お風呂の浴槽が故障した場合、浴槽の交換工事が必要になります。交換費用は設置方法によって異なりますが、施工内容によっては50万以上の高額になることも。浴室の素材によっても費用が異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
そこで本記事では、浴槽交換にかかる費用相場を設置タイプ別・素材別に解説します。ユニットバスの場合のほか、利用できる補助金や介護保険についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
浴槽の交換時期はいつ?
一般的に、浴槽の寿命は約15年〜20年だと言われています。使用頻度やお手入れによっても寿命は異なりますが、下記のサインが出始めたら交換するタイミングと判断できるでしょう。
- 掃除で取れないカビ・サビがある
- 浴槽から不快な臭いがする
- ひび割れがある
- 水漏れが発生している
- コーキングが経年劣化している
丁寧にお手入れしていても、長年使っていると劣化してしまう場合がほとんどです。上記のようなサインが目立ち始めたら、耐用年数を迎えていなくても浴槽の交換を検討してみてください。
床や壁面の汚れ・浴室ドアの経年劣化なども気になる場合は、浴室全体をリフォームするのもおすすめです。
【設置タイプ別】浴槽交換にかかる費用相場
浴槽の交換工事にかかる費用は、設置方法によって大きく異なります。浴槽の主な設置方法は「据え置き」「埋め込み」「半埋め込み」の3つ。それぞれの費用相場がいくらくらいなのか詳しく解説するので、確認してみましょう。
据え置きタイプの費用相場
「据え置きタイプ」は、浴室のタイルの上に浴槽を置くだけで設置が完了します。交換用浴槽の金額にもよりますが、基本的には浴槽の交換だけを行うので、工事費用を安く抑えられる可能性が高いです。
工事内訳 | 費用相場 |
既存の浴槽撤去処分 | 約2万円~5万円 |
浴槽取付工事 | 約2万円~6万円 |
配管工事 | 約1万円~3万円 |
諸経費・管理費 | 工事費の3〜15%程度 |
合計約8万円~20万円 |
接続されているバランス釜を同時に交換したり、下地の工事が必要になったりする場合は約15万円〜20万円程度の追加費用がかかります。
埋め込みタイプの費用相場
浴室のタイルの中に浴槽を埋め込んで設置する「埋め込みタイプ」。据え置き型に比べて空間にゆとりを持たせられますが、浴槽へ泡や水が入り込みやすい点がデメリットです。
また床や壁、タイルなどを解体・補修する必要があるため、据え置きタイプに比べて費用が高額な傾向にあります。工事内訳別の費用相場は下記の通りです。
工事内訳 | 費用相場 |
既存の浴槽撤去処分 | 約2万円~10万円 |
浴槽取付工事 | 約5万円~15万円 |
床や壁、タイルの解体撤去 | 約10万円前後 |
配管工事 | 約1万円~3万円 |
下地調整 | 約2万円~15万円 |
諸経費・管理費 | 工事費の3〜15%程度 |
合計約10万円~40万円 |
解体した部材の処分費用のほか、在来工法の浴室の場合は排水管・排水口工事や断熱改修工事などが必要になることもあるので、詳しくは業者に確認してみましょう。浴室の劣化状況によっては、総額50万円以上かかる可能性もあります。
また埋め込みタイプで浴槽を交換すると洗い場と浴槽に段差が生じるため、高齢者や小さな子どもがいるご家庭では注意が必要です。
半埋め込みタイプの費用相場
ユニットバスに多く見られる半埋め込みタイプは、床面から30cm〜40cm、浴槽の3分の1程度が埋め込まれているタイプです。据え置き型よりも浴槽に入りやすいため、高齢者や小さな子どもでも入浴しやすいのが特徴と言えます。
在来浴室の半埋め込みタイプにかかる交換費用や作業の流れは、埋め込みタイプとほぼ同じだと考えておきましょう。
