屋根塗装を通じて、太陽光が原因の室温上昇を防止したいと考える方も多いでしょう。遮熱効果を発揮する塗料のことを「遮熱塗料」といいますが、遮熱塗料とは何か、詳しく知らない方もいるかもしれません。
今回は、遮熱塗料の概要や耐用年数、費用相場について解説します。
また、遮熱塗料の効果も交えながら、おすすめの遮熱塗料を紹介しているので、屋根塗装において遮熱性を重視したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
そもそも遮熱塗料とは?
遮熱塗料とは、屋根の温度上昇を防げる塗料のことです。太陽光を反射させることで屋根の温度上昇を防止し、室内の温度を快適に保てるようになります。
光の反射や室温の快適性といった視点から屋根に多く使用されることの多い塗料です。ここでは、遮熱塗料の耐用年数や費用相場、断熱塗料との違いについて解説します。
遮熱塗料の耐用年数
遮熱塗料の耐用年数は、塗料の素材によって異なります。主な塗料の素材別耐用年数は、以下を参考にしてください。
- シリコン→約6年
- アクリル→約8〜10年
- ウレタン→約10〜15年
- フッ素→約15〜20年
- 無機→約20〜25年
- ラジカル→約8〜16年
- 光触媒→15〜20年
遮熱効果の発揮できる期間が短い塗料ほど耐用年数が低く、短期間での塗り直しが必要になるでしょう。
また、遮熱効果を発揮する期間が短い塗料ほど断熱効果も低く、汚れへの耐性や扱いやすさでも耐用年数の長い塗料よりも劣る傾向にあります。
また遮熱塗料と一般的な塗料とでは、耐用年数が若干異なるので関連記事「屋根塗装の耐用年数はどれぐらい?塗料・屋根材別の耐用年数や劣化症状について」で紹介している内容も参考にしてください。
関連記事:「屋根塗装の耐用年数はどれぐらい?塗料・屋根材別の耐用年数や劣化症状について」
遮熱塗料の費用相場
遮熱塗料で屋根を塗装する際にかかる費用の相場は、1平方メートルにつき2,300円から3,500円ほどとされています。
一般的に屋根塗装で使用される塗料相場は以下のとおりなので、種類によっては塗装費用が高くなってしまうかもしれません。
塗料 | 費用相場(㎡) |
アクリル | 1,200円〜 |
ウレタン | 1,800円〜 |
ラジカル | 3,000円〜 |
フッ素 | 4,200円〜 |
光触媒 | 5,000円〜 |
無機 | 5,500円〜 |
断熱・遮熱 | 3,800円〜 |
しかし、だからといって安さだけを重視して塗料を選んでしまうと、上述したとおり耐用年数が短くなり、短期間で塗り直しをしなければならなくなるため注意してください。
以下の関連記事では坪数・屋根材別の屋根塗装の費用相場について解説しています。屋根塗装を安く抑える5つのコツについても紹介していますので、屋根塗装をお考えの方はぜひご覧ください。
関連記事:屋根塗装の費用相場
遮熱塗料の色の選び方
遮熱性能を重視して屋根の塗料を選ぶ際は、太陽光を効率よく反射する色がおすすめです。一般的に、色の明度が白に近いほど、太陽光を反射する能力が高い色とされています。
一方で、明度が黒に近い色は太陽光の反射能力に乏しく、室内の温度を下げるのに適していないと判断できるでしょう。
断熱塗料との違い
断熱塗料とは、熱・冷気の侵入を抑える効果がある塗料です。
室内の温度上昇を抑えられる点で遮熱塗料と大まかな効果はいずれも同じであるものの、遮熱塗料と断熱塗料には「保温効果の有無」といった点が異なります。
遮熱塗料は、光の反射効果により家の内部に入り込む熱を少なくし、室内の温度上昇を抑えるのが特徴です。
対して断熱塗料は、光の反射効果はないものの、熱・冷気の侵入を抑える効果により遮熱塗料とは別のアプローチで室内の温度上昇を抑えてくれます。
また遮熱塗料と比べて断熱塗料は耐用年数が長く、費用も若干高くなる傾向にあります。
遮熱塗料の効果
遮熱塗料は光を反射し、室内の温度を快適に保つ効果のある塗料です。数値に表すと、およそ3℃から5℃ほど室内の温度を下げられます。
また、屋根の表面温度に関してはおよそ15℃ほど温度を下げる効果があり、特に夏場における屋根表面の温度上昇を抑えるのに適した塗料です。
屋根の温度を下げるための対策には、遮熱シートの導入や遮熱機能のついた屋根材を使用する方法も挙げられます。
しかし、いずれの方法も施工に手間がかかるという視点から、やはり遮熱塗料の塗りつけによる対策がおすすめといえるでしょう。
ただし、遮熱塗料を塗りつけた屋根は、汚れが付着することで太陽光の反射機能が衰えてしまいます。そのため、定期的に屋根を掃除し、綺麗な状態を保つよう意識する必要があります。
屋根は太陽光だけでなく、雨風に直接さらされることも多い部分です。遮熱塗料を塗りつけた屋根に限った話ではありませんが、塗装を施した屋根は定期的なメンテナンスを実施しないと、塗料の効果を発揮しにくくなると認識しておくと良いでしょう。
遮熱塗料の効果が出やすい屋根の素材
遮熱塗料は、効果の出やすい好相性の屋根材があります。
