電化製品の利用が増え、コンセントを増設したいと考える方もいるでしょう。増設には電気工事士の資格が必要になり、資格がない場合は自分では増設できません。
本記事では、コンセントを増設する方法や専門業者に工事を依頼する場合の注意点、費用相場などを解説します。
家庭で気軽にできる?コンセントの増設方法と手順
家庭で利用する電化製品が増えると、コンセントが足りなくなることもあるでしょう。コンセントを増設する方法はいくつかありますが、自分で増設する場合は電気工事の資格が必要です。
コンセントを増設・交換する方法
コンセントの増設・交換は、次の3つの方法があります。
- コンセントの差し込み口を増設・交換
- 既存の電気配線を延ばす
- コンセントの電圧を変える
コンセントの差し込み口を増設・交換
コンセントの増設には、差し込み口を増やす方法があります。家庭用コンセントの差し込み口は2口が一般的で、足りない場合はタコ足配線で差し込み口を増やすことが多いでしょう。
しかし「使いたい場所にコンセントがない」「タコ足配線にしたくない」という場合は、差し込み口の増設で対応できます。
差し込み口の増設は配線をつなぎ替えるだけで、比較的簡単です。ただし、使用電力が増えるわけではなく、消費電力の大きな電化製品を一度に使用するとブレーカーが落ちやすくなります。
既存の電気配線を延ばす
コンセントを増設したい場所の近くに電気配線があれば、既存の電気配線を延ばしてコンセントを増やす方法もあります。配線する長さが短くて済む簡単な方法で、費用も抑えられます。
ただし、配線を分岐するだけであり、使用できる電力量は変わりません。そのため、消費電力が大きい家電を使用する際は、ブレーカーが落ちる可能性があります。使用頻度の低い回路から、分岐するようにするとよいでしょう。
コンセントの電圧を変える
100Vのコンセントで対応できない電化製品もあり、その場合はコンセントの電圧を変える必要があります。
日本の家庭で使う電圧は100Vが主流であり、外国に比べて低く設定されています。多くの電化製品は100Vに対応しているため、問題なく使用できるでしょう。
しかし、エアコンや電子レンジ、IHクッキングヒーターなど、200Vの電源が必要なものもあります。
コンセントの電圧を200Vにする手順は、以下のとおりです。
- 電柱から住宅内へ200Vの電圧を引き込む
- 電力計とブレーカーを200V対応のものに交換する
- ブレーカーから各コンセントへと配線する
【重要】コンセントを増設するには電気工事の資格が必要
コンセントの増設工事は電気が通っているケーブルを配線する必要があり「電気工事士」の資格が必要です。
資格を持っていればDIYでコンセントの増設・交換ができますが、無資格で増設を行うと、漏電や火災の原因になったり分電盤が故障したりする可能性があり、非常に危険です。
資格がない場合は、必ず電気工事士を保有している業者に依頼してください。
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コンセントの増設はどこの業者に頼めば良い?DIYは可能?
コンセントの増設は、専門業者に依頼する場合とDIYの2つの方法があります。DIYで増設する場合は、電気工事の資格を持っていることが前提です。
ここでは、2つの方法を紹介します。
方法1:コンセントの増設を専門業者に依頼する場合
電気工事士の資格を持っていない場合、コンセントの増設は電気工事士を保有している専門業者に依頼します。
しかし、電気工事を行う会社は数多く、信頼性や作業員の技術には違いがあります。依頼する際は、信頼できる業者か、安心して依頼できるか相見積もりを取って確認しましょう。
電気工事会社の選び方や、見積もりの取り方などを解説します。
電気工事会社の選び方
信頼できる電気工事会社を選ぶためには、十分な施工実績があるかを確認しましょう。実績は、ホームページで確認できます。あわせて、利用した顧客の評判や口コミもチェックしておきましょう。
問い合わせの際、スタッフの対応にも注意が必要です。質問に対して丁寧に答えてくれる会社であれば、信頼できるといえるでしょう。
見積もりの取り方・比較方法
増設工事の依頼先は数社に絞り、相見積もりを取りましょう。相見積もりを取ることで、金額を比較検討できます。ただし、安いだけで選ぶのではなく、工事内容の記載もチェックが必要です。極端に安い場合、追加費用がかかる可能性もあるでしょう。
また、見積もりは、工事内容と金額をよく確認してください。工事内容の内訳がなく「一式」「雑費」など不明確な記載がある場合、注意が必要です。
トラブルを回避するための注意点
見積もりでわからないこと、疑問に思うことがあれば、必ず質問しておきましょう。疑問を解消しておくことで、あとから「依頼した工事内容と違う」「必要な工事が行われていない」といったことになるトラブルを回避できます。
