雨水を地上や下水に誘導し、建物の劣化や汚れを防ぐ役割を果たしているのが雨どいです。普段何気なく目にしているものの、その重要性を知っている方は少ないでしょう。
目立たない設備ではありますが、快適な家づくりには欠かせない部分です。今回は、雨どいの必要性や設置する場合の価格相場、メンテナンスのタイミング、素材の選び方のポイントなどをご紹介します。
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雨どいとは
雨どいとは、屋根の上に設置される雨水を排水するための設備です。集められた雨水は、軒樋を通って下水や地上に誘導されます。
雨どいは一見目立たない装置ではありますが、住宅全体を長く健康に保つために重要です。新しく自宅を建てる際はもちろん、築年数が経ってリフォームを考える際にも忘れずに設置・メンテナンスを検討しましょう。
雨どいってなんで必要なの?その役割とは
住宅に欠かせない設備だといわれる雨どい、その主な役割は次の3つです。
- 雨音などの騒音を発生させない
- 外壁を汚さない
- 建物の劣化を防ぐ
雨どいの役割を正しく認識して、自宅屋根のメンテナンスに活かしてみましょう。
雨音などの騒音を発生させない
雨どいを設置することで、雨音の騒音問題が軽減できます。雨どいが設置されていないと、雨水が住宅の屋根全体から流れ落ち、内部まで音が響き渡りやすくなってしまうでしょう。
雨どいにより水の流れる範囲や向きが限定され、住宅の中で過ごす人々が快適に過ごせるようになります。
外壁を汚さない
雨どいには、外壁に汚れが付くのを防ぐ役割があります。屋根から住宅を伝う雨水が、雨どいによって決められたルートを通るため、汚れた水により外壁が所かまわず汚れてしまう事態を防げるのがメリットです。
雨どいがなく、雨水が強く流れ落ちる所では、泥が跳ねて大きな汚れが発生してしまう可能性もあるでしょう。
建物の劣化を防ぐ
雨どいの設置は、住宅の劣化を防ぎ、寿命を伸ばすことにつながります。屋根から流れ落ちる雨水の与える被害は、汚れだけではありません。
激しく流れ落ちる雨水によって、住宅の一部が破損したり、水はけが悪い場所から腐食が進んでしまったりする恐れがあります。雨どいを正しく利用し、住宅へのダメージを抑えるようにしましょう。
雨どいの寿命と交換のタイミング
一般的な住宅で広く使用されている樹脂製素材の雨どいの寿命は、15~20年程度です。大きくダメージを受けてしまった後では対応が難しくなる場合もあるため、5~10年ごとのメンテナンスが適しているでしょう。
悪天候が続いた後には、雨どいの外れや割れ、ゆがみを確認しておくと安心です。水が滴り落ちていたり、雨水が溢れていたりしたら、早めに交換や補修リフォームを検討しましょう。
雨どいの形状
雨どいの設置や交換リフォームの際に知っておきたいのが、形状ごとの性能や見た目の印象の違いです。今回は、次の4つの形状の雨どいをご紹介します。
- 半円形
- 角形
- 意匠形
- 鎖状
半円形
一般的な形状として多くの住宅に採用されているのが、半円形の雨どいです。丸いカーブが柔らかい印象を与えるため、住宅の外観を気にする場合にも選びやすいでしょう。
シンプルな形状をしており、他のタイプと比べて価格が安いのが特徴的です。排水量は角形よりも劣りますが、必要に応じて円の直径が大きいものや片側だけが角形になっているものを検討してみてください。
角形
半円形よりも雨水の排水量を確保しやすいのが、角形の雨どいです。特に雨がよく降る地域の住宅で、多く採用されています。
近年では都市部でも、台風やゲリラ豪雨から自宅を守るために、角形タイプが選ばれるケースも多いようです。形状がスッキリとして見えるため、スタイリッシュなイメージの外観に馴染みやすいでしょう。
意匠形
意匠形の雨どいとは、昭和60年代から登場した、デザイン性の高いタイプです。基本的な排水機能に加えて、耐候性や耐久性、強度に優れています。
豊富なカラーバリエーションが楽しめるのも、意匠形雨どいの特徴です。他とは少し違った形状や色味で装飾性をアップさせたい場合にも、適しているでしょう。
鎖状