主な屋根材と遮熱塗料で塗装することで期待できる効果を以下にまとめているので、自宅の屋根と照らし合わせたうえで遮熱塗装を検討する際の参考にしてください。
スレート屋根 | ●薄手の素材が多く熱を通しやすいので遮熱塗料を塗りつけるのにおすすめ |
金属屋根 | ●金属は太陽光で熱くなりやすいので遮熱塗料と相性が良い |
一方で、以下に挙げる屋根材は遮熱塗料と相性が良くないとされています。
セメント瓦・モニエル瓦 | ●厚みがあるため遮熱塗料の効果が発揮されにくい |
日本瓦・洋瓦 | ●セメント瓦などと同様厚みがあるため相性は良くない |
遮熱塗料は効果が「ない」といわれる理由
太陽光による熱を遮る効果のある遮熱塗料ですが、効果が「ない」とされる場面がいくつかあります。ここでは、遮熱塗装の効果が発揮されないとされる以下6つのシチュエーションについて解説します。
- 塗料の品質・性能
- 遮熱塗料以外の配慮不足
- 遮熱効果が発揮されない環境
- 断熱効果がない
- 塗りムラ
- メンテナンス不足
塗料の品質・性能
遮熱塗装に使用する塗料には種類別に性能の上下があります。費用が安ければその分効果を感じにくく、より短期間での塗り替えも発生しやすいでしょう。
遮熱効果の期待できる塗料は、耐用年数の長さを基準にするのがおすすめです。遮熱塗料の耐用年数については、本記事内「遮熱塗料の耐用年数」をご覧ください。
遮熱塗料以外の配慮不足
遮熱塗料の効果だけでは、遮熱効果が十分に感じられないことがあります。日光による室温の上昇を抑えるには遮熱塗装だけでなく、断熱シートの併用なども重要です。
断熱シートはホームセンターなどで購入できるので、遮熱塗装の効果をより高めるためのアイテムとして導入を検討してみましょう。
遮熱効果が発揮されない環境
日当たりの悪い家や寒冷地に建てられている家は、遮熱塗装の効果が十分に発揮されない可能性があります。なぜなら、遮熱塗料で反射する光そのものが少ないためです。
加えて、遮熱塗料には保温効果がないため、遮熱塗料を塗りつけたからと行って快適な室温にならない場合もあるでしょう。日当たりの悪い家や寒冷地の場合は、遮熱塗料よりも断熱塗料が適しています。
断熱効果がない
遮熱塗料はあくまで光を反射して室温を下げるだけなので、室温に直接影響する熱や冷気の遮断はできません。
従って、室温を下げるのではなく「快適に保つ」といった視点では、遮熱塗料では不十分になる可能性があります。
先ほども触れた断熱シートの併用や断熱塗料での塗装など、遮熱塗料の性能と比べてどちらが自宅の屋根に適しているか判断する必要があるでしょう。
塗りムラ
塗装時に塗りムラがある場合、塗料の耐用年数に関係なく効果が発揮されなくなってしまいます。遮熱塗料には塗りやすいものと塗りにくいものがあり、業者の技術によって塗りムラの発生率も変動します。
遮熱塗料の塗りムラを防止するには、施工実績などが豊富な業者を探したうえで依頼することが大切です。
メンテナンス不足
仮に効果の期待できる遮熱塗料で塗装をしても、定期的にメンテナンスをしていなければ自然に遮熱効果が薄れていきます。
塗膜が汚れると遮熱効果は下がるため、ホコリや砂はこまめに落とす必要があるでしょう。また、塗料の耐用年数に応じて、こまめに塗り替えることも大切です。
屋根の遮熱塗装におすすめの遮熱塗料
ここでは、遮熱塗装におすすめの遮熱塗料をいくつか紹介します。業者に遮熱塗装を依頼する際、ここで紹介する遮熱塗料を使用しているかどうかを基準にしてみてはいかがでしょうか。
塗料・メーカー名 | 特徴 |
日進産業「ガイナ」 | ●ロケットの高熱を防ぐほどの性能がある ●遮熱効果だけでなく断熱効果も期待できる ●音漏れ効果もある |
アステックペイント「超低汚染リファイン500MF-IR」 | ●遮熱性だけでなく低汚染性を併せ持っている ●汚れが付着しても雨水で洗い流せる「特殊強化剤」配合 |
アステックペイント「スーパーシャネツサーモ」 | ●遮熱性の高さに色褪せにくさや耐候性も備えた塗料 ●屋根全体の美観を長期間保つのに適している |
日本ペイント「サーモアイ4F」 | ●遮熱性だけでなく耐候性にも優れている ●遮熱効果を長期間維持できるのも特徴 |
関西ペイント「アレスクール2液F」 | ●光の反射効果がある特殊な顔料を上塗り・下塗り両方に配合している ●耐用年数も10年から20年と長め |
エスケー化研「クールタイト」 | ●汚れがつきにくい特殊セラミック成分が配合されている ●ホコリなどもつきにくいため遮熱効果が長持ちしやすい |
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今回は、太陽光による室内温度の上昇を防止できる、遮熱塗料について解説しました。遮熱塗料は、使用する塗料に寄って効果の表れ方が異なるだけでなく、費用相場も大きく異なります。
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