高齢者の身体の自由がきかなくなってくると、入浴にも介助が必要です。ご自宅で高齢者と同居している場合、ご自宅のお風呂を介護用お風呂にリフォームしたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。もしくは将来、リフォームが必要になるかもしれないと考えているかもしれません。
この記事では、以下のポイントを紹介します。
- 介護用のリフォーム内容
- 介護用リフォームをする際の注意点
- 介護用お風呂にリフォームする際の費用相場
- リフォーム時に使用できる補助金
この記事を読むと、できるだけ金銭的な負担を軽減できる補助金のこともわかるため、ぜひ参考にしてください。
介護用のリフォーム内容とは
歳を重ねると、身体の機能も少しずつ衰え、ちょっとした段差でもつまずくようになります。そのため、高齢者の入浴に介助が必要になることも多いでしょう。
たとえば、自宅のお風呂を介護用にリフォームするには、以下のような工事が必要です。
- 段差をなくす
- 床材を滑りにくいものにする
- 手すりの設置
- 浴槽を変更する
- バスリフトの設置
- ドアを引き戸、もしくは折れ戸へ変更
- 浴室を広くする
- 浴室暖房乾燥機の設置
上記について、ひとつひとつ説明します。
段差をなくす
浴室に段差がある場合、高齢者が入浴する際につまずいて転倒する恐れがあるため注意が必要です。転倒してしまうと、骨折して入院することにもなりかねません。
転倒防止のため、介護用のお風呂リフォームでは段差をなくす工事が行われることが多いです。ただし浴室の段差をなくすと、水が浴室の外まで広がることがあるため、水漏れの対策もしておかなければいけません。
床材を滑りにくいものにする
転倒防止のため、床材を滑りにくい素材にするのも重要です。昔ながらのタイルは、濡れた際に滑る危険があり、転倒した際の怪我がひどくなるかもしれません。滑りにくいやわらかい床材にすれば、安心して入浴できます。
また、入浴補助のため一緒に浴室に入る介護者にとっても、床が滑りにくくやわらかいものだと負担が減るでしょう。
手すりの設置
手すりを設置すると、入浴の安全性をより高められます。高齢者は身体の筋力が衰え、しゃがんだり立ち上がったりの動作がしにくくなるため、手すりがあると入浴しやすくなるでしょう。また、椅子を使用するときにもおすすめです。
浴槽をまたぐときも手すりにつかまると、転倒防止になります。手すりを設置する場所は、シャワー付近や出入り口がよいでしょう。
浴槽を変更する
浴槽の高さがあると、高齢者は浴槽をまたぐのが困難です。無理をしてまたぐと、転倒する恐れもあるでしょう。
もしもご自宅の浴槽が高いのであれば、浴槽自体を変更することで高齢者の転倒防止につなげるのもひとつの方法です。浴槽の高さは利用する方のひざ下の高さを目安にすると、安心して洗い場から浴槽に移動できるでしょう。
バスリフトの設置
バスリフトとは、浴槽に設置した椅子のようなものが電動で昇降し、高齢者の入浴補助ができる機械のことです。ひざや腰を曲げるのがつらい方や浴槽をまたぐのが不安な方、一人で立ち座りができない方でも、楽に入浴できます。
バスリフトを設置すれば転倒防止にもなりますし、今まで入浴介助をしていた介護者の負担軽減にもなります。
ドアを引き戸、もしくは折れ戸へ変更
浴室のドアが浴室側へ押すタイプのドアの場合、もし車いす利用者になった場合に入り口が狭いためお風呂に入るのが困難です。
また、浴室内で高齢者が倒れたという場合も、押し戸だと救出に時間がかかる場合があります。そのため、浴室のドアは引き戸か折れ戸にリフォームしておくのがおすすめです。引き戸の場合だと開け閉めするのに力も必要なく、高齢者の方でも簡単に操作できます。
浴室を広くする
もともと浴室が狭い場合は、思い切って浴室を広くした方が、高齢者が快適に入浴できます。洗い場が狭いと、手すりの設置も難しいでしょう。
入浴の介助をする場合も、浴室に2人入り、スムーズに動作が行えるスペースの確保をする必要があります。浴室の広さをどれくらいにするかは、それぞれのご家庭の事情や、介助の仕方によって調整してみてください。
浴室暖房乾燥機の設置
浴室暖房乾燥機を設置すると、寒い冬でも事前に浴室を温めておけます。気温が低いときに、暖かい部屋から寒い浴槽に入ると血圧が一気に上昇、その状態で熱いシャワーを浴びると今度は血圧が急激に下がってしまいます。血圧が急に上がったり下がったりすると高齢者の身体に立ちくらみやめまいを起こし、最悪死につながる可能性も出てくるでしょう。
このような温度変化による急激な血圧の上下で、身体にダメージを負うことをヒートショックといいます。このヒートショックを起こさないためにも、入浴の前に浴室を温めておくことは大切です。
