おしゃれなイメージの薪ストーブですが、設置にはどの程度の費用がかかるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。また、薪ストーブの本体価格や工事内容、煙突などの部材、ランニングコストも気になるところです。
この記事では、薪ストーブを検討している方に向けて、設置費用やランニングコスト、利用できる補助金制度について解説しています。薪ストーブの楽しみ方や注意点も併せて説明するので、導入する前にぜひチェックしてください。
薪ストーブとは?
薪ストーブとは、本体の中で薪を燃やし、加熱されたストーブ本体の輻射熱によって部屋を暖かくする暖房器具のことです。直に部屋を暖めるため暖かさが長続きし、身体の芯まで暖かくなるというメリットがあります。
また薪が燃える香りも、薪ストーブならではの特徴です。火が燃える様子を見られるだけでなく、パチパチと火が爆ぜる音も聞こえ、五感で暖かさを堪能できます。
薪ストーブには、鋳物(いもの)でできたものと鋼板(こうはん)でできたものの2つの種類があります。デザイン性の高さで選ぶなら鋳物製に注目してみましょう。鋳物製の薪ストーブは暖かくなるまでに時間がかかる傾向にありますが、暖かさが長続きします。
一方、鋼板製の薪ストーブは、鋳物製と比べると短時間で部屋が暖まりますが、火を消した途端に部屋が寒くなってしまいます。モダンなデザインが多いので、シンプルな部屋に置くときには鋼板製のほうがしっくりくるかもしれません。
薪ストーブを設置するにはいくらかかる?
薪ストーブや暖炉を設置するときには、次の費用がかかります。
- ストーブ本体価格
- 設置工事費
- 煙突などの部材費
また、設置後には、次の費用もかかるので頭に入れておきましょう。
- フルメンテナンス費
- 作業員の出張費
- 部材交換費
- 燃料費
それぞれ詳しく解説します。
設置費用
薪ストーブを後付け設置するときにかかる費用は、以下の通りです。
本体価格 | 約20万~100万円 |
部材費(煙突部分など) | 約40万~70万円 |
設置工事費 | 約20万~60万円 |
薪ストーブの設置にかかる総額の相場は、約100万円~160万円です。
薪ストーブ本体は、グレードによって価格は変動しますが、高価なものは100万円近くとなるため慎重に選びましょう。大きさで選ぶ場合、小さなものであれば約20万円で購入できるものもあります。
ただし、値段だけを重視すると設置後に物足りなさを感じる可能性も考えられるので、部屋の広さや用途に適している事を確かめましょう。
本体だけではなく煙突部分に約40万円~70万円必要になるため、部材にかかる費用も忘れずに意識してください。また、煙突工事には50万円以上かかると見ておくと間違いありません。
設置費用は、本体価格の2倍かかると見積もっておくとよいでしょう。ただし、天井が高い部屋や吹き抜けのある空間に薪ストーブを設置するときには注意が必要。煙突が長くなるため、部材代や設置工事費がさらに高額になる場合があります。
ランニングコスト
設置費用は最初の1回のみ発生しますが、ランニングコストは薪ストーブを利用し続ける限りかかる費用です。ガラスを磨くといった日常的なお手入れだけでなく、冬以外のオフシーズンは1年を通して以下のメンテナンスを行い、万全の態勢でストーブシーズンを迎えましょう。以下を参考に、無理なく利用し続けられるのか検討してください。
フルメンテナンス費 | 約3万~4万円 |
作業員の出張費 | 0~2万円 |
部材交換費 | 部材の実費 |
燃料費(1シーズン3立方メートルの薪代) | 約2万~6万円 |
ストーブ内の煤落としなどの通常のメンテナンスだけでは、薪ストーブを良好な状態に保てません。薪ストーブを使用するシーズンが始まる前に、煙突内の煤落としなどの専門的なメンテナンスが必要です。
1回あたり約3万円~4万円かかるので、1年に1度行うと考えるとフルメンテナンス費は約3万円~4万円と見積もれます。必須の維持費として、この費用を確保できるか確かめておきましょう。
また、燃料を薪として調達する場合は、1日に約20kg必要です。1ヶ月を30日として数えると、1シーズンを10月~3月の5ヶ月間と考えた場合は平均3000kg使います。
1kgを約50円と計算すると、1シーズンで合計約15万円のコストがかかると考えておきましょう。
