家の外壁は、住宅を外部環境から守る重要な部分です。そのため、耐久性や耐水性・耐火性といった耐候性が求められます。また、外観の大部分を占め、住宅の印象を大きく左右する部分でもあります。塗装に使う塗料の種類や色だけでなく、外壁の種類やデザイン性も重視して選びたいですね。
今回は、外壁の種類ごとの特徴とメリット・デメリット、施工の費用相場やメンテナンス周期など、外壁選びの際に必要な基礎知識を解説します。また、外壁材を選ぶポイントについてもご紹介しています。外壁リフォームを検討している方は、ぜひご覧ください。
外壁とは?
外壁とは、家の外部に面している壁のことです。外壁は、住宅を雨や風などから守る、音を遮る、プライバシーを守るなど、さまざまな役割を担います。また、住宅の外観にも大きく影響するため、非常に重要な部分です。
外壁は、外からあらゆる影響を受けるため、施工の際は耐久性や耐水性・耐火性といった耐候性が求められます。また、外壁によって住宅の雰囲気が変わるため、デザインも重要なポイントです。塗装に使用する塗料の種類や色だけでなく、外壁材の種類によっても仕上がりは異なります。
住宅を守り、外観を印象づける外壁をリフォームする際は、外壁の種類やメリット・デメリットなどを理解することが必要です。
乾式工法と湿式工法の違い
外壁は、工法によって2種類に分かれます。まずは、以下の2つの工法の違いを理解しましょう。
- 乾式工法
- 湿式工法
乾式工法とは、工場で生産された合板やパネルなどの外壁用部材を施工現場に持ち込み、部材を組み立てる工法です。水を使わないため、乾式と呼ばれます。工事にかかる期間が短く済み、マニュアルがあるため一定の品質が担保される方法です。最近では、乾式工法が主流となっています。
湿式工法は、日本で古くから採用されている伝統的な外壁工法です。セメントと水を練って作ったモルタルやコンクリート・土壁・石膏といった壁材を水と混ぜ、下地材の上に塗って仕上げます。材料の調合は現場で行い、手作業で塗っていく工法です。乾燥させる必要があるため、必要な工期が長く、仕上がりは職人の腕前に左右されます。
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外壁の種類
外壁には以下のようにさまざまな種類があります。
- サイディング
- モルタル
- ALCボード
- タイル
- 塗り壁
- コンクリート打ちっぱなし
外壁は、種類ごとに耐候性や耐久性、デザインが異なります。住宅の外観を左右する重要な部分であるため、外壁選びは慎重に行いましょう。最近では、上から塗装する必要がない外壁も注目されています。それぞれに良さがあるため、施工の際は重視するポイントに適した外壁を選ぶことが必要です。
ここでは、外壁ごとの特徴やメリット・デメリット、費用相場、メンテナンス周期について解説します。
サイディング
サイディングは、多くの外壁に採用されている、ポピュラーな外壁材です。サイディングは、工場で生産され、乾式工法で施工されます。施工が簡単で品質が安定しており、費用や工期を抑えられるのがメリットです。
サイディングは、用いられる素材によってさらに4つに分けられます。
- 窯業系
- 金属系
- 木質系
- 樹脂系
サイディングの中で一般的なのは窯業系です。窯業系は、セメント質と繊維質を原料とし、高温・高圧で成形して塗料で着色したものです。デザインが豊富で機能性も高く、価格も手頃なため非常に使いやすい外壁材といえます。また、工場で製造されたものを現場で貼り合わせるだけで住むため、品質の差も少ないです。
- メリット:耐火性や耐震性が高い、色褪せやひび割れのリスクが少ない、デザインが豊富
- デメリット:つなぎ目のコーキングが劣化しやすい
- 相場費用:約3,000円〜(1平方メートルあたり)
- メンテナンス周期:約7〜8年
金属系は、アルミニウム合金やカラー鉄板などを原料とし、成型したものです。特にガルバリウム鋼板を使用したものは、抜群の耐久性を誇ります。窯業系よりもメンテナンス期間が長く、メンテナンスの手間を省けるのも特長です。
- メリット:軽量で施工しやすい、耐震性・断熱性・遮音性に優れている、耐用年数が長い
- デメリット:サビが出るリスクがある、へこむ可能性がある、窯業系サイディングより費用がかかる
