健康維持やダイエットに効果的なランニングですが、自己流のフォームでは身体に負担をかけることも。そこで今回は、初心者の方に向けて、正しいランニングフォームのポイントを紹介します。効果を高めるコツや、疲れにくい走りがしたいという方は、ぜひチェックしてみてください。
目次
- ランニングフォームの基本 1:身体の重心
- ランニングフォームの基本 2:足の着地位置
- ランニングフォームの基本 3:歩幅
- ランニングフォームの基本 4:腕の振り方
- ランニングフォームの基本 5:呼吸の方法
- 試しにランニング教室に依頼するという選択肢も
ランニングフォームの基本 1:身体の重心
まず押さえるべきポイントは、ランニングをするときの身体の姿勢。姿勢はランニングフォームの基本であり、正しい姿勢をとることで重心移動がスムーズとなります。また、変な力がかからず、身体の疲れを軽減させることができるでしょう。 以下では、正しい姿勢をとるために重要なコツを説明していきます。
身体の重心は「足裏の前側半分」に置く
「足裏の前側半分」に、身体の重心を置くように意識しましょう。土踏まずよりも前方で、足の指全体が地面についている状態にするのがポイント。 重心が前方にあると身体が傾き、反射的に足が前に出るでしょう。
また、前傾姿勢をとることで空気抵抗も最小限に。この仕組みを利用することで、労力を最小限に抑えて走ることができます。 しかし、重心を前に移動させようと意識すると、つま先のみに荷重がかかってしまいがちに。つま先立ちの状態だとふくらはぎが緊張してしまい、膝や足首も曲がりやすく、筋肉や関節を痛める原因となってしまいます。 足裏の前側半分に荷重がかかるよう意識すると、下半身への負担を最小限にして走ることができるでしょう。
猫背は危険
初心者が陥りがちなのは、走っている最中で背中が丸まった猫背になってしまうことです。 しばらく走り続けていると疲労が溜まり、疲れを逃がそうとして猫背の姿勢をとってしまいがちに。しかし、猫背の姿勢だと下半身に負担がかかり、太ももの張りや膝関節の痛みの原因となってしまいます。猫背によって呼吸が浅くなり、息が上がってしまうことにもつながるでしょう。
猫背を改善するポイント
猫背を改善するためのポイントは、肩甲骨を意識して走ること。走っている最中に肩甲骨を意識することで、自然と上体が起き上がります。 また、目線を地面と水平になるように向けるのも有効でしょう。時間の経過で身体が疲れてくるとともに、目線はどうしても下がりがち。目線を前方に向けるように意識することで、上体が前傾してしまうことを防ぐことができます。
背筋をまっすぐに伸ばす
背筋をまっすぐに伸ばすのは、ランニングフォームの基本です。背筋が伸びていると、呼吸がしやすく息苦しさを感じにくくなるでしょう。
コツは、肩甲骨を中心に寄せること。肩甲骨を後ろに引くようにして走ることで、背筋が伸びるだけでなく骨盤も動き、上半身と下半身が連動した良い走り方となります。 ただ、あまりに意識しすぎるとかえって筋肉が固まることに。気持ちよく走れる程度で意識するのがポイントです。
顎を引く
ランニング中は、顎を引くように意識することが大切です。 息苦しさを感じると、どうしても顎が上がってしまいやすくなるでしょう。しかし、顎が上を向いていると呼吸が浅くなり、さらに苦しさが増してしまいます。
また、重心が後方へ移動して前に進みにくくなったり、背中が反って腰に負担がかかってしまうというデメリットも。 そのため、顎が上がってきたと感じたら、意識して顎を引くようにしましょう。
ランニングフォームの基本 2:足の着地位置
着地のときは足裏全体でまっすぐ踏み込むようにして、垂直に足を下ろしましょう。 このときに角度が垂直になっていないと、着地の時にブレーキがかかってしまい、勢いが減少してしまいます。また、上半身よりも前方に足を着地させた場合、太ももや膝まわりへの負担が大きくなってしまうことに。 リズミカルにランニングをするためには、足を着地するときの角度を気をつけるようにしましょう。
足の着地方法には、全部で3種類のものが挙げられます。どの部分で着地するかということがポイントで、「つま先」「足の中部」「かかと」の3点で分類できるでしょう。 それぞれに特徴があり、また育ってきた環境や生活習慣によっても合う・合わないがあるため、一概にどれが良いとは言えません。 それぞれ試してみて、自分に合ったものを選ぶのがおすすめです。
つま先から着地する フォアフット走法
フォアフット走法は、つま先から着地する走り方です。海外のマラソン選手が、この走法によりマラソン大会で記録を残していることで話題に。足のバネであるアキレス腱を使った走り方というのが特徴で、筋肉の負担が少ないため、足の負担を抑えて長距離走れるというメリットがあります。
