生活スタイルの多様化などによって、防音を目的としたリフォームの需要が高まっています。ただし一口に防音リフォームといっても、どのような音を防ぎたいかによって必要な工事はさまざまです。本記事では防音リフォームの費用と種類のほか、注意点や補助金について解説します。防音リフォームを検討していて、費用相場や種類が気になっている方はぜひご一読ください。
防音リフォームの方法
防音リフォームは、どのような音を防ぎたいかで、防音対策の方法や工事する場所が変わります。そこで、以下の表では防ぎたい音の種類別に工事する場所をまとめました。
音は、物体や空気の振動によって伝わるという特性を持ちます。そのため外の騒音や室内からの音漏れを防ぐには、気密性を高くすることや構造物などが振動しにくい状態にすることがポイントです。
防ぎたい音の種類 | 工事する場所 |
外からの騒音(例) ・家の前を通る車の通行音 ・深夜に近所のコンビニの駐車場から聞こえる話し声 | 窓や壁 |
室内の生活音(例) ・子どもが歩き回る足音 ・ペットの鳴き声 | ドアや壁、床 |
楽器演奏や映画鑑賞の音 | 防音室の設置 |
防音リフォームの種類別に費用相場をご紹介
どのような音を防ぎたいかによって、防音リフォームの費用と種類および方法は異なります。ここでは、以下のケース別に防音リフォームの費用や方法などを解説します。
- 窓の防音対策・リフォーム
- 壁の防音対策・リフォーム
- 床の防音対策・リフォーム
- 防音室を作る
ただし、費用はリフォームの規模やリフォーム前の状態、施工業者などによって変動するため、あくまでも目安として捉えてください。それでは、順番に確認していきましょう。
窓の防音対策・リフォーム
外からの騒音を防ぐ方法には、内窓を取り付けて二重窓にする方法と、防音ガラスに交換する方法があります。
既存の窓の内側に内窓を設置し二重窓に変えることで、気密性を高められます。既存の窓と内窓の間に生じる空気層がクッションとなり、防音効果が期待できるのです。断熱性の向上や省エネ対策にもつながり、費用対効果の高いリフォーム工事といえるでしょう。
窓ガラスを遮音性の高いものに変更する方法もあります。防音効果を備えた窓ガラスには、次のようなものがあります。
- 異なる厚さのガラスを2枚合わせた異層複層ガラス
- 特殊な中間膜を使用した防音合わせガラス
【窓の防音対策の費用相場】
リフォーム内容 | 費用相場(1箇所あたり) |
内窓を取り付けて二重窓にする | 8〜15万円程度(窓のサイズや種類によってはさらに高額になることも) |
防音ガラスに交換する | 5〜15万円程度 |
壁の防音対策・リフォーム
壁のリフォームは、外からの騒音と室内の生活音の防音対策のいずれにも効果的です。壁の内側に防音材を入れる方法と、防音に対応した換気口に変更する方法があります。
防音材は、次の3種類が代表的です。対策したい騒音の種類やどのような音漏れを防ぎたいかによって、適切な防音材を選択しましょう。
- 吸音材(音を吸い込み小さくする)
- 遮音材(音を透過させず跳ね返す)
- 防振剤(振動を階下や隣の部屋に伝えない)
また、壁の中の石膏ボードを二重にするとさらに防音効果が向上します。
音が出入りする換気口を防音に対応させる方法も有効です。屋内の換気口交換のほか、屋外のカバー交換や吸音材を入れるといった工事もあります。
【壁の防音対策の費用相場】
リフォーム内容 | 費用相場(1箇所あたり) |
壁の内側に防音材を入れる | 12〜15万円程度(壁のサイズや使用する素材によって変動) |
防音に対応した換気口に変更する | 0.7〜5万円程度 |
床の防音対策・リフォーム
床の防音対策には、主に3つの方法があります。どの程度の生活音の遮音を想定しているかによって、防音フローリングへの張替えや遮音材や吸音材を敷くなど、防音機能を高めるための施工方法が異なることがポイントです。費用相場もあわせてご確認ください。
【床の防音対策の費用相場】
軽量床衝撃音はスリッパで歩き回る音、重量床衝撃音は子どもが台から飛び降りる音といったイメージです。
床の防音対策は、マンションをはじめとした共同住宅でニーズが高い傾向にありますが、二世帯住宅で2階を子ども部屋にする場合にも、需要が高いリフォームです。
防音室を作る
部屋の中で楽器演奏をする、あるいは映画館さながらの臨場感で映画鑑賞を楽しみたいという場合は、防音室を作る選択肢もあります。足音も軽減できるため、子どもが遊ぶスペースとしても役立つでしょう。
新しく防音室を設置する場合、構造を鉄骨にするのか木造にするのかで費用が変動します。木造のほうが音漏れしやすいため、費用相場も高くなる傾向にあります。
【防音室の費用相場】
組み立て式の防音室を設置する方法もおすすめです。大規模な防音工事を伴う防音室の設置に比べて手軽で費用も抑えられるでしょう。
DIYでもできる防音対策・リフォーム
