畳は調湿性や断熱性に優れる一方、高温多湿の状態になりやすく、梅雨〜夏にかけてダニの繁殖率が高まります。仮にダニに刺された場合、アトピーやアレルギー性鼻炎など、さまざまな健康被害が発生するため、早急な対応が必要です。
この記事では、ダニが畳に発生した場合の駆除対策や予防策についてご紹介します。ダニの被害に悩まれている方、ご自宅に和室がある方は、最後までご覧ください。
ダニが畳に発生する原因
ダニが発生する条件について、以下の表にまとめました。
気候 | 主なエサ |
温度:20~30℃湿度:60%以上 | ・お菓子の食べかす・ごみ・人間の皮脂やフケ・ほこり |
畳は断熱性が高いため、湿気が室内にこもり、高温多湿を維持しやすい環境になります。また、人間の皮脂や食べかすなども落ちやすいため、ダニが増殖するのに良い条件が揃っています。
特に気温や湿度が高まる梅雨〜夏場にかけては、小まめな換気や掃除を心がけましょう。
また、ダニの発生条件はカビにも当てはまります。浴室やエアコンなど、高温多湿になりやすい箇所の衛生状態に気を配ることが重要です。
畳に発生しやすいダニの種類
和室の畳に発生しやすいダニは、以下の3種類です。
・ケナガコナダニ
・ヒョウヒダニ
・ツメダニ
発生しやすい気候や発生場所などをみていきましょう。
ケナガコナダニ
体長0.3〜0.5mmで、身体に長い毛が多数生えているのが特徴です。高温多湿の気候が続く梅雨~夏にかけて、大量発生することがあります。
ケナガコナダニが発生したとしても、基本的に人間を刺す可能性は低いです。ただし、放っておくと他のダニを餌にするツメダ二の発生を招く原因となります。ソファやぬいぐるみ、カーペットなどに潜んでいる傾向が高く、赤ちゃんやペットと同居している方は注意しましょう。
また、室内の温度が高まりやすいとされる新築の戸建て住宅やマンションに発生する可能性も高いとされています。
ケナガコナダニの特徴
発生しやすい気候 | ・気温25〜28℃ ・湿度75〜85% |
死滅条件 | ・47〜50℃の高温 ・温度が7℃以下(繁殖不可) ・湿度が50%以下 (繁殖不可) |
主な発生場所 | ・畳 ・ソファ ・じゅうたん ・ラグ ・ぬいぐるみ |
主な発生原因 | ・チョコレート ・パン粉 ・味噌 |
ヒョウヒダニ(チリダニ)
ヒョウヒダニは体長0.3〜0.4mmで、年中を通して確認できるダニです。室内にいるダニの7割〜9割ほどをヒョウヒダニが占めるといわれています。ケナガコナダニと同様、人間を刺す可能性はさほど高くありません。
ただし、ヒョウヒダニの死骸やフンなどが原因で、アレルギー症状を引き起こす可能性があります。じゅうたんやソファなどにも発生しやすく、赤ちゃんやペットと同居している方は注意が必要です。
ヒョウヒダニの特徴
発生しやすい気候 | ・気温20~30℃ ・湿度60~80% |
死滅条件 | ・60℃以上の高温 ・湿度が50%以下(繁殖不可) |
主な発生場所 | ・畳 ・ソファ ・カーペット ・ラグ ・ぬいぐるみ |
主な発生原因 | ・ほこり ・人のフケ ・アカ |
ツメダニ
体長0.3〜1mmほどで、梅雨〜秋口にかけて繁殖するダニです。ケナガコナダニやヒョウヒダニなど、他のダニをエサにして繁殖します。ツメダニは捕食性で他のダニと異なり、人間を刺す可能性があるダニです。
刺された場合は全身のかゆみに加え、皮膚炎を引き起こすケースも考えられます。積極的に人を刺すわけではありませんが、注意しましょう。
ケナガコナダニと同じく、戸建て住宅よりも温度と湿度が上昇しやすいマンションで発生する可能性が高いと言われています。
ツメダニの特徴
発生しやすい気候 | ・気温25℃前後 ・湿度75%前後 |
死滅条件 | ・60℃以上の高温 ・湿度が50%以下(繁殖不可) |
主な発生場所 | ・畳 ・カーペット |
主な発生原因 | ・ケナガコナダニ ・ヒョウヒダニ |
