エアコンの送風運転の活用方法について、「節電になる」「カビ対策になる」とは聞いたことがあっても、具体的にどう使えばいいのかは悩ましいところですよね。
この記事では、「送風運転」について深掘りしていきます。
- どんな役割があるのか
- どう活用できるのか
- 電気代の目安はいくらか
- カビ対策はどうすればいいのか
このような内容を徹底解説!送風運転を活用して、お得かつ快適にエアコンを使いたい人は最後までご覧ください。
エアコンの送風運転とは?電気代の目安も紹介
エアコンの送風運転は、あまり使用することがないのではないでしょうか。そのため「一体どんな役割があるのか…」「電気代は安くなるって本当?」など疑問点が多い機能といえます。
ここでは、送風運転の概要と電気代の目安について解説します。活用することで電気代の節約になるケースもあるため、ぜひチェックしてください。
送風運転とは?どんなとき活用できる?
送風運転は、室内の空気を取り込みそのまま風を送り出す機能です。仕組みとしては、扇風機やサーキュレーターをイメージするとわかりやすいでしょう。
送風運転の場合は内部のファンだけが稼働し、熱交換器のアルミフィンや室外機が作動しないため、電力消費がかなり抑えられ電気代が安く済みます。
活用できるシーンとしては、大きく分けて以下の3通りです。
- 室内の空気を循環させる
- エアコン内部の清掃に活用
- 室内の換気をする
送風をうまく活用することで、冷暖房の空気を効率よく室内に流したり、カビをある程度抑制できたりします。
おすすめの活用方法については、後ほど紹介します。
送風を使ったときの電気代の目安
送風を使うと電気代が節約できるイメージがあると思います。では、実際どの程度節約になるのでしょうか。
ここでは、シャープのエアコン(L-Xシリーズ)を例に挙げて解説します。
ただし、エアコンの種類や機能性、電力会社などによって電気料金が異なるため、あくまで一例として参考にしてください。
シャープ L-Xシリーズの送風運転の電気代
シャープのL-Xシリーズでプラズマクラスター送風運転を使用した場合は、1時間あたりの電気量を計算すると以下のとおりになります。
項目 | データ |
電力目安 | 31円/kWh* |
送風の消費電力(1時間あたり) | 16.9W |
送風の電気代(1時間あたり) | 約0.6円 |
参考:2022年改訂「全国家庭電気製品公正取引協議会」報告書
1時間あたりの暖房・冷房・送風の電気代比較
そして暖房・冷房と送風の電気代を比較すると、次のような違いがあります。
タイプ | 電気代・消費電力 |
暖房 | 約21円(665W) |
冷房 | 約17円(545W) |
送風 | 約0.6円(16.9W) |
※10畳タイプのエアコンで比較した場合
暖房や冷房と比較すると、大幅に電気代が安いことがわかります。1日(24時間)稼働した場合でも、送風なら約15円しかかかりません。仮に1か月毎日使用してもわずか450円ほどで済みます。
※詳細な電気料金はご利用の電力会社でご確認ください
エアコンの「送風」と冷房・暖房・除湿との違い
送風と冷房・暖房・除湿それぞれの特徴を、以下の表にまとめました。役割や特徴の違いを把握することで、送風運転の必要性を理解しやすくなるでしょう。
タイプ | 役割 | 特徴 |
暖房 | 室温を上げる | 室外機で集めた空気を圧縮器で温めて、室内に暖かい空気を送り出す |
冷房 | 室温を下げる | 室外機で集めた空気を減圧器で冷やし、室内に冷気を送り出す |
送風 | 空気を循環させる | 室内の空気を吸い込み、そのままファンから送り出す |
除湿 | 湿度を下げる | 室内機が室内の空気を吸い込み、水分・熱を取り除いた後に、空気として再び室内に送り込む |
送風の役割は、空気の循環です。通常、室内は暖かい空気が上部に溜まり、冷たい空気が下部に溜まっています。送風を活用することで、室内に空気の流れを起こすことができ、室内の温度を均一化できるのです。
これにより、冷房または暖房を使用しなくても、快適な室内環境を作ることができます。余分な電力も消費しないため、エコにもなります。
送風運転を使うメリット
「送風運転の役割がわかった。でも具体的にどんなメリットがあるの?」と疑問に思うかもしれません。
ここでは、送付運転を利用するメリットについて解説します。ここまでの内容ですでに触れていることではありますが、改めてメリットという視点からみていきましょう!
