長い期間使用しているトイレは、徐々に劣化し始めます。劣化すると使いづらさを感じるので、トイレのリフォーム工事を検討する方もいるでしょう。また、近年は多機能なトイレが各メーカーから販売されているため、製品選びに迷うこともあるかもしれません。
そこで今回は、トイレ交換に適したタイミングやおすすめのタイプを解説します。施工の価格相場や費用を抑えるための対応ポイントも紹介するので、リフォームを検討する際は参考にしてください。
トイレ交換時に知っておきたいトイレの基礎知識
トイレの交換リフォームをするにあたって、事前に確認すべきことがいくつかあります。トイレの選び方によっては施工後に使いづらさを感じることがあるので、きちんと基礎知識を身につけることが大切です。
ここでは、トイレの種類や排水形式、洗浄方式、便器について確認していきましょう。
トイレの種類を確認しよう
交換リフォームを検討するにあたって確認すべきなのは、トイレの種類です。トイレの種類は、次のようなものが挙げられます。
- タンク一体型
- タンクレス型
- 組み合わせ型
それぞれのトイレの特徴を確認していきましょう。
タンク一体型トイレ
タンク一体型とは、防水タンクや便座、便器が一体になったトイレのことです。従来はそれぞれ独立したパーツを持つトイレが主流でしたが、タンク一体型は各パーツが分かれていません。ほかの種類より高さが低く全体的にコンパクトなので、見た目もスタイリッシュな印象です。
・メリット
タンク一体型トイレは防水タンクや便座、便器が一体になっているので、全体的に滑らかな形状に作られています。組み立て型のトイレと比べると、全体的に凹凸が少ないため掃除がしやすいです。また、タンク一体型トイレは節水効果が期待できます。年間の水道代を安く抑えたい方に最適です。
・デメリット
防水タンクや便座、便器が一体になったタンク一体型トイレは、どこか一部が故障するとすべて交換しなければいけません。トイレの各パーツは寿命があるため、長期間使用すると徐々に劣化し始めます。トイレの使い方によっては、3年でトイレ交換が必要になるケースもあるので要注意です。
タンクレス型トイレ
便器洗浄用の水を貯める貯水タンクがないトイレが、タンクレス型です。タンクレス型のトイレは後ろに四角いタンクがないため、スタイリッシュですっきりとした見た目になるのが特徴です。水の流し方はタンクがあるトイレと異なり、水道水の水圧で水を流す仕組みを採用しています。
・メリット
タンクレス型のトイレは、タンクありのトイレより3分の1以下の水量で水を流せます。タンクレス型のトイレに交換すれば高い節水効果を得られます。また、臭いを抑える洗浄機能や使用時のみ便座を温める暖房機能など、本体にはさまざまな便利機能が付いているのも魅力です。
・デメリット
ほとんどのタンクレス型のトイレは、電気を使用して水を流します。災害で停電した場合は電気が使えなくなるため、水が流せなくなるのです。また、タンクレス型は貯水タンクがないので、手洗いカウンターが付いていません。手洗いカウンターがほしい場合は、別途取り付ける必要があります。
組み合わせ型トイレ
便器や便座、貯水タンクの各パーツを組み合わせたトイレが、組み合わせ型トイレです。全国のトイレでもっとも設置数が多いタイプになります。それぞれのパーツが独立しているので、好きな便器や便座、貯水タンクを選んで組み立てられます。便座の種類も豊富なので、要望に応じたトイレに交換可能です。
・メリット
組み合わせ型のトイレは、個々のパーツが故障しても別々に修理できます。タンク一体型トイレのようにすべて丸ごと交換する必要がないので、メンテナンス費用を抑えられる点がメリットです。また、組み合わせ型のトイレは好みに応じて各パーツを自由にカスタマイズできます。
・デメリット
組み合わせ型のトイレは、全体的に凹凸があるので掃除がしにくいというデメリットがあります。貯水タンクとトイレの間にホコリやゴミが溜まり、不衛生な状態になることも多いです。掃除の手間を減らしたいのであれば、ほかの種類を検討するのがいいかもしれません。
トイレの排水形式を確認しよう
トイレの種類が決まったら、次は排水形式を確認しましょう。一般的なトイレの排水形式は、次のようなものが挙げられます。
- 壁排水
- 床排水
それぞれの特徴を確認していきましょう。
壁排水
トイレの後方に排水管が取り付けられているのが、壁排水です。壁排水の排水形式は、マンションやアパートなど集合住宅で多く採用されています。