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畳にダニが発生した場合の主な健康被害
畳にダニが発生した場合、以下のような不調に悩まされる可能性があります。
・アトピー性皮膚炎
・アレルギー性鼻炎
・アレルギー性結膜炎
・気管支喘息
小さい子どもや高齢者など、抵抗力に不安を抱える方は長引く可能性があるため、注意が必要です。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、皮膚のかゆみや湿疹などに悩まされるアレルギー疾患のひとつです。
ダニやハウスダストの吸い込みだけで発症するわけではありません。ストレスや疲労、食べ物との相性など、複数の要因が重なった際に発症します。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、ダニの死骸やハウスダストの吸い込みなどが原因で発症するアレルギー疾患です。
発症すると、鼻水や鼻づまり、くしゃみの症状があらわれます。
アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎とは、目の充血やかゆみ、違和感など、複数の目の不調を引き起こすアレルギー疾患です。
ダニが原因の場合は花粉症と異なり、年間を通して目の不快な症状が生じます。
気管支喘息
気管支喘息とは、気道の炎症にともない発症する病気です。
空気の通り道が狭くなっており、息苦しさや激しい咳の症状があらわれます。炎症が起きている際の気道は、非常に敏感です。
ホコリや煙などを吸い込み、わずかなストレスがかかるだけで、呼吸が苦しくなります。
ダニが畳に発生するのを防ぐ予防方法
ダニの繁殖を防ぐ主な対策には、以下のようなものが挙げられます。
・畳の上にカーペットを敷かない
・こまめに換気をする
・エアコンを掃除する
和室の窓を開けて、こまめに換気をすることが重要です。これにより、部屋の室温と湿度の両方を下げる効果が期待できます。
畳の上にカーペットを敷かない
カーペットを敷くと、畳との間にホコリやゴミが溜まりやすくなります。これらはダニの餌となるため、ダニの繁殖を助けることになります。さらに断熱効果もあるため、畳の上に敷くとダニが好む高温多湿の環境になるでしょう。
直射日光を遮りたい場合は、遮光カーテンや遮光シートの活用がおすすめです。
こまめに換気をする
湿気が室内にこもらないよう、部屋の換気を心がけましょう。換気は室内の温度を下げるだけでなく、ダニの死骸やカビなどの排出効果も期待できます。窓を1時間に5〜10分程度を目安に開けておくようにしましょう。
扇風機やサーキュレーターを使うと、効率的に室内の空気を循環できます。また、浴室も高温多湿の状態になりやすいため、使用中〜使用後は必ず換気扇を回しましょう。
浴室の使用後は、50℃以上の熱湯を浴槽や壁にかけておくと、ダニやカビが発生しにくくなります。
エアコンを掃除する
エアコン内部もダニが繁殖しやすい環境です。エアコンは設定温度を20〜30℃、湿度を60〜80%に保つケースが多く、ダニにとってほこりやごみなどの栄養源も豊富にあります。
エアコン内部が湿気でこもらないよう、1〜2時間に1回のペースで送風運転をおこなうようにしましょう。
また、エアコンのフィルターを小まめに掃除して、ほこりを取り除いておくことも重要です。フィルターを掃除する際は、掃除機でほこりを取ってから、水洗いをします。
ただし、ドレンパンやフィンなど、フィルター以外の箇所を自分で掃除するのは避けましょう。部品の分解が必要になるため、破損や故障の原因になります。専門知識がない場合は、エアコンクリーニング業者を利用するのが無難です。
ダニ捕りシートを置く
ダニ捕りロボやダニピタ君などの商品で知られるダニ捕りシートは、置くだけで防ダニ対策ができる便利アイテムです。誘引剤の効果で、畳の奥に隠れているダニも一気に捕獲できます。粘着力に優れており、捕獲したダニが再び外に出る心配はありません。
