ガルバリウム鋼板屋根は、一戸建てでよく使われている薄い鉄板です。耐震性かつ耐久性が高い屋根材なので、リフォームを検討する方も多いでしょう。
今回は、ガルバリウム鋼板の特徴やメリットやデメリットを解説します。施工費用の相場についても紹介するため、ガルバリウム鋼板屋根へのリフォームを検討されている方は参考にしてください。
ガルバリウム鋼板とは?
ガルバリウム鋼板とは、表面にアルミニウム・亜鉛・シリコンのメッキを施した薄い鉄板を指します。従来は金属屋根材が使われていましたが、ガルバリウム鋼板はがトタン板に比べて錆びにくいことから一気に普及したといわれています。
ガルバリウム鋼板の耐用年数は、30〜40年程度です。ただ日当たりが良い場所や自然災害が多い地域など、環境状況によっては早く劣化症状が出ることがあります。
ガルバリウムの中でも、最近注目されているのはSGL(エスジーエル)です。SGLは、ガルバリウムのメッキ層にマグネシウムを加えたもので、従来のガルバリウム鋼板より防錆性が3倍も向上した素材です。
ガルバリウム鋼板のメリット
屋根材にはさまざまな種類があるので、素材選びで迷う方も少なくありません。ここでは、ガルバリウム鋼板を使ってリフォームするメリットを紹介します。
耐震性・耐久性が高い
ガルバリウム鋼板は、耐久性に優れた素材です。屋根は常に雨風にさらされる場所なので、耐久性の高さは重要な条件でしょう。ガルバリウム鋼板は亜鉛鉄板の犠牲防食機能とアルミの長期耐久性を併せ持つ素材であるため、従来のトタン屋根に比べて3〜6倍の耐久性があるのです。
台風などの自然災害が多い地域や積雪の多い地方でも、耐久性が高いガルバリウム鋼板屋根であれば安心して過ごせます。
また、耐震性に優れている点も特徴です。屋根の重さは耐震性に影響を与えるため、地震が頻繁に起こる日本では屋根の軽量化が求められます。ガルバリウム鋼板は薄い素材で、重さも瓦の10分の1程度です。建物にかかる屋根の負担を軽減できるため、地震の揺れにも安心でしょう。
防水性が高く錆びにくい
ガルバリウム鋼板は、金属素材なので水分を吸収しません。屋根が雨で濡れても水を通したり凍害で劣化したりする心配はなく、雨漏りに強い特徴があります。
さらに、ガルバリウム鋼板は、金属屋根材の中でも錆びにくいといわれています。錆が出やすい屋根材を選んでしまうと、定期的なメンテナンスが必要です。またメンテナンスを怠ると錆が進行して、場合によっては雨漏りのリスクにつながることもあります。メンテナンスを楽にしたいのであれば、ガルバリウム鋼板がおすすめです。
加工しやすくさまざまな屋根の形状に対応できる
ガルバリウム鋼板のメッキ層は柔らかいので、複雑な折り曲げも簡単におこなえます。加工しやすい素材であるため、さまざまな屋根の形状に対応できるメリットがあります。
屋根がデザイン性の高い形状である場合は、ガルバリウム鋼板を選ぶと柔軟に対応できるでしょう。近年は、表面にポリエステル樹脂やフッ素樹脂を焼き付けたガルバリウム鋼板も多く開発され、さらに機能性が向上しています。
ガルバリウム鋼板のデメリット
多くのメリットがあるガルバリウム鋼板ですが、いくつかデメリットがあるのも事実です。デメリットをきちんと理解したうえで、屋根材にガルバリウム鋼板を使用するか決めることが大切です。
ここからは、ガルバリウム鋼板のデメリットを紹介します。
断熱性が低い
ガルバリウム鋼板は金属素材であり、素材自体に断熱性能は持ち合わせていません。断熱性が低く、夏は暑かったり冬は寒かったりと自宅で快適に過ごせないこともあります。一年中快適に過ごすためには、断熱性の低さを補う工夫が必要です。
一般的には、 断熱対策として 屋根材の下や屋根裏に断熱材が施工されますが、この場合は追加で断熱工事費用がかかります。断熱性能が高い屋根材を選びたいなら、瓦やスレート屋根にするのがおすすめです。
防音性が低い
金属素材であるガルバリウム鋼板は、瓦屋根やスレート屋根と比べると防音性に劣ります。屋根材単体で使用すると雨音が室内に伝わりやすくなるため、就寝時にうるさいと感じるかもしれません。また、自宅の構造によっては雨音が余計に響くことも考えられ、雨音がさらに大きく感じることもあるでしょう。
ただし、防音材を下地に敷く対応をすれば、防音性能が向上します。防音性を高めたいのであれば、リフォーム業者に防音対策を相談しましょう。
施工には高い技術力が必要
ガルバリウム鋼板を施工する場合、専門的な板金技術を備える板金工事業者に依頼する必要があります。
しかし、金属屋根のリフォームを依頼できる業者は多くありますが、専門的な板金技術を備える板金工事業者は見つかりづらいデメリットがあります。板金工事業者を見つけても必ずしも高い技術があるわけではないので、業者を探すのに苦労することも多いです。
ガルバリウム鋼板屋根とスレート屋根・瓦屋根の違い
