パーソナルトレーナーと理学療法士は、どちらも人の体をサポートする仕事です。しかし、仕事内容や資格の有無、働き方などに違いがあります。
パーソナルトレーナーの仕事は資格がなくても始められます。しかし、信頼されるトレーナーになるためには、専門知識や実務経験を身につけることが必要です。理学療法士からパーソナルトレーナーを目指す方は、違いや特徴を理解して、転職や独立の準備を進めましょう。
今回は、パーソナルトレーナーと理学療法士の違いや、理学療法士がパーソナルトレーナーになるメリットについて解説します。パーソナルトレーナーになる方法も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
パーソナルトレーナーと理学療法士の違いとは?
パーソナルトレーナーと理学療法士は、さまざまな面で異なります。以下の4つの観点から、それぞれの特徴を解説します。
- 仕事内容
- 資格
- 働き方
- 年収
仕事内容
パーソナルトレーナーと理学療法士は、仕事内容や指導する相手が大きく異なります。
パーソナルトレーナー
パーソナルトレーナーは、フィットネスジムでトレーニング指導をするのが仕事です。利用者の専属トレーナーとして、運動や食事など、健康に関して幅広く指導します。
指導する相手は、ボディメイクをしたい方や、ダイエットしたい方などが中心です。最近ではコンディショニングのニーズも高まっています。コンディショニングとは、運動競技で高いパフォーマンスを発揮できるよう、精神・肉体・健康面で体を整えることです。そのためにパーソナルトレーナーを活用する方もいます。
パーソナルトレーナーには、専門的な知識を身につけ、一人ひとりに合った適切な指導が求められます。
理学療法士
理学療法士の仕事は、医療機関や介護施設、患者の自宅などでリハビリテーションをする仕事です。病気や怪我などで身体に障がいを持った方や、障がいの発生が予測される方に対してリハビリを行います。ストレッチやマッサージ、運動などを通して、歩く、立つ、座るといった基本動作ができるようにする仕事です。
身体動作の改善や維持、悪化の予防が目的であり、ボディメイクやダイエットのサポートを目的とするパーソナルトレーナーとは異なります。
資格
パーソナルトレーナーと理学療法士は、資格の有無についても異なります。
パーソナルトレーナー
パーソナルトレーナーは、特別な資格がなくてもなれる仕事です。
しかし、適切な指導で成果を出すためには、運動生理学や栄養学、解剖学などの幅広い知識が必要です。資格がないからといって、知識をつけなくてよいわけではありません。
また、パーソナルトレーナーとして独立したい場合は、豊富な実務経験や指導実績がないと、利用者を集められない可能性が高いでしょう。
理学療法士
理学療法士は「理学療法士及び作業療法士法」に基づく国家資格です。資格がない方は理学療法士を名乗れません。そもそも国家資格とは、国の法律に基づいて特定の職業に従事すると証明される資格のことです。国家資格を保有しているという事実が、一定の社会的地位の保証と信頼の獲得につながります。
資格を取得するためには、大学や専門学校などの養成校で専門知識を身につけ、国家試験に合格する必要があります。
働き方
働き方という観点からも、両者の違いを見ていきましょう。
パーソナルトレーナー
パーソナルトレーナーの働き方には、主に以下の2パターンがあります。
- スポーツジムやフィットネスクラブに勤務する
- フリーランスとして個人で働く
どちらも、仕事内容に違いはありません。パーソナルトレーニングの目的は利用者によってさまざまです。それぞれの目的や希望、悩みを理解し、一人ひとりに合ったトレーニング指導を行います。
ジムで働く場合は、ジムの営業時間や利用者の予約状況によって、労働時間が左右されるのがポイントです。基本的には8時間のシフト制になっているジムが多いですが、シフト時間を超えることもあります。
一方、フリーランスの場合は、自身で対応する時間や人数を決められます。自身でスケジュール管理を行うため、労働時間を柔軟に調整できるのが魅力です。
理学療法士
理学療法士は、主に病院や整形外科クリニックのような医療機関で勤務します。介護施設で、高齢者に対してトレーニングを行う場合も多いといえます。
理学療法は医療行為であり、医師の指示に基づいて働かなければなりません。理学療法士としての開業権はなく、必ずどこかに属して勤務するのが特徴です。そのため、労働時間や勤務場所などの自由度は高くありません。一方、収入面等は安定しているため、生活に困ってしまう可能性は低いでしょう。
年収
パーソナルトレーナーの年収は、ジムの正社員として勤務するか、フリーランスになるかで異なります。
以下で、パーソナルトレーナーと理学療法士それぞれの年収目安を比較しましょう。
パーソナルトレーナー | ジムの正社員 | 300〜360万円程度 |
フリーランス | 360〜600万円程度 | |
理学療法士 | 300〜370万円程度 |
参考1:求人ボックス給料ナビ「パーソナルトレーナーの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)」
参考2:求人ボックス給料ナビ「理学療法士の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)」
あくまでも目安ですが、大差はありません。フリーランスのパーソナルトレーナーの場合は、自分の仕事量や実績に比例して年収もアップするため、大きく稼げる可能性があります。
理学療法士はパーソナルトレーナーになることは可能?
