ヨガにおいて呼吸法は、心身のリラックスや集中力を高めるために欠かせない重要な要素。
本記事では、ヨガ初心者から上級者まで実践できる代表的な呼吸法10種類を一覧でご紹介。具体的なやり方や効果などを詳しく解説します。
日常生活に取り入れてストレスを軽減し、心のバランスを整える方法もまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
ヨガの代表的な呼吸法10種類一覧
ここでは、ヨガの代表的な呼吸法10種類を一覧でご紹介します。概要のほか、呼吸法を行う手順や効果も解説していきます。
1. 鼻呼吸
鼻から息を吸い鼻から吐く鼻呼吸は、ヨガの基本の呼吸法です。鼻呼吸には、ウイルスや細菌が体内に侵入するのを防ぎ、さらには喉の乾燥を予防する効果もあります。
呼吸を止めることなく、ゆっくり繰り返すことで心身をリラックスさせ、エネルギーや血液の流れをスムーズにします。
鼻呼吸のやり方
(1)背筋を伸ばし、肩の力を抜いてリラックスする。座っても横になってもOK。
(2)鼻から静かに息を吸い込み、空気が肺に入る感覚に意識を向ける。
(3)鼻からゆっくり息を吐き出し、完全に吐き切きる。
(4)鼻から吸って吐いてを繰り返す。
鼻呼吸の効果
- 喉の乾燥を防ぎ、潤いを保つ
- ウイルスや細菌が体内に侵入するのを防ぐ
- 心身のリラックス効果を高める
- 呼吸を深め、血液やリンパの流れを促進する
- ヨガの動きやポーズをサポートする
2. 腹式呼吸
腹式呼吸とは、息を吸うときにお腹を膨らませ、吐くときにお腹をへこませる呼吸法です。息を吸う際には肺の下にある横隔膜が下がり、内臓が押されることでお腹が膨らみます。反対に、息を吐くときにはお腹がへこみます。
この横隔膜の上下運動を利用し、呼吸を深くすることで、副交感神経が優位になり、気持ちを落ち着ける効果が得られます。
また、筋肉の緊張を緩め、内臓の働きを活性化するため、ヨガのポーズや動き(=アーサナ)と合わせて行うのがベストです。初心者の方は、まず呼吸を止めないことを優先し、チャレンジしてみましょう。
腹式呼吸のやり方
(1)椅子に座るか仰向けに横たわり、リラックスした姿勢を取る。背筋を伸ばし、肩の力を抜く。
(2)鼻からゆっくり息を吸いながら、お腹を膨らませるように意識する。このとき、胸ではなくお腹が膨らむように集中する。
(3)口か鼻からゆっくり息を吐き出し、お腹をへこませる。徐々にお腹がへこんでいくのを感じながら、息を吐き切る。
(4)お腹への意識を絶やさずに呼吸を繰り返す。
腹式呼吸の効果
- 副交感神経を活性化し、リラックス効果を高める
- 横隔膜を上下させることで内臓の働きを促進する
- 呼吸を深くすることで酸素の取り込み量が増え、疲労回復を助ける
- 筋肉を緩め、緊張を和らげる
3. 胸式呼吸
胸式呼吸法は、胸の部分に意識を向け、肺を広げることで行う呼吸法です。息を吸う際に胸が膨らみ、吐くときに胸が縮んで元に戻ります。
この呼吸法は、交感神経を活発にするため、気分転換やリフレッシュに効果的です。ヨガの準備段階でもよく使われます。腹式呼吸とは異なり、胸部を主に使うことで、カラダを覚醒させ、集中力を高める効果があります。
胸式呼吸のやり方
(1)背筋を伸ばして、座るか仰向けに寝てリラックス状態に。
(2)鼻からゆっくり息を吸い込み、肺を大きく膨らませる。このとき、肋骨が外側に広がるようなイメージで行うのがポイント。
(3)鼻から息をゆっくり吐き出し、胸が自然に元の状態に戻していく。
(4)上記のフローを繰り返す。
胸式呼吸の効果
- 交感神経を活性化し、気分をリフレッシュさせる
