賃貸物件の壁紙は、張り替えることが可能です。状況によっては大家さん負担で張り替えられるため、自己判断するのではなく、リフォーム前に相談してみましょう。しかし、賃貸物件に住んでいても、工夫次第で壁紙をおしゃれに張り替えることが可能です。経年劣化による張り替えなら、費用を大家さんに負担してもらえるケースもあります。しかし、模様替えや過失による張り替えの場合は、全額入居者負担となるため注意が必要です。
この記事では、賃貸住宅の壁紙の張り替えについて知っておきたいことをまとめて紹介しています。また、費用相場や抑える方法についても解説します。入居中の既存壁紙がきれいではないときは、ぜひ悩み解決の参考にして、美しい住まいと楽しい生活を実現してください。
賃貸物件でも壁紙の張り替えはできる?
賃貸物件に入居していても、壁を傷つけない限り壁紙の張り替えは可能です。ただし、賃貸物件では原状回復義務が課せられているため、退去時には入居時と同じ部屋の状況に戻す必要があります。
そのため賃貸住宅で壁紙の張り替えが可能かどうかは、まず賃貸借契約を確認するようにしましょう。ここでは、賃貸の原状回復義務や内装制限について詳しく解説します。
賃貸の原状回復義務とは
原状回復義務とは、退去時に賃貸物件を入居時の状態に戻すことを指します。具体的な義務範囲は賃貸借契約書に明記されており、入居者は契約に基づいて賃貸物件を元の状態に戻さなければいけません。
自然消耗や経年劣化の場合は原状回復義務は適用されませんが、不注意や過失によって損傷・汚れが見られる場合は敷金から原状回復費用が差し引かれます。
たとえば壁紙の汚れや傷、家具の配置による床の凹みなど、通常の使用によって生じた損耗は一般的に経年劣化と見なされ、原状回復の義務はありません。逆にタバコのヤニによる壁紙の変色やペットによる傷などは、入居者の責任で修繕する必要があります。
そのため賃貸物件で壁紙を張り替える場合は、原状回復義務を念頭に置いておくことが大切です。なお、原状回復義務については国土交通省がガイドラインを定めています。退去時には必ずガイドラインに目を通し、余計なトラブルを招かないようにしましょう。
内装制限がある場合も
一部の賃貸物件や建築物には、内装制限というルールが定められている場合もあります。内装制限とは、建物内で火災が発生した際に人々が避難するための時間を確保するための内装施工の規定です。
内装制限が設けられている場合は、壁紙を張り替える際に不燃性・難燃性の材料を選択する必要があります。また、内装制限では施工方法も指定されるため、既存の壁紙の上に重ね張りすることはできません。
既存の壁紙を一度剥がして張り替える必要があるので、内装制限がある場合は原状回復が難しくなると考えておきましょう。壁紙を張り替えたい場所に内装制限があるかどうかは、賃貸借契約書を確認してみてください。
退去時の壁紙の張り替え費用は誰が負担する?
