最近、特に女性の間で話題となっているピラティス。テレビや雑誌で取り上げられる機会も多く、始めてみたいと思う方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、ピラティスの特徴についてご紹介します。よく疑問に挙げられる「ヨガとピラティスの違い」についても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ピラティスとは
ピラティスとは、呼吸に意識を向けながらインナーマッスルや体幹を鍛え、身体をバランスよく整えるエクササイズのことです。1920年代、ドイツ人の軍看護師であるジョセフ・ピラティスが、第一次世界大戦中の兵士のリハビリとしてピラティスを開発しました。
怪我人でも可能な筋力増強のためのエクササイズが、ピラティスの起源とされています。現在はリハビリのみならず、ダイエットや美容効果を得られるエクササイズとして広がりを見せてきました。運動強度はさほど強くなく、老若男女を問わず安心して行えるのがピラティスの魅力。そのため、リハビリの一環として、ピラティスがリハビリの現場で取り入れられることもあるようです。
ピラティスの種類
ピラティスは、エクササイズの内容によって、大きく「マットピラティス」「マシンピラティス」の2種類に分類されます。それぞれどのようなエクササイズか、以下で見ていきましょう。
マットピラティス
マットピラティスとは、その名の通り、マットの上で行うピラティスのこと。必要な道具はヨガマットのみなため、自宅でも気軽に行えるピラティスとして人気があります。
重力に逆らい、自分の体重をうまく使いながら行うエクササイズが多く、全身をバランスよく鍛えることができるでしょう。 なお、基本的にはヨガマットのみで行いますが、フォームローラーやゴムベルト、ピラティスボールといった道具を使うことも。身体の中で集中して鍛えたい部分がある場合、こうした道具も活用することで、よりピラティスの効果を高めることができます。
マシンピラティス
マシンピラティスとは、専用の器具を使い、身体にかかる負荷を調整しながら行うピラティスです。専用の器具を必要とすることから、自宅よりもジムやフィットネスクラブで行われることが多いでしょう。
リフォーマーやキャデラック、バレルといった器具を使用して行い、器具によって鍛えられる部位は異なります。 器具を使ったピラティスと聞くと、難しいように感じられるかもしれません。
しかし、自分に適した負荷に調整してエクササイズを行うことで、初心者でも十分効果を得ることができます。身体がうまく使えないという方も、負荷をかけることで、インナーマッスルや体幹に刺激を与えながらエクササイズができるでしょう。
ピラティス・プログラムの種類
全国のジムやフィットネスクラブでピラティス・プログラムが開講されており、内容によって大きく下記の4種類に分けられます。
・ボディメイクピラティス
・マタニティピラティス
・シニアピラティス
・ヨギラティス
それぞれの内容について、以下で見ていきましょう。
ボディメイクピラティス
ボディメイクピラティスとは、理想のスタイル作りを目的としたオーソドックスなピラティスのこと。ボディラインを整え、健康的かつバランスが取れた身体を作ります。
なお、ダイエットを中心としたプログラムや呼吸に意識を向けたプログラム、ヒップアップのためのプログラムなど、施設によって様々な内容があるようです。 名称は施設ごとに異なる場合もあり、主に美容やダイエットをテーマにしたプログラムがボディメイクピラティスに該当すると言えるでしょう。
マタニティピラティス
マタニティピラティスは、妊婦の方を対象に、妊娠中でも行えるメニューで構成されたピラティスのことを指します。マタニティピラティスによって得られる効果は以下の通り。
・出産に必要な柔軟性や筋力のトレーニング
・姿勢や呼吸の改善
・体重管理の補助
・体力作り
・ストレス解消