- エクササイズやヨガ前のカラダを整える
- 集中力を高め、覚醒状態を促進する
4. 鎖骨式呼吸
鎖骨式呼吸法は、息を吸いながら胸の上部と鎖骨にまで空気を送り、吐くときに鎖骨周辺をしぼませる呼吸法です。
鎖骨に手を当て、胸鎖乳突筋や斜角筋に意識を向けて行うことで、首や肩の緊張を和らげる効果があります。特に呼吸が浅くなるのを防ぎ、気分をリフレッシュさせるのに役立ちます。
鎖骨式呼吸のやり方
(1)背筋を伸ばし姿勢を整えたら、両手を鎖骨に当てる。
(2)鼻から息を吸い、鎖骨を引き上げるように胸上部に空気を送り込む。
(3)鼻から息を吐き、鎖骨や肩周りを引き下げる。
(4)ここまでのフローをリズムよく繰り返す。
鎖骨式呼吸の効果
- 首や肩の緊張を緩和させる
- リフレッシュ効果
- 呼吸が浅くなるのを防ぐ
- 肺上部の動きを活性化させる
5. 完全呼吸
完全呼吸法は、腹式呼吸・胸式呼吸・鎖骨式呼吸の、3つの呼吸法を連続する呼吸法です。息を吸うときにお腹、胸、鎖骨の順に膨らませ、吐くときにはその逆の順番で体をしぼませます。
深い呼吸を促すことで、心身のリフレッシュや集中力向上に効果があります。また、日々のストレス解消や脳の活性化にも効果的です。
完全呼吸のやり方
(1)背筋を伸ばして座り、息をすべて吐き切る。
(2)鼻から息を吸い、お腹を膨らませて腹式呼吸を行う。
(3)お腹が膨らんだら、胸を広げてさらに胸式呼吸を続ける。
(4)鎖骨式呼吸で肩や鎖骨が少し持ち上がるまで、さらに深く息を吸う。
(5)鼻からゆっくり息を吐き、肩、胸、お腹を順にしぼませる。
完全呼吸の効果
- 全身に酸素を行き渡らせ、活力を高める
- 脳の活性化による集中力向上
- ストレスや緊張を緩和させる
- 心身のリフレッシュと疲労回復
6. 片鼻呼吸(ナーディショーダナ)
片鼻呼吸法(ナーディ・ショーダナ)は、左右の鼻を交互に使って呼吸する方法です。ヨガや瞑想の一環としてもよく用いられ、リラックスや集中力向上に役立ちます。ヴィシュヌムドラという手の形を使って、呼吸をコントロールするのが特徴です。
右の鼻は交感神経、左の鼻は副交感神経につながっており、片鼻ずつ呼吸を行うことで自律神経のバランスを整える効果があります。
片鼻呼吸のやり方
(1)あぐらをかき、左手を膝の上に置く。背筋を伸ばしてリラックス状態に。
(2)右手の人差し指と中指を軽く曲げてヴィシュヌムドラの手を作り、眉間にそっと当てる。
(3)右の鼻を親指で閉じ、左の鼻から息を吸う。
(4)左の鼻を薬指で押さえ、今度は右鼻から親指を離してゆっくり吐く。
(5)右の鼻からゆっくり息を吸う。親指で右の鼻を閉じたら、薬指を離して左の鼻からゆっくり吐く。
片鼻呼吸の効果
- 自律神経のバランスを整える
- リラックス効果と集中力の向上
- 心身のバランスが整いストレスが軽減される
- 体温調整(右鼻で温め、左鼻で冷やす)
- 呼吸を深め、体内の血液や気の循環を良くする
7. ウジャイ呼吸
ウジャイ呼吸法は、喉の奥を軽く締めて行う胸式呼吸法で「勝利の呼吸」とも呼ばれます。吸うときも吐くときも、喉に意識を向け、息を吐く際には喉の奥で「シー」という摩擦音を鳴らします。
全身を温めながら集中力を高める効果があり、瞑想やヨガの練習中だけでなく、気持ちを落ち着けたいときやエネルギーを高めたいときにも適した呼吸法です。
ウジャイ呼吸のやり方
(1)あぐらをかき、リラックスして背筋を伸ばす。
(2)鼻からゆっくりと息を吸い、胸が膨らむのを感じる。
(3)喉の奥を軽く締める。息を吐くときに気管に軽い圧をかけるイメージで行う。
(4)ゆっくりと鼻から息を吐き、喉の奥で「シー」という摩擦音を立てながら息を出す。
