ほとんどの住宅に設置されていて、とても重要な役割を担っている「雨樋」。雨水を流すために設置された雨樋は、雨や風などの影響を直接受けるため、ひび割れや歪み、ゴミによる詰まりなど、さまざまな不具合が起こることも少なくありません。
不具合をそのまま放置すると、雨樋の役割を果たせなくなるので、早急に対処する必要があります。そこで今回は、雨樋が壊れる原因や修理方法、修理する際の注意点、費用相場を紹介します。業者選びのポイントも紹介するため、リフォームする際の参考にしましょう。
雨樋とは?
ベランダや屋根などの雨水を外に流すために設置されるのが、雨樋です。基本的に雨樋は建物の端や軒下に設置されるため、目立つ箇所に設置されることはありません。日本は雨が降る日が多い国であるため、ほとんどの住宅に設置されています。
雨樋が設置されていないと、溜まった雨水が大量に下に流れ落ちるので騒音の原因になります。また雨樋がないと排水機能が低下するため、建物の土台下は常に湿気過多な状態に。この湿気過多な状態が続くと、外壁全体にカビが生えたり木材が腐食したりする原因になることがあるのです。
雨樋は雨水を外に流すだけでなく、あらゆるトラブルから建物を守る役割もあります。雨樋の耐用年数は、20年程度です。雨樋は紫外線に晒されるため、少しずつ傷んで割れやすくなります。ただし、雨樋を交換するタイミングは、紫外線の強さや自然災害の有無によって変わることが多いです。
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雨樋が壊れる原因
建物の端や軒下に設置される雨樋は、紫外線や雨の影響を受けて少しずつ劣化していきます。そのまま放置すると雨樋が壊れてしまい、正常な機能を果たせなくなるので早期に対処することが必要です。ここでは、雨樋が壊れる原因をいくつか紹介します。該当する項目がある場合は注意しましょう。
ひび割れ・歪み
雨樋の耐用年数は、20年程度といわれています。寿命を迎えた雨樋には、ひび割れや歪みといった経年劣化の症状が出始めます。
風や雨、紫外線に晒される雨樋は、強固な素材で作られているので少しの力でひび割れや歪みが生じることはありません。そのため、雨樋にひび割れや歪みが見られる場合は、経年劣化と判断して問題ないでしょう。ただし、風が強く吹く住宅街や自然災害が多い地域などの場合は、耐用年数より早く劣化症状が出ることがあります。
経年劣化により雨樋に穴が開くと、雨漏りや浸水などのトラブルが起こることも多いです。雨樋にひび割れや歪みなどの症状が出たときは、建物自体に悪影響を与えることもあるため、放置せずに早めに修理することをおすすめします。
ゴミによる詰まり
定期的なメンテナンスを怠ると、雨樋には落ち葉や鳥の巣材などのゴミがすぐに溜まります。これらのゴミが大量に溜まると雨樋が詰まってしまい、雨水が流れない状態になるのです。基本的に落ち葉1枚が入り口に詰まり、雨樋を塞ぐことはありません。
日に日に溜まったゴミが次第に大きな塊となり、雨水の流れの妨げになります。最悪の場合、雨漏りの原因になるのでメンテナンスが欠かせません。たとえば、落ち葉や鳥の巣などから雨樋を守れるネットを雨樋周りに取り付ける対策が有効です。
ただし、ネットの設置だけでは完全にゴミを防ぐことはできません。定期的に雨樋に溜まったゴミを掃除することが大切です。大量の雨が降ったときに集水器から水が溢れる場合、雨樋にゴミが溜まっている可能性があります。ゴミ詰まりで雨樋に穴が開くこともあるので、早めに修理してもらいましょう。
金具の劣化
雨樋を支える金具が劣化すると、歪みやゆるみなどの症状が出ます。通常、雨樋は雨水が流れるように少し傾いて取り付けられていますが、劣化した金具により傾きに影響が出ることがあるのです。雨樋の傾斜角度が正しくないと雨水が流れません。
その結果、大量に雨が降ると雨水が雨樋から溢れてしまうのです。雨樋の傾斜角度は簡単に調節できそうですが、やり方を間違えると雨樋自体が壊れてしまうこともあります。雨樋の傾斜角度を調整するときは、慎重におこなわなければいけません。
傾斜は10メートルにつき、3〜5センチメートル程度が適切だといわれています。雨樋の傾斜角度に変化が見られる場合は、金具の劣化が考えられます。新しい金具に交換したい場合は、リフォーム業者に依頼して雨樋の傾斜角度を調整してもらいましょう。
つなぎ目のズレ
雨水がうまく流れないときには、つなぎ目の一部にズレが生じている可能性があります。つなぎ目にズレが生じると雨樋の傾斜角度が変わるため、雨水が流れなくなり溢れてしまうのです。雨水が溢れてしまう場合は、つなぎ目のズレを疑いましょう。
つなぎ目がズレている原因には、雨樋を支える金具の歪みやゆるみが出ていることが考えられます。力任せに雨樋の傾斜角度を変えようとすると、壊れる場合があるので要注意です。雨樋の傾斜角度に違和感があるときには、リフォーム業者に連絡しましょう。
風や雪による破損