【素材別】浴槽本体の価格相場
浴槽の本体は、素材によってさまざまな種類があり、それぞれ質感や価格帯も異なります。素材ごとの特徴と本体価格相場をまとめたので、浴槽選びの参考にしてみてください。
浴槽の素材 | 特徴・メリット・デメリット | 本体価格相場(税込) |
木製(ヒノキ) | ・木の温もりや肌触りを感じられる・保温性が高い・腐食防止のためメンテナンスが必要 ・材料が高いため本体価格も高め | 約40万円~数百万円 |
FRP(ガラス繊維強化プラスチック) | ・樹脂素材で最も一般的・価格がリーズナブル・製品のバリエーションが豊富・浴槽内の汚れが目立ちやすい | 約3万円~35万円 |
ホーロー | ・肌触りに優れている・保温性が高い・ガラス質でコーティングしている分、傷や汚れに強い・扱い方によっては表面が割れるリスクがある | 約30万円~70万円 |
人造大理石(ポリエステル系) | ・安価な値段で購入できる・掃除しやすい・品質はアクリルに劣る | 約5万円~40万円 |
人造大理石(アクリル系) | ・光沢感や透明感があり、加工しやすい・強度や耐熱性に優れている(耐衝撃性が高い)・ポリエステル系に比べて価格は高め | 約20万円~120万円 |
ステンレス浴槽 | ・サビに強く、耐久性が高い・金属の見た目が浴室に合わない可能性も | 約2万円~25万円 |
人工大理石の場合は、ポリエステル系とアクリル系によって価格が大きく異なるのが特徴です。また、大理石の浴槽を購入する場合は「穴開け工事が難しい」「使用できない入浴剤がある」などのデメリットがある点は把握しておきましょう。
天然大理石の浴槽もありますが、掃除やメンテナンスが難しいのであまりおすすめはできません。
なおFRP(ガラス繊維強化プラスチック)は、価格が安いものの掃除などで傷がつきやすいのがデメリット。浴槽を長持ちさせたいという場合は、多少高くても耐久性の高い材質を選ぶのがポイントです。
ユニットバスの交換にかかる費用相場
バスタブ・床・壁が一体になったユニットバス(システムバス)の交換時には、約80万円〜120万円程度の費用がかかります。浴槽本体のサイズやグレード、浴室内の劣化状況によって費用が変動するので、リフォーム会社の見積りで金額を確認してみましょう。
なおユニットバスでは、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)の材質が用いられていることが多く、TOTOやLIXILといった幅広いメーカーから好みのデザインの商品を選べます。
手すり・床暖房・浴室暖房乾燥機・給湯器など人気のオプション機能を付けることも可能なので、ご希望の方は一度相談してみてください。換気扇も寿命を迎えている場合は、同時に交換しておくのがおすすめです。
ユニットバスの浴槽だけ交換するのは可能?
結論から言うと、ユニットバス(システムバス)の場合でも浴槽だけを交換することは可能です。ただし、ユニットバスは浴槽・床・壁が一体になっているため、浴槽以外にも修理や交換が必要な箇所が見つかるかもしれません。
ユニットバスを丸ごと交換したほうがお得な場合もあるので、浴槽と同時に浴室内全体にトラブルがないかリフォーム業者に点検してもらうと良いでしょう。
浴槽交換にかかる日数
浴槽交換にかかる日数は、工事内容によって異なります。ユニットバスの浴槽交換だけなら半日〜1日程度で終了しますが、天井や壁なども丸ごと入れ替える場合は3日〜4日程度が目安です。
また在来工法の浴槽をユニットバスに変更する場合は、解体撤去工事や下地調整等が必要なので5日〜1週間前後が工期となります。リフォーム工事中はお風呂に入れないので、自宅周辺に銭湯がないかチェックしておきましょう。
浴槽交換の費用を安くするには?
