棟とは、屋根の頂上、面同士が交差する部分に被せる板金のことを指します。自宅の屋根に棟があり、かつ修理を業者に依頼したいと考えた際、気になるのは修理費用です。
今回は、屋根の棟を修理する際にかかる費用や修理費用を抑える方法、修理を業者に依頼するうえで覚えておきたいポイントを紹介しています。
なお、記事の前半では「そもそも棟とは何か?」という疑問を解消しているので、自宅の屋根に棟があるか確認してから修理を依頼する、という方もぜひ参考にしてください。
屋根の「棟」とは?
屋根の「棟」とは、屋根の頂上にある面同士が接している境界部分を指します。屋根全体を見たとき、頂上もしくは軒先に向かって下るような形で盛り上がった部分が棟です。
棟には、どのような役割があるのでしょうか。以下で、棟の役割について具体的に解説します。
棟の役割
屋根の棟には、雨漏りを防止する役割があります。棟が置かれる屋根の頂上部分は、瓦などの屋根材は置けません。
そのため、棟で屋根材同士をつなげるような形で設置することにより、雨風の侵入を防ぎます。
ただし棟は、屋根の中でも頂上部分に位置していることから、ダメージを受けやすく修理する機会の多い箇所です。棟の修理に関しては後述する内容を参考にしてください。
棟の大まかな種類
棟は、大まかに以下の3種類に分類されます。
- 大棟
- 降棟
- 稚児棟
ここでは、棟の特徴について種類別に解説していきます。
大棟
切妻屋根に多く見られ、屋根の頂点に位置するのが、大棟の特徴です。大棟から伝わった雨粒が「谷」と呼ばれるくぼみに集まりやすいため、雨漏りの発生につながる箇所でもあります。
降棟
寄棟屋根・入母屋屋根に多く見られるのが、降棟です。大棟の端から、四隅に向かって落ちていくような形式になっており、屋根を区切るような形で設置されています。
稚児棟
隅棟の先端についている、短い軒のことを稚児棟といいます。日本建築独特の棟であり、寺社仏閣などの屋根に多く見られる棟です。
棟は屋根材によって種類が異なる
屋根材によって、使用される棟が異なるのをご存じでしょうか。ここでは、屋根の種類別に異なる棟の種類について解説します。
棟板金
屋根材が金属もしくはスレートである場合は、設置されるのは「棟板金」です。屋根同士が接する部分を、金属の棟板金で覆うことで雨水の侵入を防ぎます。
棟板金は、屋根が接する部分を釘で固定しているのが特徴です。そのため、棟板金をつないでいる釘が劣化すると、棟板金が剥がれたり、釘穴から雨水が侵入して屋根が腐食したりします。
棟瓦
瓦屋根に使用される棟のことを、棟瓦といいます。「熨斗(のし)瓦」「冠(かんむり)瓦」「鬼瓦」などを使用した瓦屋根に、多く設置されています。
棟瓦は、漆喰で作られた土台に短冊形にした熨斗瓦を重ねて、それらを覆うような形で冠瓦を取り付けます。
その後、棟の端に瓦を設置することで雨風を防ぐような仕組みです。棟瓦の場合、瓦自体が劣化することは少ないものの、土台部分の漆喰が劣化し、欠損することがあります。
【種類別】棟の修理について
ここでは、棟板金と棟瓦、それぞれの修理方法と費用相場についてまとめています。
自宅の屋根についている棟がなにか、ここまで紹介した内容を参考に把握したうえで、ここで紹介する情報を参考にしてください。
また、以下の関連記事では屋根修理・工事の費用相場について解説しています。施工事例では実際にかかった費用も紹介しているので、気になる方は是非ご覧ください。
関連記事:屋根修理・工事の費用相場
棟板金の修理方法と施工費用相場
棟板金の主な修理方法には、釘の打ち直しや貫板の交換、棟板金の交換が挙げられます。それぞれの施工内容や費用相場は、以下のとおりです。
施工内容 | 費用相場 | |
釘の打ち直し | 雨風で棟板金を留めている釘が緩んでいる場合に、新しいステンレス製の釘を打ち込んだりコーキングで蓋をしたりする | 80,000〜200,000円 |
