保育士の仕事ではどれくらいピアノのスキルが求められるのでしょうか。“保育士になりたいけどピアノが弾けない” “保育士になるためにはピアノが弾けないといけないの?” “どのくらい弾ければいいの?”そんな悩みを持つ方もいるのではないでしょうか。この記事では、保育士に求められるピアノのレベルと、ピアノが弾けなくて困っている方のための3つの対処法を紹介します。
目次
- 保育士資格はピアノが弾けなくても取得できる?
- ピアノは弾けた方が有利なのか?
- 保育士に求められるピアノのレベルは?
- 採用試験でピアノの実技テストがある場合
- ピアノが上手くなる方法はある?
- ピアノが弾けない場合の3つの対処法
- まとめ
保育士資格はピアノが弾けなくても取得できる?
保育士になるため、必要となるのが保育士資格。上記で述べた通り、ピアノが弾けなくても保育士資格を取得することができます。 しかしこの資格を習得するにはいくつか方法があり、場合によってはピアノが必須となることも。 ピアノが必須ではない場合と必須の場合、それぞれで保育士資格を得る方法を確認してみましょう。
ピアノが必須ではない場合
「保育士試験」を受けるのであれば、ピアノの技術は必須となりません。 保育士試験は、筆記試験と実技試験で構成されています。筆記試験に合格したのち、実技試験に進めるというシステムです。 実技試験では、
・「音楽表現」に関する技術
・「造形表現」に関する技術
・「言語表現」に関する技術
この3分野のうち、2つを選んで受験しなければいけません ピアノ演奏が必要となるのは、「音楽表現」に関する技術の試験。そのため、残りの「造形表現」「言語表現」の分野を選び試験に合格することで、ピアノの実技テストを受けずとも保育士資格を取得できるでしょう。
ピアノが必須の場合
保育士資格の取り方として、「保育士養成校に指定された専門学校・短大・大学で必要な単位を取得する」という方法もあります。 この場合、必ず単位を取らなければならない必修科目に、ピアノの実技が含まれていることがほとんど。そのため、養成校に通って保育士資格を取得するのであれば、ピアノは必須と言えるでしょう。 なお養成校に通っている場合、ピアノの技術であまり心配することはありません。授業を通して、初心者でもピアノが弾けるようしっかり教えてもらえるためです。
ピアノは弾けた方が有利なのか?
ピアノが弾けなくとも保育士になれる、と先ほどは説明しました。しかし、実際ピアノが弾けるのと弾けないのとでは、ピアノを弾けた方が有利と言えるでしょう。 その理由として、「ピアノが弾けることを採用条件に含む保育園が多い」ということが挙げられます。
子供たちの豊かな感性を育むため、音楽を活用して知育を行う保育園は多くあるでしょう。そのような園ではピアノ演奏の機会も多く、ピアノを弾ける保育士が求められます。
なお、中には周囲への騒音対策として、CD音源が中心という保育園も。その場合、CD音源を聴いて歌ったり手拍子を叩いたりすることが多いため、ピアノ技術はさほど求められません。 しかし、ピアノを弾けた方が働ける園の選択肢が増え、保育士としてキャリアの幅が広がると言えます。
保育士に求められるピアノのレベルは?