メリット1. 電気代の節約につながる使い方ができる
送風運転はそのほかの機能(冷房・暖房・除湿)と比較して、電気代が大幅に抑えられます。なぜなら送風運転の場合は、室外機や熱交換器のアルミフィンが稼働しないからです。
ただ室内の空気を取り込み、送風ファンから送り出すだけなので、少ない電力消費で稼働させられます。
後ほど紹介しますが、冷暖房を使う前に送風運転を行うことで、冷暖房の効率アップが期待できます。これによりフル稼働している時間が短くなり、電気代節約にもつながるのです。
メリット2. お部屋の換気や空気を循環させられる
部屋の空気の循環は、送風運転のメインとなる役割です。部屋の空気を混ぜることで、温度を均一化させられます。
また、送風運転時に窓を開ければ、部屋の換気の効率性を高めることもできます。しかも扇風機やサーキュレーターよりも強力なので、その効果は大きいです。
メリット3. カビ予防にも効果あり
エアコン内部が結露し水が溜まると、カビが発生する原因となります。エアコンから酸っぱい臭いや不快な臭いがするときは、このカビが原因の可能性が高いです。
クーラー使用後やオフシーズン、夏や冬に本格的にエアコンを使用し始めるタイミングなどに送風運転をすれば、カビ防止になります。
とはいえ、完全なカビ対策ができるわけではないため注意してください。手が届かないようなエアコン内部にカビが発生している場合は、プロに依頼しクリーニングしてもらう必要があります。
送風運転を使うデメリット
メリットがあるということは、当然ながらデメリットもあります。それほど大きいデメリットではありませんが、これから紹介する2点を把握しておくといいでしょう。
デメリット1. 電気代がかかる
冷房や暖房・除湿と比較して電気代を抑えられるのは事実ですが、当然ながら電気代は発生します。つけっぱなしにすれば費用もかさむため、必要なときに必要なだけ使用するよう心がけたいところです。
デメリット2. 室内を冷やすことはできない
ご存知のとおり、送風運転では風量は調節できても温度調節ができません。室内の暑さや寒さといった気温によって、送り出される空気の温度が左右されます。
そのため涼しくしたり暖かくしたりといった、室内温度を意図的に調整できないのが難点。特に夏場は温風がそのまま放出され、熱中症のリスクが高まるので、冷房代わりに使うことは絶対に避けましょう。
送風運転のおすすめの活用方法4パターン
ここでは、送風運転のおすすめの活用方法を紹介します。具体的にどのような活用ができるのか知りたい人は、参考にしてください。
おすすめの活用方法には、以下の4パターンがあります。
- 室内の温度を均一にして、体感温度を下げる
- 冷房使用前に使って、冷房効率アップ
- 冷房後に使用して、カビ発生を抑制
- 部屋の換気を行う
それぞれ具体的に解説していきます。
活用方法1. 室内の温度を均一にして、体感温度を下げる
室内の温度を均一化する活用方法は、「冷房を使うまでもないけど、なんとなく暑いと感じる」ときに使用するのがおすすめです。送風運転を行い、床付近に溜まった冷たい空気を動かすことで涼しく感じられます。
空気が動くことで、人の体感温度が下がる効果を利用できるのもポイント。冷房をつけなくてもある程度涼しく感じられるでしょう。
活用方法2. 冷房使用前に使って、冷房効率アップ
送風運転により室内の空気の流れを作ることで、冷暖房の空気が効率よく室内に行き渡るようになります。実際に使用してみると、冷暖房の効きが早いことに気づくはずです。
特に冷房時には、電気代の節約につながるのでおすすめです。室内上部に溜まった暖かい空気を循環させておくことで、最初の冷房がフル稼働する時間を短く抑えられます。
これにより電気消費量が抑えられ、電気代が安くなるというわけです。
活用方法3. 冷房後に使用して、カビ発生を抑制
冷房を使用した後に、数時間程度「送風運転」するだけでカビの予防ができます。これは送風運転により、冷房時に発生した結露を乾燥させられるためです。これによりエアコン内部に水が溜まりにくくなり、カビや雑菌が繁殖することを防げます。
ただし、エアコンの種類によっては「内部クリーン運転」や「内部洗浄」といった機能を搭載しているものもあります。もし搭載している場合は、送風ではなく備え付けの掃除機能を使用しましょう。(詳しくは取扱説明書でご確認ください)
活用方法4. 部屋の換気を行う
掃除の後で部屋がホコリっぽいときや、部屋がムシムシするときは、窓を開けて送風運転をしてみましょう。風量を強くすれば、かなり早く換気が完了しますよ。
このときに、扇風機やサーキュレーターなどを併用するのもコツ。部屋の隅々まで効率的に換気できるのでおすすめです。
送風機能がない場合に代用できる方法
エアコンの種類によっては、送風機能が備わっていないものもあるでしょう。
もしリモコンに送風ボタンがない場合は、室温が30℃以下のときに、冷房を最高温度(一般的に31〜32℃)に設定することで送風運転と同じ状態を作れます。これは室温よりも設定温度が高いことで、熱交換器が稼働しないためです。
送風ファンのみで風を送り出す状態になるので、送風運転の代用になります。
そのほかには暖房を17℃に設定すると送風運転になったり、空気清浄運転が送風の代用になったりするケースもあります。
送風運転を使うときの注意点
送風運転を使うときに知っておきたい注意点が4つあります。
- 温度設定はできない
- 風を体に直接当て続けないように!
