トコジラミ駆除を自分で行う際は、正しい知識で適切に処理することが大切です。本記事では、トコジラミの特徴や被害、自宅でできる駆除方法から発生しやすい場所、予防策まで詳しく解説します。
また、プロの害虫駆除業者に依頼するメリットについても触れ、効果的な対処法をご紹介します。トコジラミ問題でお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
トコジラミとは
トコジラミは、かつては「南京虫」と呼ばれていたカメムシ目に属する吸血性昆虫です。体長は大きいもので8mm程度、一般的には4.5~5mm程度で、茶褐色の扁平な体をしています。
生息場所は主に25℃前後の暖かく暗い環境で、ベッドや壁の隙間などに潜んでいるのが特徴です。
夜行性であり、夜寝ている間に人に忍び寄り吸血します。吸血後はすぐに潜伏場所へ戻るため、被害に遭っても発見しにくい点が厄介です。
繁殖力が非常に強く、成虫はオス・メス関係なく吸血します。メスが生涯に産む卵の数は200~500個です。卵は約1週間で孵化しその後2週間かけて成虫になります。
生命力も非常に強く、一般的な殺虫剤が効きにくいだけでなく、吸血なしに1年以上生きられる個体もいます。
日本では、1970年代にはほとんど見られなくなっていましたが、2007年頃から再び増加している傾向です。その背景には、海外からの旅行者や帰国者による持ち込み、物資の移動による拡散などが考えられています。
トコジラミは、一度発生すると駆除が難しい害虫であるため、早期発見・早期対処が重要です。
トコジラミの被害
トコジラミの被害は、主に吸血による身体的・精神的な影響と、生活環境への影響に分けられます。
身体的・精神的な影響
身体的・精神的な影響では、トコジラミの唾液によるアレルギー反応が挙げられます。
主な症状は激しいかゆみや発赤などです。個人差があるものの、かゆみが激しい場合は睡眠不足や皮膚障害を引き起こし、日常生活に支障をきたす恐れがあります。
生活環境への影響
生活環境への影響では、トコジラミが扁平な体を活かして家具・カーペット・たたみ・壁の隙間・カーテンの裏など、あらゆる場所に潜み込むことで駆除が困難になることが挙げられます。
ベッド周りに多く生息しますが、昼間でも活動することがあるため、注意が必要です。
トコジラミの被害の拡大
トコジラミは物に付着したり卵を産み付けたりして、生息範囲を拡大します。衣類や鞄を介して他の場所へ移動することもあるため、被害が家庭や知人にまでにおよぶ可能性もあります。
防除対策としては、日ごろからの定期的な点検と清掃による除去が重要です。
また、一般的な殺虫剤が効きにくい「スーパートコジラミ」の出現により、プロ用の薬剤でなければ駆除が困難になっています。トコジラミの被害を発見した場合は、害虫駆除業者に相談するなど対処法を検討しましょう。
被害の拡大を防ぐためには、宿泊施設の利用時にも注意が必要です。シーツや枕カバーの点検、虫よけスプレーの使用など、適切な予防策を講じるようにしましょう。
トコジラミを自分で駆除する方法
トコジラミは室内、とくに寝室やマットレスなどに潜伏し、大量発生する傾向があります。自分で駆除する場合は、適切な方法で効果的に行いましょう。
専用の殺虫剤の使用、掃除機での吸引、高温での洗濯乾燥、ガムテープでの捕獲、そして天日干しなど、さまざまな駆除方法を組み合わせて実施することが大切です。
ただし、自己対策で効果が見られない場合や大規模な発生の場合は、専門の害虫駆除サービスを利用することも検討しましょう。
①殺虫剤
トコジラミ駆除には、通常の殺虫剤とは異なる専用の製品を使用することが重要です。一般的なピレスロイド系の成分は、スーパートコジラミと呼ばれる耐性を持ったトコジラミには効果が薄い可能性もあります。
そのため、駆除作業には有機リン系、カーバメート系、オキサジアゾール系のいずれかを含む殺虫剤の使用がおすすめです。専用の殺虫スプレーを使用し、トコジラミが潜んでいる可能性のある場所に積極的に吹きかけましょう。
屋内や寝室の隙間にスプレーを使用することで、トコジラミの移動を防ぎ、大量発生を抑えられます。
有機リン系の殺虫剤は市販では入手が難しいため、カーバメート系またはオキサジアゾール系の製品を選ぶことで、スーパートコジラミに対しても効果的な駆除が可能です。
また、殺虫スプレーを使用した後の効果が持続するため、一度の作業でより長期間にわたりトコジラミを駆除することが期待できます。早期発見と継続的な駆除作業で効果的に対処しましょう。
②掃除機で吸引
掃除機を使って成虫や卵、幼虫を吸い取ることも効果的です。
トコジラミの成虫は体長が4.5~8mm程度で、肉眼でも確認できます。発見したらすぐに掃除機で吸引し、部屋中のマットレスや家具の隙間、カーペットなども念入りに掃除しましょう。
