ピアノを弾くのは楽しいけれど、楽譜を読むのが苦手だという人に向けて、楽譜の読み方のコツについてまとめてみました。最後には音楽記号の用語説明ものせているので、ぜひ確認してみてください。
ピアノ楽譜の読み方におけるコツ
1.まずはリラックスする
楽譜を読めるようになるには、少しだけ努力が必要です。誰でもすぐにできるようになる人はいないでしょう。しかし、楽譜を読むことに苦手意識がある人は、努力が足りていないわけではなく、まじめに取り組んだ結果、少し力が入りすぎている人が多いのではないでしょうか。
まずは、肩の力を抜いて、リラックスしてください。そして、暇なときに郵便受けに入っていたチラシを眺めるぐらいの気持ちで楽譜を開けてみて下さい。
2.音符ではなく、音符の流れを読む
楽譜を読むのに時間がかかる人は、音符を一つずつ丁寧に確認していることが原因です。楽譜を読むときは、音符の音をひとつづつ読むのではなく、一連の音符たちがどのような間隔を持っているかが大事になります。
では、音符同士の間隔とは何でしょうか。それは音同士がどれだけ離れているかということです。例えば、ミとソの音符があるとして、これらは隣り合う音ではありません。ミとソの音を楽譜であらわすと、五線の下から二つの線に音符が並び、その音符の間は一つ分の音符(ファ)の隙間が空きます。これがミとソの間隔です。(この間隔を表すときは度数が用いられ、ミとソの場合であれば、ミとソは長3度の関係であるといいます。)
楽譜を読むときは、音符同士がどれだけの間隔をもっているのかを確認することが重要になってきます。指が慣れれば、これとこれの音はこの間隔があるから指の開く範囲はこれぐらいだという感覚がついてきて、初見でも暗譜でも難しくなくなります。
3. 曲の構成をチェック
曲の構成をチェックすることは、楽譜を読みやすくなるだけではなく、暗譜するのにも役に立ちます。暗譜が得意な人でも、初めから最後まで楽譜と睨めっこをして、すべて丸暗記できる人はあまり多くありません。ほとんどの人は、楽譜を読むときに曲の構成をチェックしているのです。初見が得意な人も、楽譜を弾き始める前に全体をざっと読んで、曲の構成をチェックしているのです。
では曲の構成とは何でしょうか。小説やエッセイでは、意味の内容や形式ごとに段落が決まりますが、楽譜の場合基本的には一連のメロディーごとに決まります。
例えば、ちょうちょう♪ちょうちょう♪という可愛らしい出だしで始まる『ちょうちょう』は、A、A⁺、B、A⁺⁺の構成でできています。Aの部分は「ソミミ、ファレレ、ドレミファ、ソソソ」のメロディーでできており、Bの部分は「レレレレ、レミファ、ミミミミ、ミファソ」のメロディーでできています。A⁺やA⁺⁺は、Aのメロディーが一部分だけ異なるけれど(例えば、最後の音程が下がったり、音符が少し付け加えられたりします。)基本的なメロディーの構成はAと似ています。
『ちょうちょう』を練習する場合は、この曲はAとB、そしてAの派生のメロディーでできているため、Aのメロディーを先に練習します。Aのメロディーが弾けるようになれば、曲の大半を習得したことになるからです。このように、曲の構成を知ることで、曲の習得がはやくできるようになります。
左利きの場合の注意点
1.伴奏の音が大きくなる
左利きの演奏者は、右手よりも左手のほうが使い慣れているため左手の伴奏の音がメロディーよりも大きくなる可能性があります。
2.右手をよく練習すること
左利きの演奏者は、右手よりも左手の音が強くなることがあります。右手が左手と同じくらい動くようになるまで、右手の練習をするようにしましょう。しかし、ピアノを弾いているうちに右手の力も強くなり、左利きで弾くことの意識はなくなっていくと思います。
ピアノの場合、自分の利き手とは違う手をよく練習することが必要になります。それは左利きでも右利きでも同じことなので、利き手が演奏の良しあしが決まることはありません。
ピアノの楽譜読み方(記号/コード別)
フラット(♭)
♭が付いている音符の場合、その音程は半音低くなります。
シャープ(♯)
♯がついている音符の場合、その音程は半音高くなります。
ナチュラル(♮)
変化記号の無効にします。例えば、同じ小節内にあるドの音に♯が付いていても、♮が付いているドは♯の効果が無くなり、半音上がることはありません。
ダブルシャープ(♯♯)
表記通り、♯2つ分の効果があります。♯♯が付いている音符の場合、その音程は半音2個分高くなります。
ダブルフラット(♭♭)
表記通り、♭二つ分の効果があります。♭♭が付いている音符の場合、その音程は半音2個分低くなります。
8va
「オッターヴァ・アルタ」と呼びます。これが音符の上に書かれている場合、その音符は1オクターブ高く演奏します。また、これが音符の下に書かれている場合、その音符は1オクターブ低く演奏します。
8vb
「オッター・ヴァッサ」と呼びます。これは、ある範囲の音符を一オクターブ低く演奏することを意味しています。8vbの範囲は音符の上に点線が書かれることであらわされます。
loco
「ローコ」と呼びます。これは、8vaや8vbなどでオクターブ違う演奏をしていた音符をもとの音程に戻すことを意味しています。lo. loc.と略式で表記されることもあります。
スラ―
なめらかな曲線で表記され、複数の音符を対象とすることができます。これは、なめらかに演奏することを意味しています。表記の似ているタイと間違えないように注意してください。
タイ
スラ―と同じく、なめらかな曲線で表記されますが、連続して隣り合う同じ高さの二つの音符を対象とします。タイでつながれた二つの音符は、その間で音を切らずに、一つの音として演奏します。
ピアノの楽譜読み方(上級編)
dur
長調を表します。長調とは長音階の調のことです。音階は音の間隔によって変わってくるのですが、長音階の場合、初めの音(主音)から順番に全音、全音、半音、全音、全音、全音、半音の音程関係によって音符は配列されています。ドから始まる長音階(Cが主音とする長調)の場合、Cdurと表記されます。Cは大文字です。
moll
短調を表します。短調とは短音階の調のことです。短音階の場合、初めの音(主音)から順番に全音、半音、全音、全音、半音、全音、全音の音程関係によって音符は配列されています。ドから始まる短音階(ドを主音に持つ短調)の場合、cmollと表記されます。cは小文字です。
最後に
いかがでしたでしょうか。楽譜を読むコツがわかれば、誰でも初見・暗譜マスターになることができます。ぜひ楽譜の読み方を習得して、ピアノを楽しんでみてくださいね。
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