介護用リフォームをする際の注意点
介護リフォームをする際には、高齢者が気持ちよく入浴できるように、また介助者の負担ができるだけ軽減するように心がけましょう。
注意点は、以下のとおりです。
- お風呂への出入りがスムーズにできるようにする
- 介助者が入れる広さの洗い場を確保する
- 介護の動作に関わるお風呂の各所を予防的な視点で準備する
上記3点を詳しく解説します。
お風呂への出入りがスムーズにできるようにする
まず、「浴室の出入りがスムーズにできるようにする」という視点で考えてみましょう。浴室内で介助者が高齢者の身体を洗い、浴槽につかるシーンは想像できるかもしれませんが、お風呂に入るまでの動線も考えておくことが大切です。
介護の負担を減らすため、福祉用具を使うこともあります。介助者が高齢者に寄り添ってお風呂まで行く場合でも、スムーズに出入りできるようにプランを考えましょう。
介助者が入れる広さの洗い場を確保する
お風呂場をリフォームするのであれば、介助者が一緒に入浴することを見越してリフォームするのがおすすめです。
一般的な浴室の大きさは畳2枚ほどの大きさですが、入浴に介助が必要となれば、浴室や浴槽、洗い場の大きさも調整が必要になります。介助者も一緒に入れるくらいの広さを考えましょう。
介護の動作に関わるお風呂の各所を予防的な視点で準備する
介護しながら入浴をさせる動作を何度かシミュレーションして、どのようにリフォームすればいいかを考えておくことも大切です。介護用の福祉用具を使うとどのくらいの広さが必要になるのか、手すりはどこに設置すると安全性が高まるのかなどを考えておくとよいでしょう。
浴槽も腰をかけて入れるタイプなら、高齢者も介護者も負担が軽減されます。このように、お風呂の各所を予防的な視点で考え、リフォーム工事を発注してみてください。
介護用お風呂にリフォームする際の費用相場
気になる介護用お風呂にリフォームする際の費用ですが、相場としては以下のとおりです。
- 浴室の出入り口の段差をなくす工事:約5万~7万円
- 転倒防止のため浴槽の床材を張り替え滑りにくくする工事:約10万~20万円
- 浴室のドアを使いやすいように交換する工事:約6万~20万円
- 壁に手すりを設置し、高齢者の安全を確保する工事:約3万~5万円
- 介護しやすいように浴室の広さを変更する工事:約30万~50万円
間取りを変更するような大掛かりな工事になると費用も高い傾向にあるので、事前に把握しておくようにしましょう。
リフォーム時に使用できる補助金とは
介護リフォームをする際には、下記のような補助金を使用できる場合があります。
- 介護保険
- 国の補助金事業
- 地方自治体の補助金
これらの補助金は、使用する際の条件や工事範囲などがあるため、補助金を申請する前に確認しておきましょう。
介護保険
介護用のリフォームをする際、条件が合えば介護保険の補助も申請できます。たとえば、手すりの設置や段差の解消、ドアを引き戸に交換するなどの工事には介護保険が適用されます。工事費の上限は20万円です。
しかし、保険の適応には、利用する人が要支援・要介護認定を受けているなどの条件があります。申請はケアマネージャーを通しての申請となるため、申請したい方はケアマネージャーに相談してみましょう。
国の補助金事業
上記の介護保険のほかにも、国の補助金事業を利用できる場合もあります。たとえば、「こどもエコすまい支援事業」には、補助対象事業にリフォームがあります。
ただし、以下の3つの工事のうちどれかを同時に行う場合かつバリアフリー改修が補助対象です。
- 開口部の断熱改修
- 外壁、屋根・天井または床の断熱改修
- エコ住宅設備の設置
地方自治体の補助金
各自治体でも、介護用のリフォームに補助金を出してくれるところがあります。たとえば渋谷区では、住宅設備改修給付として、「浴槽の取り替え」が対象工事に入っています。給付対象の条件はありますが、給付限度額が 379,000円です。
しかし、自治体によって、補助金額や内容、条件などが異なるため注意が必要。自治体の補助金を使用したい場合は、お住いの市区町村のホームページを確認しておきましょう。
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介護者用の浴室リフォームには、段差をなくしたり手すりを設置したりと、さまざまな方法があります。注意点や費用相場を抑えたうえで、ご自宅に合ったリフォーム内容を検討するのがおすすめです。
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