貫板の交換 | 棟板金を剥がして経年劣化などで腐食している貫板を撤去し、新しい貫板を設置し再度棟板金で覆う | 60,000〜120,000円 |
棟板金の交換 | 既存の棟板金とその下の貫板も撤去し、新しい棟板金・貫板を設置する | 70,000〜150,000円 |
棟瓦の修理方法と施工費用相場
棟瓦は、漆喰の補修や瓦の積み直しといった形で修理を行います。施工内容の概要や費用相場は、以下を参考にしてください。
施工内容 | 費用相場 | |
漆喰の補修 | 雨風・日光で劣化した漆喰が原因でずれてしまった棟瓦を点検・補修する | 80,000〜100,000円 |
瓦の積み直し | 既存の瓦が破損していたり、飛ばされていたりする箇所を対象にした積み直しの作業 | 120,000〜250,000円 |
屋根の棟を修理するのにかかる費用を抑える方法
屋根の棟を修理するのにかかる費用は、相見積もりや火災保険を利用することで抑えられます。
相見積もりとは、複数の業者を対象に一括で見積もりをとることです。費用はもちろん、施工内容やキャンペーン、見積書に記載される項目の詳細について把握できます。
相見積もりをとる際は、見積もり内容と合わせて、実際に現場でのチェックを進めてくれるか確認することも大切です。
また屋根棟の修理は、火災保険を利用して費用を抑えられます。ただし、火災保険を適用させるには災害による破損が対象となります。経年劣化での破損は、対象外となるので注意してください。
棟の修理を業者に依頼するうえでの基準・選び方
棟の修理は大掛かりな作業になり、かつ危険も伴う作業であるため、DIYではなく業者に依頼するのがおすすめです。
では、実際に業者に棟の修理を依頼する際、どのような基準で依頼する業者を選べば良いのでしょうか。ここでは、棟の修理を業者に依頼するうえでの基準・選び方を、以下3つの視点から解説します。
- 親身な対応
- アフタフォロー制度
- 現地調査の有無
親身な対応
相見積もりなどをとり、依頼する業者を決めたあとは実際に担当者とコンタクトをとります。その際の対応が不親切だった場合は、屋根の修理は依頼しない方が良いかもしれません。
屋根の修理は安全性につながる重要な施工であるため、業者の対応面が杜撰な場合は、依頼すべきではないでしょう。
後ほど解説するアフターフォローや現地調査の有無はもちろん、着工時の近隣挨拶や施工に関する説明など、より丁寧な対応をしてくれる業者を選ぶべきです。
アフターフォロー制度
屋根の棟を業者に修理してもらう際は、アフターフォロー制度が充実しているかも重視してください。
たとえ業者の施工実績が豊富で、施工自体が問題なく進んだとしても、施工後に不備が発生する可能性は0ではありません。
その際、施工後の不備に対して何の保証もない業者の場合、別途費用が発生したり、別で施工を依頼したりしなければなりません。
そのため、棟修理を依頼する際は、アフターフォロー制度の有無や内容をしっかり確認しておくべきです。
現地調査の有無
「屋根の棟を修理するのにかかる費用を抑える方法」でも触れましたが、屋根の棟を業者に修理してもらう際は、現地調査を行ってくれる業者を選ぶべきです。
相見積もりの場合などは、修理を依頼する側が入力した情報などをもとに「目安」となる金額が掲示されます。
具体的かつ確実な金額は現場を見ないとわからないことであるため、見積もりをとり、仮で依頼し、その後現場調査を行ってくれるかを重視すべきです。
現場調査を行うことで、具体的な施工内容や正確な費用を算出できるので、掲示される内容に納得したうえで施工を依頼できます。
ゼヒトモで屋根の修理・工事業者のプロを探す
今回は、屋根の棟を修理するのにかかる費用について解説しました。自宅の屋根に棟があるかどうかそもそも把握しておらず、気づかないうちに劣化が進んでいた、というケースも少なくありません。
- 屋根の棟がどんな状態か、修理が必要か含めて見てほしい
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