では実際のところ、ピアノのレベルがどれくらいに達していると保育士として十分と言えるのでしょうか。 演奏面・指導面という2つの観点から、保育士に求められるピアノのレベルについて解説していきます。
演奏面:バイエル修了レベルで弾き歌いができる
演奏技術が「バイエル修了レベル」であれば、保育士として十分なピアノスキルを持っていると考えられます。 バイエルとはピアノ教本のひとつで、ピアノ初心者の導入として使われることが多いもの。片手ずつの演奏から始まって次に両手でのユニゾン、終盤はメロディー・伴奏を両手で弾くといった内容で、段階を踏んで基本的なピアノの技術が身につくようになっています。
このバイエル教本をマスターすると、保育園での歌の伴奏を弾けるレベルには達していると言えるでしょう。何も難曲を弾けるようになる必要はないのです。 またピアノの技術だけでなく、「弾き歌いができる」ということも、子供たちの前で演奏するには必要なスキル。ピアノ演奏と歌、どちらか片方だけでなく、両方できなければいけません。
保育士試験の音楽分野においても、弾き歌いは試験内容に含まれています。 伴奏を弾きながら、子供たちのお手本として大きな声で歌える能力も求められるでしょう。
指導面:子供たちに音楽の楽しさを伝えられる
保育士に求められるのは、子供たちが健やかに育つよう保育をするということ。そのためピアノの技術と同じくらい、「子供たちに音楽の楽しさが伝えられる」という指導スキルも求められるでしょう。
音楽活動を楽しむことで、子供たちはリラックスしながら感受性や表現力、協調性を育むことができます。 伴奏を弾いている先生があまり笑顔でなかったり、楽しそうにしていなかったりすると、子供たちのやる気もなくなってしまうもの。目の前にいる先生が元気でないと、子供たちにもそれが自然と伝わってしまいます。大事なのは、子供たちに音楽を楽しんでもらうことでしょう。
・手元や楽譜だけでなく、子供たちの表情を見ながら笑顔で歌える
・途中で失敗して弾けなくなっても、歌を止めずに歌い続けられる
・子供たちがあまり歌っていなくても、元気よく歌ってリードできる
これらができていると、子供たちも安心して音楽を楽しむことができます。常に子供たちのことを考えてピアノ演奏ができるということも、保育士に求められるスキルでしょう。
採用試験でピアノの実技テストがある場合
保育園の採用試験では、通常の書類選考や筆記試験に加え、ピアノの実技テストが課されることもあります。音楽保育を中心に行う園では、採用の過程でこういった実技テストを設ける傾向に。保育士試験で音楽分野の実技試験を受けなかった方も、採用試験でピアノの実技テストがある場合、ピアノのスキルが必要となるでしょう。
試験形式としては「課題曲」「自由曲」「初見」があり、事前にどういった形式でテストが行われるか知らせてもらえます。そのためピアノのテストがあると分かっている場合、それぞれの形式に応じた対策をする必要があるでしょう。なお、いずれもピアノ演奏だけでなく弾き歌いが求められる場合がほとんど。 形式ごとにどういった特徴があるか、以下で順番に紹介していきます。
課題曲
実技テストにあたって、「この曲を弾いてほしい」と事前に課題曲が伝えられる形式です。ほとんどの場合で童謡や唱歌などが指定され、その園でよく歌われている曲を課題曲とされることも多いでしょう。 この場合、曲名は指定されるものの、楽譜は自由であることがほとんどです。
同じ曲であっても、難易度が低い楽譜から高い楽譜まで様々なものがあり、自分の力量に合ったものを選ぶことができます。 そのため、ピアノが苦手という方は伴奏がシンプルな楽譜を選び、歌に集中するというのも一つの手でしょう。
自由曲
自由曲はその名の通り、「テストで演奏する曲を自由に選ぶ」という形式です。演奏レベルや曲の選び方に指定はなく、自分で好きな曲を選べるため、得意とする曲を演奏しても構いません。
しかし、難易度が高い曲ほど評価される、というわけではないため注意しましょう。オーケストラで演奏されるような曲を選んで高いスキルを披露しても、むしろマイナス評価につながりかねません。 大切なのは、実際に子供たちの前で演奏するイメージが浮かぶということです。
・保育園でよく歌われているような曲
・弾き歌いがしやすい曲
・歌詞が頭の中に入っている曲
・リズムが一定で弾きやすい曲
選曲のときは上記のポイントを意識すると、演奏がしやすいだけでなく保育士としてピアノを弾いている姿がイメージしやすく、プラスの評価につながります。
初見
実技テストにおいて、最も難易度が高いのがこの初見スタイル。「初めて見た楽譜をその場で演奏する」といった形式で、童謡や唱歌の楽譜を渡されることがほとんどでしょう。
具体的に流れを説明すると、その場で楽譜が渡され、数分間の譜読み・練習のあと、実際にピアノで演奏します。 ピアノが苦手という方にとって、初見演奏はかなり難しく感じられるかもしれません。しかし、いくつかのポイントを押さえることで、初見でもそれなりの完成度で演奏できるようになります。
・有名な童謡曲・唱歌曲はある程度メロディーを弾けるようにしておく
・初見を想定した譜読み・演奏の練習を日頃から行う
・少し先の音符を見ながら、流れを意識して演奏する
上記のポイントを意識することで、当日どのような楽譜が渡されても、ある程度は対応できるようになるでしょう。
ピアノが上手くなる方法はある?