一方、薪として加工したものではなく、原木を購入して薪割りをして使う事もできます。原木ならば1日に15時間焚き続けた場合、1日で30kg必要になります。
1シーズンでは4500kg使う計算になりますが、原木は無料で手に入る事もあるため、ホームセンターで既製品を購入するよりコストを抑えられる可能性もあります。
ただし、薪割りのために必要な道具を揃える場合、これに加えて年間に約2万円かかることもあるため、ランニングコストとしてどちらが負担を減らせるのかをじっくり検討しておきましょう。
薪ストーブの設置で使える補助金
薪ストーブやペレットストーブなどの木を燃やす暖房器具は環境にもやさしく、導入する際に補助金制度を利用できることがあります。自治体で「薪ストーブ購入助成制度」や「住宅用木質バイオマスストーブ設置費補助金制度」などを実施しているか、一度問い合わせてみましょう。
例えば北海道東川市では、「薪ストーブ設置事業補助金」という補助金として戸建専用住宅に薪ストーブをリフォームで設置する際、一定の条件を満たしている場合上限10万円に加えて40万円の合計50万円が支給されます。
なお、薪ストーブ関連の補助金制度は、導入時にかかる費用の一部に適用することはできますが、薪やペレットなどの燃料費については適用されないことが一般的です。薪ストーブを利用するときは、薪などの燃料を継続して調達できるのかも確認しておきましょう。
薪ストーブの楽しみ方
暖房器具の選択肢は多く、エアコンやファンヒーター、床暖房などで部屋を暖める方も多いでしょう。薪ストーブも暖房器具のひとつとして検討できますが、単に部屋を暖かい状態にする以上の効果が期待できる点が大きな魅力です。
たとえば、薪が燃える独特の香りを楽しむ、ストーブの熱を料理に活かすといった使い方もできます。薪ストーブの楽しみ方を5つ紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- ストーブの中で焼き芋を作る
- ストーブの上で料理を楽しむ
- ただ火を眺める
- 家全体を暖める
- 灰を肥料として活用する
ストーブの中で焼き芋を作る
焚き火をするのと同じように、薪ストーブを使って焼き芋を作ることができます。サツマイモをそのまま薪ストーブの中に入れても良いですが、新聞紙で包んで全体的に濡らし、さらにアルミホイルなどで包んで薪ストーブの中に入れる方法がおすすめです。遠赤外線効果でふっくら仕上がるでしょう。
薪ストーブで焼き芋を料理するときは、弱火に調整するのがコツです。強火の場合、中心に熱が通るまでに周囲が焦げてしまう恐れもあり、サツマイモ本来の甘味を引き出せません。
また、薪ストーブの下の灰が入る引き出しの中に入れておくだけでも、焼き芋を作ることができます。ただし、薪ストーブ本体の中に入れると約30~40分程度で仕上がりますが、暖かい灰の中では約60~80分ほどかかります。じっくり焼き芋づくりを楽しみたい時にはぴったりです。
ストーブの上で料理を楽しむ
薪ストーブによっては、ストーブの上部に鍋を置けるようになっています。スープや煮物などの加熱時間が長い料理に活用してみましょう。
また、調理だけでなく、ヤカンを置いてお湯を沸かすのにも活用可能です。いつでも暖かいコーヒーや紅茶を淹れられるだけでなく、部屋中に水蒸気が拡散されるので加湿器代わりに使えます。
ただ火を眺める
ゆらゆらと揺れる炎を見るだけでも、リラックス効果を得られます。一日の疲れを癒し、ゆっくりと落ち着く時間を演出するためにも、リビングに薪ストーブを置いてみてはいかがでしょうか。
また、薪ストーブは外観がおしゃれなものも多く、火をつけていないときでもインテリアのひとつとして楽しめます。おしゃれでハイセンスなリビングに仕上げる最後のスパイスとして、薪ストーブを検討してみましょう。
家全体を暖める
薪ストーブは輻射熱によって空間を暖める暖房器具です。薪ストーブのそばだけでなく、暖気が部屋全体に広がるため、効率良く家を暖めることができます。
断熱性能の高い住宅であれば、さらに暖房効率が高まるでしょう。あまり断熱性が高くないときは、薪ストーブを設置する工事と同時に断熱性能を高めるリフォームを実施するのがおすすめです。
灰を肥料として活用できる
薪ストーブの下部には灰が溜まる引き出しがついています。薪の灰にはカリウムが豊富に含まれているため、天然の肥料として活用可能です。捨てないで利用するようにしましょう。