- 相場費用:約4,000円〜(1平方メートルあたり)
- メンテナンス周期:約10〜15年
木質系は、木材を原料とし、塗装を施したものです。機能性よりはデザイン性が高い外壁材といえます。木材ならではの温かみを重視したい方や、色合いの経年変化を楽しみたい方におすすめです。
- メリット:木の温かみや素材感が感じられる、断熱性が高い
- デメリット:防火性能に劣るため地域によっては使用できない場合がある、表面塗装をメンテナンスが必要、汚れやすい
- 相場費用:約6,000円〜(1平方メートルあたり)
- メンテナンス周期:約10年
樹脂系は、塩化ビニル樹脂を原料とし、成形したものです。日本ではあまり普及していません。
しかし、将来的に人気の外壁材になることが予想されます。その大きな理由は、外壁材同士の継ぎ目がないため、コーキングが不要であるからです。また、樹脂そのものに色がついているため、塗装も必要ありません。メンテナンス周期が長いのは大きなメリットです。
さらに、酸性雨や塩害などの影響を受けにくいといわれています。このように、樹脂系はサイディングが持つ課題を克服した外壁材として、今後の普及が期待されているのです。
- メリット:耐震性や防水性が高い、目地のコーキングや塗装のメンテナンスが不要
- デメリット:防火性・断熱性・遮音性が低い、施工できる業者が限られている、費用が高い、カラーバリエーションが少ない
- 相場費用:約9,000円〜(1平方メートルあたり)
- メンテナンス周期:約10~20年
モルタル
モルタルは、砂とセメントを主原料とし、水を加えて作られたものです。湿式工法で施工されます。木材との相性が良く、内壁にも使用されることが多いです。
モルタル壁の仕上げ方には以下の4種類があり、仕上げ方によって雰囲気が変わります。
- リシン:石やセメント・樹脂・接着剤などを混ぜたものを吹き付ける方法
- 吹き付けスタイル:石や樹脂などを混ぜたものを、タイルガンという電動工具で吹き付ける方法
- スタッコ:セメントと骨材を混ぜたものを吹き付ける方法。リシンより厚みが出る。
- 左官仕上げ:コテを使って仕上げる方法。凸凹や鱗状など、さまざまなデザインが可能。
最近では、フレームを設置してモルタルを吹き付けるRTフレーム工法も注目されています。従来の工法に比べて、誰でも手軽にスピーディーに作業できる方法です。
- メリット:味わいのある仕上がりになる、デザイン性が高い、コーキングの補修が不要
- デメリット:工期が長い、防水性が低い、ひび割れが発生するリスクが高い
- 相場費用:約4,500円〜(1平方メートルあたり)
- メンテナンス周期:約8〜10年
なお、モルタルを剥がす際はボッシュという電動工具が使われます。ボッシュには硬い刃物がついており、接着剤を剥がしたり木材を荒削りしたりなどの用途にも役立つアイテムです。
ALCボード
ALCとは、コンクリートの1/4の軽さを誇る軽量気泡コンクリートのことです。ケイ石・セメント・生石灰・発泡剤などを成形して作られています。工場でALCを用いたパネルが生産され、乾式工法で施工されます。耐久性が高く、劣化しにくいのが大きな特徴です。また、夏は涼しく、冬は暖かい住宅を実現できます。
- メリット:断熱性・防火性・遮音性が高い、耐久性に優れている
- デメリット:防水性が低い、こまめな塗装メンテナンスが必要、目地にコーキングが注入してあるためコーキングの補修も必要
- 相場費用:約7,500円〜(1平方メートルあたり)
- メンテナンス周期:約10〜15年
タイル
タイルは、土や石などを高温で焼き固めて作られた素材です。住宅の外壁には、水を吸いにくい磁器質やせっ器質が多く用いられます。タイルの大きな特徴は、劣化が少なく、メンテナンスの手間を省ける点です。また、お手入れもしやすい外壁材です。
- メリット:経年劣化や変質が少なくメンテナンスの手間がかからない、お手入れが簡単、高級感のある雰囲気に仕上げられる
- デメリット:費用が高い、重いので剥離するリスクががある
- 相場費用:約13,000円〜(1平方メートルあたり)
- メンテナンス周期:約20年
塗り壁
塗り壁は、セメントや土を水で練って仕上げる外壁のことです。上で紹介したモルタルのほか、土塗りや漆喰などの種類があります。湿式工法で施工され、職人によって仕上がりはさまざまです。