ウジャイ呼吸の効果
- 全身を温め、血流を促す
- リラックス効果を高め、心を落ち着ける
- ヨガや瞑想の効果を向上させる
- 内臓機能の活性化を助ける
8. カパラバティ呼吸
カパラバティ呼吸法は、サンスクリット語で「頭蓋骨の浄化」を意味し、体のエネルギーラインを浄化し、活性化させる呼吸法です。「火の呼吸」とも呼ばれ、横隔膜や腹筋を使ってリズミカルに息を吐き出すことで、血行促進や内臓の活性化、気分のリフレッシュ効果が期待されます。
頭をクリアにする効果もあるため、朝や空腹時に行うのがおすすめです。ただし、妊娠中の方や高血圧、不安障害、眼病のある方は、体に負担をかける可能性があるため行わないよう注意しましょう。
カパラバティ呼吸のやり方
(1)あぐらをかき、背筋を伸ばしてリラックス状態に。
(2)鼻からゆっくりと息を吐き切る。
(3)鼻から息を吸い込み、お腹を膨らます。
(4)お腹をへこませながら、鼻から「フッフッフッ」とリズミカルに強く短く息を吐き出す(1秒に1回のペース)。
(5)上記を20~30回続けた後、最後に一気に息を吐き切る。これを1セットとして、2~3セット繰り返し行う。
カパラバティ呼吸の効果
- 血行を促進し、全身の巡りを改善する
- 内臓を活性化させる
- 頭をクリアにし、集中力を向上させる
- エネルギーを高め、気分をリフレッシュする
9. シータリー呼吸
サンスクリット語で「シータリー」は「冷ます」という意味があります。シータリー呼吸法は、口から冷たい空気を吸い、鼻から温まった空気を吐き出すことで、体内の熱を冷まし、気持ちを落ち着ける効果のある呼吸法です。
特に暑い日やホットヨガの後など体温を下げたいとき、イライラを鎮めたいときにおすすめです。
シータリー呼吸のやり方
(1)背筋を伸ばして楽な姿勢で座り、リラックスする。
(2)最初に鼻から息を吐き出して、肺の空気をすべて出す。
(3)舌を筒状に丸めて、口を少し開け、ストローのように「シー」という音を立てながら、ゆっくりと口から冷たい空気を吸い込む。
(4)吸い切ったら口を閉じ、舌を元に戻す。
(5)鼻からゆっくりと温かい息を吐き出す。
(6)上記を2~3セット繰り返し行う。
シータリー呼吸の効果
- 体の熱を冷ます
- イライラや高ぶった感情を鎮める
- 頭をクリアにし、リフレッシュ効果をもたらす
- 夏の暑さやホットヨガ後に体をクールダウンさせる
10. 蜂の音呼吸(プラーマリー)
蜂の音呼吸法(ブラーマリー)は、鼻からハミングの音を出しながら息を吐く呼吸法で、蜂の羽音のような音が鳴るのが特徴です。「ブラーマリー」はサンスクリット語で「メス蜂」を意味し、その音の振動が頭蓋骨に響くことで、心身の緊張を和らげ、神経系統を落ち着かせる効果があるといいます。
不眠やストレスを感じているとき、頭の疲れが気になるときにおすすめの呼吸法です。瞑想や睡眠前に行うと、よりリラックスすることができます。
蜂の音呼吸のやり方
(1)背筋を伸ばして座り、両目を閉じてリラックスします。
(2)親指で左右の耳の穴を塞ぎます。
(3)残りの4本の指で、軽くまぶたや鼻、唇の周りを覆います(人差し指はまぶた、中指は小鼻、薬指と小指は唇に当てる)。
(4)ゆっくりと鼻から深く息を吸います。
(5)「ンー」という低いハミング音を出しながら、鼻からゆっくり息を吐き出します。
(6)上記の手順を数回繰り返します。
蜂の音呼吸の効果
- 頭蓋骨に音の振動が響き、心を落ち着かせる
- 神経系統を安定させ、リラックス効果を高める
- 頭の疲れやストレスを軽減する
- 不眠解消や睡眠の質を向上させる
