マンションの玄関ドアをリフォームする際、気になるのが費用相場です。玄関ドアのリフォーム価格は、工法やドアの種類、性能などで変わります。
本記事では、マンションの玄関ドアをリフォームしたい方に向けて、費用やリフォームの流れ、メーカー・商品の特徴などを解説します。
リフォーム費用について
住まいの玄関ドアは、長い年数の使用による劣化や不具合で補修や修理では状態が回復せず、交換・リフォームをすることがあります。その際は、どのくらいの費用がかかるかが気になるかと思います。
リフォームの費用は、工法やドアの形状などで異なります。ここでは、玄関ドアの平均的な費用や、低価格でリフォームする方法などを解説します。
平均的なリフォーム費用
玄関ドアのリフォーム工事の方法は、大きく分けて「カバー工法」「持ち出し工法」「扉だけの交換」という3種類の工法があり、それぞれ価格が異なります。
カバー工法は、ドア枠に新しいドア枠を被せて取り付ける工事方法で、作業の費用相場は30万円程度です。
持ち出し工法は、既存のドア枠の外側に新しいドア枠を設置する方法で、交換費用の相場はカバー工法と変わらず30万円程度とされています。
扉だけの交換は、既設のドア枠を変更せずに玄関扉の部分だけを交換する簡単な方法で、費用相場は20万円程度です。
カバー工法と持ち出し工法は施工の時間が約2時間ほどかかりますが、扉だけの交換であれば工事時間は約90分ほどで完了します。
低価格でリフォームを実現する方法
玄関ドアの交換工事は、安い商品を選ぶことで価格を抑えることが可能です。玄関ドアのデザインは豊富にありますが、比較的安いメタルカラーを選ぶと価格を1割ほど抑えることができます。
また、LIXILリシェントなど、メーカーによってはランマ(欄間・出入りする開口部の上にある小さな開口部)のないドア枠が安くなります。
ただし、ランマなしのドア枠が合わない構造の玄関もあるため、見積もりの際などにリフォーム業者に問い合わせして確認しておきましょう。
ほかにも、ドア鍵を電気錠ではなく手動錠にすることで、費用の負担を抑えられます。
さらに、ドアの交換ではなく粘着剤付化粧フィルムを張る方法にした場合、1枚当たり4〜5万円と大幅に安く済ませることが可能です。粘着剤付化粧フィルムとは、樹脂フィルムに柄が印刷されたフィルムのことです。施工の手間がなく工期も短いため、気軽に依頼できます。
特にドア本体や部品の劣化などはなく、外観をきれいにしたいという場合は、この方法でも十分に目的を果たせるでしょう。
玄関ドアの種類による費用差
玄関ドアのリフォームの金額は、施工するドアの種類・グレードによっても変わります。種類別の本体価格は、次のとおりです。
種類 | 費用相場 |
片開きドア | 10万円~35万円 |
親子ドア | 25万円~40万円 |
両開きドア | 40万円~60万円 |
引き違い扉 | 7万5,000円~40万円 |
片引き扉 | 6万円~32万円 |
「片開きドア」「親子ドア」「両開きドア」の3つは、前後に開閉するドアです。種類によって、開口部の広さや開閉のしやすさが異なります。
「引き違い扉」「片引き扉」は、レールを活用して左右にスライドさせて開閉する引き戸です。前後に開閉するスペースを必要とせず、限られたスペースでも設置しやすいのがメリットです。開閉が楽なため、高齢の方が住む住宅にもおすすめです。
それぞれの特徴を確認し、予算に合わせて選び方を考えましょう。
工事費用の内訳
リフォームの工事費は工事内容にもよりますが、設置と撤去・処分費用で一般的に5万円〜10万円程度が目安です。そのため、玄関ドアのリフォームで費用がかかるのは、主にドア本体・部品代と考えてよいでしょう。
玄関ドアの価格は、性能によっても変わります。ドアの性能には、断熱機能や玄関の扉を閉めたまま換気ができる機能、電子キーなどがあります。また、侵入防止など防犯の対策がしたい場合、防犯機能を備えたタイプであれば安心です。
これらの機能がある玄関ドアは、価格も高額になります。より快適な高性能ドアを希望する場合は、ある程度のコストがかかり、予算の確保が必要になることは把握しておいてください。
できるだけ節約したいのであれば、ドアの機能性は必要最低限にとどめましょう。施工の依頼先であるリフォーム会社に希望するドアと予算について相談し、提案をしてもらうことをおすすめします。
リフォームの流れと時間
玄関ドアのリフォーム工事に際しては、リフォームの許可申請や周囲の住人への配慮などが必要です。
ここでは、リフォーム前後の流れと工事の進行についてみていきましょう。
リフォーム前後の流れ