掃除機を使用する際には、狭い隙間にもしっかりと届く細いノズルを選び、トコジラミが飛散しないように注意してください。
また、吸い取ったゴミはすぐにビニール袋に移し、密封してから捨てることが大切です。内部でトコジラミの卵が孵化しないよう、掃除機内のほこりをこまめに処理するのも忘れずに行いましょう。
心配な場合は、吸引後の袋に殺虫スプレーを少量吹きかけておくと、より確実にトコジラミを駆除できます。
③高温乾燥
トコジラミを駆除するためには、高温での処理も有効です。カーテンや寝具類、衣類などは、ドライヤーやアイロンのスチームをあてて熱処理を行いましょう。79度以上の温度であれば、5分程度で死滅するとされています。
ただし、洗濯の際は家庭用の洗濯機や乾燥機では70度程度までしか温度が上がらないため、完全な駆除は困難です。そのため、コインランドリーの高温乾燥機の使用をおすすめします。
コインランドリーの乾燥機は高温モードがあり、80度以上に設定できるものが多いためです。これにより、シーツや衣類などを確実にトコジラミから守れます。
④【応急処置】ガムテープで捕る
トコジラミへの応急処置として、ガムテープを使用して捕獲する方法があります。
成虫や幼虫、卵が確認できる場所にガムテープを貼り付け、剥がします。見える範囲で丁寧に作業を行い、できるだけ多くのトコジラミを捕らえるようにしましょう。
捕獲が終わったら、使用したガムテープをポリ袋に入れて密閉し、確実に廃棄します。
⑤天日干し
天日干しは、真夏の高温環境下で効果的なトコジラミの駆除方法です。トコジラミは高温に弱く、炎天下に布団やマットレスを長時間さらすことで、成虫や卵を殺虫できます。
ただし、トコジラミは隙間に入り込む習性があるため、しっかりと全体に日光が当たるよう途中で裏返すなどの工夫が必要です。天日干しの際は、大きめの黒いビニール袋に入れることもおすすめです。
また、厚手のマットレスでは中心部まで熱が届かないこともあるため、買い替えを検討することも一つの選択肢といえます。
本格的な駆除は業者への依頼がおすすめ
トコジラミの完全駆除には、専門業者への依頼がおすすめです。
近年、一般的な殺虫剤が効きにくい「スーパートコジラミ」の出現により、自己による害虫対策は根絶が困難になっているのが実情です。
プロの害虫駆除業者は、トコジラミの発生原因や生態を熟知しており、効果的な駆除方法を提案します。専門の業者は、ベッド・家具の隙間・衣類・荷物への付着など、トコジラミが潜む場所を徹底的に調査し適切な対策を講じます。
業者による駆除の主なメリットは、時間と労力の節約、高い駆除効果、再発予防処置の実施です。トコジラミ駆除の費用相場は、30平米あたり3万~10万円が目安となります。
業者選びの際は、駆除の実績と経験、使用する薬剤の成分や安全性、アフターフォローの有無などに着目することが重要です。また、事前に複数の業者から見積もりを取り、条件を比較するようにします。
トコジラミによるアレルギー反応や健康被害を防ぐためにも、早期発見・早期対策が重要です。自宅で抜け殻や成虫を確認した場合は、速やかに専門業者に相談しましょう。プロの力を借りることで、トコジラミの完全駆除と快適な生活環境の回復が期待できます。
トコジラミが発生しやすい場所
トコジラミは、暗くて狭いすき間を好む習性があり、主に寝具周辺に潜伏します。これらの場所は、吸血のために人間に近づきやすく、繁殖に適した環境となっています。
トコジラミが発生しやすい場所は以下のとおりです。
- 寝具周辺
- ベッドのマットレスや布団の縫い目
- 枕カバーの折り目
- 毛布やシーツのすき間
- 家具のすき間
- タンスや引き出しの裏側
- ソファの縫い目や cushion の下
- 壁や床のすき間
- 壁紙のはがれた部分
- 床板の継ぎ目
- カーペットの裏側
- その他の潜伏場所
- カーテンの裏側や折り目
- コンセントプレートの内部
- 本棚や本のすき間
- 出張や旅行で使用したバッグ
トコジラミの存在を確認するには、以下のポイントに注意しましょう。
- 寝具や家具の周辺に黒い点状のフンがないか
- 成虫や幼虫、卵の殻が見つからないか
- 就寝後に原因不明のかゆみがないか
【出張・旅行先での対策】
トコジラミの被害を最小限に抑えるためには、定期的な清掃と丁寧なチェックが重要です。海外旅行や出張後は、使用したバッグや衣類を注意深く確認し、高温での洗濯や乾燥するようにしましょう。
宿泊先では、ベッドや家具のすき間を入念にチェックし、トコジラミの痕跡がないか確認します。もし発見した場合は、専門の駆除剤を使用するか、部屋の変更を依頼することが賢明です。
