一口に防音といっても、目的によって工事内容や費用相場は大きく異なるのが防音工事です。また、お住いの建物によって、できる工事や工法が変わってきます。
この記事では、目的別の防音工事の方法と費用相場、特にマンションで行える防音工事や業者選びのポイントについて解説します。特にマンションで防音工事を検討されている方はぜひご覧ください。
防音工事の匠
目的別の防音工事の方法と費用
防音工事は、周囲の騒音対策や、住宅内で発生した音が外部に漏れないようにすることを目的に行われます。防音工事の方法やかかる費用は、以下の表のように、防音の目的によってさまざまです。
目的 | 内容 | 費用相場 |
周囲の音をなるべく防ぎたい | 防音窓ガラスに交換する 遮音カーテンに交換する 防音換気口に変える | 15万〜20万円 |
音楽をスピーカーで楽しみたい | 防音窓ガラスに交換する 防音換気口に変える 内窓を設置する | 20万〜25万円 |
足音が下の階に響かないようにしたい | 床に遮音マットを設置する 吸音材を床下に入れる 防音カーペットを敷く | 40万〜 (6畳で浮床40万円程度) |
電車や車の走行音が聞こえないようにしたい | 床に遮音マットを設置する 遮音材を床下に入れる | 浮床の場合6畳で40万円 壁一面30万円~ |
家で迫力ある映画を楽しみたい | 防音室にリフォームする 組み立て式防音室を設置する | 50万〜300万円 (サッシとドアの場合60万円~) 6畳の部屋に4.8畳の防音室を 設置する場合に150万円~ より重低音を楽しむなら 300万円以上 TVより少し大きい音量で楽しみたい なら250万円前後 |
家で楽器を演奏したい | 防音室にリフォームする 組み立て式防音室を設置する | 150万〜700万円※楽器の種類による 6畳の部屋に4.8畳の防音室を 設置する場合に150万円~ |
場所ごとの防音工事の費用
防音工事を実施する箇所ごとに、費用相場を解説します。
床
床の防音対策には、以下の4種類があります。
- 床材を張り替える
- 浮床を施工する
- 吸音材を床下に入れる
床材の張り替えとは、防音機能のある床材に交換することです。また、防音マットや遮音マットを床下に敷くことで、落下音や足音などを軽減できます。さらに、吸音材を床下に入れることで、部屋で発生した音を吸収し、防音対策につながります。
床リフォームの費用相場
床材を張り替える | 25万〜30万円 |
浮床を施工する(6畳の場合) | 50万円〜 |
吸音材を床下に入れる | 20万円〜 |
壁
壁の防音工事には、防音性能を高めるために吸音材と遮音シートを入れる方法と、防音換気口に交換する方法があります。防音換気口とは、防音仕様の換気口のことです。
費用相場は以下のとおりです。
吸音材と遮音シートを入れる | 18万〜25万円 |
浮き壁にする(6畳1面の場合) | 25万円~ |
防音換気口に交換する | 2万〜25万円 |
窓
窓の防音工事には、内窓の設置や防音機能が高い窓への交換、遮音カーテンの設置があります。内窓を設置することで、気密性が高まって音の通過を防げたり、窓と内窓の間にできる空気の層が、音を吸収してくれたりするのです。
防音機能が高い窓とは、厚さの異なるガラスを合わせたものや、防音機能をもつ特殊な膜を用いたガラスを利用したもののことを指します。また、遮音カーテンの設置は、費用は安いですが、あまり効果が低い場合が多いです。
費用相場は以下のとおりです。
内窓の設置 | 5万〜13万円 |
腰窓 | 7万円〜 |
防音サッシ施工 | 12万円~※ガラス面積・重量に比例します |
防音室
ホームシアターや楽器の演奏など、大きな音を出したい場合は、防音室の設置がおすすめです。防音室の設置には、一室まるまる防音室としてリフォームする場合と、組み立て式の防音室を設置する場合があります。
防音室のリフォームは、浮遮音層を作ることで音が伝わらないようにする工事です。大がかりな工事になる為、かなりの費用がかかりますが、部屋の広さを変えずに工事を行えますすみます。組み立て式防音室の設置は、大規模な工事が必要なく手軽な点です。ですが、しかし、防音室を置く分部屋が狭くなるのがデメリットです。
費用相場は以下のとおりです。
防音室としてリフォームする(6畳) | 160万円~ |
組み立て式防音室を設置する 例:アビッテクス3畳、ナサール3畳 | 160万円 |
箇所ごとの費用まとめ
以上、防音工事の箇所ごとにかかる費用をまとめると、以下のとおりです。
床材を張り替える | 25万〜30万円 |
防音マットを敷く | 30万〜 |
吸音材を床下に入れる | 35万円〜 |
吸音材と遮音シートを入れる | 18万〜25万円 |
防音換気口に交換する | 2万〜5万円 |
内窓の設置 | 7万〜15万円 |
防音機能が高い窓への交換 | 5万〜13万円 |
遮音カーテンの設置 | 0.8万〜1.5万円 |
