ガルバリウム鋼板を用いた屋根には、錆びにくい、耐久性が高いなどのメリットがあり、主な施工方法には縦葺きと横葺きがありますが、見た目の印象が大きく変わるためどう選べば良いのかわからないという方も多いでしょう。
この記事では、自宅の屋根材として活用したい方に向けて、ガルバリウム屋根の特徴や施工方法、費用について解説します。またおすすめのメーカーや商品、施工業者の選び方も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
株式会社六條工務店
ガルバリウム屋根とは
ガルバリウム屋根とは、ガルバリウム鋼板を用いた屋根のことです。ガルバリウム鋼板とは、鋼板に亜鉛やアルミニウムなどの合金でメッキ処理した素材のことで、錆びにくく耐用年数が長いという特徴があります。
メッキ処理に関しては、ガルバリウム鋼板の中でもいくつか方法があり、亜鉛やアルミニウム以外にもマグネシウムを入れたものなど、それぞれ性能が異なります。ガルバリウム鋼板を屋根材として選ぶときは、製品ごとの特徴も確認しておきましょう。
ガルバリウム鋼板は軽量で割れにくいというメリットもあります。そのため、地震が起きても被害を抑えやすくなるでしょう。また、デザイン性も高く、他の素材の屋根の上にガルバリウム屋根を重ねてリフォームすることもあります。
耐用年数も長く、通常であれば30年ほど、海沿いなどの塩害が予想されるエリアでも15年ほどは持つとされています。しかし、金属素材のため、熱伝導率が高く、夏は屋内が暑くなりやすい点はデメリットといえるでしょう。また軽量かつ薄型のため、防音性が低く、雨音が屋内に響くこともあります。
とはいえ、施工方法や塗料を工夫することで、ガルバリウム鋼板ならではのデメリットを軽減することは可能です。例えば、塩害や熱伝導率の高さは、それぞれに対応した塗料を塗布することである程度は軽減できます。また、防音性の低さについても、異なる素材で屋根を葺いた上にガルバリウム鋼板をカバー工法で重ねる、屋根裏に断熱材を貼り付けるなどの方法で改善できることがあります。
ガルバリウム屋根の施工方法
ガルバリウム屋根には次の2種類の施工方法があります。
- 縦葺き
- 横葺き
それぞれの特徴やメリット、デメリットについて紹介します。
縦葺きの特徴
縦葺きとは、屋根の勾配に対して縦になるようにガルバリウム鋼板を葺く方法です。縦のストライプがスタイリッシュな印象で、現代的でおしゃれな屋根に仕上がります。
縦葺きのメリットとしては次の点が挙げられます。
- 雨水が屋根の上に溜まりにくく、雨漏りや錆びが生じにくい
- 勾配が少ない家でも排水しやすい
その一方で、次のポイントはデメリットになるかもしれません。
- 段差をカバーできないため、カバー工法には用いにくい
横葺きの特徴
横葺きは、屋根の勾配に対して横になるようにガルバリウム鋼板を葺く方法です。次のメリットがあります。
- 複雑なデザインに対応できるため、縦葺きよりも個性的な仕上がりになる
- 段差にも対応できるので、カバー工法に用いやすい
以下の点は横葺きのデメリットといえます。
- 屋根材が重なる部分に雨水が溜まりやすく、縦葺きと比べると雨漏りや錆びが生じやすい
どちらの種類がおすすめ?
