一戸建て住宅の屋根によく使われているのが、棟板金(むねばんきん)です。棟板金は屋根の頂点にある板材のことで、雨漏りの防止や屋根材の固定に役立ちます。
この記事では、棟板金の劣化症状や修理方法、費用相場などを解説します。屋根の中でも劣化しやすい部分のため、知識をつけてトラブルを防ぎましょう。
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棟板金の役割とは
棟板金とは、屋根の頂点に取り付けられる金属製の板です。スレート屋根や金属屋根などで用いられ、断面がへの字型であるのが特徴です。
棟板金には、屋根材の隙間をカバーする役割があります。屋根材のつなぎ目を棟板金で覆うことで、雨漏りを防止できます。また、屋根材をしっかりと固定することも、棟板金の重要な役割です。
棟板金は雨や風にさらされることから、屋根の中でも劣化しやすい部分です。劣化したまま放置すると、棟板金が強風で飛ばされたり、落下事故につながったりする可能性があります。
屋根に棟板金を使っている場合は、主な劣化症状や修理・交換の目安を理解しておくのがおすすめです。。そのうえで、定期的に点検を行い、劣化している部分がないかをチェックすることも大切です。
棟板金の主な劣化症状
棟板金の主な劣化症状として、以下の3つが挙げられます。
- 釘が抜ける
- 貫板(ぬきいた)の腐食
- 棟板金の飛散
棟板金は、屋根材の固定や雨漏りの防止に欠かせない部分です。劣化したまま放置すると、重大なトラブルにつながりかねません。
ここでは、棟板金の劣化症状について詳しく解説します。「どのような原因によって棟板金が劣化するのか」「劣化によって起こりうるトラブルは何か」を正しく理解しておきましょう。
釘が抜ける
年数が経過すると、棟板金を貫板に固定するための釘が抜けることがあります。棟板金の釘が抜ける理由はさまざまありますが、代表的な原因は「風圧」「熱膨張」「錆」です。
屋根の頂点にある棟板金は強風にさらされるため、風圧によって釘が緩みやすくなります。特に、風を遮る建物が近くにない場所や海風が当たる沿岸部では、風圧の影響を受けやすいでしょう。
また、棟板金は太陽の熱によって膨張しますが、夜間は気温が低下して収縮します。棟板金が膨張と収縮を繰り返すことも、釘が緩みやすくなる要因です。
棟板金と貫板の固定に鉄製の釘を使っている場合は、釘が錆びることによって固定力が弱まります。昨今は錆びにくいステンレス製の釘を用いるケースが増えていますが、古い住宅では鉄製の釘を使用していることが多いです。
これらの原因によって釘が緩むと、棟板金と屋根材の隙間が広がり、さらに雨や風の影響を受けやすくなるでしょう。最終的には釘が抜けてしまい、棟板金がはがれて吹き飛ばされる可能性があります。
貫板の腐食
棟板金のよくあるトラブルとして、貫板の腐食も挙げられます。貫板とは、棟板金と屋根板の間に取り付けられる板材のことです。
棟板金の釘が緩んで雨水が浸み込むと、貫板の腐食が進みます。腐食してボロボロになった貫板は釘を固定しにくく、結果として釘が抜けやすくなります。
釘の抜けによって棟板金がはがれた場合は、棟板金を交換しなければいけません。しかし、棟板金を交換したとしても、貫板が劣化したままでは釘が再び浮いてくるでしょう。貫板の劣化が激しい場合は、貫板自体を交換する必要があります。
棟板金の飛散
棟板金の釘が抜けているまま放置すると、強風によって棟板金が飛散する可能性があります。棟板金が飛散して落下した場合、重大な事故につながりかねません。落下事故によって人や物を傷つけると、損害賠償が発生することもあります。
また、棟板金がない屋根は貫板に雨がかかるため、雨が浸み込みやすくなるでしょう。雨漏りは日常生活に支障をきたすのはもちろん、壁紙や家財などにカビが発生する原因にもなります。