説明を受ける際に不明点があるときは、必ずその場で確認しておくことが大切です。
保証やアフターサービスについても、チェックしておきましょう。施工中に設備や建物への損傷があった場合や、工事後に不具合が発生した場合にどのような保証があるのか確認しておけば、安心して依頼できます。
方法2:DIYに挑戦!コンセントを増設する場合
電気工事士の資格があれば、自分でコンセントの増設ができます。
ここでは、DIYに必要な道具や増設の手順、注意点を解説します。
【増設に必要な道具】
- コンセント本体
- コンセントプレート
- パネルボックス
- VVFケーブル
- ドライバー(プラス、マイナス)
- ペンチ
- 壁の穴開け用のカッター
- 引き回しノコギリ
- 水平器
コンセント本体は、家庭用の場合、差し込み口が2つのものを選びます。コンセントプレートは、コンセントのサイズに合ったものを選んでください。
パネルボックスは壁裏に設置して、コンセントとケーブルとの接続部を固定する役割をします。水平器はコンセントを水平に取り付ける道具で、コンセントの増設では10〜15cmのサイズが使いやすいでしょう。
【DIYでコンセントを増設する方法・手順】
コンセント増設のDIYは、次の手順で進めましょう。
- ブレーカーを落とす
- 既存のコンセントを外す
- 増設する場所の壁に穴を開ける
- 穴にケーブルを通す
- ケーブルとコンセントをつなぐ
- コンセントを壁に固定する
まず、感電事故を防ぐため、回路のブレーカーを落としてから作業を進めましょう。
次に、壁のコンセントを外します。コンセントカバーは、上下どちらかの隙間にマイナスドライバーを差し込むと外れます。
カバーを外したら、中にあるプレートのネジを緩め、本体を外しておきましょう。
さらに、増設したい場所の壁に穴を開けます。その際、穴を開ける場所と既存のコンセントとの距離を測り、VVFケーブルの長さが足りるかを確認しておいてください。
穴を開ける位置にマジックペンなどで目印を付け、引き回しのこぎりやカッターなどで穴を開けます。
既存コンセントから電源を分岐するため、VVFケーブルで渡り配線をしましょう。まず、ケーブルの絶縁被膜を10cmほど切り、黒と白の芯を出してください。コンセントの裏側にW(またはN)と書いてある穴に白い線を、反対側に黒い線を差し込みます。
ケーブルを接続できたら、壁に取り付けて完成です。コンセント本体を軽くネジで止め、水平器を使って傾きを確認しましょう。
DIYでコンセントを増設する際の注意点
1つのコンセントで使える電力量は、1,500Wまでという点に注意が必要です。
一般的なコンセントに流せるアンペア数は、15Aまでとなっており、一般家庭用の電圧は100Vです。そのため、使用可能な電力は15A×100V=1,500Wとなり、コンセントを増設した場合にも、それ以上の電力量は使えません。
容量を超えて電気を使うと、ブレーカーが落ちてしまいます。ブレーカーを元に戻せば再び電気を使用できますが、急に電源が落ちることで電化製品の故障リスクが高まるでしょう。火災の原因にもなるため、注意が必要です。
また、配線をする際は、感電や漏電には十分注意して作業しましょう。ブレーカーは必ず下げ、濡れた手で作業しないようにしてください。漏電しないよう、配線をしっかり行うことも大切です。
コンセント増設にかかる費用相場
コンセント増設を専門業者に依頼した場合とDIYした場合では、かかる費用や時間が異なります。
それぞれの費用相場をみていきましょう。
専門業者に依頼した場合の費用相場
コンセント増設を専門業者に依頼した場合、費用相場は次のとおりです。
工事内容 | 費用相場 |
コンセントの新設 | 1万4,000~2万円 |
差し込み口の増設 | 5,000~1万円 |
既存配線の延長・分岐 | 7,000~2万円 |
電圧の切り替え | 4,000〜3万円 |
金額は、設置場所や階数、配線方法、扉の有無などで変動します。
天井裏や壁の中に配線を通す場合、穴を開ける工事が必要になることもあり、料金が加算されることがあります。
施工時間はコンセントの位置や延長する配線の長さによって変わり、1〜3時間程度です。分電盤から専用の配線を引く場合はさらに長く、数時間から半日程度かかります。
DIYでコンセントを増設した場合の費用相場
DIYでコンセントを増設する場合、かかる費用のほとんどは道具や材料をそろえる代金です。道具がほとんど手元にある場合は、低コストでDIYできます。
ドライバーなどの工具が自宅にあり、コンセント本体やケーブルなどをそろえる場合、料金は3,000~4,000円程度です。工具もそろえる場合は、5,000〜7,000円程度が目安になるでしょう。
DIYは専門業者ほど慣れていないケースが多く、施工時間はより長くかかると考えられます。
おすすめのコンセント設置場所