排水性の高さにこだわる場合は、縦葺きがおすすめです。一方、カバー工法でガルバリウム鋼板を用いる場合には、横葺きが適しているでしょう。
また、屋根の勾配が少ないときは段差ができやすい横葺きはあまり向きません。反対に屋根の勾配が多いときは、横葺きが適しています。
施工費用の相場
ガルバリウム屋根の施工費用は、他の屋根材よりも高額になる傾向にあります。メーカーや商品、施工業者によっても費用は異なりますが、おおよその相場は1㎡あたり5,000~10,000円です。建坪ごとの費用目安は以下のとおりです。
- 建坪20坪:18~36万円
- 建坪30坪:28~55万円
- 建坪40坪:37~74万円
スレートなどの他の屋根材よりは高めではありますが、耐用年数が長く、メンテナンスも簡単なため、長期的に見れば割安になることもあります。
ガルバリウム屋根のおすすめメーカー・商品
ガルバリウム屋根は、メーカーや商品によっても素材の特徴や価格が異なります。おすすめのメーカー、商品を3つ紹介します。
【ニチハ株式会社】横暖ルーフS
ニチハ株式会社は窯業系外装材や金属系外装材の製造、販売を手掛ける企業です。大手住宅メーカーにも屋根材などの外装材を提供し、広く日本の住宅に使用されています。
ニチハ株式会社の横暖ルーフSは遮熱鋼板と断熱材が一帯となった屋根材です。横葺き専用のため、カバー工法に用いることもできます。
- 1㎡当たり約6,690円(税抜き)
【アイジー工業】スーパーガルテクト
アイジー工業株式会社は建築用の断熱外壁材や金属屋根材の研究、製造、販売を手掛ける企業です。意匠性と耐久性、快適性を追求し、屋根材の新しいスタンダードの構築を目指しています。
アイジー工業株式会社のスーパーガルテクトは、優れた断熱性能を発揮する屋根材です。ガルバリウム鋼板の弱点である断熱性の低さを軽減し、暮らしやすさを追求しています。またカラー展開も豊富で、色にこだわりたい方にもおすすめです。
- 1㎡当たり約8,190円(税抜き)
【ケイミュー】スマートメタル
ケイミュー株式会社は外装建材を通して、暮らしに安心と安全を提供する企業です。また環境配慮にもこだわっています。なお、前身はクボタ松下電工外装株式会社で、2010年にケイミュー株式会社に改名しました。
ケイミュー株式会社のスマートメタルは、耐食性・耐風性・防水性・遮熱性に優れる屋根材です。また左右どちらからでも重ねられ、施工性にも優れています。
- 1㎡当たり約6,670円(税抜き)
施工前に屋根の勾配は要確認
ガルバリウム鋼板を施工するときは、縦葺き・横葺きで必要な勾配が変わってくるため注意が必要です。縦葺き・横葺きの希望が決まっている場合は、それに応じた勾配の屋根にする必要があります。
また、カバー工法は横葺きが一般的ですが、屋根の勾配が緩やかなときには施工できない可能性があります。勾配が緩やかな屋根をガルバリウム鋼板で葺き替えるときは、カバー工法ではなくすべて取り外してから縦葺きで葺き直すほうが良いと考えられます。専門業者に相談し、適切な施工方法を選びましょう。
安心できる業者選びのポイント
ガルバリウム鋼板による屋根工事を依頼するときは、以下のポイントで業者を選ぶと安心です。
- ガルバリウム鋼板による施工実績が豊富
- 希望するメーカーの商品を取り扱っている
いくつかの業者から見積もりを取ると、より適正な費用で施工を請け負う業者を選びやすくなります。また費用だけでなく親切さや対応の早さなども考慮し、総合的に満足度が高い業者を選びましょう。
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ガルバリウム鋼板はスタイリッシュな外観に仕上がるだけでなく、軽量かつ耐久性に優れるため、地震対策にも適した屋根材です。施工方法には縦葺きと横葺きがあり、勾配が緩やかなときは縦葺き、勾配が急なときやカバー工法には横葺きが適しています。
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監修プロのコメント
20年ほど前までは、ガルバリウムは全く人気がありませんでしたが、現在は、新築においても主流になっています。鉄の板の屋根=トタン屋根のイメージを持ち敬遠される方もおられますが、本文にあるように性能は非常に良い建材です。
縦がいいのか、横がいいか、については、本文の通り屋根の形、勾配によって決まる場合がありますが、新築の場合は、施工期間が短く安価で済む縦葺き、リフォームの場合は様々な屋根の形状に対応できるので、横葺きが主流といった感じです。また横葺きの場合は、断熱材一体型の商品もあります。
ガルバリウムは浸食しにくい建材ですが、天敵は錆です。錆を発生させないために、勾配が低い屋根や、落ち葉が多い部分、雨に当たらない(汚れが流されない)などは注意しましょう。
ガルバリウムも年々進化していて、次世代ガルバリウムが登場しています(SGL)。今後はこういった製品が主流を掴むのでしょう。建材も、建築技術も、日々進化しています。工事を依頼する際は、最新の技術も学んでいるところがいいかと思います。
工事をご検討の際は、ぜひともご相談ください!
株式会社六條工務店
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