鎖状の雨どいは、他の形状とは違って、屋根から垂らすようにして吊るします。雨水が鎖を伝って流れていく仕組みで、建物に和の雰囲気をプラスできるアイテムとしてもおすすめです。
雨どいを排水機能としてだけではなく、デザイン性の高い装飾品として活用したい場合は、鎖状を検討してみましょう。
雨どいに使用される主な素材
雨水の排水に必要な雨どいは、使用される素材によっても耐久性や価格が異なります。雨どいの設置や交換の際に適切な素材を選べるように、主な素材4つの特徴を知っておきましょう。
- 塩ビ樹脂
- ステンレス
- 銅
- ガルバリウム鋼板
塩ビ樹脂
塩ビ樹脂は軽量で加工がしやすいのが特徴で、設置や交換の際の費用を抑えることができます。形状や色味もバリエーション豊かなため、住宅のイメージに合わせた雨どいを選べるでしょう。
一方で風雨や紫外線によるダメージを受けやすい素材で、定期的なメンテナンスが欠かせない点には注意が必要です。
ステンレス
ステンレス製の雨どいは、錆が発生しにくく耐久性が高いのがメリットです。雨水にさらされるため、素材によっては劣化の進みが早くなりますが、ステンレスであれば長期間美しい状態を保てます。
強度も申し分ないため、メンテナンスの手間を省きたい場合にはおすすめの選択肢です。
銅
銅の雨どいは価格が高めにはなりますが、雨水や風に対する強度の面でメリットが大きいでしょう。錆が発生しにくい素材であるうえに、軽量で住宅への取り付け加工がしやすいのが特徴です。
ただし、酸性雨による傷みの発生には注意をしなければなりません。予防策としては、一部にステンレス加工が施されたタイプを選ぶとよいでしょう。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム銅板の雨どいは、銅板にメッキ加工が施された素材を利用したものです。錆には強いですが、長時間雨水にさらされていると、傷や劣化した部分から腐食が進みやすい点には注意しましょう。
施工価格は高くなりがちであるため、一般的な住宅ではあまり採用されていないのが現状です。
雨どいの修理にかかる費用相場
雨どいの修理リフォームにかかる費用相場は、以下のとおりです。
雨どいの継ぎ手補修 | 約5千~2万円/箇所 |
雨どいの交換・修理 | 約3~5千円/m |
足場の設置 | 約10~30万円 |
工事の方法や雨どいの素材によっても、費用に幅が出てきます。特に屋根の高い場所で作業をするために、足場の設置が必要な場合が多いです。
雨どい修理費用全体の目安としては約15~60万円と想定しておく必要があるでしょう。
雨どい修理に火災保険を使えるケース
雨どいの修理には、施工方法によって足場の設置が必要となるケースもあり、コスト面の負担が大きくなる懸念があります。そんな時に確認しておきたいのが、火災保険の存在です。
風災や雹(ひょう)災、雪災による被害と認められた場合、雨どいリフォームの価格の一部が保険金でまかなえます。ひどい台風の影響で雨水や突風にさらされた雨どいが外れたり、金具が取れてしまったりした場合は、保険の利用ができるか確認してみましょう。
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雨どいは、住宅を雨水の被害から守るために重要な役割を果たしています。メンテナンスのタイミングや素材の種類を知って、日頃から雨どいの管理をするようにしましょう。
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監修したプロのコメント
雨どいには様々な役割がありますが、注意しなければならない点もあります。
台風や豪雨のあとなど、雨どいの勾配が変わり水の流れが変わることがあります。(特に古いものは強度が落ちているので注意が必要)
また、雨どい自体に歪みが生じることにより、水が溜まりそこから水が流れ落ちるというケースもあることも覚えておいてください。
その他にも、住宅の周りに木がある場合は、落ち葉が詰まり水の流れが遮られ詰まったりする場合もあります。
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