たとえば、ガーデニングや家庭菜園をしている方であれば、種まきをする前に土壌に撒いて元肥として使えます。すでに草花がある程度育っているときは、根に直接かけないように注意して花壇に撒き、追肥として活用しましょう。また、種芋の腐食防止にも灰を活用できるので、気になる方は試してみてください。
薪ストーブを設置する上での注意点
メリットの多い薪ストーブですが、いくつか注意点があります。ここからは設置する前に確認しておきたいポイントを6つ紹介します。
- 薪の用意や管理に手間がかかる
- 火を大きくするにはコツが必要
- 部屋が暖かくなるまでに時間が掛かる
- 隣近所への煙の配慮が必要
- 掃除やメンテナンスが必要
- 煙の匂いが付く
生木の場合は薪の用意や管理に手間がかかる
生木や間伐材は、造園業者に分けてもらえる事もあります。もし機会があれば頼んでみるとよいでしょう。タイミングが合えば分けてもらえるかもしれません。
ただし、生木はすぐには燃やせません。薪割りできる程度まで乾燥させるのに約1年ほどかかるので、調達する前に保管場所を確保しておく事が必要です。
また、既製品とは異なり、生木は自分で薪割りをしなければなりません。そのため、薪割りの手間とスペースも必要になります。薪ストーブを導入する前に、余裕を持てるか確認しておきましょう。
火を大きくするにはコツが必要
薪は簡単には着火しません。細い薪や枝、落ち葉などを使って火をおこし、徐々に炎を大きくしていくことが必要です。
また、細い薪や枝を燃やしているときも、少し油断をすると火がすぐに消えるので、何度も繰り返してコツをつかむことが必要になります。うまく火を起こすためには、火吹き棒のようなアイテムを使う事をおすすめします。
部屋が暖かくなるまでに時間が掛かる
暖かさが長時間続くことも薪ストーブの魅力ですが、部屋全体が暖まるまでには時間がかかる点に注意が必要です。気温や建物の断熱性にもよりますが、暖まるまでに2時間程度かかることもあります。
より快適に過ごすためにも、部屋に薪ストーブ以外の暖房器具を設置しておきましょう。たとえば、エアコンやファンヒーターなどのすぐに暖まる暖房器具があれば、薪ストーブで部屋全体が暖まるまで併用できて便利です。薪ストーブの暖かさは長時間続くため、室内が暖まり始めたら電気を使う暖房器具を切っても問題ありません。
隣近所への煙の配慮が必要
薪ストーブを使用すると、煙突から煙が出るので、近隣トラブルに発展する可能性があります。特に近隣住宅との距離が近い場合は、薪ストーブの設置業者にも相談して、どの程度の煙が出るのか事前に確認しておきましょう。
煙突をつける位置を変える、煙突を高い位置まで伸ばすなどの方法でも、近隣トラブルを回避できることがあります。快適に薪ストーブを利用するためにも、近隣への配慮を忘れないことが大切です。もし煙突からの煙が気になる場合、あらかじめ近隣住民に事情を説明して納得してもらうとよいでしょう。
掃除やメンテナンスが必要
薪ストーブには、定期的な掃除やメンテナンスが必要です。暖炉内や煙突内に煤がつくと、薪が燃えにくくなったり、ガラス部分が黒くなって炎が見えなくなったりします。
ただし、煙突内の作業は危険を伴うため、専門業者に依頼することをおすすめします。本格的に使用するシーズンになる前に、年に一度は掃除しておきましょう。正しいメンテナンスを行っていれば、いざ使用しようとした時に不具合に悩む事がなくなります。あらかじめ費用を計算しておき、計画を立ててメンテナンスをしておきましょう。
煙の匂いが付く
乾燥しきっていない生木などを燃やすと、煙が発生しやすくなります。また、薪をくべている最中に煙がかかってしまうと、服に匂いが付く点にも注意が必要です。
こまめに暖炉内や煙突内を掃除することで、ある程度は匂いの発生を抑えることもできます。少しでも匂いが気になったら、すぐに対処するのをおすすめします。快適に薪ストーブを使用するためにも、年に一度は専門業者に掃除を依頼しましょう。
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今回は、薪ストーブの魅力や設置費用、注意点について解説しました。いろいろな楽しみ方がある薪ストーブですが、設置する際は信頼できる業者に依頼する必要があります。
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