理学療法士もパーソナルトレーナーになれます。
パーソナルトレーナーになるために特別な資格は必要ありません。そのため、すぐにパーソナルトレーナーになることも可能です。
しかし、パーソナルトレーナーとして活躍できるかは別です。成果を出すためには、運動や身体、栄養など、トレーニングに関係するさまざまな専門知識や技術が求められます。パーソナルトレーナーへの転職を有利に進めたい場合は、理学療法士としてのノウハウや経験があることをアピールしましょう。
また、パーソナルトレーナーとして独立するためには、トレーナーとしての実務経験が必要です。理学療法士からいきなりフリーランスになったり、ジムを開業したりするのは容易ではありません。まずはフィットネスジムのトレーナーとして勤務し、実務経験や実績を積みましょう。
理学療法士がパーソナルトレーナーになるメリット・デメリット
ここでは、理学療法士がパーソナルトレーナーになるメリットとデメリットについて解説します。
メリット
理学療法士がパーソナルトレーナーになるメリットは、以下のとおりです。
- 資格があるため重宝される
- やりがいを感じられる
- 年収が上がる可能性がある
- 働き方の自由度が上がる
資格があるため重宝される
理学療法士の資格は、パーソナルトレーナーの仕事にも活かせるものです。そのため、フィットネスジムで重宝される傾向にあります。
理学療法士の資格を取得するためには、解剖学や運動学、生理学などの専門知識が必要です。これらの知識は、パーソナルトレーナーの仕事においても求められます。
仕事に必要な知識を備えており、国家資格を保持しているという事実は、利用者からの信頼にもつながります。そのため、理学療法士はジムで重宝される可能性が高いでしょう。
やりがいを感じられる
パーソナルトレーナーは、やりがいを感じられる機会が多い仕事です。
パーソナルトレーナーは、運動だけでなく、食事管理やメンタルケアなど、さまざまな面から利用者をサポートします。担当の利用者が目標を達成した際には、非常に大きなやりがいを感じられるでしょう。
パーソナルトレーナーの仕事を通して、医療以外の幅広い専門知識を身につけられる、というメリットもあります。知識を活かして適切な指導ができた時や、実際に成果につながった際の達成感は格別です。
年収が上がる可能性がある
フリーランスのパーソナルトレーナーとして独立したり、スポーツジムを個人で開業したりすることで、年収が上がる可能性があります。独立や開業すると、理学療法士のように固定給をもらうわけではありません。自身の頑張りや仕事量次第では、大幅な収入アップも可能です。
人気パーソナルトレーナーとして成功すれば、年収1,000万円以上を稼ぐのも夢ではありません。
働き方の自由度が上がる
フリーランスのパーソナルトレーナーになると、働き方の自由度が上がります。
理学療法士は、固定の勤務地や決められた時間で働く必要があり、自由に働けるとは言えません。
一方、フリーランスのパーソナルトレーナーなら、勤務時間や勤務場所などを自由に設定できます。自身のライフスタイルに応じて、働き方を柔軟に変えられるのが魅力です。
また、トレーニングメニューや指導方針などを自由に考えられるのもポイントです。理学療法士は、医師の指示のもとリハビリを行う必要があります。フリーランスのパーソナルトレーナーなら、自分の考えに基づいて、プランやプログラムの内容などを考案できます。自在に工夫できるのは、パーソナルトレーナーの醍醐味です。
デメリット
一方、以下のようなデメリットもあります。
- 自分で全て考えなければならない
- 収入が不安定になる可能性がある