雨樋は、耐用年数未満であっても台風や大雪など自然災害により破損することがあります。台風や雪が降る機会の多い地域はもちろんですが、ほかの地域でも自然災害の被害を受けることもあります。一般的に、風や雪の破損は2階のほうが起こりやすいです。
台風による突風や積雪の影響を受けて破損した場合、火災保険で修理費用を補えることがあります。火災保険に加入しているのであれば、事前に確認しておくのがおすすめです。火災保険に加入していない場合は、残念ながら修理費用は実費になります。
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雨樋の修理の費用相場
雨樋の修理には、30万〜90万円程度かかります。一般的な修理費用の内訳は、次のとおりです。
修理内容 | 修理費用 |
清掃 | 1万~3万円 |
ひび割れ補修 | 1万~3万円 |
一部パーツ交換 | 1万~3万円 |
雨樋全体の交換 | 10万~60万円 |
仮設足場 | 15万~25万円 |
雨樋の修理と聞くと、修理した部分だけ費用を支払うといったイメージを持つ方も多いでしょう。しかし、雨樋は屋根の端や軒下の高い位置に設置されています。リフォーム工事を行うにあたって、足場を組まなければいけません。
足場を仮設するための費用は、1階と2階でかかる修理費用が変わります。一般的に、1階向けよりも2階向けの足場を組み立てるほうが高額です。リフォーム業者によって足場の費用設定も異なるため、明確な費用を知りたい場合は確認しましょう。
また雨樋全体を交換する場合、どのような種類を選ぶかによって費用が変わることが多いです。雨樋の種類には、塩化ビニールやガルバリウム鋼板、銅などがあります。安く抑えたい場合は、塩化ビニールやガルバリウム鋼板を選ぶのがおすすめです。
雨樋の修理にかかる日数
雨樋の修理期間が長ければ長くなるほど費用がかかるので、修理日数が気になる方も多いでしょう。雨樋の修理にかかる日数は、次のとおりです。
修理内容 | 施工日数 |
清掃 | 数時間~1日程度 |
ひび割れ補修 | 数時間~1日程度 |
一部パーツ交換 | 数時間~1日程度 |
雨樋全体の交換 | 1~2日程度 |
仮設足場 | 2~3日程度 |
雨樋を交換するだけの工事であれば、そこまで修理日数はかかりません。しかし、高所にある雨樋を修理するには足場の設置が必要です。1階と2階の雨樋を修理する場合は、足場設置の作業が増えるため組み立てに時間がかかります。
自宅の外周距離が長い場合も、修理日数が長くなります。これは、足場の組み立てに時間がかかるためです。足場を設置すれば、雨樋の設置にはさほど日数はかかりません。修理日数が気になる場合は、見積もりを依頼するときにリフォーム業者に確認しておきましょう。
雨樋修理はDIYできる?
雨樋修理は、リフォーム業者に依頼します。しかし、リフォーム業者に雨樋修理を依頼した場合、多額の費用がかかるのでDIYを検討する方もいるでしょう。結論から先に伝えると、自分で雨樋を修理できる場合とDIYが不可能な場合があります。それぞれのケースを確認していきましょう。
DIYが可能な場合
雨樋の破損が手の届く位置にあり、破損が1〜2箇所である場合はDIYが可能です。ひび割れの修理を自分でおこなう方法は、次のとおりです。
- ひび割れた周辺をマスキングテープで囲う
- ひび割れの隙間にコーキングをおこなう
- 塗装したコーキングをヘラでならす
- マスキングテープを剥がしたら補修は完了
雨樋をDIYすれば、修理費用を抑えられます。ただし、補修が不十分な場合は、建物の構造部分を劣化させる原因になることも多いです。リスクがあることを踏まえてDIYするか決めましょう。
DIYが不可能な場合
手が届かない位置に破損箇所があったり、複数箇所に破損が見られたりする場合は、DIYをおすすめできません。はしごや脚立を使用すれば高い位置の修理もできますが、高所での作業は慣れていないと落下する危険性もあります。
高い場所に破損箇所がある、または複数の破損がある場合は、リフォーム業者に依頼しましょう。修理費用が気になるときは、リフォーム業者に見積もりを依頼してプロに診断してもらうのも方法です。
雨樋の修理をする際の注意点
自分で修理できない雨樋の破損は、リフォーム業者に依頼しなければいけません。雨樋の破損修理をリフォーム業者に依頼する際に、押さえておきたい注意点がいくつかあります。
雨樋の修理で失敗したくないのであれば、事前に確認しておくことが大切です。それぞれの注意ポイントを確認していきましょう。
業者選びが重要
雨樋を修理するにあたって、屋根業者が頭に浮かぶ方も少なくないでしょう。ただ、屋根業者は屋根の塗装や葺き替え工事などが本業であるため、雨樋の修理はメインの仕事ではありません。なかには、雨樋修理に対応してくれる屋根業者もありますが、施工費用が高額になることも多いです。
雨樋の修理を依頼する場合は、雨樋修理を専門に取り扱うリフォーム業者に依頼することが重要です。雨樋修理を専門に扱う業者であれば、費用を抑えられるため安く修理できます。ただし、修理内容によって費用に違いが出ることも多いです。
