普段、何気なく捨てている野菜の切れ端や皮。実は、それらの中には、栄養がたっぷり詰まっているものがあります。捨ててしまうのはもったいない、そんな野菜の意外な食べ方をご紹介します。
実は食べられる野菜の部分とそのレシピ
ニラの根っこ
ニラと言えば葉の部分を調理することが一般的ですが、実は根っこにも栄養がたっぷり含まれています。
アリシンという成分は、ニラ特有の風味成分で、ビタミンB1の吸収を促進して疲労回復や糖質の代謝を助けます。葉よりも根っこに多く含まれているため、疲労を感じている方におすすめです。
しいたけの軸
しいたけの軸とは、傘の部分ではなく下に生えている部分のことで、傘と同じように食べることができます。
しかし、先端の黒ずんでいる部分である石づきは、食感が固く、場合によっては収穫の際に木の皮がついてしまうこともあるため、調理の際は切り落としましょう。
しいたけの香りは実は傘の部分よりも軸に凝縮されており、よりしいたけの風味を楽しむことができます。
さらに、ビタミンDも傘の6割程度は含まれていて、食物繊維の含有量は傘と変わりません。
里芋の皮
里芋の皮には、実は多くの栄養素がぎゅっと詰まっています。特に、食物繊維が豊富で、腸内環境を整え、便秘解消に役立つと言われています。また、ビタミンやミネラルも含まれており、体の健康維持に貢献します。
古めの里芋の場合は、下茹でをしてから調理をすると食べやすくなります。
おすすめは里芋の竜田揚げです。皮ごとカラッと揚げると食べやすくて外はカリカリ、中は柔らかい食感を楽しめます。
とうもろこしのひげ根
皮付きのとうもろこしを購入すると、もれなくついてくる「ひげ根」。
ひげ根の正体は「めしべ」で、ひげ根一本にとうもろこしの実(粒)が一つついています。ようは、ひげ根の数=実(粒)なので、ひげ根がたっぷり付いたとうもろこしを選ぶと、実もぎっしりと詰まっているはず。
まず、ひげ根の茶色い部分は硬く口に残りやすいので、気になる場合はその部分は除きましょう。薄緑の部分は、ざく切りやみじん切りにして実と一緒に使います。ほんのりと甘く、とうもろこし独特の味わいもしっかりと感じられるので、とうもろこしのかき揚げやとうもろこしごはんなど、とうもろこしをメインで味わう料理に使うと、より風味がアップし、美味しくいただけますよ。
ちなみに、とうもろこしのひげ根は、漢方や薬膳では、南蛮毛(なんばんもう)・玉米鬚(ぎょくべいじゅ)と呼ばれ、生薬の一つとして使われています。特に、カリウムが豊富に含まれていることから、体内の余分な水分を排出させる効果が高く、むくみ解消やコレステロールを下げる効能があります。
とうもろこしごはん
お米の上に、とうもろこしの実・細かく刻んだひげ根をのせたら、いつも通りに炊飯するだけ。味付けはシンプルに塩・酒のみ。とうもろこしの甘みが引き立ちます。
とうもろこひのかき揚げ
とうもろこしの実と細かく刻んだひげ根、さやから出した枝豆に、天ぷら粉+水で作った衣をまとわせて揚げるだけ!揚げたてのアツアツをいただきましょう。
とうもろこしのトロトロ卵スープ
お湯を沸かし、鶏ガラやコンソメで好みのスープベースを作ったら、とうもろこしの実・細かく刻んだひげ根を入れ、さっと煮ます。片栗粉でとろみをつけてから、溶き卵を流し入れれば、ふわふわ卵が美味しい、胃腸に優しいスープの出来上がり。
ピーマンのワタ&たねの場合
実際に見るとよくわかりますが、ゴーヤ・かぼちゃと比べると、たねが小さくやわらかく、ワタの部分が少ないピーマンは、実はまるごと食べるのがおすすめです。
ヨーロッパでは、煮込みやスープ、グリル料理などに丸ごと使うのが主流なのだとか。丸ごと使えば、ピーマンの栄養を余すことなく取れる上、調理の手間も省けて一石二鳥ですね。
ちなみに、緑黄色野菜であるピーマンは、実の部分同様ワタやたねにもビタミンが豊富に含まれています。さらに、たねには実には含まれない希少な栄養素も含まれているそう。
炒め物など実の部分だけ使いたい場合は、ワタ・たねは細かく刻んで汁物の具にしたり、後から紹介する「ベジブロス」に使うのがおすすめです。
ピーマンのまるごとくたくた煮
ピーマンを洗って鍋に入れるだけ。ひたひたのだし汁(めんつゆ+水)でピーマンがくったりするまで煮込みます。一度しっかり冷ますと、味がよくなじみますよ。
まるごとピーマンのさっぱりレンジ蒸し
さっと洗ったピーマンを耐熱皿にのせ、ラップをかけたら600Wのレンジで4分。加熱している間につけ汁を作れば、あっという間に一皿完成です。
かぼちゃのワタ&たねの場合
かぼちゃのわたは食物繊維がたっぷり!そのまま食べると口に残りがちなので、細かく刻んで使いましょう。かぶちゃサラダやスープ、コロッケなど、果肉をペースト状にする料理の際はそのまま混ぜ込んでしまえばOK。
かぼちゃのタネは、硬い外側の皮をむいてから食べます。
まず天日で1〜3日ほど乾燥させ、フライパンで香ばしく炒り、粗熱が取れたら皮をむきましょう。かぼちゃのタネは、南瓜子(なんかし)・南瓜仁(なんかにん)と呼ばれる生薬でもあります。
ビタミンEや亜鉛、マグネシウムの他、良質な脂質も含まれているのが特徴です。塩やスパイスを振りそのまま食べたり、サラダやスープのトッピングにしたりするほか、ナッツのようにグラノーラやコーンフレークと一緒に食べるのもおすすめですよ。
かぼちゃのサラダ
わた付きのままレンチンで加熱&マッシュしたかぼちゃに、クリームチーズと調味料を混ぜるだけ!かぼちゃが温かいうちに手早く混ぜれば、味がよくなじみます。
かぼちゃのポタージュ
火が通るのに時間のかかるかぼちゃこそ、レンチン調理が手軽です。ワタの部分も果肉と一緒にレンチン。ペースト状につぶしたら、好みの量の牛乳を加え、味をととのえたら完成!