いずれも妊婦の方にとって嬉しいメリットばかりで、妊娠期間だけでなく、産後の母体回復にも効果的です。 なお、身体的なケアだけでなく、軽く身体を動かすことにより精神的なケアもできるのがマタニティピラティスの魅力。妊娠中は誰しもストレスを抱えるものですが、ストレスが大きくなりすぎると、身体に影響が出てしまう可能性もあるでしょう。マタニティピラティスではストレスを軽減し、身体も心もリラックスさせることができます。
シニアピラティス
シニアピラティスとは、高齢の方を対象に、加齢によって衰えた身体機能の維持・回復を目的としたピラティスのこと。それぞれの健康状態に応じて身体にかかる負荷やメニューが調整され、高齢の方でも無理なく行えるエクササイズとなっています。
高齢の方に多いのが、身体を動かさずにいるせいで筋力が衰えてしまい、歩行バランスが崩れて起こる転倒事故。シニアピラティスでは負荷が少ないプログラムを中心に行い、日常生活に必要な身体の筋力をつけていきます。身体を適度に動かすことで認知症や寝たきりを防ぎ、長く健康的に過ごすことができるでしょう。
ヨギラティス
ヨギラティスとは、ヨガとピラティスを融合させた新たな形のエクササイズです。韓国で注目され始めているスタイルで、日本のフィットネスクラブでも少しずつ導入されてきました。
ヨギラティスの特徴は、ヨガのリラックス効果とピラティスの運動効果のいいとこ取りをしているというところ。心身ともに落ち着かせながらも、高い筋力アップ効果を得ることができ、今後発展していくことが期待されるエクササイズです。
ヨガとは
ヨガとは、瞑想や呼吸、姿勢といった要素を組み合わせて心と身体の緊張を和らげ、精神的な安らぎを得られるエクササイズのこと。サンスクリット語で「つながり」を意味する言葉です。
その起源は約4500年前のインドにあり、心身を一体化し悟りを開く修行法として生まれ、体系化されていきました。日本では戦後以降、心身の健康を整えるための健康法として広がりを見せ、現代にも受け継がれています。
ヨガで重視されているのは、「正しい呼吸」と「正しい姿勢」。ヨガの考えでは、呼吸を整えることと姿勢を正すことには深いつながりがあり、正しい姿勢によって呼吸が楽になるとされています。呼吸と姿勢が整うことで精神的なリラックス効果を得られ、身体の歪みが取れたり、骨や筋肉の均衡が取れるのがヨガの効果です。
ヨガの種類
ヨガは多数の流派に派生しており、その数は200種類にも及ぶと言われています。今回は、多くのジムやフィットネスクラブのプログラムにも含まれる主な5種類について見ていきましょう。
ハタヨガ
身体を動かしながら様々なヨガのポーズを取るヨガで、最もベーシックなスタイル。サンスクリット語で「ハ」は太陽、「タ」は月を意味し、このハタヨガから様々なヨガスタイルへ派生していったとも言われています。
左右対称のポーズをとりながら呼吸を整えていき、心身のバランスを整えるのに効果的。ヨガの基本を知ることができるため、初心者には特におすすめのヨガと言えるでしょう。
アシュタンガヨガ
古代インド人の動きがベースとなっているヨガで、呼吸と合わせながら、座位・立位・太陽礼拝など様々なポーズをとります。
ポーズとポーズの間で、流れるようにしなやかな動きをするのが特徴。運動量が多く、元々は若い男性を対象に作られたヨガとされています。運動機能の向上やシェイプアップに効果的です。
パワーヨガ
上記のアシュタンガヨガの動きを基に生み出されたヨガで、エクササイズで多く利用されています。名前に「パワー」と付いているように、ダイナミックなポーズが多いのが特徴。運動量が多いぶん爽快感があるため、ストレス解消に効果的でしょう。
ホットヨガ
温度は40°前後、湿度は60%前後の高温多湿な環境で行うヨガです。その環境から、ゆったりした動きであっても大量の汗をかくというのが特徴的。基礎代謝アップや、美肌、デトックスに効果があります。なお、ホットヨガでも岩盤ヨガや溶岩ヨガ、ヒーターを使用したヨガなど様々なスタイルがあるようです。
ヴィンヤサヨガ
流れに沿って、様々なポーズを連続してとるのが特徴のハードなヨガ。アシュタンガヨガを基に考案されたヨガで、さらに独創性があるスタイルとなっています。インナーマッスルを鍛えるほか、集中力アップや深いリラックス効果があります。
