住宅の防音性能を高める工事は、補助金受給の対象となることがあります。防音工事の内容によっては高額な費用がかかることもあるため、受給条件を確認し、申請を検討してみましょう。
この記事では、防音工事の補助金制度の対象ケースをわかりやすく紹介します。また、申請の流れや注意点も解説するので、ぜひ参考にしてください。
防音工事の補助金制度の対象になるケース
「防音工事補助金制度」は、騒音問題が深刻な地域の住宅に対して、国や自治体が行う防音工事の費用を補助する制度です。対象となる騒音には、航空機や鉄道、工場などが原因となるものがあります。また、対象地域は、法令で指定された騒音が特に高い区域に限られます。
防音工事の内容は、窓や扉の防音性能を向上させる取り替え工事や、窓の二重サッシ設置、壁や天井の騒音を軽減する防音工法が含まれます。適用される補助金の額は、対象地域や施工内容、住宅の状況によって異なるので、詳細は各自治体のホームページで確認しましょう。
住宅防音工事の対象区域内に暮らしている
次の地域に暮らしているときは、住宅防音工事を実施した場合に補助金が支給されることがあります。
- 幹線道路周辺に住んでいる
- 空港周辺に住んでいる
- 自衛隊や在日米軍の飛行場周辺に住んでいる
それぞれの条件や工事費用の補助対象地域について説明します。
幹線道路周辺に住んでいる
交通量の多い幹線道路沿いに暮らしている場合、住居のある区域が「幹線道路の沿道の整備に関する法律」に定められているなら、防音工事助成対象となることがあります。
なお、どの地域が補助対象かは区によって異なります。同じ幹線道路に面している場合でも、特別区によっては補助対象外となることもあるため、事前に区役所で確認しておきましょう。
基本的には、各区が条例を定める前から建っていた住宅が対象です。そのため、新しく建った住宅では防音工事を実施しても、補助金を受給できません。いつ以降に建った住宅が対象なのかも、区役所で確認してください。
また、建築時期やエリアが補助対象であっても、実際の騒音レベルが規定を超えていない場合は補助金を受給できません。原則として昼間70デシベル以上もしくは夜間65デシベル以上の部屋のみ、以下の工事が補助金の対象となります。
- 窓やドアを防音性能のあるものに交換する
- 壁の防音効果を高める
- 上記の工事と一緒にエアコンを設置する
空港周辺に住んでいる
飛行場周辺に住み、なおかつ航空機騒音のレベルが第一種から第三種に該当するときも、以下の防音工事費用に対して補助金を受給できることがあります。ただし、対象区域と指定される前から居住していることが条件となるため、新築住宅は補助対象外です。
- 天井に防音対策工事を実施する
- 壁の防音効果を高める
- 上記の工事と一緒にエアコンを設置する
また、すべての空港が補助金制度を実施しているわけではありません。東京国際空港(羽田空港)や仙台空港、福岡空港、成田国際空港、大阪国際空港などの一部のみが実施しているため、お住まいの市区町村役場に問い合わせて見てください。
自衛隊や在日米軍の飛行場周辺に住んでいる
自衛隊基地や在日米軍の飛行場周辺に住んでいる場合は、「防衛施設周辺の生活環境の整備などに関する法律」により、防音工事に対する補助金を受給できることがあります。ただし、すべての基地ではなく横田飛行場や厚木飛行場、木更津飛行場などの一部の施設周辺のみのため、お住まいの自治体に確認してみましょう。
また、住宅防音事業の対象が告示される前より建っている住宅であり、なおかつ以下の工事を国が定める工法で実施したときのみ補助金の受給が可能です。
- 防音構造の天井にする
- 壁の防音効果を高める
補助額は工事費と設計管理費が別で計算され、限度額以内の工事であれば全額補助を受けられます。
具体的な補助金の一例
福岡市「福岡空港における市の取り組み【福岡空港と地域との共生(環境対策)】」
開口部をリフォームする場合
窓やドアなどの開口部を省エネリフォームをするときは、「先進的窓リノベ2024事業」や「子育てエコホーム支援事業」などの補助金を受給できることがあります。防音効果と省エネ効果のある設備を使ったリフォームを計画してみてはいかがでしょうか。
たとえば、防音サッシや防音窓のように防音効果のある設備の中には、省エネ性能が高いものもあります。お住まいの地域を問わず申請できるため、ぜひ補助条件を確認してみてください。