・メリット
壁排水は床に排水管を設置する必要がないので、狭い空間でもトイレを取り付けられます。また、水を流すたびに階下に音が響く心配がないため、騒音対策をおこなえるのもメリットです。2階にあるトイレの交換リフォームを検討する場合は、壁排水の排水形式を選ぶと音が気になりません。
・デメリット
壁排水は、トイレの後方に排水管を取り付けなければいけません。排水管の一部が見えるため、見栄えが悪くなるのがデメリットです。また、長期間使用すると老朽化するので、排水管の水漏れが発生するなどトラブルが起こる可能性があります。
床排水
便座の下に水が排水されるシステムが床排水です。排水管が見えないタイプは、基本的に床排水の排水形式と考えて問題ありません。一般的には、一戸建てのトイレで多く採用されています。
・メリット
床排水を選ぶメリットは、見た目をすっきりとした印象に仕上げられることです。空間をスタイリッシュな印象に仕上げたい場合は、床排水を選ぶことをおすすめします。また、壁排水に比べると高い節水効果を得られるのも魅力です。年間の電気代を抑えたいのであれば、床排水を検討しましょう。
・デメリット
床排水は、床に排水管を設置する必要があるのでスペースが狭く感じることがあります。また、水が床に向かって流れるので、水を流すときに音が気になることがあるかもしれません。
トイレの洗浄方式の種類とは
トイレには複数の洗浄方式があるので、事前に確認しておくことが大切です。主なトイレの洗浄方式には、次のようなものが挙げられます。
- サイホン式
- サイホンボルテックス式
- パワードライブ式
- トルネード式
- 洗い落とし式
それぞれの特徴を確認していきましょう。
サイホン式
水の落ちるスピードで便器の汚れを洗浄するのが、サイホン式です。サイホン式はスタンダードな洗浄方式でよく採用されていますが、付着した汚れがきれいに洗い流されないこともあります。
サイホンボルテックス式
渦を起こしながら汚れを洗浄できるのが、サイホンボルテックス式です。水圧が高く、水を流した後に付着した汚れが残ることはありません。水が流れる音が静かなのもメリットです。
パワードライブ式
パワードライブユニットで加圧した水を利用して洗浄するのが、パワードライブ式です。一定の圧力で、付着した汚れを強力に洗い流します。静音性が高いのもパワードライブ式を選ぶメリットです。
トルネード式
トルネード式は、便器の縁周りに設置された穴から水を出して勢いよく流します。渦を巻きながら水が流れるので、洗浄力が高い点がメリットです。また、排水量が少ないため節水効果も期待できます。
洗い落とし式
排水路に取り付けられた穴から水を出して勢いよく洗い流せるのが、洗い落とし式です。ただし、水が溜まる面が少ないため、汚れが付着しやすくなるデメリットがあります。
便座の種類を確認しよう
直接肌に触れる便座は、自分に適した製品を選ぶことが大切です。便座の種類には、次のようなものが挙げられます。
- 普通便座
- 温水洗浄便座
- 暖房便座
それぞれの特徴を確認していきましょう。
普通便座
特別な機能が搭載されていない便器が、普通便座です。もっともスタンダードなタイプで、ほとんどの洋式便器でよく採用されています。普通便座の形には、U型とO型の2種類があります。
・メリット
温水洗浄便座や暖房便座のように電気を使用する必要がないので、経済的に優れています。電気代を抑えたいのであれば、普通便座がおすすめです。
温水洗浄便座
温水洗浄機の付いた便座が、温水洗浄便座です。アメリカで痔の治療機器として使われていましたが、一般家庭向けに改良されて登場しました。大きく分けて貯湯式と瞬間式の2種類があります。
・メリット
お尻を洗浄する機能とビデ機能、暖房機能が搭載されているのが、温水洗浄便座を選ぶメリットです。また、消臭機能やズル自動洗浄、着座スイッチなどさまざまな機能が搭載された便座があります。
暖房便座
便座を温める機能が搭載された便座が、暖房便座です。便座の座る部分を温められるため、便座が冷たくなる冬場でも快適に利用できます。一般的には、便座の温度は調節可能です。
・メリット
暖房便座を選ぶメリットは、寒い冬場でも不快に感じることなくトイレを使用できることです。また暖房便座は絶えず光熱費がかかりますが、近年は温度調節機能が付いた製品も多くあります。
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トイレを交換するタイミングとは?
