紙魚(シミ)とは、ゴキブリよりも前に存在していたといわれる昆虫です。3億年以上の歴史を持っていますが、生態にほとんど変化がありません。
この記事では、紙魚の特徴や駆除方法、予防策について解説します。特に、書籍や掛け軸など自宅に紙類を多く保管している方は、最後までご覧ください。
紙魚(シミ)とは
紙魚(シミ)とは、体長8〜13mm程度の昆虫です。幼虫・成虫問わず紙類を好み、体型が魚に似ていることから、日本では紙魚と呼ばれています。体が銀色に輝いているのが特徴で、雲母虫(きららむし)やシルバーフィッシュなどの呼び名もあります。
呼び名はおしゃれな響きですが、紙魚の実態は夜行性の害虫です。障子紙や書籍、掛け軸など、紙類をボロボロにする被害をもたらします。また、見た目を不快に覚える方も多く、ゴキブリと並ぶ不快害虫としても知られています。
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紙魚の特徴
ここからは、生息場所や好むエサなど紙魚の特徴について説明します。
生命力の高さ
紙魚の寿命は7〜8年と言われており、他の昆虫と比べても長寿命です。
例えば、同じく住宅での発生頻度が高いゴキブリとアシダカグモの平均寿命と比較してみると、ゴキブリの寿命は約1年、アシダカグモの平均寿命は3〜7年前後とされています。
紙魚は餓死状態でも1年は生き延びられるほど、生命力が強いです。繁殖力も高いため、紙魚の被害を防ぐには継続的に予防策が必要になります。
生息しやすい場所
紙魚は、直射日光が当たらず、気温20℃以上、湿度70%以上の条件が揃う場所を好みます。
高温多湿の環境になりやすい以下のような場所は、特に紙魚が生息している可能性が高いです。
- クローゼット
- 浴室
- トイレ
- 押し入れ
- タンス
- 本棚
特に梅雨〜夏場にかけての時期は、高温多湿の環境が続きます。押し入れやクローゼットなどに紙類を収納している場合、被害が出ていないか、定期的に確認しましょう。収納している紙類を定期的に虫干しするのも有効です。
紙魚が好むエサ
紙魚は、コピー用紙や段ボールなど紙類全般が好物です。特に、和紙や糊付けされた書籍を好んで食べるため、掛け軸や障子紙、手帖などを収納している場合は、注意が必要です。
また、紙類以外では、以下のものを好んで食べます。
- 虫の死骸
- ほこり
- パンの食べかす
- クッキーの破片
紙魚は、小麦粉を含む食べ物も好物です。賞味期限切れの食品は、早めに処分しましょう。
人体には無害
住居に紙魚が浸入した場合、紙類の破損が生じてしまうリスクがあります。
ただし、体内に毒や病原菌を持っているわけではありません。人の肌を刺す・噛む行為もしないため、人体に影響が及ぶ可能性は極めて低いでしょう。
紙魚の駆除方法
ここでは、紙魚の駆除方法を紹介します。家庭環境や被害状況に応じて、最適な方法を選びましょう。
ホウ酸団子を置く
ホウ酸とは、殺菌効果を持つ無色または白色の粉末物質を指します。玉ねぎや小麦粉、砂糖にホウ酸を加えて作った、いわゆる毒入り団子です。毒性と殺菌効果に優れており、ゴキブリをはじめとした害虫駆除などにも使用されています。
ゴキブリは甘い香りを好みますが、紙魚はでんぷんが含まれた食べ物を好んでエサにしています。ホウ酸団子が放つ臭いで、害虫たちをおびき寄せるのが狙いです。ホウ酸団子を食べたゴキブリや紙魚は、神経麻痺や脱水症状を起こし、死に至ります。
脱水症状に陥ると水回りに集まるため、死骸を回収しやすい場所にホウ酸団子を置くのがポイントです。ゴミ箱や排水溝、ガスコンロの付近などが設置場所として最適です。ホウ酸団子の効果は、最大半年ほど持続するとされています。
ただし、ホウ酸団子は人間にとっても非常に危険です。5g程度のホウ酸で乳幼児が死に至るほど、毒性が強いです。小さい子どもやペットがいる家庭では、別の方法での対策をおすすめします。
ホウ酸団子の作り方
ホウ酸団子は手作りと既製品、どちらでも用意できます。
ここでは、ホウ酸団子を手作りする手順をまとめています。
(1)以下の材料を用意します。
- ホウ酸 :300g
- 小麦粉:240g
- 砂糖:大さじ2
- 玉ねぎのすりおろし:大さじ2
- 牛乳:適量
団子を2〜5個程度作れる分量です。ホウ酸は、ドラッグストアやスーパー、ECサイトなどで購入できます。
(2)材料を耳たぶ程度の柔らかさになるまで練って、直径2mm程度に丸めて団子を作ります。
(3)完成した団子は直射日光に当てて乾燥させます。このとき表面に白い粉がふくまで乾燥させるのがポイントです。乾燥時間は、夏場で1週間程度、冬場であれば10日間ほどが目安となります。
(4)紙魚やゴキブリが特に発生しやすい場所に団子を置きます。
ふかしたジャガイモでも対策可能