マンションは大きく共用部と専有部に分けられ、玄関ドアは共用部分にあたります。分譲マンションの場合は、共用部分をリフォームをする前に管理組合の許可が必要です。
分譲マンションでは12〜15年の周期で行われる全体の大規模修繕・改修のタイミングでリフォームができることもありますが、その合間に自分で共有部分を交換したい場合、マンション管理組合の許可が必要です。
賃貸マンションの場合も、消耗品以外の設備の交換・修理は基本的にオーナー・管理会社の許可を得なければなりません。
通常の利用で玄関ドアに不具合が出た場合、修理・交換を行うのは貸主の義務です。その場合は、オーナー・管理会社が費用を負担します。
また、リフォームの作業を行う際は、近隣への配慮も大切です。業者の出入りや作業時の騒音により、他の居住者に迷惑をかけることになるため、事前の告知が必要です。
管理規約に則り、工事期間や作業時間などの告知内容をマンションの掲示板やエレベーター内などの共用部分に掲示しましょう。特に、隣と上下階には個別に告知の書類を配布するなど、確実に伝えなければなりません。
工事の進行
玄関ドアを設置する工事は、工事方法により流れが変わります。開戸を設置する一般的な工事の流れは、次のとおりです。
- 工事するドアの周囲にシートを敷き、養生する
- 既存のドアを取り外し、ドア枠の周囲の壁を取り壊す
- 新たなドア枠を取り付けて周囲の壁を塗り固める
- 乾燥したら新しい玄関ドアを取り付ける
玄関ドアの大きさが同じ場合は、以前のドア枠を残し、その上に新しい枠を被せていくカバー工法で対応できます。壁を壊さないため費用が安く、施工時間も短いのがメリットです。
ドアデザインの選び方
玄関ドアは住まいの顔であり、デザインやカラーは家全体の印象に大きな影響を与えます。また、ドアの開閉方式は大きく開戸と引き戸の2種類に分かれます。
ここでは、玄関ドアの選び方をみていきましょう。
人気のドアデザイン、カラー
玄関ドアのデザインやカラーバリエーションは、各メーカーからさまざまなパターンが提供されています。外壁の色や家のデザイン、玄関周りの雰囲気に合わせて選びましょう。
カラーはグレー系やアイボリー系、木目調などが主流で、アルミ・ステンレスなどの素材の色をそのまま使用したメタルカラーもあります。
特に木目調は自然な風合いで、外壁や玄関周りに馴染みやすく、人気のカラーです。玄関ドアは雨風や紫外線にさらされますが、木目調は汚れが目立ちにくく、経年劣化が緩やかというメリットもあります。
また、玄関ドアには閉めたまま風を通すものや断熱機能、遮音性能など、高性能を持つタイプもあります。予算が許せば、検討してみるとよいでしょう。
開閉方式の選択
玄関ドアの種類は、開閉方式により「開き戸」と「引き戸」に分けられます。開き戸は、レバーやハンドルを使ってドアを前後に開閉するタイプです。マンションの多くで採用されています。気密性が高く、音漏れを防ぐなどの特徴があります。
引き戸は、横にスライドさせて開閉するタイプです。主に戸建て住宅で採用されています。ベビーカーや車椅子の出入りがしやすいというメリットがあります。
開戸は、次のような種類に分けられます。
片開きドア | ・シンプルで一般的なタイプ・価格や安い ・間口が狭い玄関にも設置可能 |
両開きドア(観音開き) | ・左右同じ大きさの2枚のドアを組み合わせたタイプ ・どちらのドアからも出入り可能・間口の広さが必要 |
親子ドア | ・大きさの異なる2枚のドアを設けたタイプ ・親扉の方にハンドルやレバーが付いている |
片袖ドア | ・開閉するドアと小さい固定式の窓があるタイプ ・光が入りやすい |
両袖ドア | ・片開きドアの両隣に固定式の窓があるタイプ ・片袖ドアよりも光を取り込みやすい |
引き戸には、次のようなタイプがあります。
片引きドア | 片側だけが左右どちらかにスライドするタイプ |
両引きドア | ・2枚のドアが左右にレールを滑らせて開閉するタイプ ・引き込むためのスペースが必要 |
引き違いドア | ・2枚のドアが左右どちらにも開閉するタイプ ・2枚建て・4枚建てのタイプもある |
防犯性の高いドアの特徴
近年は、防犯性能の高いドアも人気です。侵入犯罪の多くは玄関ドアを侵入口としており、工具によるドア錠のこじ開けやピッキングなどの手法で侵入されています。
これらの犯罪に対し防犯機能のある玄関ドアは、次のような特徴があります。
- サムターン回し対策が施されている
- ガードプレートが付いている
- ピッキングに強い
- 錠前が2つ以上ある
サムターン回しとは、ドアの隙間からサムターンを回して侵入する手口です。これを予防するため、外からサムターンを回されにくい構造になっているドアもあります。