フォアフット走法では、上半身を前傾させることがポイント。上半身が前方に傾くことで、反射的に足が前に出やすくなり、つま先から着地できるようになるでしょう。 ただ、日本人の体型だとアキレス腱やふくらはぎへの負担が大きく、怪我につながる危険もあるため、注意が必要です。
足の中部から着地する ミッドフット走法
土踏まずのやや前部分である、足の中部から着地する走り方をミッドフット走法と呼びます。 ミッドフット走法の特徴は、「着地の衝撃によって足にかかる負担を和らげられる」ということ。足裏の一部で着地する走り方の場合、一部分にかかる負荷が大きいため、足の関節や筋肉への負担も大きくなってしまうでしょう。
しかし、ミッドフット走法は足裏全体で衝撃を受け止めるため、衝撃が広範囲に分散され、足への負担を減らせるというメリットがあります。 また、足の真ん中で着地するため、体幹が安定しやすくなり、エネルギーの消費も抑えられるでしょう。長距離走の練習に適した走法と言えます。
かかとから着地する ヒールストライク走法
ヒールストライク走法はかかとから着地するという走り方で、日本人の多くがこの走り方をしていると言われています。着地したかかとから地面へ衝撃が加わり、返ってきた衝撃で前に進むというメカニズム。筋肉やアキレス腱への負担を少なくして走ることができます。
ランニング時、上半身を地面に対してほぼ垂直とすることで、自然にかかとから着地する形となるでしょう。 ただ、かかとから着地することで走りに一度ブレーキがかかってしまうため、注意が必要です。
ベタ足に注意
ベタ足とは、その名の通り地面に足がべったりとついてしまっている状態。ランニングで走る時、足裏全体で着地するベタ足には注意が必要です。足裏全体から着地すると、足全体へ大きな負担がかかり、足を痛める原因に。
また、紹介した走法の中で、ミッドフット走法が一見ベタ足に見えるかもしれません。しかし、ミッドフット走法はいきなり足裏全体で着地するわけでなく、あくまで中部から着地します。そのため、足を痛めることなく走れることが可能。 ベタ足になってしまっている方は、意識して着地の位置を変えるようにしましょう。
ランニングフォームの基本 3:歩幅
歩幅は「ストライド」とも呼ばれます。初心者ランナーが走るときは、「身長の0.6〜0.9倍」が目安。歩幅が広がると、同じ距離を走るにしても歩数が少なくなるため、その分着地回数が減って着地による衝撃や疲労を減らせます。
また、歩幅が一定だと歩数から走った距離がわかり、走行距離を測る上で便利というメリットも。 ただ、歩幅が広がると、その分足に負担がかかってしまうという難点があります。無理に歩幅を伸ばそうとすると怪我につながるため、練習のときは注意するようにしましょう。
ランニングフォームの基本 4:腕の振り方
ランニングでは、腕を振りながら走るというのが基本。この腕の振りは適当に振るのではなく、しっかり正しい振り方を意識して振ることが大事となってくるでしょう。 以下では、ランニングにおける腕振りの重要性や、腕を振るときのポイントについて説明していきます。
腕振りの重要性
腕振りには、以下のような役割があります。
ランニングの原動力を生む:足の地面を蹴る力にさらなる勢いが加わる
体幹を安定させる:腕を振ることで、反射的にバランスをとろうと身体が反応する
ランニングのリズムをキープする:腕振りのリズムを一定に保つことにより、燃費が良く疲れない走り方ができる
もし腕の振り方が間違っていると、体幹がぶれてしまったり、余計な力が加わったりと疲れやすくなる原因に。また、上半身と下半身の動きは直結しているため、腕振りのリズムが乱れてしまうと走るペースにも影響が出てきます。 長距離をランニングするのであれば、腕振りもしっかり意識するようにしましょう。
肩の力を抜く
肩の力を抜くことで、腕振りがスムーズになります。 腕を振るとき、大きく振ろうと意識するあまり、肩に力が入ってしまうのはよくあること。
しかし、肩に力が入っていると、かえって腕が振りにくくなってしまい、前に進む力が弱くなってしまうでしょう。 肩に力が入らないようにするためには、腕を振るときに「腰の下」を通過するようにするのがコツ。腰の上を通ると肩が上がり、力が入ってしまいます。 そのため、拳が腰の下を通るように腕を振ることで、肩に力を入れず走ることができるでしょう。
肘の角度は90°程度に開く
腕振りをするとき、肘を開く角度はできるだけ90°を意識するようにしましょう。 肘が伸びていると、肩から拳が遠く、腕を振るときに余計なエネルギーを消費してしまいます。特に、腕を後ろに引いたときに肘が伸びきってしまうことが多いため、気をつけなければいけません。 腕を振りやすい角度は、90°程度とされています。