防音室としてリフォームする | 160万円〜 |
組み立て式防音室を設置する | 160万円〜 |
マンションで防音工事を行う方法
マンションには多くの人が暮らしているため、戸建てよりも音に関するトラブルが発生しやすいです。しかし、比較的自由にリフォームが行える戸建てと異なり、マンションではリフォームに制限があるケースが多々あります。
ここでは、分譲マンションと賃貸マンションについて、施工可能な防音工事・対策を紹介します。
分譲マンションの場合
分譲マンションの場合は、占有部分のみリフォームが行えます。例えば、内窓の設置は占有部分のリフォームに該当しますが、サッシの交換や外壁取り壊しを伴う施工は共有部分にあたるため、実施できない場合が多いです。
また、占有部分についても、規約によって希望のリフォームが行えない場合があるため注意しましょう。占有部分であっても、リフォームの際は必ず管理組合に確認してください。
賃貸マンションの場合
賃貸マンションの場合、分譲マンションよりもリフォームに制限が課されている場合が多いです。希望どおりのリフォームが行えないことが多く、無断でリフォームするとトラブルの原因にもなります。
賃貸マンションで防音対策を行う際は、防音カーペットを敷く、窓や扉の隙間に防音テープを貼る、防音カーテンを利用する、などDIYの範囲でできる対策を取り入れてみましょう。
防音工事の業者選びのポイント
防音工事の業者を選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。
- 見積もり金額が安すぎない業者を選ぶ
- 建築の認可番号を取得している
- 工事保険等に加入している
- 一級建築士の監修がある
- 信頼できる業者を選ぶ
また、補助金を利用できるケースもあります。補助金についても事前に理解しておきましょう。
見積もり金額が安すぎない
見積もり金額が安すぎる業者は、工事のクオリティが低かったり、質の悪い防音素材を使用していたりする可能性があります。費用相場よりも極端に安い業者は要注意です。
費用相場を理解するためには、複数社に見積もりを出しましょう。費用は業者選びの重要なポイントですが、それだけでなく実績や口コミなども重視して選んでください。
経験豊富で信頼できるプロに依頼する
当然ですが、工事は信頼できる業者に依頼しましょう。音にはさまざまな種類があり、適切な防音対策のためには音に関する知識を持った業者に依頼する必要があります。
例えば、防音工事の実績や建設業の許可番号、一級建築士の資格の有無から選ぶ方法があります。他にも、現地調査を実施し、希望の工事内容を丁寧にヒヤリングしてくれる業者を選んでもいいでしょう。※音の問題は聞き手の感覚で様々です。防音の知識+楽器や対象物の知識+経験則が重要な判断要素となります。綿密な現地調査のもと、希望に添った工事を設計・実施してくれる施工業者であれば、信頼できます。
補助金が使える場合がある
以下のケースに該当する場合、補助金の対象になることがあります。
- 幹線道路沿いに住んでいる場合
- 空港の近くに住んでいる場合
- 自衛隊/在日米軍基地の近くに住んでいる場合
沿道整備道路と指定された幹線道路の沿道であり、防音構造に関する条例が定められている区域に住んでいる場合は、補助金がおりることがあります。
また、空港の近くや自衛隊/在日米軍基地など、周辺を航空機が飛来し騒音が発生する区域に住んでいる場合も、防音工事にかかる費用は補助の対象です。空港の近くに住んでいる場合は一部が、自衛隊/在日米軍基地の周辺に住んでいる場合は全額が助成されます。
補助金対象となるためには細かい条件があるため、詳しくは業者やお住まいの自治体に問い合わせてみてください。
ゼヒトモで防音工事業者のプロを探す
今回は、防音工事について、目的ごとの工事内容や費用相場、マンションでの施工の可否や業者の選び方について解説しました。防音工事を依頼する際は、信頼できる業者を見極める必要があります。
- 防音工事について相談したい
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監修したプロのコメント
防音工事が失敗に終わらないためには、1級建築士などによる建築基準に違反しない構造なのか重量計算された防音性能の保証と建築そのものの保証期間が明確にされているかなどが重要です。
一口に「防音」と言っても、工事には専門の知識や実績、経験が重要になってきます。工事を依頼する際には防音工事を専門で行っている業者や実績の多いプロに頼むといいでしょう。
また、防音工事の内容は住宅の状態やどんな音を防音するかで変わります。それによって工事金額も変わるので、依頼する業者にはどんな音を防ぎたいのか、しっかりと伝えることがポイントです。
防音工事の匠
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