ピアノが上手くなる方法として、まずはコツを押さえて練習することが大切です。やみくもに曲を練習していても、なかなか上手く演奏できるようにはなりません。練習のコツを押さえることで、効率よくピアノの技術を上達させることにつながります。 練習をするときのコツとして、具体的に以下のようなものが挙げられるでしょう。
・練習曲を使って指を鍛える
・肩を上下に動かしたり肩回しをして、力を抜くよう意識する
・椅子の高さや座る位置を合わせて、背筋が伸びるようにする
・メトロノームを活用してテンポを身につける
・右手と左手それぞれで、強化できる曲を練習する
・慣れるまでは楽譜にドレミを書き込む
地道に練習を続けることで、ピアノは必ず上達します。 こうしたコツを意識しながら、じっくり練習を続けてみてください。
ピアノが弾けない場合の3つの対処法
上記ではピアノが上手くなる方法として、練習のコツをいくつか紹介しました。とはいえ、ピアノへの苦手意識が強い方にとって、こうした練習を地道に続けるのはなかなか大変でしょう。 ここからは、なかなかピアノが弾けないという方のため、3つの対処法を説明していきます。
1. ピアノのレッスンを受けてみる
どうしても独学だと難しい場合、レッスンを受けてみるという方法が。 保育士試験や採用試験での実技テストでは、以下のような観点で評価されます。
・手元や楽譜だけでなく、子供たちと目線を合わせる余裕がある
・最後まで途切れることなく、一定のテンポで弾き歌いができる
・楽しさが伝わる豊かな表現力がある
しかし、独学でこれらのスキルを身につけるには時間がかかってしまいます。他の内容も対策しなければならない中、ピアノ練習だけに時間を割くことはできません。 そこでおすすめなのが、「プロのレッスンを受ける」ということ。
Zehitomoには多くのピアノ教室が登録しており、中には保育士の試験対策に特化した教室もあります。 プロのレッスンであれば、効率よくピアノが上手くなるよう指導してもらえたり、実技テストで見られるポイントを中心に教えてもらえたりと、様々なメリットが。 一人で練習するのが不安であれば、こうしたレッスンでサポートしてもらうのも有効でしょう。
2. ピアノ以外の得意分野を伸ばしていく!
ピアノがどうしても苦手だという場合、「他の得意分野を伸ばす」というのも一つの手です。 音楽アプローチとして使えるのは、ピアノだけではありません。実際の保育士試験でも、ピアノのほかにギターやアコーディオンで受験することが認められています。
ピアノ以外の楽器でも、子供たちの音楽的発達を促すことは十分可能です。逆にピアノばかりでなく、他の楽器も使うことで刺激が入り、メリハリのある音楽活動になるでしょう。 他の楽器のスキルを伸ばすことで、ピアノが苦手でもカバーすることができるのです。
また、「読み聞かせスキル」「絵を描くスキル」など、音楽以外に特技を作るという手段も。子供たちとの距離を縮めるためには、紙芝居を読んだり、絵を一緒に描いたりと、音楽以外にも様々なアプローチ方法があります。 採用条件でピアノが必須とされていない限り、こうした特技があれば、保育士としての強みをアピールできるでしょう。
3. ピアノを弾かなくてもいい職場を探してみる
「ピアノのスキル不問」としている求人募集も、意外と見つかるものです。ピアノが苦手であれば、こうした募集を出している保育園に応募するのも良いでしょう。 ピアノが弾けなくても良い理由として、
・採用後、ピアノが上達するようサポートしてもらえる
・周囲への騒音を考えて、ピアノはあまり使わずCD音源が中心
・得意分野を担当する方針で、既にピアノ担当の先生がいる
という点が挙げられます。 どうしてもピアノに苦手意識がある場合、そういった職場を探してみるのも一つの手でしょう。
まとめ
今回の記事では、保育士に求められるピアノのレベルと、弾けないときの対処法について紹介してきました。 保育士に求められるのは、決してピアノのスキルだけではありません。大事なのは、子供の豊かな成長のために努力できるということです。
ただ、ピアノを弾けた方が保育アプローチの幅が広がり、より子供達を楽しませることができるとも言えるでしょう。 自分がどのような保育士になりたいか、改めて考えてみた上で、今回紹介した対処法を試してみてください。
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