小さな子どもがいる、あるいはペットを飼っている家庭では、フローリングの騒音が気になるのではないでしょうか。防音の床材にリフォーム工事をすることで、生活音を抑えることが可能です。
本記事では、騒音の種類や床を防音にする方法、リフォームの費用相場を紹介します。
騒音の種類について
一般的に「騒音」と言われる音は軽量床衝撃音と重量床衝撃音という2つに分けられ、防音対策はそれぞれ異なります。
軽量床衝撃音は、スプーンの落下音のような軽くて高い音のことで、す。重量床衝撃音とは、足音など「ドスン」と重くて鈍い音のことです。
床を防音にする方法
床の防音対策には、次の3つの方法があります。
- 防音(遮音)フローリングに張り替える
- 床材の下に遮音マットを敷き詰める
- 防音カーペットを敷く
それぞれ、詳しくみていきましょう。
防音(遮音)フローリングに張り替える
既存の床を、防音性の高いフローリング材に張り替える方法です。床に防音性を持たせるため、音を吸収する遮音材が表面の下に組み込まれています。遮音材にはクッション性があり、ふかふかとした感触です。
床材には防音性能・遮音性能のレベルを示す「遮音等級」があり、等級が高いほど遮音性能が高いとされています。
遮音性能は「L値(エルチ)」という数値で表され、軽量床衝撃音は「LL」、重量床衝撃音は「LH」で表記されます。数値が小さいほど、遮音性能が高いとされています。
軽量衝撃音の遮音性能は床の構造や表面の仕上げ方によって左右され、二重床にしたり、フローリングをカーペットに変えたりすることで衝撃音を和らげることが可能です。
一方、重重量床衝撃音は建物の床の厚みなどで遮音性能がほぼ決まってしまうため、防音対策は建物の設計段階で行うのが一般的です。
防音フローリングに張り替えることで、軽量床衝撃音を軽減し、階下への騒音を防止できる点がメリットです。
また、遮音等級が防音性能の目安になるため、軽減させたい音のレベルに応じて製品を選べるというメリットもあります。
一方、防音フローリング床は、あくまで床への衝撃音を軽減するものです。人の話し声や楽器など、空気で伝わる音に対する防音効果はありません。
また、通常の無垢フローリングと比較すると、費用が高くなる傾向にあります。
床材の下に遮音マットを敷き詰める
重重量床衝撃音の防止には、床下に遮音材を敷くか、二重床の下に防音材を敷くといった方法があります。二重床とは、コンクリート製の板の上に支持脚で合板を支え、床下に空間を作る工法です。
階下に響く重重量床衝撃音を防止できる点が、大きなメリットです。一方、建物の構造部分に関わる部分に施す大規模な工事となるため、施工内容によっては料金が高額になります。
防音カーペットを敷く
軽量衝撃音の防止には、カーペットやマットを敷くだけでも一定の防音効果が期待できます。コルクやウレタンフォーム入りの低反発ラグなど、クッション性が高く吸音しやすいカーペットを選ぶとよいでしょう。
防音用に作られている防音カーペットもあり、より高い効果を発揮します。
カーペットを敷く方法はコストがかからず、DIYで設置できる点がメリットです。防音カーペットであれば遮音等級がついているものもあり、求める遮音効果の程度で選べるというメリットもあります。
一方で、サイズが決まっているカーペットでは遮音できる範囲に限界があり、製品によっては厚みが出るというデメリットもあります。
床の防音リフォームの費用相場
床の防音工事をする前に、リフォーム費用が予算に合うかを確認しておきましょう。
ここでは、3つの方法ごとの費用相場について、6畳の部屋に施工する場合を想定して解説します。
フローリングを張り替える場合
防音性が高いフローリングに張り替える場合、フローリング材の費用相場は1平米あたり約7,000円〜1万円です。遮音性能を数値化した遮音等級により価格は変わり、防音性が高いほど高額になります
フローリング材の費用のほかに、養生や搬入搬出などの仮設工事にかかる費用や解体工事の費用、処分費がかかります。6畳のフローリングを張り替えた場合、合計の金額は約25万円〜30万円が相場です。
遮音マットを敷き詰める場合
床材の下に遮音マットや吸音性のある素材を敷き詰める方法は、建物の構造部分に関わり、規模の大きい工事になります。
工事費用は30万円〜80万円程度で、床板の種類や希望する防音の程度によって費用が変動します。そのため、どの程度の防音をしたいかを業者に相談し、正確な金額は見積もりを請求するとよいでしょう。
防音カーペットを敷く場合
防音カーペットを敷く場合は、張り替え工事の必要がなく、カーペットの代金だけで済みます。防音カーペットの代金は遮音等級により異なり、6畳の広さに敷く場合の値段は5万〜12万円程度が相場です。
遮音等級がついていないからといって、防音性がないというわけではありません。一般的なカーペット自体に、騒音を低減する効果が期待できます。
カーペットはフローリングやコンクリートなど他の素材と比較して、防音性が高いという特徴があるためです。カーペットで防音対策をする際は、毛の密度やクッション性なども判断材料にするとよいでしょう。
床を防音にする際の注意点
床の防音をする際は、次の2点に注意してください。
- 既存の床の構造を確認する
- 生活スタイルを踏まえたリフォームを検討する
ここでは、防音リフォームの際に注意したいポイントを確認していきましょう。
既存の床の構造を確認する
防音床のリフォームは、既存の床が「二重床」か「直床」かによって施工内容が変わります。
二重床とは、コンクリートの板と床の間に防振ゴムのついた支持脚があり、構造が二重になっている床のことです。隙間に遮音材を入れることで、比較的容易に防音リフォームができます。
一方、直床はコンクリートの板の上に直接床材が張り付けてあるため、防音効果・遮音効果を上げるリフォームの難易度や施工の価格は高めです。
生活スタイルを踏まえたリフォームを検討する
生活音には種類があり、どのような騒音を防ぎたいかによってもリフォーム内容は異なります。
騒音には空気中を伝わる音と、物体の振動が固体内で伝わることで発生する音があり、それぞれリフォームで対策する方法は異なります。
空気中を伝わる音は、主に人の話し声や楽器の音などです。物体の振動による音には、主にドアを閉める音や住人が床を踏む音などがあげられます。
床の防音リフォームは、防音の目的に応じた性能や範囲を踏まえて考えることが大切です。
マンションは防音の床にリフォームできる?
マンションの防音リフォームができるかは、分譲と賃貸で異なります。
分譲マンションのリフォーム工事ができるかどうかは管理規約で定められているため、事前に確認しておきましょう。防音リフォームができる場合でも、施工にあたって守るべきルールの規定が定められているのが一般的です。フローリングに使用する遮音等級についても、管理規約で定められていることが多いでしょう。
賃貸マンションの場合、リフォームにはオーナーの許可が必要です。許可を得た場合にも、退去時には原状回復する義務があるため、防音対策にはリフォームではなくカーペットを敷くなどの方法が適しているでしょう。
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