屋根をリフォームするにあたって、屋根材選びに迷う方は少なくありません。下記はガルバリウム鋼板屋根・スレート屋根・瓦屋根の違いについてまとめたものです。
屋根材 | 軽さ | 耐風性 | 遮音性 | 断熱性 |
ガルバリウム鋼板屋根 | ◎ | ◯ | △~◯ | △~◯ |
スレート屋根 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
瓦屋根 | × | ◎ | ◎ | ◎ |
【ガルバリウム鋼板屋根】
ガルバリウム鋼板は、軽量で屋根の負担が少なく防水性かつ耐震性に優れています。また、耐熱性にも優れているので、夏でも冬でも自宅で快適に過ごせるメリットがあります。
ガルバリウム鋼板屋根の耐用年数は30〜40年程度で、スレート屋根より寿命が長いです。ガルバリウム鋼板の施工費用は、1平方メートルあたり6,000〜1万2,000円程度になります。
【スレート屋根】
セメントを薄板に加工した屋根材が、スレート屋根です。色やデザインが豊富であるため、自分好みの屋根に仕上げられます。
スレート屋根の耐用年数は25〜30年で、ほかの屋根材に比べると寿命が短いです。施工費用は、1平方メートルあたり4,000〜8,000円になります。比較的安価で施工できるので、費用を抑えてリフォームしたい場合にもぴったりです。
【瓦屋根】
瓦を屋根材として使用しているのが、瓦屋根です。瓦の原料は主に粘土を焼いて成型されていますが、粘土以外の原料を使用した瓦もあります。
瓦屋根は、耐久性かつ耐熱性に優れている点が特徴です。また瓦が1枚割れても部分的に取り替えられるので、簡単に修繕できます。
瓦屋根の耐用年数は、50年以上で寿命は非常に長いです。施工費用は、1平方メートルあたり9,000〜1万6,000円になります。
ガルバリウム鋼板の施工費用とメンテナンス方法
ガルバリウム鋼板のメンテナンス方法には、カバー工法と葺き替えがあります。それぞれ特徴や施工費用が変わるので、きちんと理解して選ぶことが大切です。ここでは、ガルバリウム鋼板の施工費用とメンテナンス方法を確認していきましょう。
カバー工法
カバー工法とは、既存の屋根材を撤去せずに上から新しい屋根材を重ねる施工方法のことです。既存屋根と新しい屋根で屋根材が二重構造になるので、断熱性と防音性を高められます。また、カバー工法は既存屋根を解体・撤去しないため、屋根材を処分する費用や撤去費用はかかりません。カバー工法の施工費用は、屋根面積が80平方メートルの場合で72万〜95万円が相場です。
既存屋根の解体や撤去作業が必要ないので、施工期間を短くなるうえに費用を抑えられるメリットもあります。ガルバリウム鋼板屋根を安くメンテナンスしたいなら、カバー工法がおすすめです。ただし、カバー工法にはいくつかデメリットもあります。
ただし、カバー工法では屋根が二重構造になるため、屋根全体の重量が増えて耐震性が低くなります。また古い屋根材に水分が含まれている場合は、下地を腐食させてしまうおそれがあるのです。下地の腐食で劣化が進んだ場合は雨漏りが発生するため、修理費用が高額になることもあります。
葺き替え
葺き替えとは、既存屋根を撤去して新しい屋根材を取り付ける施工方法です。葺き替えを選ぶメリットには、防水シートや野地板など腐食した下地材の交換を同時におこなえることが挙げられます。下地材の腐食を放置すると雨漏りを起こす原因になるため、葺き替えでリスクを回避することが可能です。
屋根断熱をおこなえば、冷暖房費の節約ができるメリットもあります。また、リフォーム時に軽い屋根材を選べば、屋根全体の重量が軽減されるので耐震性が上がります。日本は地震が頻繁に起こるため、耐震性能の強化対策は重要です。地震に備えたいなら、葺き替えのメンテナンス方法を選ぶことをおすすめします。
葺き替えのデメリットは、古い屋根を剥がすために解体・撤去作業がかかることです。葺き替えの施工費用は、屋根面積が80平方メートルの場合で85万~120万円が相場です。また、既存屋根を解体時は音やホコリなどが近隣に迷惑をかけることがあるのです。工事内容や施工期間を事前に伝えるなど近隣住民への配慮が必要になります。
ガルバリウム鋼板屋根の葺き方の種類
ガルバリウム鋼板屋根材の葺き方には、横葺きと縦葺きがあります。それぞれ特徴が異なるので、正しく理解することが大切です。ここからは、葺き方の種類、メリットやデメリットを確認しましょう。
横葺き
屋根リフォームとして主流なのは、横葺きです。金属屋根メーカーが製造する屋根材は、ほぼ横葺きといわれています。横葺きが人気が高いのは、断熱性能や耐風性能など優れた商品が多いためです。
【メリット】
ガルバリウム鋼板屋根で横葺きが選ばれるのは、流通量が多くデザインが豊富であるというメリットがあります。横葺きには豊富なデザインがあるので、和風や洋風を問わずイメージに合わせやすいです。理想とする屋根のイメージに応じた屋根材を設置できます。