一部の補修で済むのか、それともすべての取り替えが必要なのかでも費用は異なります。業者によって価格設定が異なることも多いため、事前に査定してもらうのがおすすめです。修理費用が気になる場合は、見積もりを依頼しましょう。
足場を組むかを確認
一般的に、雨樋は1階または2階の端や軒下に設置されています。1階の雨樋が破損している場合、脚立などを使用すれば手が届くので足場の取り付けが必要ないことが多いです。ただし、2階以上の雨樋を修理する場合は足場の設置が必要になります。
足場を設置する場合は、どのような規模の足場を取り付けるかによっても費用が変わります。また、足場の設置には日数がかかるため、雨樋修理が完了するまでの工期が変わることも少なくありません。足場を取り付ける必要があるのかどうか現場を確認したうえで、見積もりを依頼するのがおすすめです。
工事後に機能するかチェック
雨樋の修理工事が完了したら、施工した部分に問題がないか確認しましょう。依頼した業者が悪徳業者の場合は、ずさんな施工が行われていることも考えられます。施工直後であれば、再度修理し直してもらえるのですぐに連絡しましょう。
施工してから時間が経つと、追加費用がかかる可能性があります。雨樋の修理工事が問題ないかチェックする方法は、実際に水を流してみるのがおすすめです。施工内容に問題がなければ、雨樋は問題なく水が流れます。水が流れないなどの問題が見られる場合は、早めに業者に連絡しましょう。
地域に合わせたものを設置
雨樋をすべて交換する場合は、地域の気候に合わせて選ぶことが大切です。たとえば、台風や積雪の多かったり直射日光が当たる場所に住宅があったりする場合は、雨樋の素材に考慮する必要があります。どのような素材を選ぶかによって、雨樋の耐用年数も変わるので商品選びは重要です。
雨樋の素材には、次のようなものがあります。
- 塩化ビニール
- ガルバリウム鋼板
- 銅
- アルミニウム
- ステンレス
それぞれの特徴を確認していきましょう。
素材 | 特徴 |
塩化ビニール | 軽量かつ金額が安い素材ではあるものの、雨風や日光に長時間晒されると壊れやすい素材 |
ガルバリウム鋼板 | 錆びにくく、耐久性がある素材。金属素材として普及率が高いため価格も安いのもメリット |
銅 | 耐久性が高いものの、価格は高い素材。ただし酸化すると緑青色に変色するので要注意。 |
アルミニウム | 雨風や日光に晒されても錆びにくい素材。しかし流通量が少ないので価格が高め。 |
ステンレス | 耐久性が高く、錆びにくい素材。アルミニウムと同じく流通量が少なく価格は高め。 |
ここで紹介した以外にも多くの素材があります。種類が豊富であるため、どのように雨樋の素材を選べばいいか悩むときは業者に相談しましょう。地域と合わない素材を選ぶと、逆に修理費用が高くなることがあります。より長く使用できるように、適切な素材を選ぶことが大切です。
雨樋修理の業者の選びのポイント
雨樋修理を専門に扱う業者は多くあるので、どのような基準で選べばいいか悩む方もいるでしょう。業者は選び方を間違えると、すぐに壊れたり高額な費用を請求されたりなどトラブルが起こります。ここでは、業者選びのポイントを確認していきましょう。
専門業者に依頼
雨樋の修理先には、ハウスメーカーや工務店、ホームセンターなどが挙げられます。しかし、雨樋の修理は、専門業者に依頼するのがおすすめです。専門業者は雨樋修理に関する知識が豊富であるため、状況に応じて適切な修理内容を提案してくれます。
専門業者は、素材の知識も豊富です。どのような部材を選ぶべきか、適切なアドバイスをもらえるので安心です。また、部品も多くストックされているため、希望した部品で修理に対応してもらえます。
専門業者であれば、ハウスメーカーや工務店に比べて安い費用で修理できる傾向があります。できるだけ修理費用を抑えたい方は、専門業者を選びましょう。今後も継続的に付き合うなら、自宅から近くて地域の支持を得る専門業者を選ぶのがおすすめです。
複数の業者を比較
業者を選ぶ際には、相見積もりを取りましょう。相見積もりとは、複数の業者に同じ内容の見積もりを依頼して比較検討することです。業者によって、修理価格の設定は異なります。雨樋修理の費用相場を理解したうえで、適正な業者を選べるでしょう。
サービス内容も業者によって異なるため、相見積もりでしっかり確認してください。業者の良し悪しを判断する場合は、過去の実績や口コミを参考にするのもおすすめです。
実績が少なかったり口コミが少なかったりする場合は、業者の対応に問題があることがわかります。修理費用はもちろん、サービス内容や過去の実績や口コミを参考に適した業者を選びましょう。
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雨樋には耐用年数があるため、長く使用すると徐々に不具合が起こることも多いです。そのまま放置すると雨水が流れなくなるので、屋根に雨水が溜まったり外壁の劣化を早めたりすることもあります。
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