外からの騒音や子どもの足音をはじめとした生活音への防音対策をしたくても、賃貸住宅に住んでいたり、予算的に難しいという場合は、次のようなDIYで対応する手もあります。
【DIYでできる防音対策と費用相場一覧】
DIY内容 | 費用相場 |
防音機能を備えたカーペットを敷く | 1~6万円 |
防音・遮音カーテンに交換する | 1万円~ |
換気口に防音パイプを詰める | 500~1,000円 |
防音テープを貼る | 500円~ |
いずれも手軽な費用で、また簡単に行うことが可能です。大がかりなリフォーム工事を行なわなくても、ある程度の防音効果が期待できます。
防音リフォームをする際の注意点
防音リフォームをする際の注意点は、主に以下の3つです。
- マンションの場合は管理規約を確認する
- ハウスメーカーからの紹介は費用が高くなるケースがある
- リフォーム費用が安すぎる業者には注意する
防音対策を講じるにあたり注意すべきポイントについて、それぞれご紹介していきます。
マンションの場合は管理規約を確認する
分譲マンションの場合、防音工事を行ってよいのは専有部分のみです。そのため管理規約を確認し、専有部分がどこまでかを把握しておきましょう。一般的に窓ガラスやサッシは共有部分になっていることが多いため、注意が必要です。
なお、専有部分であっても、管理規約の内容によってはリフォーム工事を制限されている可能性があります。
ハウスメーカーからの紹介は費用が高くなるケースがある
ハウスメーカーからの紹介は、費用が高くなる可能性がある点にも注意しましょう。リフォーム工事をどの業者に依頼したらよいか決められないときに紹介を受けると安心できますが、紹介料がかかる分割高になる傾向にあります。
ハウスメーカーから紹介を受ける際は、事前に料金を確認するとよいでしょう。
リフォーム費用が安すぎる業者には注意する
リフォーム費用が安すぎる業者も、避けたほうが賢明です。どのような防音リフォームでも、費用相場は決まっているものです。相場よりも著しく安い費用で対応する業者の防音工事は、防音素材の質に問題があり、防音効果を見込めないかもしれません。
リフォーム業者を選ぶにあたっては、価格の安さのみを優先して決めるのではなく、実績や評判を考慮して決めることをおすすめします。
防音リフォームは補助金を活用できる場合がある
住んでいる場所によっては、防音対策のリフォームに補助金を活用できる場合があります。次のような場所が対象になるため、当てはまる場合には自治体のサイトなどを確認しましょう。
- 幹線道路沿いに住んでいる
- 空港の近くに住んでいる
- 自衛隊・在日米軍基地の近くに住んでいる
それぞれ解説していきます。
幹線道路沿いに住んでいる
沿線整備道路に指定されている幹線道路の沿道で、さらに防音構造に関する条例の適用区域内に当該条例の施行日前からある家は、防音工事の助成金が受けられる可能性があります。
騒音の大きさが夜間65デシベル以上または昼間70デシベル以上ある居室を保有する、新築の建物は対象外であるといった条件についてもおさえておきましょう。
空港の近くに住んでいる
航空機の騒音が著しいとされる第一種区域内に住んでいる場合にも、防音工事にかかる費用の一部または全部が助成されるかもしれません。
空港の近くにお住まいの方で、航空機の騒音に対する防音リフォームを検討している方は、補助金の対象になる可能性があるため、詳細を確認しましょう。
自衛隊・在日米軍基地の近くに住んでいる
自衛隊や在日米軍基地の近くに住んでいる方は、防音工事費用の助成の支給対象となる可能性があります。これらの基地の周辺に住む住民が、騒音によって受ける影響を軽減するために定められた制度です。
各飛行場毎・種類別に決められた建築期日までに建てられた住宅に対し、原則として工事費用の全額が助成されます。
参照元:東京都建設局|防音工事助成
国土交通省東京航空局|騒音対策について
防衛省・自衛隊|住宅防音工事の助成
ゼヒトモで防音リフォームのプロを探す
今回は、防音工事について、目的ごとの工事内容や費用相場、マンションでの施工の可否や業者の選び方について解説しました。防音工事を依頼する際は、信頼できる業者を見極める必要があります。
- 防音工事について相談したい
- まずは見積もりを取りたい
そんな方は、ゼヒトモから防音工事のプロを探してみませんか?いくつかの質問に答えるだけで、簡単にあなたにぴったりな防音工事のプロが見つかります。防音工事を検討している方は、ゼヒトモお気軽にご利用ください!
防音工事関連の最新記事
賃貸物件に住むにあたって、隣人の話し声や騒音が気になる方も多いのではないでしょうか。逆に、自身の生活音が周囲の迷惑になることも考えられるかもしれません。このようなトラブルを防ぐために有効なのが防音シートです。賃貸住宅でも […]
住宅の防音性能を高める工事は、補助金受給の対象となることがあります。防音工事の内容によっては高額な費用がかかることもあるため、受給条件を確認し、申請を検討してみましょう。 この記事では、防音工事の補助金制度の対象ケースを […]