和風の建物に多く用いられる瓦屋根。リフォームや葺き替えをするとなると、費用が気になる方も多いのではないでしょうか。 今回は、瓦屋根の耐用年数や費用について解説します。屋根の劣化が気になる方は、ぜひメンテナンスの方法も参考にしてください。
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瓦屋根とは?
日本家屋に多く見られる「瓦屋根」とは、瓦を材料にした屋根のことです。近年は、和風の建物だけでなく洋風住宅にも瓦屋根が採用されています。 瓦は主に、粘土やセメントを主原料に作られています。粘土で作られた瓦の代表種は、島根県の石州瓦や愛知県の三州瓦などです。
基本的に、粘土を形成し高温で焼き上げた粘土瓦は、塗装によるメンテナンスの必要がありません。 一方、セメントで造られた瓦は定期的なメンテナンスが必要です。見た目は粘土瓦とほとんど変わらず、定期的に塗装をすれば粘土瓦と同様の耐久性を期待できます。
瓦屋根のメリット・デメリット
瓦屋根には、耐久性や断熱性に優れているといったメリットがあります。デメリットとしてあげられるのは、耐震性の低さや台風などによる落下のリスクです。 屋根のリフォームや葺き替えを検討する際は、メリットだけでなくデメリットを把握しておくことが大切です。
台風のリスクが高い地域であれば、瓦の素材や重さ、施工法などを検討する必要があるでしょう。 業者に工事を依頼するときも、メリットやデメリット、施工費用などを比較しながら、住まいにあった瓦屋根を選んでください。
メリット
瓦屋根には、以下のようなメリットがあります。
- デザイン性に優れている
- 部分的な葺き替え工事ができる
- 断熱性と遮音性が高い
- 耐久性が高くメンテナンスがほぼ不要
瓦屋根は、日本家屋ならではの優れたデザイン性が人気です。それと同時に、瓦屋根は部分的に葺き替え工事ができ、不要な工事費用が抑えられるという利点もあります。
注目したいのは、瓦の構造がもたらす高い断熱性と遮音性です。瓦と木材との間にできる空気層が、夏の暑さや冬の寒さを防いでくれます。空気層が遮音性を生み出し、雨音などが響きにくいこともメリットのひとつです。
また、瓦屋根は耐久性に優れています。メンテナンスはほぼ不要なため、施工後の維持費もカットできるでしょう。
デメリット
瓦屋根のデメリットとしてあげられるのは、以下の2点です。
- 台風などの強風による落下の危険性がある
- 重量があり耐震性が低い
地震や台風などの災害が発生した際、瓦屋根は飛んだり落ちたりする危険性があります。そのため、近年は安全性の高い防災瓦の使用が主流です。葺き替え工事の際も、瓦同士の連結が強化された防災瓦の施工を検討してください。
また、瓦屋根は重量がある分耐震性が低いといわれています。屋根の重さが柱や梁などの負担になり、地震の際に損傷を引き起こすからです。 近年は、これらの課題を解決した軽量瓦が製造されています。
昔は泥を塗った下地に瓦を固定していましたが、現在はビスによる固定が一般的です。施工の際は、こうした瓦の重さや施工法なども業者に相談してみましょう。
瓦屋根の種類
瓦屋根は、使用する素材や製造方法によって以下のような種類に分かれます。
- 釉薬瓦
- 無釉瓦
- セメント瓦
それぞれデザイン性だけでなく、耐用年数や価格にも違いがあります。ここでは、種類ごとの瓦の特徴について確認していきましょう。1㎡あたりの具体的な費用も紹介するため、ぜひリフォームや葺き替え時の参考にしてください。
瓦の種類 | 耐用年数 | 1㎡あたりの費用 |
釉薬瓦 | 50~60年 | 5,500~16,000円 |
無釉瓦(いぶし瓦) | 30~60年 | 8,000~13,000円 |
無釉瓦(素焼き瓦) | 40~50年 | 5,000~9,000円 |
セメント瓦 | 20~40年 | 在庫が少ないため他素材への葺き替えが主流 |
釉薬瓦