自分で全て考えなければならない
パーソナルトレーナーは、トレーニングメニューや指導内容など、全てを自分で考えなければなりません。利用者一人ひとりに合わせたプログラムを作成する必要があるため、自主性が求められます。
理学療法士は、医師の指示を受けてリハビリします。指示に従い、決められた仕事をこなすのが好きな方は、ギャップに戸惑ってしまうでしょう。
パーソナルトレーナーとして活躍するためには、自分の頭で考え、自主的に行動する力が必要です。
収入が不安定になる可能性がある
パーソナルトレーナーとして独立開業する場合は、収入が不安定になる可能性があります。固定給をもらえる理学療法士と異なり、利用者を獲得できなければ収入がゼロになってしまう点に注意が必要です。
独立してから軌道に乗るまで時間がかかることもあります。収入が不安定になるリスクを抱えたくない方には、フリーランスの働き方は向いていません。
パーソナルトレーナーのなり方
理学療法士からパーソナルトレーナーになるための方法は、主に以下の4つです。
- スポーツジムに就職・転職
- 副業として開始
- 独立
- スクールに入学
スポーツジムに就職・転職
リスクが小さいのは、スポーツジムに就職・転職し、トレーナーとしての経験や実績を積む方法です。正社員のほか、アルバイトとして勤務する方法もあります。スクールに通わない分、必要な知識を独学することが必要です。
ただし、理学療法士時代よりも年収が下がってしまう可能性が否めません。ジムは病院よりも給与水準が低い傾向にあります。年収が下がるリスクは覚悟のうえで、ジムに就職・転職しましょう。
副業として開始
転職する勇気がない方や、年収が下がるリスクを回避したい方には、副業としてジムで働くという方法もあります。
しかし、勤務先の病院や介護施設などが副業を許可していない場合、ジムでは働けません。また、理学療法士とパーソナルトレーナーの仕事を両立するのは難しく、時間や体力の問題で、続けられない可能性もあります。
独立
理学療法士としての知識や経験を活かし、いきなり独立するのも1つの方法です。独立には、以下の2つのパターンがあります。
- フリーランスとして勤務先に縛られずに働く
- パーソナルジムを開業する
前者の場合、個人事業主として開業すれば、比較的すぐに始められます。ただし、経験や実績がなければ、利用者を集められないことも少なくありません。
後者の場合は、ジム用の物件を取得して改装したり、スタッフを集めたりする必要があります。
いずれも簡単ではありませんが、成功すれば、大幅な年収アップが期待できるでしょう。
スクールに入学
パーソナルトレーナーに必要な専門知識を集中的に身につけたい場合は、養成スクールや専門学校などのスクールに入学しましょう。トレーニング関連の資格取得をサポートしてくれるスクールもあり、就職や独立の際に有利にはたらくでしょう。卒業後、スクールを運営するジムに就職できる場合もあります。
活躍できるパーソナルトレーナーになるためには、スクールで専門知識を身につけ、リハビリとトレーニング双方のプロになるのが効果的です。
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今回は、パーソナルトレーナーと理学療法士の違いについて解説しました。理学療法士の資格取得とあわせて、パーソナルジムで仕事をしたいと考える方も多いでしょう。そんな方は、ゼヒトモからパーソナルトレーニングのプロを探して、話を聞いてみませんか?
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