「子どもに絶対音感を身につけさせたい」「ピアノで絶対音感は習得できるの?」と考えている方も多いのではないでしょうか。
絶対音感はトレーニングによって身につけることが可能ですが、習得に適した年齢があります。この記事では、ピアノを活用した絶対音感の習得方法や、そのコツについて詳しく解説します。
絶対音感とは?誰でも習得可能?
絶対音感とは、他の音と比較することなく「音名」を正確に判別できる能力を指します。例えば、ピアノの鍵盤を見ない状態で「ド」の音が鳴った際に、それが「ド」と認識できる力です。
生まれつき絶対音感を持っている人は、全人口の1%以下とされ、非常に稀です。しかし、幼少期から適切なトレーニングを受ければ、誰でも習得が可能といわれています。
ピアノ演奏と絶対音感の関係
絶対音感を身につけるためのツールとして、楽器がよく使われます。その中でも特におすすめなのがピアノです。ピアノは、鍵盤上にドレミの位置が明確に配置されているため、絶対音感を習得するのに非常に適しています。絶対音感を学ぶメジャーなレッスンである「江口式絶対音感プログラム」でも、倍音が豊富なピアノがトレーニングに最適とされています。
絶対音感と相対音感の違い
「絶対音感」は、基準となる音がなくても音名を判別できる能力ですが、これに対して「相対音感」は、基準の音と他の音の間隔を把握する能力です。例えば、絶対音感の持ち主は、「ド」を聞かなくても「ソ」の音を正確に認識できますが、相対音感の持ち主は、「ド」の音を基準にして「ソ」の音との距離を把握し、音を認識することができます。
また、絶対音感と相対音感には、身につけられる年齢に違いがあるという大きな特徴があります。これを表にまとめると、以下の通りです。
絶対音感
概要 | 他の音と比較せずにある音の高さを識別できる能力 |
身につけられる年齢 | 聴覚の発達する臨界期(4~6歳) |
できること | 聞いた音を楽譜なしで模倣できる 聴音(耳で聞いた音を楽譜に書き写すこと)ができる |
相対音感
概要 | 基準となる音と聞いた音を比較して識別する能力 |
身につけられる年齢 | 何歳から(大人になってからでも)可能 |
できること | 音階や旋律を把握できる |
絶対音感を身につけるメリット・デメリット
メリット
• 聞いた音を楽譜なしで模倣(耳コピ)できる
• 聴音(耳で聞いた音を楽譜に書き写すこと)ができる
• 他の楽器を学ぶ際、習得が早い
• 脳の発達を促す
音大進学やプロを目指す人にとって、音の模倣や聴音ができる能力は非常に役立ちます。音を正確にイメージできることでスムーズに作曲ができ、他の楽器の習得が早いことも、音楽活動を進める上で大きな強みです。
また、絶対音感を身につけることは脳の発達にも良い影響を与えます。絶対音感を持つ人は、言語理解や数学的能力を司る左脳の側頭平面が通常の2倍に発達し、IQが高くなるともいわれています。
デメリット
• 何気ない音が耳ざわりに感じる
• 音楽を純粋に楽しめなくなることがある
• 絶対音感を身につけるためには長期間の練習が必要
音階に敏感すぎるため、チューニングがずれていたり、カラオケで友達の歌の音程が外れていると気になってしまうことがあります。ただし、これには克服方法があり、「江口式絶対音感プログラム」では、多少の音の違いを許容できるようにトレーニングが行われます。
さらに、絶対音感を習得するには平均して約2年の期間が必要とされ、家庭での練習量も大きくなります。そのため、共働き家庭や兄弟姉妹の多い家庭では負担になる可能性がある点もデメリットと言えるでしょう。
子どものうちにピアノで絶対音感を習得するためには?