釉薬(ゆうやく)とは、陶器などにかけるガラス質の膜のことです。「うわぐすり」とも呼ばれ、釉薬をかけて焼成することで色つやのある瓦に仕上がります。 釉薬瓦は見た目が美しく、耐水性に優れていることが特徴です。基本的にメンテナンスフリーですが、経年劣化する防水シートや漆喰部分は、定期的な点検をおすすめします。
無釉瓦
無釉瓦は、釉薬をかけずに焼成した瓦です。代表的な無釉瓦には「いぶし瓦」や「素焼き瓦」などがあげられます。 無釉瓦は優れた耐久性と渋い色合いが特徴です。窯で燻すいぶし瓦は、独特の渋い銀色に焼き上がります。酸化炎焼成と呼ばれる製法で焼成する素焼き瓦は、赤色の自然な風合いが魅力です。
セメント瓦
セメントと水、砂を主原料にするセメント瓦は、豊富なデザインが魅力です。コンクリート瓦とも呼ばれ、施工が容易で大量生産に適しています。
しかし、耐久性の低さから現在はあまり製造されていません。在庫自体が少なく、他の屋根材への葺き替えが主流となるでしょう。
瓦のメンテナンスとは
瓦のメンテナンスには、以下のようなさまざまな方法があります。
- 瓦の差し替え
- 漆喰の詰め直し
- 瓦屋根の葺き直し
- 屋根塗装
差し替えや詰め直しは、瓦や漆喰に破損が見られる際に行います。また、雨漏りが発生した場合は葺き直しが必要です。コンクリート瓦は、必要に応じて塗装を行います。 屋根のメンテナンス時は、これらの内容を参考に具体的な工法を業者に相談してみてください。
瓦の差し替え
差し替えは、瓦が割れてしまったときに必要なメンテナンスです。差し替え時は、瓦の下にある防水紙(ルーフィングシート)を傷めないように施工します。防水紙が傷付くと雨漏りが発生する恐れがあるからです。
瓦の差し替えは、今ある瓦と同じ商品を揃えることが課題になります。前述したように、在庫の少ないコンクリート瓦の場合は、同形状の瓦を見つけるのが難しいケースもあるでしょう。
漆喰の詰め直し
漆喰(しっくい)は、屋根のてっぺんにある棟(むね)を守るために塗られる材料です。瓦の固定を目的に塗られる漆喰は、経年により徐々に剥がれることがあります。
漆喰が剥がれると、内部の土が流れたり、雨水が入り込んだりする恐れがあるため詰め直しが必要です。雨漏りを防ぐためにも、10年に1度の詰め直し補修をおすすめします。
瓦屋根の葺き直し
瓦の下の防水紙が傷んでいる場合は、屋根の葺き直しを行います。葺き直し工事は既存の瓦をそのまま使用でき、屋根全体の葺き替え工事よりも費用が抑えられることがメリットです。 屋根からの雨漏りは屋根材ではなく、防水紙によって防がれています。
一般的な防水紙の耐用年数は、20年前後です。瓦の寿命が長くても、防水紙が傷むと雨漏りの恐れがあるため築年数に応じた葺き直しを検討しましょう。
屋根塗装
セメント瓦のように吸水性が高い瓦は、定期的な塗装が必要です。雨水が染み込むと劣化が進むため、10~15年を目安にメンテナンスしてください。
セメントに付着した苔なども除去することができます。 セメント瓦の塗装は、実績のある専門業者に依頼するのがおすすめです。瓦の種類や特徴を見極めたうえで、安心安全な施工を実現できます。
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瓦屋根には、粘土瓦やセメント瓦などさまざまな種類があります。屋根のリフォームや葺き替えを行う際は、それぞれの特徴を見極めることが大切です。
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監修したプロのコメント
瓦屋根は、原材料が粘土やセメントになるので耐久性が高いこと、メンテナンスの費用・手間がかからないため、おすすめの屋根材の1つです。日本家屋など和風の住宅にはもちろんのこと、近年では洋風住宅にも使用されることもあり、様々なタイプの住宅におすすめできます。
また、価格が比較的高くなってはしまいますが、他の屋根材の後々のメンテナンス費用を考えると、費用対効果は高いと言えるでしょう。
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