ピラティスとヨガの違い
ここからは、ピラティスとヨガの違いについて、「目的」「トレーニング法」「効果」の観点から確認していきましょう。
目的
ピラティスの目的は、全身のメンテナンスやボディラインを整えること。ピラティスはインナーマッスルや体幹に働きかけることで、全身の筋肉バランスを整えます。元々は負傷者のリハビリとして生まれたこともあり、筋肉バランスを整えることで、骨格や姿勢の改善も見込めるというのがピラティスの特徴でしょう。
一方、ヨガの目的は、精神を安定させ心身のリラクゼーションを目指すこと。瞑想や呼吸、姿勢によって内観性を高め、心や身体、呼吸、栄養など、あらゆる要素の調和を保つという目的があります。精神面に強くアプローチしているのが、ヨガの特徴と言えるでしょう。 ピラティスとは異なり、直接的に筋肉へアプローチするわけではないものの、呼吸やポーズによって時間をかけながら上質な筋肉を作っていきます。
トレーニング法
ピラティスのトレーニング法には、動的なポーズが多いという特徴があります。呼吸に合わせて関節を動かし、インナーマッスルや体幹に働きかけるのがピラティスのトレーニング。基本的には座るか寝るかの姿勢をとり、座位や四つ這い、うつ伏せ、仰向けといったポーズが中心となっています。
また、胸式呼吸と腹式呼吸を組み合わせた「ラテラル呼吸」も特徴的。胸式呼吸で交感神経に働きかけ、自律神経を整えながら、腹式呼吸でインナーマッスルや腹筋を鍛えます。 動的なポーズが多いピラティスに対し、ヨガは静止した状態でポーズをとるのが基本。立位や座位、うつ伏せ、仰向け、逆立ちといった様々なポーズをとりながら、腹式呼吸を意識して、心身のバランスを整えます。
効果
ピラティスは、筋力トレーニングによるボディラインの引き締めやダイエットに効果的とされています。エクササイズを通してインナーマッスルや体幹を鍛えることで、特にお腹まわりが引き締まるというのがピラティスの特徴でしょう。また、骨盤や肩甲帯の位置を正しながら関節を動かすため、腰痛や肩こりが軽減するというメリットもあります。
対するヨガは、心身の安定に効果的というのが特徴。身体にもアプローチしつつ、瞑想や深い呼吸によってメンタルが落ち着くのは、ヨガならではの効果でしょう。シェイプアップ効果だけでなく、大きなリラクゼーション効果も得られるのがヨガのメリットです。
ピラティスとヨガの共通点
上記では、ピラティスとヨガの違いについて解説してきました。しかし、2つにはいくつかの共通点もあります。具体的には以下のポイントが共通点として挙げられるでしょう。
・骨格の歪みが整う
・シェイプアップ
・筋肉がつくことで基礎代謝が上がり、ダイエット効果がある
・ストレスを解消できる
・姿勢がよくなる
・むくみや冷え性が改善する
このように、ピラティスとヨガはいずれも心身に様々な効果をもたらしてくれます。その中でも特徴として、ピラティスは特にシェイプアップ効果が強く、ヨガは精神の落ち着きに効果的と言えるでしょう。
ピラティスが向いている人
これまでの解説を踏まえて、以下のような方にピラティスが向いていると言えるでしょう。
・筋肉をつけて身体を引き締めたい
・スタイルアップを目指したい
・身体に負担のかからない運動がしたい
・インナーマッスルを鍛えてぽっこりお腹を解消したい
・腰痛や肩こりなどの不調を改善したい
このように、運動不足や筋力不足を解消し、身体を整えたい方にピラティスはおすすめのエクササイズです。 一方、より精神的なリラクゼーションを重視したいという方であれば、ヨガの方がおすすめと言えるでしょう。
まとめ
ピラティスとヨガはどちらも心身の健康に効果的なエクササイズであり、より身体への効果を求めるのであればピラティス、精神への効果を求めるのであればヨガがおすすめと言えます。それぞれの特徴を踏まえて、どちらか自分に合うエクササイズを始めてみてください。
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