コンセントを新たに増設する場合、場所によっておすすめの設置ポイントがあります。
ここでは、キッチンやリビングなど各部屋別におすすめの設置場所と増設方法を紹介します。
キッチン:高消費電力家電のための増設方法
キッチンでは炊飯器や電子レンジをはじめ、数多くの電化製品・機器を使用します。コンセントの位置は、立ち仕事でコードを抜き差しするのに便利な高さにするとよいでしょう。
消費電力が大きい電子レンジやIHクッキングヒーター、食洗機など200Vの電源が必要な家電には、専用コンセントの設置が必要です。
キッチンにはコンセントの設置が不向きな場所もあるため、注意してください。
リビング:テレビやゲーム機のための増設方法
リビングは、テレビやエアコン、無線LAN、暖房器具などの家電・機器があり、多くのコンセントが必要です。とくにテレビやパソコンの周辺は複数のコンセントが必要になるため、近くに口数の多いコンセントを設置しましょう。
扇風機やホットカーペット、加湿器など、季節ごとにリビングで使用する家電は変わります。多くの家電が集中する季節もあるでしょう。家電を希望の場所に置けるよう、コンセントの適切な場所を考える必要があります。
屋外:ガーデンライトやEV充電用コンセントの増設方法
屋外は高圧洗浄機や電動自転車・電気自動車の充電、ガーデンライトなどに電源が必要になります。雨風にさらされるため、屋外のコンセントは防水タイプが必須です。
屋外のコンセントは目立つ位置にあってもあまり気にならないため、使いやすさを重視した位置に設置するとよいでしょう。
駐車場や玄関の近くに設置すると、EV充電や高圧洗浄機などを使った掃除に便利です。
特殊な場所:アース付き、200V対応、アンテナコンセントの増設方法
洗濯機や食洗機など、アース線が付いているプラグはアース付きのコンセントが必要です。アース線は過剰な電圧を地面に逃がし、感電や漏電を防ぐ役割があります。
また、エアコンなど大きな電力を必要とする家電には、200V対応のコンセントが必要です。100Vのコンセントしかない場合は、設置場所の近くに増設工事をしなければなりません。
テレビにはアンテナへとつながるケーブルがあり、アンテナ端子が付いたテレビ専用のコンセントが必要です。テレビを置きたい場所にアンテナコンセントがない場合は、配線しやすい場所に増設が必要になります。
コンセントを増設できない場所
コンセントは、増設できない場所もあります。たとえば、浴室や洗面所など水に触れる場所は、漏電や感電の危険性が高く、コンセントの増設ができません。
また、キッチンにコンセントを増設する場合、火を使うコンロや水を使うシンク周りは避ける必要があります。
なお、賃貸住宅の場合、コンセントの増設を行う際はオーナーや管理会社に事前確認が必要です。賃貸物件では、増設工事が許可されないケースも多いでしょう。
コンセント増設の実例・成功事例
屋外コンセントの増設
要望:ガレージにコンセントを増設したい
金額:60,000円〜
施工内容:100Vと200Vの2回路を設置。最大20A使用できるコンセントを選びました。
通常であれば、ウォータープルーフ型のコンセントを選定するケースですが、20Aタイプのものがメーカーにありません。そのため、プラボックス内に屋内向けのものを設置するという工法を採用しました。
鍵付きのプラボックスにすることで、夜間や不在時でも盗電される心配がないことがメリットです。
コンセントの増設に関するよくある質問(FAQ)
コンセントの増設でよくある質問をまとめました。
コンセント1つ増やすといくらかかる?
コンセント1つ増やす工事の費用相場は、12,000円程度です。エアコンなど消費電力が大きい家電を使うために増設する場合は、ブレーカーから増設する必要があり、16,000円ほどになる場合もあります。
コンセントまでの距離や配線の難易度によっても費用は変わるため、必ず事前に見積もりを取って確認するようにしましょう。
コンセントの増設は自分でできる?電気工事の資格がなくてもできることは?
コンセントの増設工事は、「電気工事士」の資格が必要です。資格があれば自分でも増設は可能ですが、資格を持っていない場合は増設できません。
資格がないのにコンセントの増設で配線を扱うと、感電や漏電などの危険があるため注意しましょう。増設したい場合は、資格を持つスタッフのいる電気工事会社に依頼してください。
賃貸マンションでもコンセントの増設は可能?
賃貸マンションでコンセントを増設したい場合、オーナーや管理会社の許可が必要です。一般的に増設工事はできないケースが多いものの、許可される場合もあります。
許可される可能性がある場合は、納得してもらえる理由が必要です。キッチンやリビングのコンセントが足りない、エアコンを設置したいが適したコンセントがないといった理由があげられるでしょう。
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