トイレを交換リフォームするタイミングに迷う方も少なくありません。そこで、トイレの寿命や交換を考えるべき不具合について解説します。
トイレの寿命
トイレ本体の寿命は、およそ15年です。トイレが寿命を迎えるとコーティングが剥がれたり蓄積した汚れが落ちにくくなったりなど、多くの劣化症状が現れます。流れずに滞留した汚れが詰まりは原因になるので、注意が必要です。なお、温水洗浄便座の寿命は7年程度、貯水タンクは10年程度、配管は20年程度が想定されています。
交換を考えるべき不具合
トイレが寿命を迎えると、さまざまな不具合が起こります。トイレの交換リフォームを検討すべき不具合は、便器のひび割れです。
特に使用期間が長いと頻繁に修理をおこなう必要があるので、丸ごとトイレを交換しようと考える方も多いようです。ひび割れはそのまま放置すると水漏れの原因になるため、トイレの交換を考えるタイミングだといえるでしょう。
トイレの交換費用の相場とは?
トイレの交換リフォームをするにあたって、どのくらいの施工価格がかかるのか気になる方も多いでしょう。ここでは、トイレを交換するための工事費用をまとめました。工事内容で費用が変わるので、実際に工事に入る前には、事前の確認と見積もり依頼が必要です。
トイレ全体の工事の場合の費用は?
丸ごとトイレを交換する場合、本体費用と工事費用、処分費用がかかります。工事費用は床を替えたり配管を隠したりした場合に必要です。工事内容で費用は大きく変わります。ただし、トイレ本体だけを変える場合は、比較的安く抑えられる傾向です。
工事の種類 | 施工費用 |
本体費用 | 5万円程度(普通便座の場合) |
工事費用 | 2万~20万円以上 |
処分費用 | 3,000~8,000円程度 |
和式トイレから洋式トイレへのリフォーム費用は?
トイレを和式から洋式にリフォームする場合、解体工事や配管工事、内装工事、トイレの取り付け工事をおこないます。施工費用は、トイレの種類によって変わるのが一般的です。
トイレの種類 | 施工費用 |
タンク一体型 | 20万~35万円程度 |
タンクレス型 | 6万~22万円程度 |
組み合わせ型 | 20万~60万円程度 |
便座のみの交換について
便座にひびが入るなどの不具合が起きた場合は、便座だけを交換するリフォームがおすすめです。便座を解体して取り付けるだけなので、ほかのリフォームと比べて工事費用はそれほど高くはありません。
便座本体の費用は、2万〜10万円程度が相場です。暖房便座や温水洗浄便座に加えて、脱臭機能や温水洗浄便座、リモコン付きなど多機能な便座であればあるほど本体価格は高くなります。
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トイレ交換費用を安くするポイント
トイレを丸ごと交換リフォームする場合、多額の費用がかかります。ここでは、交換リフォームでかかる費用を安くするポイントをまとめました。それぞれのポイントを確認していきましょう。
トイレ本体の費用・工事費用を抑える
費用を少しでも抑えたいのであれば、本体費用と工事費用を安く済ませるのがおすすめです。たとえば、次のような方法があります。
- 本体と施工を組み合わせたセット割を選ぶ
- 相見積もりを取り、安い施工費用の業者を選ぶ
- 本体のセール時期にトイレを安く購入する
リフォーム補助金をトイレ工事に活用する
節水効果のあるトイレに交換する際には、リフォーム補助金を活用できる場合があります。施工費用を一部負担してもらえるので、安くリフォームをおこなうことが可能です。
また、介護目的でリフォームする場合も、補助金を受け取れる場合があります。補助金は工事前に申請が必要になるので、リフォームを検討する場合は小まめに確認しておきましょう。
トイレの交換は自分でできる?
トイレを交換するのに、特別な資格は必要ありません。「自分でリフォームをしたい」と考える方もいるでしょう。道具を揃えれば自分でトイレの交換はおこなえますが、難易度が高い作業になります。
とくにDIY初心者の場合は、作業が途中で中断せざるを得ない状況に陥ることもあるようです。場合によっては、トイレが使えなくなることもあります。失敗リスクを回避したいなら、リフォーム業者に依頼するのがおすすめです。
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トイレには寿命があり、長い間使用すると徐々に劣化症状が出始めます。劣化症状が現れると使いづらさを感じることも多いため、トイレのリフォーム工事をおこなうことが必要です。ただ、トイレの種類や工事内容によって費用が大きく変わります。
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