- 洗濯物を乾かすのは「除湿」の方がおすすめ
- 臭いときはカビが発生している証拠
注意点1. 温度設定はできない
送風運転で調整できるのは、風量・風向のみです。温度調節はできないので、冷房や暖房の代わりに使用することはできません。
ただし夏の終わり頃のちょっと涼しくなってくる時期には、冷房を使うことなく部屋を快適に保てます。
注意点2. 風を体に直接当て続けないように!
エアコンの風を直接浴び続けると肌が乾燥しやすくなったり、脱水症状に陥りやすくなったりすることがあります。風向を自分に直接当たらない向きにセットしておきましょう。
特に、寝るときにつけっぱなしにしている人は要注意です。寝てる間に脱水症状を起こしてしまうことも考えられます。夜中に起きた際には、意識的に水分補給することも大切です。
注意点3. 洗濯物を乾かしたいときは「除湿」のほうがおすすめ
洗濯物を部屋干しするときに、扇風機やサーキュレーターの風を当てて乾きやすくする人もいるでしょう。当然ながら送風運転で代用することは可能です。
しかし、もしエアコンを使用するなら、除湿機能のほうが効果的です。空気中の水分を吸い取ってくれるので、早く乾きやすくなります。このときにプラスαで、扇風機やサーキュレーターを使用するとより効果的です。
注意点4. 臭いときはカビが発生している証拠
送風運転時にエアコンから酸っぱい臭いがすることがあります。酸っぱい臭いの原因は、エアコンの内側の部分に繁殖したカビや細菌です。
酸っぱい臭いを感じたときには、速やかにフィルターや風向きルーバーなど手が届く範囲の清掃を行いましょう。
もし清掃を行っても改善しない場合は、エアコン内部の手が届かない場所にカビが付着していることが考えられます。そのときは、エアコンクリーニングのプロへ依頼するのがおすすめです。
市販のエアコン用洗浄スプレー(クリーナー)を使って自分で清掃することもできますが、精密機器であるエアコン内部の清掃はプロに依頼した方が安全です。
誤った清掃方法による故障や水漏れのリスクが考えられますし、無理な解体によって電気部品やパーツを破損させてしまう恐れもあります。
一方でプロなら、高圧洗浄による室内機の清掃や、消臭・抗菌加工、室外機清掃などによりエアコンを清潔な状態にしてくれます。
ちなみに一般的な相場は、以下のとおりです。
清掃の種類 | 費用 |
壁掛けタイプ(1台) | 8,000〜1万5,000円 |
天井埋め込みタイプ(1台) | 1万8,000〜3万円 |
お掃除機能付き(1台) | 1万3,000〜2万円 |
防カビ・抗菌コート | 1,000〜3,000円 |
室外機クリーニング | 2,500〜4,000円 |
参考:ゼヒトモ
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エアコンの送風が臭いときの原因と対処法
エアコンから臭い風が出てきたときは、以下の方法を試してみましょう。
- フィルター・風向きルーバー・送風口などを清掃
- 送風機能でエアコン内部を乾燥
- 内部クリーン運転を使用する(搭載されている場合)
- 冷房運転で発生する結露でドレンホースを洗う
エアコンフィルターには、空気中のホコリが内部に入り込むのを防止する役割があります。そのため清掃を行っていないと汚れやホコリが溜まり、臭いの原因になります。
フィルターが目詰まりしていると運転効率が下がり、電気代が余分にかかってしまうことも考えられます。
フィルター清掃では、掃除機や専用ブラシなどの掃除道具を駆使してホコリ取りを行うだけでなく、水洗い(場合によっては中性洗剤も活用)してしっかり汚れを落としておきましょう。
※フィルター清掃を行う際は、必ずコンセントを抜いて、電源をOFF状態にしてください。
ドレンホース内の汚れが、臭いの原因になっている場合もあります。手では届かないため、冷房運転で発生させた結露によってドレンホース内を強制的に洗い流すのがおすすめです。
ただし、上記1〜4は、あくまで簡易的な対策に過ぎません。ファンのようなエアコン内部のカビや菌まで綺麗にするのは難しいので、改善されない場合は専門業者へ依頼しましょう。
もし業者の選び方に迷う人は、ゼヒトモの利用を検討してみてはいかがでしょうか。いくつかの質問に答えるだけで、最適な業者が見つかります。
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エアコンの送風運転を活用して、電気代を節約しながら快適に過ごしましょう!
一見使い道の見当たらないエアコンの「送風運転」は、電気代の節約やカビ対策に有効です。この記事では、そんな送風運転の概要や電気代、おすすめの活用方法などについて解説しました。
特にエアコンの電気代を節約したい人は、うまく活用することで電気代を抑えられます。ぜひ、この記事で紹介した使い方を実践してみてください。
また、エアコンの送風時に酸っぱい臭いがしたときは、速やかに清掃しましょう。カビや菌をそのままにしておくと、送風運転と同時に室内にカビや菌が送り出されることになるので要注意。
こまめな清掃を行うとともに、万が一清掃で臭いが改善されないときは、清掃のプロへ依頼しましょう。ゼヒトモでは家庭用のルームエアコンだけでなく、事務所や店舗に設置された業務用エアコンに対応したプロも登録しています。
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