ヨガで「呼吸」が重視される理由
ヨガで呼吸が重視される理由は、呼吸が心と体をつなげ、深い呼吸を通じて心を穏やかに整えるメリットがあるからです。
呼吸は心の状態に影響を与え、意識的にコントロールすることでリラックス効果があったり、集中力を高めたりする効果が得られます。
また、ヨガのポーズ(アーサナ)と呼吸法は相互に補完し合います。呼吸を深めることでアーサナが効果的なものになり、ポーズが心地よい呼吸を助ける役割を果たすのです。
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ヨガにおける「呼吸法」と「呼吸瞑想」の違い
ヨガにおける「呼吸法」と「呼吸瞑想」は目的が異なります。
呼吸法は、一定のルールに基づいた吸う・吐く動作を行い、呼吸を意図的にコントロールすることで、身体の神経系や生理的な変化を促し、心身の調整を図るものです。
一方、「呼吸瞑想」は、呼吸をコントロールせず、自然な呼吸に意識を向けることで精神的な集中力を高め、心の静けさを目指します。
つまり、身体へのアプローチを目的とするのが「呼吸法」、精神へのアプローチを目的とするのが「呼吸瞑想」なのです。
初心者でも簡単!ヨガの呼吸法を上達させるコツ
ヨガの呼吸のコツは、息を吐くときに吸うよりも長めに吐くことです。目安として、4秒吸い、8秒かけて吐くリズムを意識してみましょう。
うまくできない場合、胸周りの筋肉がこわばっていることが原因かもしれません。そんなときは、鎖骨下をさすったり、両手を腰の後ろで組んで胸をストレッチすることで、呼吸を深めることができます。
ヨガの呼吸法を日常に取り入れる方法
忙しい日々のなかでも、ヨガの呼吸法を取り入れることで、手軽にリフレッシュし、心のバランスを整えることができます。
ここでは、ヨガの呼吸法を日常に取り入れるための具体的な方法をご紹介します。
仕事の合間や休憩時間に取り入れる
忙しい日常の中でも、ヨガの呼吸法を簡単に取り入れることができます。仕事の合間や休憩時間に、深い呼吸を意識してみましょう。
4秒吸って、8秒かけてゆっくり吐く呼吸を繰り返すことで、リラックス効果を得られ、集中力も高まります。
デスクに座ったままでも、胸を広げて深く息を吸い込むだけで、気分転換にもなり、ストレス軽減にも役立ちます。
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ヨガのオンラインレッスンを受講する
ヨガのオンラインレッスンを日課にすることで、ヨガの呼吸法を手軽に日常に取り入れることができます。
自宅でも時間に合わせてレッスンを選び、好きなタイミングで呼吸法を学び体験できるのがオンラインレッスンの魅力です。
毎日少しずつヨガの時間を確保することで、呼吸法に慣れ、心身を整える習慣が自然と身につきます。忙しい日々でも、手軽に続けられるのがポイントです。
定期的にヨガレッスンに通う
定期的にヨガレッスンに通うことで、ヨガの呼吸法をより深く習得し、日常生活に取り入れる習慣を身につけられます。
インストラクターから直接指導を受けることで、正しい呼吸法や技術が着実に身につき、心身のリフレッシュやストレス軽減にもつながります。
レッスンはモチベーションの維持にも役立ち、先生やクラスの他の参加者と一緒に行うことでヨガの継続もしやすくなります。
ゼヒトモでヨガレッスンのプロを探す
ヨガの呼吸法をさらに学びたい方や、日常的に取り入れるためのアドバイスが欲しい方は、プロの指導を受けるのが効果的です。
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