具体的な補助金の一例
補助金申請の流れ
補助金制度によって申請手続きの流れが異なります。ホームページや自治体窓口などで事前に希望する制度の詳細を確認してから、補助金交付の申し込み手続きをしましょう。
一般的な流れは以下をご覧ください。
- 役所等に申し込む
- 現地調査
- 補助金交付申請書を提出
- 施工業者に依頼する
順に解説します。
役所等に申し込む
多くの補助金制度は、リフォーム工事前に申請します。工事内容を検討し、工事請負業者と契約する前に、一度、役所やホームページで申請条件を確認しておきましょう。問い合わせフォームや専用電話が準備されているケースもあります。
条件に合致する場合は、申請書類に必要事項を記入し、申込みの手続きに進んでください。書類は、国や自治体の公式サイトからダウンロードできることが一般的です。また、申込みの際に、お住まいや工事内容を詳しく示す書類の提出も求められることがあります。
現地調査
幹線道路や空港、基地などにより補助対象となる場合は、騒音レベルを調べる現地調査が実施されます。
一方、先進的窓リノベ2024事業や子育てエコホーム支援事業などの国の補助金事業では、現地調査は実施されないことが一般的です。しかし、各事業で指定された登録事業者を通して事務手続きを行うことなどが要件として定められているため、申込み前に確認しておきましょう。
補助金交付申請書を提出
現地調査による審査に通過した場合は、補助金交付申請書を提出します。なお、補助金事業によっては、申請書の受付期間が決まっていることがあります。その年度の期間が終了している場合は、翌年度以降の申込みとなるため、着手前に確認しておいてください。
施工業者に依頼する
補助金交付申請書の提出後に施工業者に工事を依頼します。ほとんどの補助金事業では、施工業者が指定されています。指定された業者以外を通して工事を実施すると、補助金を受給できなくなるため注意してください。
また、先進的窓リノベ2024事業や子育てエコホーム支援事業では、補助金交付申請の手続きも指定事業者が行います。工事内容が補助対象であっても、依頼する事業者が対象外というケースもあるため、リフォーム工事を実施する前に指定事業者かどうか確認しておくことが必要です。
補助金を申請する際の注意点
補助金制度を利用して防音工事を行うときは、以下の点に注意が必要です。
- 申請の時期を確認する
- 住まいの地域や住宅によって補助要件を満たさない場合がある
- 希望する施工場所が対象外の場合がある
それぞれの注意点について解説します。
申請の時期を確認する
補助事業によっては、申請手続きの時期が定められていることがあります。申込書を提出する前に、申請可能な時期を確認しておきましょう。
また、先進的窓リノベ2024事業や子育てエコホーム支援事業などの国の補助事業では、予算上限に到達すると、申請できなくなってしまいます。利用したい補助事業があるときは、予算限度額に到達する前に早めに申込むようにしましょう。
住まいの地域や住宅によって補助要件を満たさない場合がある
騒音関連の補助金制度では、対象区域や建物の要件を細かく設定しています。対象区域内であっても、区画や住宅が建てられた時期によっては補助対象とならないケースもあるため注意してください。
また、工事の種類や施工業者についても、細かく規定されていることが一般的です。指定された方法以外の工法で工事を進めると、工事内容そのものは要件に合致していても補助対象とならず、費用が全額自己負担になることもあります。
希望する施工場所が対象外の場合がある
補助事業によっては、防音工事を実施できる場所(部屋)の種類が細かく規定されていることもあります。対象外の場所を工事する場合は、補助金を受給できないこともあるため注意しましょう。
要件を正しく満たしてリフォーム工事を進めていくためにも、信頼できる業者に相談することが必要です。工事業者の中には悪質な業者も存在するため、本当に信頼できる事業者なのか厳しくチェックするようにしましょう。
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本記事では防音工事の補助金について紹介しました。防音工事自体も信頼できる、実績が豊富な業者を探す必要があります。
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