退去時の壁紙の張り替え費用は、基本的に「大家さん」もしくは「入居者」が負担します。どちらが負担するかは、壁紙の張り替えが必要な理由によって異なるので、下記で確認していきましょう。
経年劣化による張り替えは賃主負担
経年劣化による壁紙の張り替えは、通常「賃貸主」が負担します。これは、時間の経過とともに自然に発生する損耗や劣化が原因となるためです。具体的には、下記のようなケースが該当します。
- 経年変化による壁紙の変色
- 日焼けなどの自然現象による劣化
- 画鋲や細いピンによって生じる壁面の小さな穴など、通常使用による損傷
- 粘着力の弱いマスキングテープや両面テープによってポスターを貼った跡
- 大家さんが自発的に実施するリフォームやハウスクリーニング
いずれも入居者に原因のあるリフォームではないため、原状回復費用が発生した場合でも、賃主が全て費用負担します。
ほかにも、冷蔵庫やテレビなどの電化製品の熱による電気焼けが見られる場合も、通常使用の範囲内と捉えられ、賃主負担となるケースが多いです。
不注意や過失による張り替えは入居者負担
一方、不注意や過失によって壁紙を張り替える場合は、入居者が全額負担することになります。具体的に該当するケースは下記の通りです。
- 室内で喫煙をしてついたタバコのヤニ
- 食べ物や油汚れによるシミ
- 結露を放置したことで生じたカビ、シミ
- ペットの爪や歯によるひっかき傷など
- 下地ボードにまで到達しているクギやネジによる跡
特に喫煙禁止の賃貸住宅でタバコのヤニによる変色が見られた場合は、違約金が追加で請求されることも少なくありません。結露によるシミやカビも「適切な清掃を怠った」と判断され、入居者負担となるため注意が必要です。
ただし「結露対策をしてもカビやシミがついてしまう」という場合は、建物の構造に問題があるケースもあります。事前に管理会社や大家さんに伝えておき、原状回復義務の範囲から外してもらうようにしましょう。
なお、退去時の壁紙の張り替え費用は、基本的に敷金から差し引かれます。敷金が足りないときは、引っ越し時に追加で費用を払う必要があるので注意してください。
賃貸物件で壁紙を張り替える方法
賃貸物件で壁紙を張り替える際は、原状回復しやすい方法で施工することが大切です。具体的には、下記いずれかの方法で張り替えると良いでしょう。
- 貼って剥がせるのりを使う
- 剥がせるテープタイプの壁紙を使う
- マスキングテープと両面テープを使う
- 突っ張り棒やラックを活用する
剥がせるタイプの壁紙を使用しても、壁が傷つく可能性はゼロではありません。張り替える際は「きれいに剥がせるかどうか」を見極めてから、壁紙を選ぶようにしてください。
貼って剥がせるのりを使う
賃貸物件で壁紙を張り替える場合、貼って剥がせるのりを使用するのが一般的です。壁紙をしっかりと固定しながらも、剥がすときに壁を傷めることがないため、退去時に原状回復が容易です。
たとえば、ウォールステッカータイプの壁紙は貼り直しが簡単で、粘着力も適度なため、初心者でも扱いやすい傾向にあります。水に濡らすだけできれいに剥がせるため、季節や気分に合わせて模様替えを楽しめるでしょう。
剥がせる壁紙用ののりとしては、壁紙屋本舗から販売されている「ポテグル」がおすすめです。ジャガイモでできた水溶性ののりで、国産ビニール壁紙の上から貼って、きれいに剥がすことができます。
賃貸物件におすすめの壁紙
壁紙自体にのりの成分が付いており、水で気軽に貼れる壁紙も存在します。壁紙屋本舗の「Hattan(ハッタン)」シリーズは、不織布粗材でできた壁紙で、裏に「貼って剥がせるのり」を塗って乾燥させているのが特徴です。水に浸すだけで簡単に貼れるため、初心者でも気軽に張り替えやすいでしょう。
正方形の壁紙タイプのほか、ステッカーやポスタータイプもあるため、お部屋のアクセントとして取り入れやすいのも魅力です。
剥がせるテープタイプの壁紙を使う
剥がせるテープタイプの壁紙も、賃貸物件での壁紙張り替えに適しています。このタイプの壁紙は裏面に弱粘着テープが付いており、簡単に取り付けたり取り外したりすることが可能です。
賃貸物件の壁を傷つける心配がないので、原状回復の観点からも安心と言えます。
テープタイプは、カッターさえあれば手軽に張り替えられるので、DIY初心者でも扱いやすいのが特徴です。豊富なデザインや色が揃っているため、自分好みのインテリアを実現しやすいでしょう。
ただしテープタイプは、のりに比べて壁紙を完全に密着させづらいのがデメリットです。また、何度も貼り直していると、テープの粘着力が弱まる可能性があります。やり直しがしづらいので、広範囲に貼るよりはアクセント的に貼りたい場合におすすめです。