雨漏りが進行した場合は、屋根の葺き直しや屋根下地の交換などが必要です。修理の内容によっては、高額な修理費用がかかることもあるでしょう。費用負担のリスクを抑えるためには、棟板金の劣化を放置せず、すぐに修理することが大切です。
棟板金は修理・交換できる?時期は25年が目安
棟板金のメンテナンス方法は、棟板金の状態によって異なります。
そもそも、棟板金の耐用年数は長くて25年です。しかし、一般的には築10〜15年程度で不具合が起こり始めます。風が強い地域であれば、数年で棟板金が飛散する可能性もゼロではありません。
築年数が浅い場合は、ビス増し打ち補修や屋根塗装でメンテナンスするケースが多いです。ビス増し打ち補修は、ステンレス製のビスで棟板金をしっかりと固定し、棟板金の浮きや釘の抜けを防止する方法です。屋根塗装は、塗膜保護によってサビを防ぐ効果が期待できます。
棟板金の劣化が進み、貫板にまで被害が及んでいる場合は、修理だけでは対応できない可能性が高いです。腐食してボロボロになった貫板は釘を固定できないため、貫板の交換工事をしなければいけません。また、棟板金が飛散した場合は棟板金の交換も必要です。
棟板金を交換した方が良い理由
すでに棟板金が浮いている場合は、補修ではなく交換を検討すべきでしょう。ビス増し打ち補修や屋根塗装はメンテナンスとして有効ですが、劣化の進行具合によっては意味をなさないことがあります。
例えば、棟板金や貫板が劣化している状態でビスを打ち込んでも、釘の抜けや棟板金の飛散を防ぐ効果は期待できません。劣化に合わせて適切な修理を行わなければ、棟板金がはがれて事故につながる可能性があります。
ビス増し打ち補修や屋根塗装でメンテナンスを行い、耐用年数の25年を目安に棟板金を交換するのがおすすめです。
棟板金工事の手順
棟板金と貫板の交換工事を業者に依頼する際は、以下の手順で工事をします。
- 落下防止のための仮設足場を設置する
- 既存の棟板金と貫板を撤去する
- 屋根材や防水紙の状態チェック・シーリング補修を行う
- 新しい貫板を設置する
- 新しい棟板金を固定し、継ぎ目にシーリング材を打設する
棟板金の修理相場
棟板金の修理を検討する際は、修理費用の相場が気になるところでしょう。棟板金交換工事の内訳と単価相場を表にまとめました。
棟板金交換工事の内訳 | 単位 | 単価相場 |
見積もり・現地調査 | 1式 | 1万3,000円 |
既存の棟板金の撤去 | m | 2,000円 |
既存の貫板の撤去 | m | 3,000円 |
新規下地の取り付け | m | 3,000円 |
新規棟板金の取り付け | m | 4,000円 |
廃材処分 | 1式 | 3,000円〜 |
棟板金交換工事では、m数の長さに応じて単価が安くなります。屋根の形状によって異なりますが、棟板金交換工事の費用は15万円程度と考えましょう。
なお、棟板金を交換する際は、足場工事も必要となるのが一般的です。足場工事にかかる費用の相場は、1棟あたり16万〜18万円前後です。屋根の傾き具合や階段の有無によっては、さらに費用がかさむこともあります。
参照:テイガク「棟板金(むねばんきん)の取替え・交換費用・修理価格について」
ゼヒトモで屋根修理のプロを探す
棟板金は、雨漏りの防止や屋根材の固定に欠かせません。棟板金の劣化はさまざまなトラブルを引き起こすため、劣化症状に気づいた際は早めに修理することが大切です。
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監修したプロのコメント
現在の貫板は、樹脂製で腐食や台風の影響などにより飛散するリスクを軽減できる作りとなっています。現地調査の際は、貫板の状態もしっかり確認してもらいましょう。問題がある場合は、棟板金の修理だけでなく貫板も交換も依頼することを推奨します。
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