浴槽の交換には、決して安くないリフォーム費用がかかります。できるだけ費用を安くしたいという場合は、これからご紹介する3つのコツを試してみるのがオススメです。
浴槽本体の価格を抑える
浴槽交換費用を最も左右するのは、浴槽本体の価格です。安い浴槽を見つけることで、工事全体のリフォーム費用を大幅に抑えられるでしょう。
水回りメーカーのショールームには見た目も素敵な浴槽が多く、選び方に悩みを抱える方も多いかもしれません。しかしショールームで展示されている商品は定価販売なので、相場目安よりも高額なケースが多いです。
浴槽本体にはさまざまな種類がありますが、一般的にFRP素材の浴槽が安い傾向にあります。また最新型やオーダーメイドの浴槽よりも、大量生産されているユニットバスのほうがリーズナブルです。
お得に浴槽を購入できるよう、中古品や特売品なども確認してみてください。
洗面所と一緒にリフォームする
浴槽交換工事を検討している場合、脱衣所や洗面所などのリフォームもまとめて依頼すると費用が安くなる可能性があります。業者によってはまとめ割引などを行っている場合もあるため、事前に問い合わせてみると良いでしょう。
特にユニットバスの浴槽交換工事では、洗面所の壁を壊してから作り直すのが一般的です。同時にリフォームすれば、クロスの張替えや塗装などの工程が一度で済むので非常にお得と言えます。
総額としては約1万円〜3万円程度抑えられるので、予算が限られている方は検討してみてください。
介護保険や補助金を利用する
バリアフリー目的で浴槽を交換する場合は、介護保険を利用できるケースもあります。要支援・要介護認定を受けている場合限定ですが、下記のようなリフォーム工事に適用されます。
- 手すりの設置
- 段差の解消
- 滑りにくい床材への変更等
- 引き戸等への扉の交換(出入り口の確保)
- 洋式トイレへの交換
- その他住宅改修に付帯して必要な住宅改修
補助金額の上限は20万円で、対象工事費用の7〜9割が支給されます。介護保険の申請はケアマネージャーを介する必要があるため、まずは相談してみましょう。
ほかにも「こどもエコすまい支援事業」や「長期優良住宅化リフォーム推進事業」といった補助金制度を利用できる場合もあるので、ぜひチェックしてみてください。
地元のリフォーム業者に依頼する
浴槽交換工事に限らず、お風呂のリフォームは地元の工務店に依頼するのがおすすめです。移動費用がかからないだけでなく、広告費用などをかけていないため安い費用で施工できます。評判や施工事例も把握しやすいので、安心して工事できるのもメリットと言えるでしょう。
また水回りの専門業者は、浴槽本体を安く仕入れるルートを有している可能性が高いです。仲介手数料などもかからないので、業者選びで困ったらまず水回りの専門業者を探してみましょう。
費用を安くするなら、複数業者に相見積もりを依頼するのも大切なポイントです。
浴槽を交換する際の注意点
最後に、浴槽を交換する際の注意点をご紹介します。浴槽交換は複雑な工事になる可能性もあるので、専門知識を有したプロのリフォーム業者に依頼するのがおすすめです。そのほか事前に確認すべきポイントを解説するので、ぜひ参考にしてください。
搬入経路を確保できるか
浴槽だけを交換する場合、搬入経路の確認は欠かせません。浴室までの玄関ドアや窓、廊下などを通れるか、事前に採寸しておく必要があります。
通らない場合は、浴室のドア枠や床を解体撤去して再度補修しなければいけない可能性も。余分な費用がかかってしまうため、事前に施工業者と打ち合わせしておくことが大切です。
特に間口の狭いマンションに住んでいる場合は、ユニットバスへのリフォームも視野に入れておきましょう。
マンションの場合は業者に確認を
戸建てなら問題ありませんが、マンションなどの賃貸物件に住んでいる場合、浴槽を勝手に交換することはできません。リフォームする際は家主や不動産管理業者に確認が必要になるので、余計なトラブルを生まないためにも十分注意してください。
浴槽の状態があまりにも悪い場合は、家主負担で対応してもらえる場合もあるので、一度問い合わせてみることをおすすめします。
DIYでの浴槽交換はおすすめできない
一見簡単そうに見える浴槽交換ですが、基本的には専門業者に施工を依頼するのがおすすめです。特に据え置き型は部品と本体さえ揃えればDIYできるので、自分で交換する方も多いかもしれません。
しかし、自分で施工すると水漏れやひび割れなどのリスクもあり得ます。DIIYで施工後すぐに故障した場合、余計な費用がかかってしまう可能性も。
安心して浴槽を交換するためにも、知識や経験が豊富な工務店やリフォーム業者に対応を依頼しましょう。
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本記事では浴槽交換にかかる費用相場や日数、注意点などリフォームに必要な情報をまとめて解説しました。なるべく安くリフォームしたいという場合は、地元の水回り専門業者に依頼するのがおすすめです。
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