マスキングテープと両面テープを使う
のりやテープを使った方法が不安な方は、マスキングテープと両面テープを使用して壁紙を固定する方法もおすすめです。まずマスキングテープを壁に貼り、上に両面テープを使って壁紙を貼ります。
マスキングテープは粘着力が強すぎないため、壁紙の端や角を固定するのに便利です。両面テープは広い面積をしっかりと固定できるため、壁紙が剥がれにくくなります。
ただしマスキングテープが壁を傷つけにくいとはいえ、粘着剤の種類によっては剥がす際に粘着が残ってしまう可能性も。マスキングテープを選ぶ際は、粘着残りがしにくいシリコン系やアクリル系の粘着剤を選ぶのがおすすめです。
またマスキングテープは粘着力が弱い分、広範囲に貼るとシワやたるみが発生し、剥がれやすくなることもあります。
突っ張り棒やラックを活用する
壁紙の張り替えが禁止されている場合は、突っ張り棒やラックを活用して模様替えを楽しむのも良いでしょう。壁に直接接着剤を使わないため、壁を傷つける心配がありません。
たとえば、突っ張り棒に壁紙を巻き付けて固定し壁にかければ、壁紙のデザインを簡単に変更できます。また、ラックを使って収納棚や家具を設置すれば、収納スペースを増やすことも可能です。収納家具を置けば壁の汚れも目立たなくなるので、お部屋を一新できるでしょう。
壁紙の張り替えにかかる費用相場
賃貸物件で壁紙を張り替える際の費用相場は、選ぶ壁紙の種類や施工方法、面積によって大きく異なります。
特に壁紙の価格はデザインや素材によって変動し、1平米あたり数百円から数千円まで幅広いです。たとえば無地のシンプルな壁紙は比較的安価で、1平米あたり500円程度で購入できます。一方デザイン性の高い壁紙や特殊な素材を使用したものは、1平米あたり3000円以上することもあります。
ここでは、壁紙の張り替えにかかる費用相場をケース別に解説します。
【賃貸物件の部屋全体を張り替える場合の費用相場】
賃貸マンションの床面積が60~80平米の場合、全体を張り替えると約250~350平米のクロスが必要です。また、賃貸戸建ての床面積が70~90平米の場合、全体を張り替えると約450~600平米のクロスが必要になります。
クロスのグレード | 賃貸マンションの費用相場 | 賃貸戸建ての費用相場 |
スタンダード | 25万~35万円 | 45万~60万円 |
ハイグレード | 38万~53万円 | 68万~90万円 |
なお、スタンダードクロスは1平米あたり1,000円、ハイグレードクロスは1,500円で計算しています。賃貸物件では、スタンダードクロスが使われることが一般的です。
【特定の部屋のみ張り替える場合の費用相場】
全体ではなく特定の部屋だけ壁紙を張り替える場合は、施工する広さによって費用相場が異なります。費用相場は下記の通りです。
広さ | スタンダードクロスの費用相場 | ハイグレードクロスの費用相場 |
6畳間 | 約3万円 | 約4.5万円 |
8畳間 | 約3.5万円 | 約5.2万円 |
10畳間 | 約5.1万円 | 約7.6万円 |
12畳間 | 約6万円 | 約9万円 |
20畳間 | 約15万円 | 約22.5万円 |
特に水回りの壁紙を張り替える場合は、消臭や防水など機能付きの壁紙を選ぶ必要があります。リビングや寝室など通常の部屋の壁紙に比べて割高になるため、下記で確認しておきましょう。
台所 | 約4万~6.5万円 |
トイレ | 約5万~6.5万円 |
洗面所 | 約4万~5万円 |
【DIY施工・業者依頼の費用相場】
DIYで壁紙を張り替える場合は、材料費だけで良いので費用が安く済むのがメリットです。逆に業者に依頼すると壁紙の価格に加えて施工費用がかかるため、思ったよりも高額になる可能性があります。
それぞれの費用相場を下記で比較しました。
部屋 | DIYの場合 | 業者に依頼する場合 |
6畳間 | 約1.5万円 | 約4~6.5万円 |
10畳間 | 約1.8万円 | 約5~8.5万円 |
トイレ | 約0.7万円 | 約1.5~2.5万円 |
洗面所 | 約1万円 | 約3~3.5万円 |
業者依頼をする場合は、複数業者に相見積もりを取ったり、地元の専門業者に依頼したりすることで費用を抑えられます。また、古い壁紙の処理や大型家具の移動を自分で済ませることで、諸経費を安くできる可能性もあるので、詳しくは業者の見積もりを確認してみましょう。
賃貸の壁紙張り替えは自分でDIY可能?