また、玄関ドアからの侵入方法のひとつに、ドアの隙間からバールやドライバーなどを押し込み、こじ開けるという手口があります。ガードプレートが付いた玄関ドアであればドアの隙間を埋めることができ、防犯が可能です。
ディスクシリンダー錠やピンシリンダー錠など構造がシンプルな鍵は、専用工具を鍵穴に差し込むピッキングですぐに解錠される恐れがあります。一方、ディンプルシリンダー錠であればピッキングを防げます。
さらに、玄関ドアに鍵が2つ以上あれば、より高い防犯ができるでしょう。
メーカーと商品の比較
玄関ドアのリフォームで用いられるドアのメーカーは、主にYKK APとLIXILです。
ここでは、各メーカーの特徴や商品の比較について解説します。
各メーカーの特徴
YKK AP株式会社は、ファスナーの製造・販売を行っているYKK株式会社のグループ企業です。
主力商品のリフォーム用ドア「ドアリモ」は価格重視で設計されており、量販店やリフォーム業者でも多く扱われています。
ドアリモは断熱ドアとアルミドアから選べ、デザインやカラーが豊富です。便利で防犯にも配慮した電気錠「スマートコントロールキー」を搭載し、玄関の換気を良くする通風デザインも選べます。
株式会社LIXILは、2011年に主要な建材・設備機器メーカーであるトステム・INAX などの5社が統合したメーカーです。
玄関ドアの「リシェント」は、豊富なデザイン・カラーバリエーションがあり、独自の枠固定方式で、さまざまな住宅に施工可能です。スマートフォンが鍵になる電子錠や、ドアを閉めたまま換気できるドア、断熱機能付きなど、さまざまなタイプを揃えています。
商品の比較とおすすめ
YKK APの「ドアリモ」とLIXILの「リシェント」について、さまざまな観点から比較を表にしました。
ドアリモ | リシェント | |
デザイン | ・シンプル、ナチュラル、エレガント、モダンの4種類 ・比較的カジュアルなデザインが多い | ・シンプルモダン、洋風、ナチュラル、和風の4種類 ・重厚感のあるデザインが多い |
防犯性 | ピッキング抑制機能付き | サムターンを取り外しできる機能付き |
断熱性 | 断熱性能のあるタイプあり | 高断熱仕様と断熱仕様の製品あり |
通気性 | 12デザインから通風ドアを選べる | ドアに窓を設けたモデルが多い |
管理組合へ事前連絡は忘れずに
分譲マンションで共用部分である玄関ドアのリフォームをする際は、工事が始まる前に予定を管理組合に伝えなければなりません。事前連絡は、次の手順で行います。
- 管理規約の内容に違反していないかチェックする
- 申請に必要な書類を揃える
- 管理組合へ申請書類を提出する
- 工事許可が降りたら近隣住民へ周知する
リフォーム業者が決まったら、管理規約との整合性について確認してもらうとよいでしょう。申請に必要書類はマンションによって異なります。準備に時間がかかるものもあるため、早めに確認しておいてください。
書類は理事長へ直接提出するか、管理人を通すかはマンションによって異なるため、そちらも確認しておきましょう。管理組合より工事の承認が降りたら、早めに近隣住民へ挨拶を行い、騒音などの迷惑をかけることを説明します。
工事業者選びのポイント
リフォームの工事業者を選ぶ際は、工事実績の確認が必要です。工事実績は、業者を判断する大きな基準になります。経験で培ったノウハウにより、質の高い施工が期待できるでしょう。
保証や保険の確認も大切です。玄関ドアのメーカー保証は商品自体の保証で、どこの業者に依頼しても2年間です。一方、工事保証はドアの閉まりが悪い、鍵がかかりにくいといった工事に起因する不具合についての保証で、業者によって異なります。できるだけ長い保証のある業者であれば、安心して依頼できます。
工事保険とは、工事したものによって住民がケガなどをしたときに補償するものです。工事保険の期間は、一般的に工事後10年間です。工事保証のほか、工事保険がついていることを確認しておいてください。
まずは、いくつかの業者を絞り込んで見積もりを行います。施工業者を決めて現地調査を行った際には、工事費用や不明点などを質問し、疑問を解消しておきましょう。
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マンションの玄関ドアリフォームにおける費用や流れ、ドアのデザインなどをまとめて解説してきました。玄関ドアのリフォームには決して安くない費用がかかるため、安心して施工するためにも信頼できる業者に依頼することが大切です。
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