天然由来や植物由来の商品も多く、赤ちゃんや小さな子どもがいる家庭でも安心して使用できます。商品によっては1度設置すると、数か月間効果が持続するものもあります。使用後は燃えるゴミに捨てて、新品と入れ替えるだけなので、最小限の手間でダニの発生を防げます。
また、マットレスやカーペットの下など畳以外のスポットにも設置可能です。
ダニが畳に発生した場合の駆除対策
畳に発生したダニを駆除する主な方法には、以下のような対策が挙げられます。
・雑巾での拭き掃除
・掃除機での吸い取り
・ドライヤーや布団乾燥機の使用
・ダニ駆除グッズの活用
・畳の天日干し
・畳の張り替え
・ダニ駆除の専門業者へ依頼
順番に内容を見ていきましょう。
雑巾での拭き掃除
乾いた布や雑巾を使って、畳の表面に付着したダニの死骸やほこり、食べかすなどを取り除きます。
雑巾で拭く際は、畳の目に沿いながら拭くのがポイントです。目に逆らって拭いた場合、畳を傷つけてしまう可能性があります。乾拭きは2週間に1回の頻度を目安におこないましょう。
アルコール除菌の効果が望める畳専用のウェットシートを使うのもおすすめです。短時間でダニを退治できるだけでなく、乾燥の手間も省けます。
また、水拭きでの拭き掃除はおすすめできません。畳は水分を多く含んでおり、雑巾に余分な水が残っていると、かえってダニが増殖しやすくなります。
掃除機での吸い取り
掃除機を使うことで、畳の隙間に隠れているダニや死骸、フンなどを効率的に吸い取ることができます。ダニは夜行性のため、掃除機をかける1〜2時間前に部屋を暗くしておくと、より多くのダニを駆除できるでしょう。
また、掃除機で吸い取る際は、1畳あたり1分のペースでゆっくり掃除機をかけるようにしましょう。
掃除機を勢いよくかけてしまうと、衝撃でダニやハウスダストが空中に舞い上がり、十分にダニを駆除できないだけでなく、畳を傷つける原因にもなるため注意が必要です。
ドライヤーや布団乾燥機の使用
ダニの駆除にドライヤーや布団乾燥機を使用するのも有効です。ダニは高温多湿の環境を好む一方、50℃以上の高温には耐えられません。ドライヤーの温風は100〜120℃程度なので、ダニを死滅させるには十分な温度です。
ただし、同じ箇所に集中的に温風をあてると、火傷や火事の原因になります。ドライヤーを使う際は風力を弱くして畳全体に温風があたるようにしましょう。
布団乾燥機の温風の設定温度は70℃前後です。ダニ退治モードを搭載している場合は、効率的にダニを死滅させられます。
ダニ駆除グッズの活用
ダニ駆除グッズにはスプレーやパウダー、煙を焚くタイプなどがあります。いずれのグッズも、ホームセンターやECサイトなどで購入が可能です。特にスプレータイプとパウダータイプは、畳の表面近くに付着しているダニを駆除するのに適しています。
スプレータイプは、ダニアースやダニフマキラーなどの商品が知られており、直接畳に吹きかけるだけで、簡単にダニを駆除することができます。
長持ちするパウダータイプは、1〜2か月ほどの効果が期待できます。畳の上にパウダーを振りかけておくだけで、パウダーを口にしたダニが死滅します。その死骸を掃除機で吸い込むだけで、簡単にダニの駆除ができます。代表的な商品としては、スミスリン粉剤「SES」が該当します。
また、煙を焚くタイプは、和室全体のダニを効率的に駆除したい方におすすめです。主な商品としては、ダニアースレッドやアースレッドWなどが該当します。ゴキブリやノミなど、ダニ以外の害虫も駆除できます。
ただし、強力な殺虫成分を含む商品もあるため、赤ちゃんやペットがいる家庭では慎重に商品を選ぶようにしましょう。
畳の天日干し
畳は調湿性に優れているため、湿気の多い梅雨時期などは特に水分を多く含みます。ダニの繁殖を防ぐには、定期的に畳を乾燥させて湿気を追い出すことが重要です。