また、横葺きは複雑な形状の屋根でも施工できるのも魅力です。屋根に天窓や通気口があっても、横葺きなら問題なく取り付けられます。金属屋根材は断熱性に劣るといわれていますが、断熱材一体型のタイプもあるので機能性を向上できます。
【デメリット】
横葺きの施工には、2.5寸以上の勾配が必要です。残念ながら、2.5寸よりも勾配の緩やかな屋根には施工することはできません。また、横葺き屋根材の面積が小さく、縦葺きよりも施工に手間がかかるので施工期間も長くなります。
さらに、横葺きは縦葺きに比べるとつなぎ目の問題で施工に失敗すると雨漏りしやすくなるデメリットがあります。雨漏りの問題を回避したいなら、技術力が高い業者に依頼することが大切です。
縦葺き
屋根の流れに合わせて縦向きに取り付けるのが、横葺き(たてぶき)です。従来の住宅は縦屋根が一般的で、代表的なものにはトタン屋根があります。
【メリット】
縦葺きのガルバリウム鋼板屋根は排水機能に優れているため、雨水がスムーズに流れるメリットがあります。通常、勾配の緩い屋根は雨水が流れにくいといった問題が起こりがちです。ただ、縦葺きは縦方向の形状であるため雨水が流れやすくなります。
縦葺きは勾配の緩い屋根でも施工可能です。また、縦葺きは雨漏りするリスクも低いので、天井や壁紙にシミができる心配はありません。カビの繁殖リスクも低く、屋根材や下地の劣化を防げます。
【デメリット】
縦葺きは、複雑なガルバリウム鋼板屋根の施工にはあまり向きません。通常、縦葺きは工場で製造した1枚板を現場へ搬入して施工をおこないます。加工を必要とする複雑な形状の屋根の場合は、縦葺きを用意するまでに手間や時間かかります。
また縦葺きは大型屋根材です。トラックで搬入できる環境や荷下ろしができる場所の確保が必要になります。
ガルバリウム鋼板は塗装した方が良い?
ガルバリウム鋼板を長持ちさせたいなら、塗装をしましょう。ガルバリウム鋼板の表面を塗装することで、防水性を高められます。防水性が高くなることで、錆の発生を予防でき、劣化スピードを抑えられるからです。とくに金属素材の屋根材には錆が発生しやすいため、塗装で防水効果を高めることが大切になります。
ガルバリウム鋼板の表面に発生した軽微なひび割れや傷は、塗装でカバーできます。通常、屋根材にひび割れや傷があれば、耐久性が低下し劣化することも多いです。塗装をすれば雨の侵入を防ぎ、屋根材の耐久性を維持できます。軽微なひび割れや傷であれば塗装で補修も可能なので、定期的に塗装メンテナンスをおこないましょう。
塗装の費用相場
ガルバリウム鋼板にかかる塗装費用は、塗料や施工する場所によって異なります。主な塗料には、アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素があります。それぞれの費用相場は、次のとおりです。
塗料 | 単価(1平方メートルあたり) |
アクリル | 1,000~1,800円 |
ウレタン | 1,500~2,500円 |
シリコン | 1,800~3,500円 |
フッ素 | 3,000~5,000円 |
アクリルやウレタンなどさまざまな塗料がありますが、ガルバリウム鋼板にはシリコン塗料がおすすめです。シリコン塗料は性能が高く弾力性もあるため、金属素材のガルバリウム鋼板に適しています。性能と価格とのバランスも良いので、費用を抑えて塗装メンテナンスをしたい方にもぴったりです。
塗装のタイミング
日当たりの良い環境や自然災害が多い地域では、屋根材の劣化スピードが早まることがあります。ガルバリウム鋼板の塗装メンテナンスをおこなうタイミングに迷う方もいるかもしれません。屋根材の再塗装が必要になるタイミングは、次のとおりです。
- 屋根材の色褪せが目立つ
- 凹みや傷が発生している
ガルバリウム鋼板の表面が色褪せてきたら、再塗装する適切なタイミングです。色褪せが起きた屋根材は、塗膜の機能が低下しています。色褪せの状態をそのまま放置するとサビが発生してしまうので、雨漏りの原因になることもあります。サビが出ない状態で早く塗り直せば、雨漏りのリスクも軽減できるでしょう。
また、屋根材に凹みや傷が発生している場合も塗り直しが必要です。屋根材の凹みや傷は、赤サビが始まるサインかもしれません。サビができにくいガルバリウム鋼板とはいっても、十分に注意しましょう。
屋根の状態によっては、ガルバリウム鋼板屋根をすべて張り替える必要があるかもしれません。屋根材の張り替えには、多額の施工費用がかかります。メンテナンス費用を抑えたいのであれば、早めに塗装メンテナンスをおこないましょう。
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