絶対音感は、何もしなくても自然に身につく可能性がありますが、それは非常に稀なケースです。ほとんどの人はトレーニングが必要で、特に適した年齢があります。絶対音感を身につけるためには、幼い子どもの時期が重要です。
ここでは、子どもが絶対音感を習得するための大切なポイントを紹介します。
絶対音感を習得する前提条件
4~6歳頃までに音感訓練を受ける
聴覚は五感の中でも早く発達し、その臨界期は4~5歳頃に訪れ、8歳頃には完成すると言われています。そのため、音感のトレーニングは4~6歳頃までに始めるのが望ましいとされています。各スクールによって推奨年齢は異なりますが、この時期にトレーニングを始めることが重要です。
例えば、「江口式絶対音感プログラム」では、絶対音感を身につけるのは4歳9か月までとされており、トレーニング開始の条件として、相対音感がまだ身についていないことが必要です。
相対音感が先に身についてしまうと、その後に絶対音感を習得するのは難しくなるためです。また、日本子ども音楽教育協会では、2歳から6歳半までにトレーニングを始めることで絶対音感が習得できるとしています。
個別レッスンを受ける
個別レッスンを受ける際、他の人が聞いている音を子どもに聞かせないことが重要です。他人の正解に影響を受ける可能性があるためです。
さらに、個別レッスンでは、子どもの状態やスキルに合わせたトレーニングが可能です。競争意識を生むことなく、集中できる環境が整うというメリットもあります。
ピアノで絶対音感を習得するための条件
バラエティに富んだ練習内容を取り入れる
子どもが楽しみながらトレーニングを続けられるよう、練習にバリエーションを持たせることが大切です。ピアノを使った練習では、弾いたり歌ったり、演奏させたりとさまざまな方法が取れます。
例えば、ピアノで鳴らした音をクイズ形式で当ててもらうことで、楽しさや達成感を味わわせることができます。また、模倣(耳コピ)の能力を向上させるために、演奏を聴かせて再現させる練習も有効です。
毎日自宅で練習を重ねる
絶対音感は、ほとんどの人が努力を重ねて後天的に習得するもので、トレーニングの積み重ねが不可欠です。また、一度身につけた絶対音感も、継続的な練習をしなければ成長とともに失われてしまうことがあります。そのため、長期間にわたる継続的なトレーニングが必要です。
ピアノは他の楽器に比べて普及率が高く、家庭にある場合も多いため、ピアノを使ったトレーニングは現実的な選択肢といえます。
具体的には、レッスンに通うだけでなく、毎日4~5回、自宅でピアノの音を聞かせ、色旗を使って音を当てる訓練を行います。このような訓練には、保護者の長期的なサポートが不可欠となるでしょう。
ピアノを弾くには絶対音感が必ず必要?
ピアノを弾くために、絶対音感が必須というわけではありません。実際に、絶対音感を持っていないピアニストもたくさんいます。ただし、大成した有名なピアニストの多くは絶対音感を持っていることが知られています。
絶対音感は必ずしも必要ではありませんが、持っていることで演奏や音楽の理解にプラスの影響を与えることは確かです。
絶対音感をピアノで効率よく身につける方法
1. 自宅で練習する
絶対音感を養うためには、専門家が開発したメソッドを利用するのが効率的です。自宅で行える具体的な方法として、絶対音感を学べる通信教育があります。
インターネットを使ったオンラインの教材や、FAXや郵便を利用した教材のやりとりなど、自分のライフスタイルに合った方法を選ぶと良いでしょう。
自宅での練習では、「ソルフェージュ」が重要です。ソルフェージュとは、楽譜上の音と演奏された音を結びつけるための学習法です。ソルフェージュには「聴音」(音を聴き分ける練習)、「楽典」(メロディーやルールを学ぶ練習)、「視唱」(楽譜を見ながら歌う練習)があります。
手軽に取り組める「聴音トレーニング」もおすすめです。聴音トレーニングに集中して取り組むことで、絶対音感の習得を効率的に進めることができます。
2. ピアノの指導者に教わる
通学が可能であれば、信頼できるプロの指導者に習うことが最も効果的です。指導者は、個々のレベルに合わせたトレーニングを提供してくれ、定期的にレッスンを受けることで、自分の進捗状況や課題が明確になります。また、指導者からの励ましの言葉もモチベーションを保つ上で大切です。これにより、学習の継続がしやすくなり、絶対音感の習得がスムーズに進みます。
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ゼヒトモでプロのレッスンを受ける
本記事では、ピアノを通して絶対音感を習得するための方法やポイント、始める適齢期、さらにはメリット・デメリットについてご紹介しました。
絶対音感を身につけるには適した年齢があるため、早めに始めることが重要です。もし絶対音感に興味がある方は、「ゼヒトモ」を利用してお近くのピアノレッスンを探してみてはいかがでしょうか。
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