畳を取り外す際は畳の真ん中にマイナスドライバーを差し込み、てこの原理を使って持ち上げるとスムーズです。取り外しが難しい場合は、片方の畳をあげて換気するだけでも効果が期待できます。
作業する際は、ほこりやハウスダストを吸い込まないよう、マスクを着用しましょう。畳を天日干しする際は、遮光ネットを活用するのもおすすめです。また長時間、畳を直射日光に当てていると、日焼けや変色の原因になります。
片面を2.5〜3時間程度、日光に当てたら畳を元に戻しましょう。畳を戻す前に乾燥シートや防虫シートを敷いておくと、防ダニ対策を強化できます。
畳の張り替え
定期的に掃除をしてもダニが発生する場合は、新品の畳に張り替えるのも1つの手段です。畳は使用年数が長くなるほど、調湿性が低下してダニが繁殖する可能性が高まります。近年では和紙の使用や防ダニ加工など、ダニが発生しにくい畳も多く登場しています。
畳の張り替えをおこなう方法としては、以下3種類が挙げられます。
・裏返し
・表替え
・新調
それぞれの特徴や費用について、以下にまとめました。
裏返し
裏返しとは畳床から劣化した畳表を剥がし、きれいな部分を表面として再利用する方法です。新しい畳を使用してから、2〜3年後におこなうのが1つの目安になります。裏返しの費用は、1畳あたり4,000円〜9,000円前後です。
表替え
表替えとは既存の畳床を使い、畳表の部分だけを新品に交換する方法です。畳表は、イ草を麻や綿などで編み込んだ表面に当たる部分を指します。新品の畳を使用してから5〜6年、裏返しから4年以上経ったタイミングが、表替えをおこなう目安です。
表替えの費用相場は、1畳あたり4,000円〜13,000円程度になります。
新調
畳を新しい畳に新調する方法です。同じ畳を15年以上使用している場合、裏返しや表替えをしても劣化が目立つ場合が、新調の目安になります。畳の新調にかかる費用は、1畳あたり7,500円〜20,000円程度が相場です。
ダニ駆除の専門業者へ依頼
自力での対処が難しい場合は、ダニ駆除を専門とする業者へ依頼しましょう。ダニの種類や繁殖具合に応じて、適切な駆除対策をしてもらうことが可能です。
薬剤に関する要望も伝えられるため、赤ちゃんやペットと同居している方も安心です。今後に向けて予防策やおすすめのアイテムも教えてもらえるでしょう。また、ダニ駆除の費用相場は、5,000円〜30,000円程が相場です。
また、専門業者に依頼する際は、駆除費用の相場を見極めるため、複数の業者から見積を取得するようにしましょう。
畳のダニに関するよくある質問
畳のダニに関して、多くのユーザーから寄せられた質問について回答をまとめています。
ダニに赤ちゃんやペットが刺された場合は?
赤ちゃんがダニに刺された場合、強いかゆみの症状を引き起こすことがあります。その症状は刺された直後ではなく、1〜2日後にあらわれることが多いとされています。
赤ちゃんの身体に赤いブツブツとした発疹を発見した際は、刺された箇所を濡れタオルや水を含んだガーゼで冷やすと効果的です。
また、犬や猫がダニに刺された場合も人間と同様、皮膚の炎症やかゆみ、アレルギーなどの症状を引き起こすと言われています。人にも症状がうつる可能性があるため、すぐにかかりつけの動物病院へ行き、診察を受けましょう。
ダニはどのくらいの頻度で駆除すべきですか?
ダニの繁殖度合いや駆除方法によって、異なります。例えば、雑巾で拭き掃除をする場合は2週間に1回の頻度が目安です。また、畳の天日干しするのであれば、春と秋に2回おこなうのが理想と言えます。
畳のダニを掃除・駆除するならプロに依頼
雑巾や掃除機を使って小まめに畳を掃除していると、ダニによる健康被害を避けられます。ただし、仕事や育児などが忙しく、掃除の時間を十分に確保できない方もいるでしょう。
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