- メリット:職人の手作業なので味のある仕上がりになる、耐火性が高い(土塗り)、耐久性が高く美しい仕上がり(漆喰)
- デメリット:費用が高い、職人の技量に左右される、表面が崩れるリスクが高い(土塗り)
- 相場費用:約6,000〜7,500円(1平方メートルあたり)
- メンテナンス周期:約10~15年
コンクリート打ちっぱなし
コンクリート打ちっぱなしは、外壁をコンクリートで固めた外壁のことです。コンクリートをそのまま活用した外壁で、無機質で都会的な外観になります。コンクリートならではの耐火性や耐震性・防音性を活かせる方法です。
- メリット:耐火性・耐震性・遮音性が高い、コンクリートの無機質な味わいを活かせる
- デメリット:工期が長い、費用が高い、定期的な撥水剤の塗装メンテナンスが必要
- 相場費用:約40,000〜50,000円(1平方メートルあたり)
- メンテナンス周期:約10~15年
外壁材を選ぶ時のポイント
外壁材選びの際は、以下のポイントを意識しましょう。
- 予算に合ったものを選ぶ
- 耐候性が十分な素材を選ぶ
- 自分の思い描く外観に近いものを選ぶ
外壁材の種類によって費用や工事にかかる時間は変わります。予算に合ったものを選びましょう。
外壁は、外観の大部分を占め、家の印象を左右する重要な部分です。外部環境から家を守る効果もあります。そのため、機能性が高いか、デザインは好みかというポイントも重要です。また、汚れを落としやすいかどうかも、お手入れの手軽さに関わります。
以下では、外壁材を選ぶ時のポイントについて解説しています。
予算に合ったものを選ぶ
使用する外壁材によって、費用は大きく異なります。そのため、予算に合ったものを選ぶことが大切です。費用は、安ければ良いというわけではありません。
安い外壁材は、防火性能や断熱性など、過ごしやすい住宅を実現するために必要な効果が不足している場合が多いです。また、下地補修をしない、といった手抜き業者の可能性もあります。耐用年数が低くなり、補修や工事のやり直しが必要になって結果的に費用がかかってしまうことも多いです。予算内で、求める効果を持った適切な外壁材を選びましょう。
耐久性が高く、メンテナンス性能が高い外壁材は、その分費用も高いです。しかし、メンテナンス頻度が少ないため、ランニングコストは低くなります。費用で外壁を選ぶ際は、初期費用だけでなく、メンテナンスの頻度や費用も考慮することが必要です。
耐候性が十分な素材を選ぶ
外壁は、家の快適さを左右する重要な部分です。外壁を選ぶ際は、耐候性が十分であるかを重視しましょう。耐候性とは、雨や日光などさまざまな気象条件に対する耐久性のことです。耐候性が高い外壁を使用すれば、あらゆる環境でも快適に過ごせる住まいを作れます。
具体的には、断熱性や耐火性、耐水性や耐震性の高さを重視して選びましょう。例えば、断熱性を求めるなら金属製・木質系のサイディングやALCボードがおすすめです。
一方、防火性を重視するなら、木質系のサイディングは適していません。このように、外壁材ごとに耐候性は異なるため、求める耐候性を十分に有している外壁材を選びましょう。
自分の思い描く外観に近いものを選ぶ
外壁は、家の外観において占める面積が大きい部分です。外壁によって住宅の印象は大きく変わるため、デザインも重視して選びましょう。
外壁材は、種類によって色や質感などが異なります。例えば、高級感を意識するならモルタルやタイル・漆喰がおすすめです。個性的なデザインが好みなら職人が手作業で施工する湿式工法の外壁、無機質感を出したいならコンクリート打ちっぱなしが適しています。
理想の外観をイメージし、イメージに近いものを選んでください。屋根とマッチするかも考慮しましょう。
また、外壁材の種類だけでなく、塗装に使用する塗料のカラーも重要です。外壁材と併せて、時間をかけて選びましょう。
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今回は、家の外壁について、種類ごとの特徴やメリット・デメリット、費用相場やメンテナンス周期をご紹介し、外壁材を選ぶポイントについても解説しました。外壁工事を依頼する際は、信頼できる業者を見極める必要があります。
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