でんぷんやタンパク質が含まれる食べ物に寄りつく紙魚の特性に着目した、簡単にできる駆除対策です。
ふかしたジャガイモを紙皿に乗せて、紙魚が出現しやすい場所に置いておくだけで、紙魚がにおいにつられて集まります。紙魚の姿が確認できたら、そのまま紙皿ごと捨ててください。
食べごろを過ぎたジャガイモなどを活用して、上手に対策しましょう。
スプレー〜エアゾールタイプの殺虫剤を使う
殺虫剤を活用した駆除対策も、非常に有効です。
スプレータイプの殺虫剤を使う場合は、ピレスロイド系の成分が含まれている商品か確認しましょう。ピレスロイドは即効性に優れ、少量でも紙魚を駆除できます。ピレスロイド系の成分には、シフェノトリンやイミプロトリンなどが該当します。
一方、エアゾールタイプの殺虫剤は、LPガスやDMEなど噴射した液化ガスを室内に充満させるタイプの商品です。スプレータイプと同様、ピレスロイド系の成分が含まれています。
ただし、液化ガスは可燃性のため、ストーブやガスコンロなど火の元の側での使用は控えましょう。
紙魚の大量駆除は専門業者に依頼
クローゼットや押し入れなど住居の至る場所で大量の紙魚が発生した場合は、害虫駆除専門の業者に依頼するのが安心です。
プロの業者に依頼すると、紙魚を完全に駆除できるだけでなく、今後の予防対策や効果的に駆除する方法などアドバイスしてもらえます。
紙魚の駆除を業者に依頼した場合の費用相場
害虫駆除業者を利用した場合、紙魚の駆除には少なくとも5万円ほどの費用がかかります。駆除費用のほかに清掃代や交通費、出張代などが別途かかります。
また、駆除にかかる費用相場を把握するためには、複数の駆除業者から見積をとることも重要です。
簡単にできる!紙魚の予防対策6選
ここでは、簡単に実践可能な紙魚の予防対策を紹介します。複数の対策を並行して、被害リスクを最小限に抑えましょう。
1. ハーブ系のアロマオイルを使う
紙魚をはじめ、害虫は嗅覚に優れており、においには非常に敏感です。
紙魚はハーブ系の香りを苦手で、特にラベンダーの香りを嫌います。ラベンダーのアロマやルームフレグランスを活用することで、紙魚の被害を最小限にとどめることができます。
そのほか以下のようなアロマオイルでも、紙魚を遠ざける効果が期待できます。
- ペパーミント
- ローズマリー
- ヒノキ
- レモングラス
- ユーカリ
2. 家にある紙類を減らす
紙魚のエサとなる書類や書籍、段ボールなど不要な紙類を定期的に処分しましょう。生命力の強い紙魚ですが、餓死状態が続けば最長でも1年程度しか生られません。
ただし、すでに自宅内にしている紙魚は、別の方法で駆除する必要があります。ホウ酸団子や殺虫剤など駆除効果の高い方法で対策しましょう。
3. 掛け軸や絵画を虫干しする
自宅に掛け軸や書籍など紙製品を多く保有している方におすすめの対策です。
虫干しは、使用頻度が低くくても手放せない紙類に対して、日光を当てて湿気を飛ばす方法。高温多湿で暗い場所を好む紙魚を生息する場所を奪います。
ただし、虫干しを行う際は、日光の影響で掛け軸などが変色したり日焼けしたりしないように注意しましょう。
4. 湿度を調整する
室内の湿度を下げることも効果的です。紙魚は乾燥に弱く、湿度が43%以下になると動きが鈍くなる傾向があります。定期的な換気やエアコンの除湿機能を活用して、部屋の湿度を40〜50%程度に保つことをおすすめします。
ただし、部屋の湿度を極端に下げないように注意しましょう。湿度が40%以下になると、ウイルスやバクテリアの活動が活発になり、感染症を発症する可能性があります。
5. 部屋を掃除して清潔に保つ
部屋をこまめに掃除して、きれいな状態を保ちましょう。紙魚は人間の髪の毛やフケなどもエサとします。床に落ちているゴミを掃除することで、紙魚が生息しにくい環境を作ることが大切です。
また、押し入れやクローゼットなど湿気がこもりやすい場所は、定期的な換気を心がけましょう。
6. 家の隙間を塞ぐ
玄関と窓の隙間や壁のひび割れなど、室内にある少しの隙間を塞ぐ方法も有効です。紙魚の体長は8〜13mm程度と非常に小さく、1mmでも隙間があれば家の中に侵入してきます。屋外から入り込むのを防ぐには、補修テープやパテを用いて隙間を埋めておきましょう。
壁のひび割れや劣化が進んでいる場合は、専門業者に相談することをおすすめします。
ゼヒトモで害虫駆除業者を探す
紙魚を駆除するには、ホウ酸団子や殺虫剤を使用するなど自分でもできる対策があります。
紙魚が大量発生した場合は、害虫駆除などの専門業者に依頼しましょう。ゼヒトモでは、複数業者の選定から見積依頼まで一貫して行えます。プロの業者をお探しの方は、ゼヒトモの利用してみてはいかがでしょうか。
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