根の塗装におすすめの塗料は、下塗り材と中塗り・上塗り材で異なります。
下塗り材には「サビ止め効果が高い塗料」、中塗り・上塗り材には「耐久性が高い塗料」を選ぶのがオススメです。
下塗り剤
下塗り剤のお勧めの塗料は以下の2種類です。
- 2液型エポキシ樹脂塗料
- 2液型ポリウレタン樹脂塗料
人気の塗料は「サーモアイプライマー(日本ペイント)」です。
1液型と2液型の違いとは
1液型とは、塗料液のみでできている塗料を指します。一方で2液型とは、塗料液と硬化剤が混合している塗料を指します。硬化剤が含まれているため、2液型の方が速乾性があるのが特徴です。
塗料性能としては、2液型はコストが高くなる分、1液型よりも耐久性に優れています。耐用年数はおよそ3年ほど長いと言われており、長期的な目線ではコストパフォーマンスが高いと言えるでしょう。
中塗り剤・上塗り剤
中塗り剤と上塗り剤のおすすめの塗料は以下の2種類です。
- 弱溶剤2液形アクリルシリコン樹脂塗料
- 弱溶剤2液形フッ素樹脂塗料
人気の塗料は「サーモアイSi(日本ペイント)」です。
トタン屋根の塗装はDIYできる?
トタン屋根の塗装は、基本的にDIYで対応できません。間違った方法で塗装したり、選ぶ塗料を間違えたりすると、思うような効果を得られない可能性もあります。
DIIYで施工後すぐに塗装が剥がれた場合、余計な費用がかかってしまう恐れもあるでしょう。
また、屋根塗装で必要な足場の建設には、国家資格が必要なので、素人だけでの作業は不可能です。安心してトタン屋根の塗装をするためにも、プロの職人がいる工務店やリフォーム業者に依頼してください。
以下の関連記事では、屋根材別の費用相場や安く抑えるコツについて解説しています。屋根塗装を少しでも安く抑えたいとお考えの方はぜひご覧ください。
関連記事: 屋根塗装の費用相場
トタン屋根塗装にかかる費用相場
トタン屋根の塗装にかかる費用相場は、塗装面積によって大きく異なります。坪数・屋根面積別の費用相場をまとめたので、詳しく確認してみましょう。
建物の面積(坪数) | 屋根面積の目安 | 費用相場 |
20坪 | 36~50㎡ | 約17~42万円 |
25坪 | 62~87㎡ | 約50万円~70万円 |
30坪 | 74~104㎡ | 約60万円~80万円 |
35坪 | 87~122㎡ | 約75万円~105万円 |
40坪 | 100~140㎡ | 約85万円~120万円 |
45坪 | 118~165㎡ | 約95万円~135万円 |
50坪 | 124~174㎡ | 約100万円~155万円 |
たとえば、2階建て住宅で塗装面積が50〜80㎡の場合、費用総額は約40〜70万円前後が目安です。
使用する塗料の種類や屋根の勾配によっても費用は変動しますが、目安からあまりにもかけ離れている場合は一度業者に工事内訳を尋ねてみましょう。
塗装費用を抑えたい方は、複数業者に相見積もりを依頼し、比較検討することもポイントです。
【施工別】塗装対応できない場合の修理費用
「サビが進んで屋根に穴が開いている」「雨漏りしている」など、劣化が進んでいる場合は塗装だけでメンテナンス対応ができません。塗装できない場合は、主に下記いずれかの修繕工事を行う必要があります。
- 葺き替え工事
- 屋根カバー工法
それぞれ施工方法やメリット・デメリットが異なるので、劣化状況や予算に応じて適切な施工を選択することが大切です。
ただし、どちらも塗装よりは値段が高くなるため、劣化が進行する前に塗装を検討すると良いでしょう。
葺き替え工事にかかる費用相場
トタン屋根が寿命を迎えている場合、葺き替え(張り替え)リフォームを行うのが一般的です。その名の通り、既存のトタン屋根を撤去し、新しい屋根を張り替える工法で、屋根材を変更することもできます。
葺き替え工事にかかる費用相場は、約100〜180万円程度。新しい屋根材の種類や劣化状況によっては、費用総額が200万円を超えるケースも少なくありません。
また、トタン屋根から新しい屋根材に変更する場合、耐久性や防食性に優れたガルバリウム鋼板が使われることが多い傾向にあります。
屋根カバー工法にかかる費用相場
カバー工法とは、既存のトタン屋根の上に、新たな屋根を被せて施工する方法のことです。葺き替え工事に比べて屋根の撤去費がかからないものの、芯木や野地板、ルーフィングを設置する工程が追加されます。
カバー工法の費用相場は約110〜200万円前後と幅広く、特別費用が安いわけではありません。
下地の状況によっては耐久性が低くなる恐れもあるため、特別な理由がない限りは、葺き替え工事を選択するようにしましょう。
トタン屋根の塗装は業者に任せよう
トタン屋根の塗装をDIYしようと考えている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、それは現実的ではないと言えます。高所での作業はプロに任せるのが一番確実で安心・安全です。色ムラや施工不良といった心配もいらないため、業者さんに相談しましょう。
とはいえ、悪徳業者が存在することも事実です。優良業者を探すためには、相見積もりをとるのも大切です。相見積もりとは、複数の業者に同時に見積りを出してもらう方法です。
見積りを比べて、どの業者が最も信頼できる対応をしてくれるかを見極めましょう。見積書を見て、抜けや漏れ・余計な施工費用が追加されていないかを確認してください。
ゼヒトモで屋根塗装業者のプロを探す
トタン屋根の塗装方法や費用相場などをご紹介しました。安心してトタン屋根を塗装するためには、信頼できる業者に施工を依頼するのがおすすめです。
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