【早期発見が重要】
トコジラミの繁殖力は非常に高いため、早期発見と適切な対策が重要です。
予防や駆除を行う際は、複数の方法を組み合わせましょう。
自宅での対策としては、専用の殺虫剤や燻煙剤がおすすめです。これらの製品は、トコジラミの繁殖力を抑え、成虫や幼虫を死滅させる効果があります。使用する際は、製品の表示をよく確認し、適切な箇所に噴射や散布を行いましょう。
自己対策で効果が見られない場合は、専門事業者に相談することをおすすめします。
【予防対策】
定期的に清潔を保ち、すき間や毛布などの潜伏しやすい場所を丁寧にチェックすることも重要です。洗濯の際は高温での洗浄や専用の洗剤を使用することで、より確実にトコジラミを駆除できます。
【トコジラミを発見したら】
トコジラミはカメムシの仲間ですが、その繁殖力は比較にならないほど高いです。そのため、自宅での予防方法を徹底し、早期発見・早期対策を心がけましょう。温度管理も重要で、45℃以上の高温に長時間さらすことでトコジラミを死滅させることが可能です。
専門的な駆除サービスを注文することも、選択肢の一つです。プロの技術と知識を活用することで、より安心で効果的な駆除が期待できます。トコジラミ対策には時間と労力はかかるものの、快適な生活環境を維持するために必要な投資と考えましょう。
トコジラミを発生させないための対策方法4選
トコジラミの発生を防ぐためには、日ごろからの予防対策が重要です。ここでは、家庭で実践できる4つの効果的な対策方法を紹介します。
こまめに掃除機をかける
トコジラミの被害を減らすためには、こまめに掃除機をかけることが効果的です。トコジラミが潜みやすい場所、家具の隙間や布団の周辺などに重点を置き、ゆっくりと掃除機を動かして捕獲するようにしましょう。
掃除機をかける際は、トコジラミの成虫だけでなく、卵や幼虫、死骸も一緒に吸い取ることが可能です。とくに卵は、今後増やさないための対策にもなります。
吸い込んだごみは、すぐにビニール袋に移し、口をしっかり縛ってから捨てましょう。また、より確実な処理を行うために、袋の中に殺虫スプレーを吹きかけるのが重要なポイントです。
隙間を減らす
トコジラミを発生させないためには、隙間を減らすことが有効な予防策です。トコジラミは暗くて狭い場所を好むため、家具や壁の隙間、クローゼット内の割れ目などに潜り込みやすい特徴があります。
隙間をシーリング材や粘着シートなどでしっかりと封鎖し、トコジラミが入り込む場所を減らしましょう。台所や畳の隙間も同様に、アルミテープやマスキングテープで封鎖することで、侵入経路を遮断できます。
ベッドの周りは整理整頓しておく
トコジラミを発生させないためには、ベッド周りの整理整頓が重要です。人が長く留まるベッド周りは、トコジラミにとって格好の隠れ場所となりやすいため、不要なものを減らすことが効果的です。
古い新聞や雑誌、不要な衣類などを処分することで、トコジラミが潜む隙間や場所を減らせます。
トコジラミは、家を清潔にしないことによって発生することよりも、外から持ち込まれることの方が圧倒的に多いです。日々の整理整頓と清掃を心がけることが、被害を最小限に抑えるために重要です。
掃除機を人日のいる部屋に置かない
トコジラミを発生させないためには、掃除機の管理にも注意が必要です。掃除機でトコジラミやその卵を吸い取った場合、掃除機内にトコジラミが残り、再び部屋に広がるリスクがあります。
そのため、掃除機は使用後に人が長く滞在する部屋には置かず、クローゼットや物置に保管するのが望ましいです。
自分では手に負えないと感じた場合には、専門業者への相談を検討してみましょう。信頼できる業者であれば、見積もりや詳細な対策を提示し、熱処理などの方法で確実に駆除を行います。
【おまけ】旅先でトコジラミの被害を防ぐには?
近年、海外でのトコジラミの集団発生が話題になっています。この害虫は旅行中に思わぬ被害をもたらすことがあるため、対策をしっかりと講じることが重要です。
トコジラミを持ち帰らないためには、旅行前に準備を行うことが大切です。衣類や荷物は、密閉可能なバッグやビニール袋に入れるとよいでしょう。これにより、移動中の接触を最小限に抑えられます。
現地での宿泊先では、ベッドやソファの隙間を確認し、トコジラミの卵や成虫がいないか確認してください。もし見つけた場合は、すぐに別の部屋に移るか、宿泊施設に連絡しましょう。
旅行から帰った後の対策も重要です。衣類はすぐに洗濯し、高温により乾燥させてトコジラミを駆除しましょう。荷物は玄関先でしっかりと点検し、しばらく外に置いておくことをおすすめします。
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