そのため、肘を90°程度に曲げることで、スピーディーかつエネルギーを節約しながら腕振りができるようになるでしょう。 また、走るペースを速めたいときは、肘の角度を90°より小さくしてみるのもおすすめ。肘の角度が小さければ小さいほど腕振りに使うエネルギーが少なくなるため、素早く腕を触れるようになります。
腕を前に振るのではなく、後ろに引く
腕は前に向かって振るのではなく、後ろにまっすぐ引くイメージで振るようにしましょう。 意識的に腕を振ろうと思うと、どうしても前に振るときに力が入ってしまいます。
しかし、あまりに前方へ腕を振りすぎてしまうと、腕の高さが上がり、余計な力が入って腕や肩が疲れる原因に。 腕を後方へしっかり引くようにすると、肩甲骨が動き、骨盤も連動して動きます。身体の構造上、腕を引くと同じ側の足が前に出る、という仕組みになっているのです。 そのため、腕を引くときにアクセントをつけることで、足が楽に前へ出るようになるでしょう。
ランニングフォームの基本 5:呼吸の方法
ランニングでは、身体の動かし方や姿勢だけでなく、呼吸も意識することが重要となってきます。 その理由は、ランニングは有酸素運動だということ。正しい呼吸法で酸素を取り込むことによって、疲労感やランニングの効果も変わってくるでしょう。 呼吸のポイントについて、以下で紹介していきます。
呼吸のリズムを作る
走っている時は、呼吸のリズムを意識的に作るようにしましょう。 ランニングにおける呼吸のリズムには、実際のところ厳密な決まりはありません。
しかし、腕振りと同様に、呼吸のリズムが乱れていると走るペースも乱れがちに。走るペースが乱れていると、疲労が溜まりやすくなるため、呼吸のリズムは一定にするのが良いでしょう。 おすすめなのは、足を動かすリズムと呼吸を揃えること。 具体的に、以下の呼吸法が挙げられます。
4拍子呼吸:4歩で1回の呼吸を行う呼吸法(2歩で吸って2歩で吐く)
6拍子呼吸:「スースースー、ハーハーハー」と、3回吸って3回吐く呼吸法
これらの呼吸法のうち、走るペースや好みに応じて、自分に合う方法を選ぶのがベストでしょう。いずれの場合も、小刻みに呼吸を刻むのではなく、なめらかに一定のリズムを保つのがポイントです。
深い呼吸を心がける
浅い呼吸ではなく、深い呼吸を意識するようにしましょう。息をしっかり吸うことで、ランニング中の苦しさが軽減するだけでなく、自然と上体が上がって背筋が伸びやすくなります。 ポイントは、腹式呼吸。腹式呼吸とは、息を吸うとお腹が膨らみ、息を吐くときにお腹がへこむという呼吸法のことを言います。
横隔膜を大きく動かす腹式呼吸では、酸素を多く取り込めるだけでなく、筋肉の緊張をほぐす効果もあるのです。 ランニング時は腹式呼吸を心がけることで、自然と走りに最適な呼吸ができるようになるでしょう。
腹式呼吸ができているかを確かめる方法
腹式呼吸ができているか確かめるときは、お腹に手を当ててみて、呼吸のタイミングでお腹が動くかどうかをチェックしてみましょう。仰向けの状態だと、よりわかりやすくなります。
最初のうちは、意識的にお腹を膨らませたりへこませたりして、腹式呼吸の感覚を掴むのが大切。慣れてくると、走っているときも自然に腹式呼吸ができるようになるでしょう。
口ではなく鼻で呼吸をする
ランニングでは、基本的に鼻呼吸を心がけるようにしましょう。 走っていて疲れてくると、口呼吸の方が楽に感じ、口呼吸が中心となってしまわないでしょうか。
しかし、口呼吸よりも鼻呼吸の方が、効率よく体内に酸素が行きわたります。 また、口呼吸を続けていると唇が乾燥したり、外気を直接吸い込むために喉や気道が炎症を起こしたりというデメリットが。 そのため、疲れていても鼻呼吸を意識することが大切です。 ただ、鼻づまりや、身体の性質から鼻呼吸が難しいという方は例外に。できるだけ鼻呼吸を中心にしつつ、口呼吸を補助的に使うなどして走るのが良いでしょう。
試しにランニング教室に依頼するという選択肢も
正しいフォームで走るためには、「姿勢」「足の着地位置」「歩幅」「腕の振り方」「呼吸」を意識することが大事です。 しかし、これらのポイントを意識しながら一人で練習するのは大変だと感じるかもしれません。 そんな時は、ランニング教室でレッスンを受けてみるのもおすすめ。 自分の体格・体力などを加味して、最適なフォームや練習法を指導してもらえるでしょう。 一人での練習が不安だという方や、ランニングでもっと走れるようになりたいという方は、ランニング教室に行ってみてはいかがでしょうか。
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