賃貸物件における壁紙の張り替えは、自分でDIYすることが可能です。特に、貼って剥がせるタイプの壁紙を使用すれば、手軽にインテリアをリフォームできます。以下では、剥がせる壁紙を使った具体的な張り替え方を解説します。
剥がせる壁紙を使った張り替え方
剥がせる壁紙は取り外しが簡単なため、賃貸物件での使用に最適です。DIYで壁紙を張り替える場合は、まず下記の道具を用意しましょう。
【準備するもの】
- 剥がせる壁紙
- カッター
- 定規
- ローラー
- ヘラまたはハケ
- 雑巾
これらの道具類はホームセンターやネットショップなどで販売されています。通販の場合は、必要な道具がセットで販売されている場合もあるので、お得に購入したい方はチェックしてみましょう。道具が揃ったら、下記の手順で壁紙を張り替えます。
【DIYでの張り替え手順】
- 壁の表面をきれいに掃除し、ホコリや汚れを取り除きます。これにより、壁紙がしっかりと貼り付けられるようになります。
- 壁紙を貼る位置を測定し、カッターと定規を使って適切なサイズにカットします。実際のサイズより上下5cmずつ大きめにカットするのがポイントです。必要に応じて、マスキングテープで位置をマーキングしましょう。
- 壁の上部から、剥がせる壁紙を貼っていきます。壁紙を少しずつ貼り付けながら、ローラーを使って気泡やシワを取り除いてください。均等に圧力をかけることで、壁紙をしっかりと接着できます。
- 壁紙が全体に貼り終わったら、再度ローラーで表面を整え、仕上がりを確認しましょう。
剥がせるのりを使うのも良いですが、初心者の場合は「剥がせるのりが加工された壁紙」を使うのがおすすめです。
賃貸で壁紙を張り替える際の注意点
最後に、賃貸住宅で壁紙を張り替える際の注意点をお伝えします。
- 契約書の禁止事項を確認する
- 部屋の雰囲気に合ったカラーや材質を選ぶ
- 事前に試し張りをする
これらの注意点を守っておけば、スムーズに張り替え作業を進めることができます。大家さんや管理会社とのトラブルを避けるためにも、ぜひご覧ください。
契約書の禁止事項を確認する
大前提として、壁紙を張り替える際は「賃貸借契約書の禁止事項」を必ず確認しましょう。賃貸物件では原状回復義務があるので「壁紙の張り替えが許可されているか」「どの範囲までの模様替えがOKか」を事前にチェックすることが重要です。
特に壁や天井に穴を開けたり、強力な接着剤を使用したりするリフォームは、禁止されているケースが多いです。なお、禁止事項に「リフォーム不可」の表記がある場合は、いかなる理由であれ部屋を自由にカスタマイズすることはできません。
部屋の雰囲気に合ったカラーや材質を選ぶ
壁紙を選ぶ際は、部屋の雰囲気に合ったカラーや材質の壁紙を選ぶことも大切です。賃貸物件では、家具やインテリアの配置が既に決まっている場合が多いため、それに合った壁紙を選ぶことで統一感のあるおしゃれな部屋を作り上げられます。
たとえばナチュラルな色合いの壁紙はどんな部屋にも合わせやすく、落ち着いた雰囲気を作り出せるのが魅力です。一方でアクセントとして壁紙を張り替えるなら、柄や模様が入ったタイプを選ぶのも良いでしょう。一面だけ異なるデザインの壁紙を使用することで、部屋の印象を引き締められます。
また光を反射する素材の壁紙を選ぶと、部屋を明るく見せることも可能です。色やデザインが部屋全体の印象を大きく左右するため、ライフスタイルや好みに応じて最適な壁紙を選びましょう。
事前に試し張りをする
壁紙を本格的に貼り始める前に、必ず試し張りをするようにしましょう。剥がせる壁紙を使ったとしても、必ずしもきれいに剥がせるとは限りません。
試し張りをすることで「壁紙の貼りやすさや仕上がり」だけでなく、「のりやテープの粘着力がどれくらいか」「壁紙が壁に適しているか」などをチェックできます。
試し張りをする際は、目立たない部分に少量の壁紙を貼ってみるのがおすすめです。たとえば、家具の後ろや部屋の隅などに貼り、きれいに剥がせるかどうか確認してみてください。
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