ゴーヤのワタ&たねの場合
ふわふわのゴーヤのわた&わたに包まれているタネは、ビタミンCをはじめ、カリウムやカルシウムも含まれており、緑色の果肉よりも栄養豊富なほど。
独特な苦味が特徴のゴーヤですが、わたの部分は苦味が少なく、熱を加えるととろりとした柔らかな食感になります。タネのそのまま食べられるので、ワタと一緒に食べるのがおすすめです。
最も手軽な食べ方としては、果肉ごと輪切りにしそのままフライやソテーに。わた&タネだけならスープや味噌汁などの汁物の具にしたり、卵とじにしたり。すぐに火が入るので、手軽に食べられます。
ゴーヤのピカタ
ワタ&たねごと輪切りにしたゴーヤに卵液をつけ、フライパンで香ばしく焼き付けます。
きつね色の焼きめが食欲をそそる一品です。
ゴーヤの天ぷら
ピカタ同様、丸ごと輪切りにしたゴーヤに衣をつけて揚げるだけ。果肉部分はサクッと、ワタの部分はふんわり。食感の違いも楽しめます。
スイカの皮
暑くなると食べたくなるスイカ。でも、食べた後の皮の処理が面倒だという声もよく聞かれます。
実はスイカで食べられないのはヘタの部分と、外側の硬い皮だけ。薄緑の部分は美味しく食べられます。しかも、そのまま生でも加熱してもOK。色々な食べ方で楽しめるんです。
また、スイカの皮には、果肉にはほとんど含まれていないアミノ酸のシトルリンが含まれており、シトルリンには血流促進や抗酸化作用があるんだそう。今まで捨てていたのがもったいなく感じますね。
スイカ皮の和え物
薄切りにしたスイカの皮を塩・ごま油で和え、クコの実を添えた一皿。赤い果肉の部分を残すと彩りもきれいです。シャキシャキの歯ごたえは、箸休めにもぴったり。
スイカ皮の中華漬け
スイカの皮を食べやすい大きさにカットしたら、調味液と一緒にポリ袋に入れ、冷蔵庫で休ませておくだけ。にんにく&ごま油の香りが食欲をそそります。
スイカ皮のひき肉あんかけ
ひとくち大にカットしたスイカの皮とひき肉を一緒に炒めます。肉の色が変わり、スイカの色が透き通ってきたら、調味料を入れてさっと煮ればOK。冬瓜のようなやわらかな食感が楽しめます。
キャベツの芯
キャベツの芯は、硬くて食べられないと思われがちですが、実は栄養が豊富で、捨ててしまうのはもったいない部分です。
キャベツの芯には、葉の部分に比べて、カリウムやリンといったミネラルが豊富に含まれています。これらのミネラルは、体の水分バランスを調整したり、骨の健康を維持したりする上で重要な役割を果たします。
また、食物繊維も葉の部分よりも多く含まれており、腸内環境を整え、便秘解消に役立つと言われています。
春キャベツの芯のメンマ風
キャベツの芯のみで作るメンマ風です。
5mm幅の薄切りにしたキャベツをごま油を引いて中火で炒めます。キャベツがしんなりしたところで調味料を加えるだけで完成。
キャベツのコンビーフ煮
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キャベツとコンビーフを入れた煮込み料理です。
まずはみじん切りにした玉ねぎと、くし切りにしたキャベツを炒めます。それを固形コンソメとコンビーフと15分程煮込んで塩コショウで味を調えたら完成です。
栄養豊富な真ん中の太い芯も煮込むと柔らかくなって食べやすいので、切らずに使いましょう。
外皮やヘタなどの「野菜くず」だって活用できる!?
料理をする度に出てしまう、野菜くず。さすがにこれは捨てるしかないと思いますよね。そんな野菜くずを美味しく活用する方法が「ベジブロス=野菜だし」です。両手一杯分(250g)くらいの野菜に対し、水1.3Lと酒小さじ1ほどを加え、弱火で30分ほど煮込むだけのお手軽さ。火を止めてざるで濾せば完成です。
野菜の旨味&栄養がたっぷり溶け込んだベジブロス、ぜひ一度作ってみてください。塩を足すだけで、スープとしても美味しく飲めますよ。
捨てる部分を美味しく食べてフードロスを減らそう
今回の記事では、捨ててしまいがちだけれど、実は美味しく食べられる野菜について紹介しました。野菜の捨てる部分が少なくなると、食費の節約はもちろん、フードロスの削減にもつながります。
紹介した野菜以外にも、捨てがちだけど食べられる部分は色々あります。「これって食べられないのかな?」と、捨てる前に少しでも意識してみるとよいでしょう。
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